シャンパンの泡立ちの美しさや、グラスから沸き立つ香りは、場の雰囲気をグッと上質なものにしてくれますよね。
そんなシャンパンについて、こんな風に思った経験はありませんか。
「どんな種類があるの?」
「銘柄がたくさんあって、どれを選べばよいのか迷ってしまう」
今回はその悩みを解決するシャンパンの選び方や楽しみ方、そしてソムリエが自信を持っておすすめする銘柄をたっぷりとご紹介します。
「すぐにランキングを見たい!」という方はこちらからどうぞ。
シャンパン一覧はこちら
目次
シャンパンの選び方
1.色で選ぶ
シャンパンには、白とロゼの2種類があります。
ロゼはフランス語で「ピンク」という意味で、ベースとなる白ワインに赤ワインをブレンドする方法と、黒ブドウからロゼの色合いを抽出する造り方があり、力強いボディやタンニンを楽しむことができます。したがって、お食事もしっかりとした味付けのものと相性が良いですよ。
その日の気分や食事に合わせて選んでみてください。
2.味わい(甘辛度)で選ぶ
シャンパンは、甘口のものから辛口のものまで存在します。
よく聞く「Brut(ブリュット)」も甘辛度を表した言葉の一つで、辛口を意味しています。また最近では「Extra brut(エクストラ・ブリュット)」や「Nature(ナチュール)」などの、極辛口タイプの人気も高まっています。
これらはワインのラベルに記載されています。自分の好みの度合いを探してみましょう。
表示 | 残糖度 |
---|---|
ブリュット・ナチュール | 0~3g/l |
エクストラ・ブリュット | 0~6g/l |
ブリュット | 12g/l以下 |
エクストラ・ドライ | 12~17g/l |
セック | 17~32g/l |
ドゥミ・セック | 32~50g/l |
ドゥー | 50g/l以上 |
3.ブドウ品種で選ぶ
シャンパンは、原料となるブドウ品種によっても分類することができます。
シャンパンに使用することが認められている品種は8品種ありますが、実際は「シャルドネ」「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」の3品種がほとんどを占めており、それ以外の品種を使うことはほとんどありません。
これらのブドウ品種のブレンドの違いが、味わいやスタイルを決める重要な要素となっています。
ブドウ | 特徴 |
---|---|
シャルドネ | 白ブドウ。味わいに酸味とキレをもたらす。 |
ピノ・ノワール | 黒ブドウ。シャンパンの骨格や重厚さを担っている。 |
ピノ・ムニエ | 黒ブドウ。フルーティーさが特徴で、丸みや柔らかさをもたらす。 |
また、このブドウ品種のうち、白ブドウあるいは黒ブドウのみで造ったシャンパーニュを、それぞれ「ブラン・ド・ブラン」「ブラン・ド・ノワール」と言います。
酸味があって、より繊細で爽やかなタイプが好きな方は白ブドウ主体のものを、ふくよかな果実味やタンニンを感じたい方は黒ブドウ主体のものを選んでみましょう。
4. グレードで選ぶ
シャンパンは、以下の3つに格付けされています。
グレード | 特徴 |
---|---|
ノン・ヴィンテージ | 複数の収穫年のワインをブレンドして造られたスタンダードタイプで、ラベルに「NV(ノン・ヴィンテージ)」と記載されており、造り手のスタイルが最も表れている。 |
ヴィンテージ | ラベルに書かれた収穫年のブドウを100%用いて造られ、最低3年間の瓶内熟成の後に出荷されます。単一ヴィンテージならではの個性が楽しめるほか、長期熟成も可能。 |
プレスティージュ | 造り手が“ 威信(プレスティージュ)”をかけてリリースするトップ・キュヴェ。作柄の良い年に、最高区画のブドウだけを使用して造られることが多く、長期熟成に耐えうるポテンシャルを持つ。 |
必ずしも各メゾンにプレスティージュが存在するわけではありませんが、例えば誰もが知るドン・ペリニヨンはモエ・エ・シャンドンのプレスティージュシャンパンです。
プレスティージュは高価なものが多いので、特別な日のディナーや、お世話になった方へのギフトにもおすすめですよ。
それではおすすめのシャンパンを価格帯別にご紹介していきたいと思います。
税抜6千円までのおすすめ
1.ノミネ・ルナール ブリュット
星付きレストランにもオンリストされ、今注目を集めているシャンパン・メゾン。
こちらは5つの村の小さな畑で育てた良質なブドウを使用して仕立てられる1本です。もぎたて果実のようなピュアな果実味が溢れる味わいが特徴。繊細さと上品さを兼備した美しいスタイルをお愉しみいただけます。
2.マキシム・ブラン ノ・モマン・カルト・ブランシュ
ブドウ栽培から瓶詰めまですべての工程を自社で行う、家族経営のシャンパン・メゾンです。
こちらはピノ・ムニエを主体とした珍しいブラン・ド・ノワール。フレッシュ感とまろやかさの調和がとれた、飲みやすい口当たりが魅力。この価格とは思えないほど洗練された味わいで、シャンパーニュを飲みなれた方にこそ、飲んでいただきたい逸品です。
3.シャンパーニュ・コント・ド・ベリニ
自社畑100%のブドウからシャンパーニュを造る生産者。
こちらはシャルドネとピノ・ノワール半分ずつで仕立てられる1本で、シャルドネのフレッシュな果実味を感じつつも、ピノ・ノワール由来の奥深さとコクが備わったスタイルに仕上がっています。
シャンパーニュ・コント・ド・ベリニ
- スパークリング
シャトーを所有する大変珍しいレコルタン・マニピュラン。自社畑で育ったブドウのみで仕立てる、フレッシュな果実味の中に奥深さとコクを感じる1本。 詳細を見る
5.0
(3件)4,950 円
(税込)
税抜1万円台までのおすすめ
1.ドゥラモット ブリュット
幻のシャンパーニュと呼ばれる、サロンの姉妹メゾンが造る1本。
サロンが造られなかった年のブドウは、全てドュラモットに使用され、醸造もサロンのチームが作業にあたるという、強いこだわりを持って造られるこちらのシャンパン。
シャンパン特有の美しい酸や、繊細な味わいを楽しみたい方におすすめです。
ドゥラモット ブリュット [ボックス付]
泡
エレガント&コンプレックス
唯一無二のシャンパーニュ、サロンの姉妹メゾン。サロンと同じ村のブドウを使用した、贅沢なスタンダードキュヴェ。 詳細を見る
4.3
(18件)9,350 円
(税込)
WS 91
2.ルイ・ロデレール コレクション 244
数々の受賞歴を誇る世界最高峰の老舗シャンパーニュメゾン、ルイ・ロデレール。
こちらは、ブレンドによって異なるヴィンテージやテロワールを表現するというコンセプトのもと誕生した1本。
ルイ・ロデレールの真骨頂であるエレガントで力強いスタイルを軸に、リザーヴワイン(※)による熟成感、そしてヴィンテージの個性が引き出された味わいが見事に融和されたシャンパーニュです。
※リザーヴワイン:複数年のワインがブレンドしたもの。毎年安同じ味わいのものを安定して供給する目的で、ノン・ヴィンテージシャンパンに使用される。
3.シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴ
「シャンパン・チャーリー」の愛称でアメリカにて大成功を収め、世界中から愛されるメゾン、シャルル・エドシック。
平均10年熟成を経たリザーヴワインを贅沢に40%も使用し、さらに3年間の長期熟成をすることで、リッチかつフルボディのスタイルに仕上がっています。
シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴ [ボックス付]
泡
エレガント&コンプレックス
世界中の紳士に愛される、英国王室御用達メゾン。リッチで複雑、ダンディーで優雅な味わいを堪能できるスタンダード・キュヴェ。 詳細を見る
4.5
(8件)11,550 円
(税込)
D 93
4.ヴーヴ・クリコ イエロー・ラベル
1772年に創業したヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社。
このイエローラベルはグラン・クリュ、プルミエ・クリュを主体に50~60にも及ぶ異なる畑のブドウがブレンドされています。酸味と果実味がバランスよく広がり、心地良い爽やかさと複雑味が印象的な1本です。
5.テタンジェ・ブリュット・レゼルヴ
フランス国内はもとより海外においても、シャンパーニュの代表的なメゾンとして知られるテタンジェ。
こちらのスタンダード・キュヴェは、瓶内二次発酵後、最低3年間はセラーで熟成させています。新鮮な果実味やハチミツの風味があり、いきいきとしてフレッシュな印象。軽快でバランスの取れた、大変魅力的な味わいです。
税抜3万円以上のおすすめ
1.ルイ・ロデレール クリスタル
英国のアルコール飲料専門誌「ドリンクス・インターナショナル」が選ぶ「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2023」にて見事4年連続で第1位を獲得したルイ・ロデレール。
こちらは、ルイ・ロデレールが1876年に、ロシア皇帝アレクサンドル2世の要望により生み出した特別なシャンパンです。
気品と力強さを併せ持つ力強い味わいが魅力の1本です。
2.サロン・ブリュット・ブラン・ド・ブラン
唯一の畑、単一品種、単一畑にこだわり造られた、究極のブラン・ド・ブラン。
優良な年にだけしか生産されず、約110年の間に僅か41ヴィンテージしか造られていない栄華を極めた極上の逸品です。
若いうちは清らかな果実のエッセンスが凝縮された、透明感溢れる繊細な印象。最低10年の熟成に耐えうるポテンシャルを持ち、熟成により厚みが増し、円熟した味わいに変化します。
サロン・ブリュット・ブラン・ド・ブラン [ボックス付]
泡
エレガント&コンプレックス
ある愛好家の情熱で造られた究極のブラン・ド・ブラン。ひとつの畑、ひとつの品種、ひとつのヴィンテージ、「1」に象徴される幻のシャンパーニュ。 詳細を見る
5.0
(18件)2013年
176,000 円
(税込)
NEW
V 99
3.クリュグ グランド・キュヴェ
最高の評価を欲しいままに、世界中の賞賛を浴び続ける「帝王」の名を持つシャンパーニュメゾン。
ココ・シャネル、ヘミングウェイ、マリア・カラスといった世界の偉人たちを虜にした品質はもはや伝説となっています。
実に10以上のヴィンテージに渡る約120種類のワインをブレンドし、セラーの中で少なくとも6年熟成させて生み出される味わいは、一度飲んだら忘れられないほど印象的です。
4.ボランジェ ラ・グラン・ダネ
世界中の愛好家から高い支持を集め、映画「007」でも御馴染みの老舗メゾン「ボランジェ」。
優良年にのみ造られるシャンパンで、グラン・クリュのピノ・ノワールを主体にシャルドネをブレンドし、9年間もの長期に渡る熟成期間を経てリリースされます。
豊かな骨格とエレガンスを湛えた、まさにメゾンのスタイルを象徴する1本です。
5.ペリエ ジュエ ベル エポック
世界中のセレブリティたちから愛されてきたペリエ・ジュエが生み出すプレスティージュキュヴェ。
19世紀の芸術の巨匠が描いた、アネモネの花があしらわれたボトルデザインが世界中で人気を博しています。
100%グラン・クリュのブドウで造られ、しっかりとした骨格に生き生きとした酸味が完璧なバランスを誇る味わいはまさに芸術品です。
※2024年5月現在の価格です。
シャンパンについてもっと知りたい!
気になるシャンパンを見つけたら、今度はその楽しみ方を知ってみませんか。
いくつかのポイントを押さえるだけで、シャンパンをもっと楽しむことができますよ。
1.グラスにこだわる
シャンパンはフルート型のグラスで飲むものというイメージが強いかもしれません。
しかし近年、ホテルやレストランでは銘柄やシーンによって、グラスを使い分けるのが一般的になりつつあります。家で楽しむ際も、せっかくならばグラスを使い分けてみてはいかがでしょうか。
フルート型グラス
定番中の定番、背の高いフルート型グラスです。
シャンパーニュの泡立ちの美しさを感じられるため、華やかな場面で活躍するのはもちろん、泡や酸の力強さを味わいたいならぴったりのグラス。
泡や酸の爽快さがダイレクトに舌に感じられるため、料理が一通り終わってもう一杯となった時に、口の中をリフレッシュさせるのにも適しています。
シャンパンで華やかさを演出したいお祝いの場や、シャンパンの酸やフルーティーさを楽しみたい日はこちらのグラスがおすすめです。
クープ型グラス
1980年代にフルートグラスが普及するまで一般的だったグラスです。
大きく開いた口元が香りを発散させ、グラスの周りにも香りが纏わりつくため、シャンパンの香りをしっかり感じつつ味わうことができます。
ボウル部分を持つ手の美しさが際立ち、背の高いボウルのフルートグラスと異なり、首を反らすことなく唇をそっとつけるだけで飲めるため、シャンパンを飲む姿がエレガントな印象になります。ゆっくりと香りを楽しみたいとき、あるいは甘口シャンパンの甘みを楽しみたいときなどにおすすめです。
チューリップ型グラス
比較的新しいタイプのグラス。ホテルやレストランだけでなく、好んでこの形を使う生産者もいるほど、幅広い用途に使用できる万能タイプのこちらのグラス。
このような小ぶり~中庸のグラスでは酸や発泡を活き活きと感じられるのはもちろん、ブドウに由来する香りを捉えやすいので、造り手が品種やヴィンテージの個性をどのようにワインに表現したかを感じ取るには最適です。
コクのあるブラン・ド・ノワールや、ヴィンテージシャンパンを飲むときにおすすめです。
ワイングラス一覧はこちら
2.料理と組み合わせる
どんな料理にも合わせやすいシャンパンですが、双方の旨味をより引き立てる組み合わせがあるんです。
ポイントを押さえるだけで、ペアリングをさらに楽しむことができるのでぜひ挑戦してみてくださいね。
魚介×シャンパン
生魚や貝類には、フレッシュさやミネラル感を感じられるタイプのシャンパンや、繊細な味わいが特徴のブラン・ド・ブランがおすすめ。
火を通した魚料理には、香ばしさを感じられる熟成タイプのシャンパンや、ロゼシャンパンが好相性です。
肉料理×シャンパン
肉料理には、力強いボディを持つブラン・ド・ノワールや、ヴィンテージ、プレスティージュのシャンパンを合わせるのがおすすめ。
肉料理といえば赤ワインのイメージが強いですが、シャンパンの酸味が肉の旨味を引き立てるとともに、脂をスッキリと感じさせてくれます。
著名なステーキ店や鉄板料理店ではシャンパンが多数オンリストされているんですよ。
3.シャンパーニュ地方のチーズと合わせる
シャンパンに合わせるチーズで迷ったら、同じくシャンパーニュ地方で造られるチーズを合わせてみてはいかがでしょうか。
シャンパーニュ地方の代表的なチーズをご紹介します。
ラングル
ウォッシュタイプ。シャンパーニュ地方のラングル高原が原産地のチーズです。
一番の特徴は、表面に「フォンテーヌ=泉」と呼ばれる噴火口のような窪みがあることで、この窪みに少量のワインを注いで楽しむとも言われます。
風味の強いチーズなので、ロゼシャンパンや、ブラン・ド・ノワールと合わせるのがおすすめです。
シャウルス
白カビタイプ。12世紀に、ブルゴーニュの修道士によって造られたチーズです。
名前の由来は、シャンパーニュ地方の南端にある「シャウルス」という小さな村の名前から取っています。
優しい味わいなので、ノン・ヴィンテージのシャンパンに合わせるのがおすすめです。
4.シャンパンとは
シャンパンが生まれるのは、フランスのワイン産地としては北限に位置するシャンパーニュ地方。
フランス最北のワイン産地であるシャンパーニュ地方で生産され、収穫方法や熟成期間、醸造方法など、非常に細かく定められた条件をクリアしたものだけが「シャンパン」を名乗ることができます。
製造方法ですが、シャンパンに許されているのは瓶内二次発酵という醸造方法のみ。この方法はトラディショナル方式、またはシャンパーニュ方式とも呼ばれます。
スティルワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加え、密閉して瓶内で二次発酵を起こさせる方法で、手間と時間のかかる製造方法ですが、それによってシャンパン特有の味わいの奥深さや、泡のきめ細やかさが生み出されています。
まとめ
気になるシャンパンはありましたか。
お祝いの場はもちろんのこと、自分へのご褒美や、ちょっと贅沢な気分になりたいときに、ぜひお気に入りのシャンパンを楽しんでくださいね。
シャンパン一覧はこちら