海外研修レポート!トーレスで巡るスペイン産地編

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レポート
公開日 : 2018.6.15
更新日 : 2019.7.3
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大きな樽が並ぶトーレスの倉
1870年に設立された、トーレスは個人所有としては世界最大のワイナリー。
フランスとの国境にほど近いカタルーニャ・ペネデスが拠点で、その卓越した品質と先見性は世界中で惜しみない賛辞を集めています。トーレスは、2014年以降4度にわたってドリンクス・インターナショナルにて「世界で最も賞賛されるワインブランド」No.1に選出。まさに、現代における最高峰の生産者の1つです。
トーレスの魅力は、各地のテロワールを表現したプレミアムワイン。
今回の研修では、トーレスが所有する各ワイナリーを訪問。その中でも、特に注目したい7ワイナリーの魅力をご紹介いたします。是非、実際にワイナリーを訪れた気持ちになって読んでみてください。
目次

最新鋭の設備/マス・ラ・プラナ(カタルーニャ ペネデス)

トーレスの代名詞といえば、かつてメドック格付け第一級シャトー、ラトゥールやオー・ブリオンを超える評価を獲得したトップキュヴェ、マス・ラ・プラナ
現在でも、2012年ヴィンテージがイギリスで開催されたインターナショナル・ワイン・チャレンジ2017において見事ゴールドメダルを受賞するなど、高い評価を受け続けるスペイン最高のカベルネ・ソーヴィニヨンです。
その秘密の1つが、最新鋭の設備。単一畑で収穫された特別なブドウの魅力を最大限発揮させるために2016年7月にリニューアルした醸造設備は、ボルドーの格付けシャトー顔負けです!
最新鋭の醸造設備

新しいスタイルのスパニッシュ・スパークリング/ヴァルドン・ケネット(カタルーニャ ペネデス)

キュヴェ・エスプレンドール・ヴァルドン・ケネットは、トーレス史上初のスパークリング・ワインです!
このキュヴェは、カヴァのメッカのお膝元にありながら、カヴァではありません。
その理由は、2015年ヴィンテージからはピレネー山脈のサン・ミケルに位置する標高950mのトレンブの畑を使用しているから。トーレスは、高い酸を維持するために敢えてカヴァの名を捨て、100%マロラクティック発酵が行われているにもかかわらず、驚異的に美しい酸を維持した全く新しいスパニッシュ・スパークリングを造り上げたのです!高級カヴァと比較試飲してもその品質は別格。シャンパーニュと比べても遜色のない複雑味とストラクチャーに、研修メンバーも驚いてしまいました。
グラスに入ったスパークリングワインとボトル

特別な人のための、特別なワイン/ジャン・レオン(カタルーニャ ペネデス)

1981年にロナルド・ウィルソン・レーガンの大統領就任の晩餐会で振る舞われ一躍有名になったジャン・レオン・カベルネ・ソーヴィニヨン・グラン・レゼルヴァ
このワインはレーガン元大統領以外にも、沢山の著名人が口にしたと言います。特別な人物に飲まれていたのは、特別な理由があるから。
特別な理由とは、スペインで最初のカベルネ・ソーヴィニヨンであること、単一畑であること、オーガニックであること、創始者のジャン・レオンの夢が詰まっている事。研修でテイスティングした2000年はまさに熟成の頂点にあり、逞しさと優美さが感じられる味わい。1989年は複雑かつ繊細で、スケール感とは対極にある静かさと深みを備えていました。両ヴィンテージともワイナリーの偉大な歴史を誇っているようでした。
赤ワインと白ワインのボトル

天使が上る階段で実る果実/サルモス(カタルーニャ プリオラート)

サルモスを産するプリオラートはモンサン山脈に囲まれた、13世紀から続く古い産地。
プリオラートの名前は、修道長を指すプリオラに由来します。プリオラートは、リオハと並びスペインの原産地呼称の頂点であるD.O.Caに指定されていますが、この地でのワインの生産は決して容易ではありません。
「天使が上る階段」と喩えられる急斜面に造られたブドウ畑、崩れやすい岩石の様な土壌、吹き付ける風。ただでさえ厳しい環境に身を置きながら、19世紀にフィロキセラの被害に襲われた時の生産者たちの痛みは、想像を絶するものだったことでしょう。
過去に5000haから600haに減少した栽培面積が1,900haにまで回復したのは、生産者たちの努力に他なりません。
カタルーニャのプリオラートのブドウ畑
プリオラートで最も注目すべきなのが、リコレリャと呼ばれる粘板岩土壌。岩がちで乾燥しているため、ブドウは水分を求めて深くに根を張り、古樹にもなると15mほど根を伸ばすそうです。
ブドウ樹から収穫できるのは1.5kg~0.5kg。ペネデスでの収量が1本から4kgというと、いかに少量生産かが分かるかと思います。トーレスでは険しい山道の移動中にブドウを傷つかないよう25kg箱に半分だけ収穫、選果には光学選果機を導入しており、他の地域と比べてもブドウの品質に徹底的にこだわる姿勢が窺えました。
プリオラートのブドウ畑

古代品種の保全/グラン・ムラーリェス(カタルーニャ コンカ・デ・バルベラ)

代々革新を忘れないトーレスが現在取り組んでいるプロジェクトの1つが、「絶滅に瀕した品種の保全」です。
1980年代後半から開始された一大プロジェクトで、カタルーニャの生産者たちから提供された素性がわからないブドウを解析し、これまでに50種もの未知のブドウを発見しました。
そのうち、トーレスが栽培できるまでに回復させたブドウは、赤ワイン品種5種(ケロール、ガロ、ゴンファウス、モネウ、ピレネー)と白ワイン品種1種(フォルカーダ)。ケロールとガロは、グラン・ムラーリェスに2009年からブレンドされています。
赤ワイン品種ケロールの畑
2010年ヴィンテージを試飲すると、野性的と言えるほどの豊富なタンニンを備えたケロール、スパイシーでプラムのアロマが際立ったガロの魅力が十分に感じられます。
このプロジェクトを行うことで品種の多様性が生まれるだけでなく、その土地に馴化している品種を育てることで将来の気候変動に対応できるとのことです。
グラスに注がれた赤ワインとボトル

温故知新/アルトス・イベリコス(リオハ)

トーレスは最新技術を取り入れる一方、伝統をリスペクトする姿勢を貫いています。
アルトス・イベリコスでは、畑の中にラガールと呼ばれる古代の醸造施設を敢えて残しています。アルトス・イベリコスを担当する醸造家フィリオ氏は、これについて「古きを知ることが、ベストなワイン造り、ひいてはテロワールを表現することにも繋がる」と言っていました。
物静かで誠実な醸造家フィリオ氏のお薦めキュヴェは、アルトス・イベリコス・パルセラ・デ・グラシアーノ。2014年の出来に非常に満足している様子で、「 1ケース家で熟成させる。」と言っていました。
古代の醸造施設

増殖する古樹!?/セレステ(リベラ・デル・ドゥエロ)

リベラ・デル・ドゥエロでトーレスは樹齢100年にもなるティント・フィノ(テンプラリーニョのこの地域での呼び名)を株仕立てでブドウを育てていますが、株の増やし方がとってもユニーク。
アコードと呼ばれる伝統的手法で、隣の樹の枝をコード状に伸ばし根を張らせることで増殖するように株を増やしていきます。若い樹を植えることも可能ですが、安易に若い樹を植えると畑のバランスが崩れてしまうとのこと。「古樹が枯れても、若い樹を植えるくらいならそのまま放置している方がマシだ」という徹底のしよう。アコードすることで、畑のバランスを維持しつつ、古樹の美点を最大限引き継がせているのです。
古樹の株の増やし方を表した写真
ちなみに、セレステ・クリアンサなどを手掛けるジュリオ氏は、2003~2005年まで“骨の髄までエレガントで、複雑”と賞されるシャトー・パプ・クレマンで醸造スタッフをしていた凄腕。以降15年間はリベラ・デル・ドゥエロで働いている一筋。「エレガンスこそリベラ・デル・ドゥエロ!寒暖の差があるテロワールだからこそ、強さと優美さを共存させられるんだ。」と熱く語ってくれました。
ジュリオ氏
いかがでしたでしょうか。
これをお読みになった方が、スペイン各地のワイナリーを巡った気分になっていただければ幸いです。
是非、この機会にトーレスが作る特別なワインを楽しんでみてください。
トーレスのワインはこちら >
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