赤ワインの代表的なブドウ品種、カベルネ・ソーヴィニヨン

ボルドーの偉大な赤ワインの原料として有名なカベルネ・ソーヴィニヨン。

ボルドーにとどまらず、世界中の名醸地で高品質な赤ワインを生み出すことから、ワイン用ブドウ品種として最初にこの名前を覚える人は多いでしょう。

今回は、世界で最も広く栽培され、世界中のワイン愛好家を魅了してやまないカベルネ・ソーヴィニヨンについて、詳しくご紹介致します。

カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴 


カベルネ・ソーヴィニヨンは主に赤ワインの原料となる皮の黒いブドウです。果粒は小さく、果肉に対して種子が大きく、果皮が厚いので、豊かなタンニンと深い色調を生みます。また、その豊かなタンニンがワインとなった時に長期熟成を可能にします。

ブドウの生育においては、比較的温暖で、水はけのよい土地で栽培されています。というのも、発芽と成熟が遅いため、寒冷地ではブドウが十分に成熟しないからです。

カベルネ・ソーヴィニヨンの一番の特徴は、温暖な気候といった最低限の条件を満たしていれば、どのような環境でも根をおろし、品種の個性を発揮することです。そのため、今では世界中で栽培されています。

カベルネ・ソーヴィニヨンの主な産地

 ボルドー(フランス)

フランスのボルドー地方がカベルネ・ソーヴィニヨンの原産地と言われおり、とりわけ、水はけのよい左岸のメドックやグラーブで多く栽培されています。

温暖でカベルネ・ソーヴィニヨンの生育に最適と言われていますが、それでも開花期に低温による悪影響を受けたり、果実の成熟が雨によって台無しになったりするので、比較的早熟なブドウ品種であるメルローやカベルネ・フラン等も混植して、リスクを回避しています。よって、この地で造られるカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、混植した他品種とブレンドするという手法で造られます。

ボルゲリ(イタリア)

今から50年ほど前、カベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られた、あるワインの成功から世界的に有名になったトスカーナ地方の産地ボルゲリ。

この地でワイン造りは古くから行われていましたが、土着品種を中心にワイン造りが行われてきたイタリアにおいて、1970年代以降、カベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとする国際品種を使用した高品質なワインが造られるようになり、一大ブームとなりました。

海に近く地中海性の温暖な気候で、年間を通して雨量も少ないのが特徴。また、古代の土壌と河川によって運ばれた新しい土壌が入り交った複雑な地質により、同じカベルネ・ソーヴィニヨンでも区画によって異なる個性となります。

ナパ(アメリカ)

カリフォルニアのナパヴァレーを中心に栽培されています。特に、ナパヴァレーのラザフォードやオークヴィルでは、カベルネ・ソーヴィニヨン100%やボルドータイプのブレンドワインから、最高のメドックに勝るとも劣らないワインが造られています。

そもそもカリフォルニアは温暖な気候と肥沃な大地に恵まれており、雹が降る心配もないので、晩熟のカベルネ・ソーヴィニヨンも安心して完熟させることができるのです。

クナワラ(オーストラリア)

南オーストラリア州のワイン産地クナワラでは、オーストラリア国内最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンのワインが生産されています。

海洋性気候で一年を通して温暖、夏場は乾燥して適度に涼しい気候のため、ブドウをゆっくりと完熟させることができます。クナワラはテラロッサと言われる石灰岩質の土壌に赤い粘土質土壌が被さった特殊な土壌で、水はけもよく、高価なブドウ栽培用地となっています。

セントラル・ヴァレー(チリ)

東にアンデス山脈、西に太平洋沿いの山脈にはさまれたセントラル・ヴァレーで多く栽培されています。

チリの首都サンティアゴから近いこともあり、19世紀からいち早くヨーロッパ品種の栽培が始まった土地です。昼間は日照量が多く夜間は冷涼なため、果実は成熟し、ボリューム感のあるワインを生み出します。

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインの特長

ワインの色合いは濃い赤紫色。熟成の若いうちはカシスやブルーベリー、ブラックベリーのような果実の香りが感じられるとともに、ピーマン、杉、ハーブやミントといった青っぽい香りが表れることもしばしばあります。また、口の中を締め付けるような渋みが特徴で軽い酸味もあります。

しかし、熟成を経たカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、プラムや熟したイチジクのような香りが長く続き、枯れ葉や森の中の湿った空気を吸い込んだ時のような、複雑なニュアンスを感じることができます。タンニンは落ち着き、ボリューム感のあるふくよかな味わいは長い余韻をもたらします。

要するに、カベルネ・ソーヴィニヨンの醍醐味は熟成にあるのです。もちろん、若い段階からおいしくのめるカジュアルなカベルネ・ソーヴィニヨンのワインも世界中で造られています。

しかし、ボルドーやカリフォルニアのナパのような名醸地で造られる高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、長期熟成に耐えうるポテンシャルがあり、熟成させることでその本領を発揮します。

尚、一昔前まで、アメリカやオーストラリア、チリなどの新世界で造られたカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、非常にパワフルで果実味が豊かな反面、やや繊細さにかけるものが多かったのですが、近年はエレガントでより洗練された味わいに変わってきています。

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインと料理の相性


お肉料理との相性が抜群に良いと言えます。カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは、カジュアルなデイリーワインであってもブレンドワインであっても、程よいタンニンと果実味があるので、メインディッシュとなるお肉料理に負けません。

また、お肉料理と一緒に味わうことで、口の中の油分を洗い流してくれるので、口の中がさっぱりするのです。

では、どんなお肉料理と合わせればよいでしょうか?

お肉のランクや、味付けの濃淡や複雑さと、ワインの価格を比例されることが大事です。つまり、鶏のからあげや照り焼き、豚肉の生姜焼きといったよくある家庭料理には、カジュアルでデイリー価格のワインと合わせます。

すき焼きやビーフシチュー、ローストビーフなどと合わせるなら、少し奮発して普段よりワンランク上のワインが良いでしょう。

さらに本格的なフランス料理やステーキをレストランで食べる時は、その料理の格にふさわしいワインを選びましょう。ソムリエやお店のスタッフに相談するのが一番です。ワインの持つ複雑なアロマや味わいが、より料理をひき立てることでしょう。

おすすめのカベルネ・ソーヴィニヨンのワイン

最後に、ぜひ一度お試しいただきたいカベルネ・ソーヴィニヨンのワインをご紹介します。

こちらはカリフォルニアで多くの実績を誇るワイナリー、ケンダル・ジャクソンの代表的ワインです。

フランスのカベルネ・ソーヴィニヨンより完熟したブドウを使っているため、味わいはエレガントでジューシー。

ギュっと凝縮した果実味とボリュームは、カジュアルなお肉料理と合うのはもちろん、ステーキやローストビーフとも相性抜群です。

ヴィントナーズ・リザーヴ カベルネ・ソーヴィニヨン / ケンダル・ジャクソン

まとめ

カベルネ・ソーヴィニヨンの魅力は、品種のアイデンティティを失わずに産地や造り手の個性を表現できることにあると思います。

カベルネ・ソーヴィニヨンのワインは世界中で造られていますから、是非、産地別に飲み比べてみてはいかがでしょうか?

そして、いつか長期熟成させたカベルネ・ソーヴィニヨンのワインを味わってみて下さい。あなたの人生観を変えてしまうほどの衝撃があるかもしれませんよ。

参考文献 ・ワイン用葡萄ガイド / ジャンシス・ロビンソン(ウォンズ パブリシング リミテッド)

 

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