【ワイン産地を知ろう】カリフォルニアワインの特徴

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公開日 : 2025.7.22
更新日 : 2025.7.23
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カリフォルニア_メイン画像

果実味豊かで親しみやすく、初心者からワイン通まで楽しめるカリフォルニアワイン。アメリカ西海岸の温暖な気候と多様な土壌が、個性あふれるワインを生み出しています。


今回は、そんなカリフォルニアワインの魅力をソムリエの解説とともに、詳しくご紹介します。

カリフォルニアのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 第6回 キュヴェ・ルイーズ・ポメリー ソムリエコンテスト優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

ワイン産地としてのカリフォルニアってどんなところ?

ワイン産地としてのカリフォルニアってどんなところ?

カリフォルニアのワイン造りの歴史は18世紀後半にフランシスコ修道会が太平洋沿岸部にスペイン産のブドウをもたらしたことから始まりました。


その後、メキシコ戦争を経て1849年のゴールドラッシュによりカリフォルニアの人口は急増。ワインの需要も増えていきました。19世紀後半にはヨーロッパ系品種であるヴィティス・ヴィニフェラ系のブドウが導入され産業が発展します。


その後1873年には、ソノマでフィロキセラが発見され、多くのブドウ畑が壊滅状態となりました。


そして1920年には禁酒法が制定され、アルコールが一切禁止される時代が到来。商業用のワイン造りを禁止する法だったため、自家用ワインの製造は以前よりも倍増しましたが、ワイン産業は大打撃を受けることになりました。


1933年の禁酒法廃止後、ワイン・インスティテュート(カリフォルニアワイン協会)とカリフォルニア大学デイヴィス校にブドウ栽培・ワイン醸造科が設立され、これにより近代ワイン産業が誕生し急成長を始めました。


そんな背景の下、1976年にパリで行われたフランスワインとカリフォルニアワインを比較したブラインドテイスティングである「パリスの審判」で、赤ワイン、白ワイン両方の部門でカリフォルニアワインが1位を獲得し、世界のワイン愛好家の注目を集めました。


さらに1978年には、アメリカ全体でブドウの産地表示制度「AVA(American Viticultural Area)」が導入され、品質や原産地への信頼が高まります。


以来、急速な発展を遂げたカリフォルニアは、今や世界を代表する銘醸地のひとつとして知られています。

パリスの審判とは?

パリスの審判とは、アメリカ合衆国の建国200周年を記念して、1976年にフランスのパリで行われた歴史的なワインのブラインドテイスティング会「パリ・テイスティング」のことで、このイベントでは、フランスのトップクラスのワインとカリフォルニアのワインを専門家たちがブラインドで公平に比較テイスティングして評価されました。 主催者は、パリのアカデミー・デュ・ヴァン創設者であるイギリス人のスティーヴン・スパリア氏。審査員は、フランスの著名なワイン専門家が務め、銘柄を隠した状態でテイスティング審査が行われました。 赤ワイン部門は、ボルドーの名門シャトーVSカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワイン部門は、ブルゴーニュのシャルドネVSカリフォルニアのシャルドネで、結果、白の1位はシャトー・モンテレーナ シャルドネ1973年、赤の1位はスタッグス・リープ ワインセラーズ カベルネ・ソーヴィニヨン1973年が選ばれ、どちらもカリフォルニアがトップとなり、フランスの名門ワインを上回る評価を受けたことで、カリフォルニアワインの品質の高さを世界に知らしめる画期的な出来事となったのです。 それまでフランスがワイン界のトップと見なされていましたが、この結果を機に、アメリカに限らず、オーストラリア、チリなどの新世界への注目度が一気に高まり、ワイン文化のグローバル化が進み、世界のワイン産地が平等に評価されるようになりました。 パリスの審判はまさに、ワイン業界の歴史的転換点と言うことができます。

カリフォルニアのワイン造りの特徴って?

カリフォルニアは、地中海性気候で夏は乾燥して晴天が多く、冬に適度な雨が降り、ワイン用のブドウ栽培に理想的な条件と言えます。 ヨーロッパ伝統国の産地と比較して、日照量がより豊富でありながらも、サンフランシスコ沖のカリフォルニア海流による冷たい風や霧によって暑さが緩和され、昼夜の寒暖差が生まれることで、糖と酸のバランスがとれたブドウが育ち、品質の高いワインが生産されています。 白ワインは、シャルドネから熟した果実感と樽の風味が特徴のリッチなスタイルからフレッシュで洗練されたタイプまで、幅広いスタイルが造られ、その他にも、柑橘フルーツやハーブの香り、爽やかさとジューシーさを合わせ持つソーヴィニヨン・ブランも人気です。 赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンから造られる果実味豊かなスタイルを中心に、海に近い冷涼エリアのエレガントなピノ・ノワール、アメリカを代表する品種であるジンファンデルから造られる豊潤な赤ワインが人気を博しています。

栽培されている主なブドウ品種

カリフォルニアで栽培されている主なブドウ品種と、田邉さんおすすめのワインを紹介します。

カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン

フランス・ボルドー原産の黒ブドウ品種。世界中で栽培されており、「赤ワインの王道品種」とも言われるほど、メジャーな品種です。


夏は高温で乾燥し、冬に適度な雨が降るカリフォルニアでは、凝縮感と力強いアロマを持つカベルネ・ソーヴィニヨンが造られています。


中でもノース・コーストのナパ・ヴァレーは、温暖な気候で日当たりが良く、非常に熟したカベルネ・ソーヴィニヨンが育ちます。


世界的に評価される高級ワイン「オーパス・ワン」が造られているオークヴィルもナパ・ヴァレーに位置し、特に熟した黒系果実の風味と高いレベルのタンニンを持つフルボディのワインが造られています。

田邉さんおすすめワイン ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン / ケイマス・ヴィンヤーズ

ケイマス・ヴィンヤーズは、カリフォルニアで最も歴史がある家族経営のワイナリーのひとつです。 ブドウの糖度と果実味が十分に熟すのを待つ「ハングタイム」を長く設けるスタイルが特徴的で、ナパのテロワールを表現することを意識した、果実味あふれる素晴らしいワインを生産しています。 私自身、これまでセミナーのテイスティングアイテムとしても、何度も供出してきた経験があります。

ケイマス・ヴィンヤーズ カベルネ・ソーヴィニヨン
750ml

ケイマス・ヴィンヤーズ カベルネ・ソーヴィニヨン

  • パワフル&ストラクチャー

  • 2022

    16,500

    (税込)

  • WS 91

ジンファンデル

ジンファンデル

19世紀前半にヨーロッパからアメリカへ渡った黒ブドウ品種。一房の中で、果粒ごとの成熟度にばらつきが出やすい特徴を持つため、房単位で成熟度合いを見極めるのが難しい品種で、栽培される土地の気候によってそのスタイルはさまざまに変わります。


カリフォルニアでは主にセントラル・コーストやセントラル・ヴァレーなどの温暖な地域の他、ソノマ・コーストなどの冷涼な地域でも栽培されています。


カリフォルニアの中でも温暖な地域ではブラックベリーやカシスなどのしっかりと熟した果実味のワインが、冷涼な地域ではチェリーやラズベリーのようなフレッシュな赤い果実の風味が際立つワインが造られています。

田邉さんおすすめワイン リットン・スプリングス / リッジ・ヴィンヤーズ

「パリスの審判」でも高い評価を獲得し、日本でも早くから高い知名度と人気を誇ってきたワイナリーが生み出すハイクオリティなジンファンデルの赤ワイン。 リットン・スプリングスの畑は30年以上に渡り、歴史的遺産としての古樹を守ろうとするリッジの取り組みの象徴となっています。 個人的にも2019年に現地のワイナリーに訪問させていただき、ワインスクールのセミナーでも供出してきた経験があります。

リットン・スプリングス
750ml

リットン・スプリングス

  • 赤ワイン
  • 2015

    8,800

    (税込)

  • WS 92

ピノ・ノワール

ピノ・ノワール

フランスのブルゴーニュ地方原産の黒ブドウ品種。繊細で気難しい品種のため、栽培のハードルが高いことで知られています。


カリフォルニアは年間を通して温暖なため、ピノ・ノワールの生育においては暖かすぎることがほとんどです。


しかし、海で発生する霧と冷たい風による冷却効果がもたらされる海岸付近のごく限られた地域において良質なピノ・ノワールが造られています。


ソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーは、ラ・クレマをはじめ多くの生産者が非常に高品質なピノ・ノワールを造り出しています。また、セントラル・コーストに本拠地を置くカレラは、冷涼な気候を活かしてミネラル感と繊細さを兼ね備えたピノ・ノワールを生産しています。

田邉さんおすすめワイン セントラル・コースト・ピノ・ノワール / カレラ

カレラは伝説的な醸造家として知られる、故ジョシュ・ジェンセン氏が1975年に創業したワイナリーで、かつて漫画「ソムリエ」でも登場し、トップキュヴェがロマネ・コンティに比肩するほどの評価をされて話題になりました。 こちらはカレラのスタンダードキュヴェで、サンタ・バーバラからサンフランシスコまで広がる広大なセントラル・コーストにおいて、最良と考える複数の畑のブドウから造られたコストパフォーマンスの高い1本です。

セントラル・コースト・ピノ・ノワール
750ml

セントラル・コースト・ピノ・ノワール

  • エレガント&クラシック

  • 2022

    6,600

    (税込)

  • WE 92

シャルドネ

シャルドネ

フランス・ブルゴーニュ原産の白ブドウ品種で、多彩なスタイルと価格帯のワインを生み出すシャルドネは、ニュートラルで柔軟な風味を持ち、土壌や気候、醸造方法によってさまざまな個性を表現できる品種です。


カリフォルニアでは、ノース・コーストやセントラル・コーストを中心に広く栽培されています。


ナパ・ヴァレーの温暖な気候は、濃厚で力強く華やかなスタイルのシャルドネに適しており、北部カリストガにあるシャトー・モンテレーナのシャルドネは、1976年の「パリスの審判」において白ワイン部門で1位を獲得し、ワイン史に名を刻んでいます。


また、ナパ・ヴァレーよりも太平洋に近いソノマは、海で発生する霧と冷たい風の影響によって比較的冷涼な気候のため、複雑な果実味とバランスの良い酸味を持つ質の高いシャルドネが生まれています。

田邉さんおすすめワイン ヴィントナーズ・リザーヴ・シャルドネ / ケンダル・ジャクソン

ケンダル・ジャクソンは、アメリカで最多受賞歴を誇るカリフォルニア屈指のワイナリーで、日本においても早くから人気を博しています。 こちらのヴィントナーズ・リザーヴは、その原点とも言える存在で、熟した果実の豊かなアロマと風味が楽しめます。サーモンやチキンのグリルにクリーム系のソースを添えたお料理とよく合います。

ヴィントナーズ・リザーヴ・シャルドネ
750ml

ヴィントナーズ・リザーヴ・シャルドネ

  • リッチ&コンプレックス

  • 2023

    3,520

    (税込)

ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブラン

フランスのボルドーやロワールなどで古くから造られている白ブドウ品種の一つ。


葉や実、房が小さく樹勢の強いブドウで、通常その実は黄緑色をしていますが、熟すと黄金色に色づきます。ワインの色合いは淡い黄色、柑橘とハーブのような清涼感のあるアロマティックな香りが特徴です。


カリフォルニアにおいては、温暖な気候のナパでは熟した果実味が豊かでより丸みのある味わい、冷涼な気候のソノマ・カウンティではより高い酸度を保ちシトラス系の風味とハーブのニュアンスが際立つ明るく爽やかな味わいなど、土地や生産者のスタイルによって幅広い味わいのワインが造られています。

田邉さんおすすめワイン ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー / フロッグス・リープ

フロッグス・リープは、1981年にセントヘレナに設立された家族経営のワイナリーです。こちらはナパ・ヴァレー随一の銘醸地、ラザフォードのブドウを使用して造られるソーヴィニヨン・ブラン。 無灌漑のオーガニック栽培により品種の持つ理想的な香りと味わいを表現しています。ソーヴィニヨン・ブランらしい柑橘フルーツやハーブのアロマ、ジューシーな果実の味わいと豊かな風味が魅力です。

ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー
750ml

ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー

  • 白ワイン
  • 2018

    6,600

    (税込)

知っておきたい有名産地

ワイン好きならぜひ押さえておきたい、カリフォルニアの代表的なワイン産地をご紹介します。


それぞれが持つ独自の地理や気候、土壌から生まれる個性豊かなワインの魅力を知れば、より一層ワイン選びが楽しくなります。


ナパやソノマなどの産地の特徴を、わかりやすく解説します。

ノース・コースト ナパ

ノース・コースト ナパ

カリフォルニア北部の谷あいに位置し、東西をマヤカマス山脈とヴァカ山脈、南をサンパブロ湾に囲まれた銘醸地、ナパ・ヴァレー。


東西に連なる山脈の斜面にある畑では昼夜の寒暖差が大きく、中央の平野部ではサンパブロ湾からの冷涼な風と霧の影響を受けるなど、地区ごとに様々な気候が存在しています。


同様に土壌の種類も豊富で、火山性土壌から海洋性土壌まで30種以上の異なる土壌が存在し、隣接する区画でも土壌が異なることは珍しくありません。


最高級カリフォルニアワインの代名詞とされる「オーパス・ワン」に代表されるように、カベルネ・ソーヴィニヨンで造られたワインは世界的な評価を得ています。その他にも、シャルドネやピノ・ノワール、メルロ、ソーヴィニヨン・ブランといった品種からも、高品質なワインが数多く生み出されています。

ノース・コースト ソノマ

ノース・コースト ソノマ

カリフォルニアの北部、ナパの西隣に広がる広大なワイン産地。


太平洋から吹き込む冷涼な風や霧、そして複雑な地形の影響により、多様なミクロクリマ(微気候)を有しています。そのため、冷涼な気候を好む品種から温暖な気候に適した品種まで、各地のテロワールに応じて多様なブドウが栽培されています。


こうした気候と土壌の多様性が、幅広い品種の栽培を可能にし、それぞれの品種の個性を豊かに表現したワインが生み出されています。


冷涼な地域で造られるエレガントなピノ・ノワールやシャルドネ、温暖な地域で造られる力強いジンファンデルやカベルネ・ソーヴィニヨンなど、バラエティに富んだ高品質なワインが多く造られています。

ソムリエ解説!ナパとソノマの違いとは?

ナパとソノマはカリフォルニア州のノース・コーストに位置し、共にアメリカを代表するワイン産地として世界的にその名が知られています。 東西で隣にある産地でありながら、気候や地形の違いにより、ワインのスタイル・価格帯、雰囲気などにおいて明確な違いがあります。 ナパはソノマよりも内陸に位置していることで暖かく、ブドウがより熟し、特にカベルネ・ソーヴィニヨンの品質の高さに定評があります。 南に位置するサンパプロ湾からの冷たい空気により南部は比較的涼しく、北にいくほど暖かくなります。ソノマは太平洋に近く、霧や海風の影響を受けやすいため、ナパよりも涼しい地域が多く冷涼気候の品種に向いていて、特にピノ・ノワールの品質の高さに注目が集まっています。 白ワインにおいては、双方共に非常にクオリティの高いシャルドネが主に造られています。 ナパのカベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られる赤ワインの中には、カルトワインと呼ばれ、ボルドーの五大シャトーを凌駕するほどの高価格で取り引きされるものも存在します。

ノース・コースト メンドシーノ

ノース・コースト メンドシーノ

カリフォルニアの北部に位置し、ソノマの北に隣接した太平洋に面するメンドシーノ。


この地域はソノマと同様に多様な気候を有していますが、その多様性はさらに顕著です。海岸山脈の存在により、太平洋沿いの冷涼なエリアと、内陸の温暖なエリアとに大きく分かれています。


太平洋に面した西側は、冷たいカリフォルニア海流の影響を強く受け、冷涼な海洋性気候が特徴です。特に朝晩は深い霧が立ち込め、日中の気温上昇を抑え、ブドウの生育期間を長くします。この冷涼な気候は、高い酸度と繊細なアロマを持つワインを生み出します


対して内陸部は、海岸山脈によって海からの冷気が遮断されるため、乾燥し温暖な気候となります。日中の日差しは強いですが、夜間は冷え込み、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。


また、カリフォルニアで最も有機認証を受けたブドウ畑の面積が広い郡として知られており、多くのワイナリーがサステイナブルな農業実践に積極的に取り組んでいます。

セントラル・コースト モントレー

セントラル・コースト モントレー

カリフォルニアのほぼ中央、セントラル・コーストに位置するモントレーは、太平洋に面したモントレー湾の南側に広がるワイン産地です。北はサンタクルーズ郡、南はサンルイスオビスポ郡に隣接しています。


モントレー湾やサンタルシア山脈に沿ってブドウ畑が広がっており、カリフォルニアらしい豊かな果実味を持ちながらも、強い風や霧による冷涼な気候がもたらす高い酸度とエレガンス、そして凝縮感を兼ね備えたワインを多数生み出しています。


特にピノ・ノワールとシャルドネで高品質なワインが造られていますが、モントレー南部などのやや暖かいエリアではカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ジンファンデル、シラーなども栽培されています。

セントラル・コースト サンタ・バーバラ

セントラル・コースト サンタ・バーバラ

モントレーと同様、カリフォルニアの中央、セントラル・コーストの中で南部に位置し、太平洋に面した地域です。


ナパやソノマなどのカリフォルニアの他の主要産地とは異なる、東西に走る山脈とそれによってもたらされる冷涼な気候が特徴の一つ。


この地形的特徴により、低緯度に位置しながらも、多くのブドウ畑は非常に冷涼な海洋性気候の恩恵を受けます。


日中の気温上昇が抑えられ、夜間は冷え込み、ブドウの生育期間が非常に長くなることで、カリフォルニアらしい豊かな果実味と、ブルゴーニュを思わせるような高い酸度とエレガンスを兼ね備えたワインが多く造られています。

カリフォルニアワイン豆知識

カリフォルニアワインの豆知識を田邉さんに聞いてみました!

ソムリエ解説!カウンティ(郡)とA.V.A.とは?

カウンティとは、アメリカの行政区分でいう「郡」のことで、ワインラベルでの表示において、「Napa County」「Sonoma County」のように、郡名で表示されることがありますが、ラベルにカウンティ名を表示するには、そのカウンティ内で収穫されたブドウが75%以上使用されている必要があります。 カウンティは行政区分であり、ワイン以外の場面でも使用される一般的な地理名称です。 一方で 「A.V.A.(American Viticultural Area)」は、米国政府認定ブドウ栽培地域を意味し、一定の地理的、気候的なブドウ栽培条件をもつと見なされるエリアの境界線を規定するもので、フランスやイタリアなどヨーロッパのワイン法のような、ブドウ品種、栽培、醸造方法などを規定するものではありません。 ラベルにA.V.A.名を表示するには、そのA.V.A.内で収穫されたブドウが85%以上使われている必要があります。

ソムリエ解説!カリフォルニアワインのラベルの読み方って?

カリフォルニアワインのラベルは、ワイナリー名、ブドウ品種、ヴィンテージがわかりやすく表記されているのが特徴的で、ワインにそれほど詳しくない方にも理解しやすいところも大きな強みであり、カリフォルニアワインを初心者の方におすすめする理由の一つとなっています。 細かく分類された地名表示や格付けの表示等は基本的に記載されず、読みやすいデザインが多く、ほとんどの場合、品種名の表示があるため、ブドウ品種の個性がある程度理解できていれば、味わいが想像しやすくなっています。品種名を単体で表示するためには、その品種が75%以上使用されていることが条件となります。 その他、ワイナリー名が表示されている他、前述したようにNapa Valley、Santa Barbaraなど、A.V.A.(American Viticultural Area)と呼ばれる公的な産地も記載されていますが、A.V.A.名を名乗るには85%以上、そのエリアのブドウを使用している必要があります。 収穫年に関しては、A.V.A.名を表示している場合は95%以上、それ以外の産地を表示している場合は85%以上、その年のブドウを使用していれば、ラベルに表示することが許されています。

ソムリエ解説!カリフォルニアワインの今を教えて!

これまでの歴史を見て、カリフォルニアワインのスタイルは画一的なものではなく、過去から現在にかけて移り変わりを見せています。ワイン評論家のロバート・パーカー氏が高い評価を与えた「パーカースタイル」が広まり、完熟したブドウから造られる凝縮した果実味と樽熟成由来のローストやスパイス、ヴァニラのニュアンス、パワフルなスタイルが主流となりました。 これは、当時絶大な影響力を誇ったパーカーポイントによるもので、高得点を得ることがワイナリーの成功に直結したため、多くの生産者がこのスタイルを追求する流れとなったのです。 しかしその後、変化の兆しが見られるようになります。新しい価値観と消費者の嗜好の変化が起き始め、次第に軽やかでエレガントなスタイルのワインへの関心が高まるようになってきたのです。 自然派や産地ごとの個性を尊重するスタイルが評価されるようになり、気候変動への対応や、持続可能な農法の意識の高まりも後押しすることで、この動きは進んでいきます。 しかし、カリフォルニアワイン全体が完全に移行したわけではなく、パワフル系とエレガント系が共存している状態が、今のカリフォルニアワインと言えます。

カリフォルニアワインにピッタリの料理

カリフォルニアのワインにピッタリな、田邉さんおすすめの料理をご紹介します。

カリフォルニアワインにピッタリの料理

ソムリエ解説!カベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルに合う料理は?

カベルネ・ソーヴィニヨンの持ち味と言える豊富なタンニンは脂質とタンパク質との相性が良く、牛肉やラム肉の味わいをより豊かにしてくれます。 お肉にスパイスを効かせて香ばしく焼くことで、樽熟成によりローストやスパイスの香りが付与された赤ワインと風味が同調し、双方の美味しさが高まります。つけ合わせにグリーンアスパラガス等の緑色野菜を添えると、カベルネ・ソーヴィニヨンに感じられるほのかなグリーンフレーバーと同調して、料理とワインの一体感が生まれます。 ジンファンデルの赤ワインは、豊かな果実味とまろやかな甘み、溶けたタンニンとなめらかな酸味、樽由来のスパイスやロースト香が特徴で、相性の良いお料理の一つとして、デミグラスハンバーグをおすすめします。お肉の旨味とソースの味わいに、ワインの風味とタンニン、酸味がしっかりと溶け込んで、味わいをより豊かにしてくれます。 一方で、ワインのもつカカオやコーヒーを想わせるアロマとスパイス感、果実由来の豊かな甘みに対して、チョコレートのタルトのようなデザートもよく合います。

ソムリエ解説!ピノ・ノワールに合う料理は?

カリフォルニアのピノ・ノワールは、熟した赤い果実のアロマ、豊潤な果実味とエレガンスを兼ね備えた赤ワインを生み出します。ピノ・ノワールから造られた赤ワインの持ち味である緻密で溶け込んだタンニンは、適度な脂質とまろやかな味わいを持つ鶏肉を使った料理との相性が抜群です。 樽のニュアンスを強くつけないスタイルが主流のピノ・ノワールには、赤ワインでじっくりと煮込むような調理法が特におすすめです。 ワインの果実風味と繊細なタンニンが煮込み料理の味わいの中に溶け込んでいき、味わいがより豊かになり、特有の伸びやかな酸味が、肉の旨味をさらに引き出してくれます。 マッシュルームを加えて、ピノ・ノワールのワインと一緒に煮込むことで、ワインに感じられるフレーバーと同調し、さらに相性が高まります。サーモンやマグロのグリルに黒オリーブのペーストを添えたような、赤身の魚を使ったお料理にもよく合います。

ソムリエ解説!シャルドネに合う料理は?

カリフォルニアのシャルドネで造られる白ワインは、樽を使用しないフレッシュでフルーティーなタイプから、樽のニュアンスを感じるまろやかなでコクのあるタイプまで多彩なスタイルが存在し、それぞれに合わせたペアリング料理のバリエーションも豊富です。 樽を使用していないニュートラルでフレッシュ辛口タイプには、ホタテのカルパッチョやシュリンプサラダのような新鮮なシーフードを使った冷製のオードブルがおすすめです。内陸地のエリアのものであればボイルソーセージや鶏肉のパテのような白身肉を使った前菜にもよく合います。 一方で、樽熟成したタイプであれば、樽由来の香ばしいフレーバーに同調させるように、サーモンのグリルやローストチキン等、焼いた魚や香ばしさを感じる白身のお肉料理とのペアリングがおすすめです。 ワインの風味に合わせてナッツオイルやホワイトマッシュルームのソテーを添えることで、さらに相性が高まります。

ソムリエ解説!ソーヴィニヨン・ブランに合う料理は?

カリフォルニアのソーヴィニヨン・ブランから造られる白ワインは、レモンやグレープフルーツ、ミントの香りと爽やかな酸味、ジューシーな果実味を感じる比較的ドライなタイプが主流で、スモークサーモンやホタテのカルパッチョ、フレッシュオイスター等のシーフードを使ったオードブルとの相性は抜群です。 魚介類の風味にワインのミネラル感が調和し、ソーヴィニヨン・ブランの柑橘フルーツとハーブのニュアンスが、料理にレモンを絞ってハーブを添えるように、風味を補完しながら味わいを豊かにしてくれます。 一方で、ほのかに樽のニュアンスを感じるタイプも存在し、こちらには樽由来の適度に香ばしいフレーバーに同調させるように、焼き牡蠣やサーモンのグリル等、火入れをしたシーフードとのペアリングがおすすめです。 料理にハーブを添えることで、ワインの風味と同調し、相性の良さがさらに高まります。

まとめ

豊かな自然と自由な発想から生まれる、カリフォルニアワイン。


力強い赤ワインからエレガントな白ワインまで、その多彩さと親しみやすさは、ワイン初心者から愛好家まで多くの人を魅了しています。


気軽に楽しめるものから、特別な日に飲みたい1本まで。きっとあなたにピッタリの1本が見つかるはずです。ぜひこの機会に、カリフォルニアワインの世界をのぞいてみてください。

カリフォルニアのワイン一覧

文=岡本名央

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