フルボディって何?ワインの誤解されがちな表現を解説!

ショップやレストランのメニューでワインを手にするとよく見かける「フルボディ」や「ミディアムボディ」という言葉、いったいどのような意味なのでしょうか。

知っているようで曖昧になりがちなワインの「ボディ」について、今日は少し掘り下げてご紹介します。

ワインの「ボディ」って何だろう

もし簡単に説明するならば、ずばり飲み物の「重量感」のことです。

ワインでなくても日常生活で飲み物を口にするときに感じたことはないでしょうか。例えばのむヨーグルトと低脂肪牛乳、ともに乳製品ですが前者のほうが重たく感じませんか。

このように、わたしたちは知らず知らずのうちに、口に含む液体について重さを感じているのです。重たいときには「フルボディFull Bodied」、中間の時には「ミディアムボディMedium Bodied」、軽いときには「ライトボディLight Bodied」という表現が用いられます。

「ボディ」に影響を与える要素

それではワインの中でも、軽やかなものから重たいものと違いが出てくるのはなぜでしょうか。

残糖分

残糖が多いワインのことを甘口ワインと呼びます。

ボルドーのソーテルヌなどはその残糖は150g/ℓ前後ともいわれています。確かに貴腐ワインはねっとりとした感じがありフルボディという印象がありますが、必ずしも残糖だけがボディに関係あるとは言い切れません。

例えば、イタリアのアスティがその良い例。アスティは確かにやや甘口ですが、軽やかでさらりとした飲み口のワインです。

マイナー成分「グリセリン」

アルコール発酵時に生成されるマイナー成分に「グリセリン」があります。

入門者向けのワインの教科書では、「アルコール発酵とは糖分が酵母の働きによってアルコールと二酸化炭素になることだ」と解説されるのが一般的です。

しかし実はこの時、超マイナー成分としてグリセリンも生成されているのです。(この成分は身近なところでは化粧水や乳液によく含まれています)新世界のワインを飲んだ時、実際に残糖が含まれていなくても「甘いかな?」とテイスターに錯覚を起こさせる原因がこのグリセリンだと言われています。

しかしボディにはごくわずかしか貢献していないようです。

アルコール

ワインは80~90%が水分で、その次に多い成分としてアルコールがあげられます。

そしてこのアルコールこそボディに最も大きな影響を与える原因物質なのです。アルコールが強いほどフルボディでしっかりとしたワインになり、その逆にアルコール度数が低ければライトボディで繊細な印象のワインになっていきます。

興味深いことにこれはワインだけでなくすべての酒に当てはまります。

例えば、夏にはビール、冬には日本酒やブランデーが飲みたくなります。これはビールのアルコール度数は5%前後でライトボディ、日本酒は16%前後、ブランデーは約40%でフルボディだからです。

日本の高温多湿の唸るような暑さの中では、さすが重たい飲み物は口に含む気がしないでしょう。それに対して寒さが厳しい冬場なら重めのお酒を飲んでも構わない…普段は何気なくやっていた酒選びも実は理論的に説明できるのです。

ボディを知ることはTPOを知る第一歩

なぜボディを知る必要があるのでしょうか。

それは飲みたいシチュエーションや相性料理などを探る手口になるからです。上述のとおり、ひとつは季節を考慮したワイン選びのヒントになります。

ふたつめに、料理とワインの組み合わせです。複雑で濃厚なソースがかけられたお食事にはフルボディ気味のワイン、素材を生かしシンプルなソースがかけられた料理にはライトボディ気味のワインを合わせる…このように料理とワインの重さを天秤にかけ釣り合うようにすることで、どちらかがどちらかに圧倒されずハーモニーを奏でるという効果があります。

いまだ日本では、レストランでは2番目に安いワインが良く売れるという状況が続いているようですが、この法則を知っていればもっと自由にワインが選べそうです。

ボディはクオリティに関係するか

一般的にアルコール度数が低い場合は華奢な印象、その逆に高い場合はどっしりとした印象に感じるテイスターが多いようです。

人間にたとえて、スレンダー/ふくよかという表現が使われることもしばしばみられます。日本ではアルコール度数が低めのワインが好まれる傾向にありますが、これは前述のお食事との相性ということがひとつ原因に考えられます。

魚介類をふんだんに使った和食は重すぎず、こってりとしすぎない優しい味付けのものが多いので、バランスという観点では低アルコールで軽やかなワインが好相性なのです。

しかしアルコール度数の高低が品質に直結するかというと、これは全く別の次元でとらえる必要があります。なぜならワインの品質はバランスやハーモニーで決まるからです。何よりワインは嗜好品ですので、ボディはあくまでも好みの問題です。

それよりもTPOに応じてすべてのワインを使い分けることができれば、これからのワインラインはきっと豊かなものになるでしょう。

参考文献:Oxford Companion(Jancis Robinson)