フランス・ボルドーワインの最高峰、メドック格付け第一級である、シャトー･ムートン･ロスチャイルド。そちらのシャトーを所有する、世界有数の一大ワインメーカーがバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社です。ボルドーで培った一流のワイン造りの技術を活かして、カリフォルニアの重鎮ロバート・モンダヴィとのジョイント・ベンチャーであるオーパス・ワンをはじめ、チリのコンチャ・イ・トロとの提携で誕生したアルマヴィーヴァなど、新世界と呼ばれるワインの新興国でも次々と銘酒を世に送り出し、高い評価を得ています。

そのバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が1997年よりチリで手掛けるワイナリーが、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チリです。彼らはエスクード・ロホ、アンデラ、マプという3つのシリーズを造り出していますが、その中でもエスクード・ロホは彼らのフラッグシップワイン。スペイン語で"エスクード"は「盾」、"ロホ"は「赤」を意味しており、「ロスチャイルド＝赤い盾」という一家の名そのものが付けられた、こだわりのシリーズです。

チリワインは財務省の貿易統計にて2020年まで6年連続で、輸入量不動の1位であったフランスを抜いてNo.1になるという快挙を成し遂げた、日本で広く親しまれているワイン。その魅力はなんといっても、ヨーロッパの生産者も憧れる豊穣なテロワールにあります。

こちらのエスクード・ロホのブドウが造られているのは、チリの首都サンティアゴの南に広がるセントラル・ヴァレーです。この地域一帯は、乾燥した温暖な地中海性気候でブドウ栽培に最適な土地。多種多様なテロワールが混在し、バラエティーに富んだ土壌が、ワインに複雑さと力強さを与え、チリならではのテロワールを引き出しています。

エスクード・ロホでは、アルチザン（＝職人芸）をモットーにし、ブドウの収穫から選別、醸造まですべて細心の注意を払い人の手によって実施。フレッシュな果実味を引き出すため、最先端の技術に伝統的な方法を取り入れたワイン造りを行っているのです。エスクード・ロホに使用されるブドウは高品質なものでなければならないと考えたバロン・ド・フィリップ・ロスチャイルド社は、3年間にも渡る畑の厳しい土壌検査を実施。区画ごとに徹底した管理が行われています。

ワインは、チリの首都サンティアゴから30km南に下ったマイポ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨン100％で造られます。アンデス山脈の麓に広がるマイポ・ヴァレーは、長いブドウ栽培の歴史を誇る、チリを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地。温暖な気候で、小石を多く含んだ沖積堆積物の少ない土壌が、ワインに上品で力強い骨格及びミネラル感を与えます。また、夏の暑い気候にアンデス山脈から吹き下ろす風が加わることで、昼夜の激しい温度差が生まれ、フレッシュな果実味を保ったワインを生み出しています。

ワインは手摘みで収穫後、人の手による選果、センターによる選果を通してから発酵、熟成が行われます。熟成では80％を樽、残りの20％をステンレスタンクを使用し10ヵ月かけて熟成を実施。樽の香りを抑え、ブドウ本来のフレッシュな果実味が広がるようにしています。

熟したフランボワーズなどの赤系果実やクレーム・ド・カシスの甘やかな香り。徐々に黒コショウや甘草のスパイス香、トーストのようなニュアンスが現れます。口に含むとフレッシュかつまろやかで、ダークチェリーやカシスなどの黒系果実の豊かな果実味や心地の良い酸味を感じると共に、徐々にタンニンが広がっていきます。マイポ・ヴァレーの上品さと力強さが表現された、フレッシュで洗練されたスタイルの赤ワイン。鴨肉やラムチョップなど、肉料理と相性抜群な1本です。