【ワイン産地を知ろう】ローヌワインの特徴

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公開日 : 2026.1.26
更新日 : 2026.2.27
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ローヌ

フランスを代表するワイン産地の一つ、ローヌ地方。「ローヌワイン」と聞くと、力強い赤ワインを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は北と南でまったく異なる個性を持つ、とても奥深い産地です。


シラーやグルナッシュといった主要品種、気候や土壌の違い、産地ごとの特徴を知ることで、ローヌワインはぐっと選びやすく、楽しみやすくなります。


この記事では、ローヌワインの特徴や主要な品種、注目すべき産地、豆知識、そして料理とのペアリングまで、知っておきたい情報をソムリエの解説付きで詳しくご説明します。

ローヌのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


J.S.A 認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003 年 J.S.A 認定ソムリエ資格取得 2007 年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018 年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023 年 12 月発売 2025年10月に新著 「THE STUDY OF WINE」 を出版 映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演 オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

ワイン産地としてのローヌってどんなところ?

ローヌ

フランスの南東部に位置するローヌ地方。


ローマ時代に交通の要所として栄えた都市ヴィエンヌから、14世紀に法王庁が置かれていたアヴィニョン周辺まで、ローヌ川に沿って南北およそ250キロにわたる、細長いワイン産地です。


この地でのワイン造りの歴史はとても古く、ローマ時代にはすでにブドウ栽培が行われていました。当時の主要なブドウ栽培は地中海沿岸〜ローヌ流域に集中していたとされ、北部ローヌ周辺も古くからの栽培地の一つです


ローヌ川は北から南へと流れており、川の両岸にはブドウ畑が広がっています。ヴィエンヌからヴァランスまでが「北部ローヌ」、ヴァランスからアヴィニョン周辺までが「南部ローヌ」と呼ばれ、北部と南部では、土壌や使われるブドウ品種、ワインの味わいまで大きく異なるのが、この産地の面白さです。


また、ローヌ地方の気候を語るうえで欠かせないのが、「ミストラル」と呼ばれる強い風。


ローヌ渓谷から地中海へ吹き抜けるこの風のおかげで、雨の後でも畑はすぐに乾き、カビなどの病気が起こりにくくなります。厳しい自然条件が、ローヌならではの個性豊かなワインを育てているのです。

ソムリエ解説!ローヌのワイン造りの特徴とは?

フランス南東部に位置するローヌ地方は、南北250kmにわたって広がる歴史あるワイン産地で、大きく北部ローヌと南部ローヌに分けられます。 北部ローヌは穏やかな半大陸性気候の影響を受け、夏は暑く、冬は寒い、そして昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。 ローヌ川沿いの急峻な斜面にブドウ畑が広がり、主にシラー単一で造られる赤ワインは、黒系果実やスミレの花、そして品種特性である黒胡椒のような香りを持ち、時に動物的なニュアンスも感じ、しなやかな酸味と緻密なタンニンのバランスが秀逸です。 白ワインは、ヴィオニエやルーサンヌ、マルサンヌから造られ、華やかで豊潤なスタイルが魅力です。 南部ローヌは地中海性気候の影響が強く、日照量が豊富で、夏と冬は乾燥し、春と秋に雨が多い、温暖な環境でブドウが育まれています。夏の気温は高く、7月、8月の平均最高気温は30度に達します。 地中海性気候に向いている品種であるグルナッシュを主体に、複数品種をブレンドした赤ワインが主流で、赤系から黒系の果実の香り、スパイスやドライハーブ、トマトを思わせる風味を伴う、果実味豊かな味わいが魅力です。 この地方を象徴する風として、ローヌ渓谷を北から南に吹き抜けるミストラルと呼ばれる強風があり、その対策として、北部は棒仕立てによって仕立てられたブドウ樹が見られます。

知っておきたい有名産地

ローヌ地方は、「北部ローヌ」と「南部ローヌ」でワインの個性が大きく異なる産地です。それぞれの特徴を解説します。

ソムリエ解説!北部ローヌと南部ローヌの違いは?

北部ローヌは花崗岩や片岩を中心とした土壌が多く、急峻な斜面にブドウ畑が広がります。 比較的涼しく、寒暖差がはっきりとした気候のもと、赤ワインはシラー単一で造られるものが主流で、黒系果実の風味に黒胡椒や動物的なニュアンス、しなやかな酸味と緻密なタンニンを備えたエレガントなワインが造られています。白はヴィオニエ単一、もしくはルーサンヌとマルサンヌのブレンドによる、華やかで豊潤なスタイルが魅力です。 一方、南部ローヌは石灰質や粘土質、ギャレ・ルレと呼ばれる玉石など、多様な土壌が広がり、地中海性気候の温暖で日照に恵まれた環境でブドウが育まれています。 赤ワインは、グルナッシュを主体に、シラーやムールヴェードルなど複数品種をブレンドするスタイルが一般的で、それぞれの品種が補完し合い、果実味豊かでスパイス感があり、ふくよかで包容力のあるワインが生まれます。 白ワインも赤と同じように、複数の品種のブレンドにより、個性が折り重なった、土地の食材に寄り添うフードフレンドリーなワインが生み出されています。

北部ローヌ / コート・ロティ

北部ローヌ / コート・ロティ

ローヌ地方の最北に位置するコート・ロティは、太陽の光をたっぷりと浴びる急斜面にブドウ畑が広がる産地です。斜面は非常に険しく、畑仕事の多くが手作業で行われることでも知られています。


主要品種はシラー。コート・ロティでは珍しい特徴として、混植・混醸に限り、白ブドウのヴィオニエを最大20%までブレンドすることが認められています。このヴィオニエが加わることで、赤ワインに華やかな香りやなめらかな口当たりがもたらされます。


こうして生まれるコート・ロティのワインは、力強さの中にも気品を感じさせるスタイル。スパイスや花のニュアンスをまとった、繊細で洗練された味わいから、世界でも屈指のエレガントなシラーとして高く評価されています。

田邉さんおすすめワイン コート・ロティ ラ・サラジンヌ / ボンスリーヌ(ギガル)

ローヌ渓谷地方を代表するワイナリーの一つであるギガルが生み出す、長期の熟成を経てリリースされる凝縮感と複雑性を感じる秀逸な赤ワイン。 コート・ロティのテロワールが見事に表現されており、凝縮した果実のアロマと風味、品種由来のスパイスのニュアンス、力強さとエレガントさを兼ね備えています。

コート・ロティ ラ・サラジンヌ
750ml

コート・ロティ ラ・サラジンヌ

  • 赤ワイン
本数限定
  • 2004

    8,910

    (税込)

  • WS 92

北部ローヌ / エルミタージュ

北部ローヌ / エルミタージュ

北部ローヌを代表する銘醸地の一つ。ローヌ川左岸、タン・レルミタージュの町の背後にそびえる小高い丘に広がる、ローヌの中でも特に名声の高い産地です。


エルミタージュで造られるワインの中心となるのは、シラーから造られる赤ワイン。凝縮感のある果実味と力強い骨格を備えながら、長期熟成によって革やスパイス、黒系果実の複雑な香りへと変化していきます。世界屈指の長命なシラーとして、高い評価を受けています。


一方で、マルサンヌやルーサンヌから造られる白ワインも、この地を代表する存在。厚みのある果実味とミネラル感を備え、熟成とともにナッツや蜂蜜のような風味を帯びていきます。

田邉さんおすすめワイン エルミタージュ・ルージュ / タルデュー・ローラン

ローヌ渓谷地方の全域で、数多くのワインを手掛けている著名な生産者が造る渾身の赤ワイン。 ローヌの数あるワイン生産地の中でも、一目置かれる存在として、長年名声を誇ってきたエルミタージュで生み出されるこちらのワインは、その名にふさわしいスケール感を感じる魅力あふれる1本です。

エルミタージュ・ルージュ
750ml

エルミタージュ・ルージュ

  • リッチ&グラマー

  • 2022

    16,500

    (税込)

  • JS 94
  • 2021

    16,500

    (税込)

  • JS 95

北部ローヌ / サン・ジョゼフ

北部ローヌ / サン・ジョゼフ

北部ローヌの中でも比較的広いエリアを持つ産地で、ローヌ川の右岸に沿って南北に細長く広がっています。かつては知る人ぞ知る存在でしたが、近年は品質の向上とともに評価が高まり、注目を集めています。


赤ワインの主要品種はシラー。10%までマルサンヌ、ルーサンヌのブレンドが認められており、コート・ロティやエルミタージュに比べると、より親しみやすく、やわらかな味わいが特徴です。


白ワインはマルサンヌやルーサンヌが主体で、ほどよいコクとフレッシュさのバランスが魅力。食事に合わせやすく、日常の食卓にも取り入れやすい存在です。

田邉さんおすすめワイン サン・ジョセフ【セレクション・タイユヴァン】/ アラン・グレヨ

アラン・グレヨは、個人的にもレストランで長年お出ししてきた経験のある生産者で、料理との相乗性も含めて、ゲストからもご好評いただいています。 こちらは、フランス・パリの歴史あるレストラン「ル・タイユヴァン」のワインリストにセレクトされている1本で、ワインのクオリティの高さのみでなく、料理との相性の良さにも定評があります。

サン・ジョセフ【セレクション・タイユヴァン】
750ml

サン・ジョセフ【セレクション・タイユヴァン】

  • 赤ワイン
  • 2016

    6,600

    (税込)

  • V 93

北部ローヌ / コンドリュー

北部ローヌ / コンドリュー

北部ローヌの中でも特に個性的な白ワインの産地。ローヌ川右岸の急斜面に畑が広がり、ワインは限られたエリアでのみ造られています。


この産地の最大の特徴は、ワインに使用されるブドウ品種がヴィオニエ100%であること。栽培の難しさから一時は絶滅の危機に瀕しましたが、現在は約200ha規模まで回復しています。


冷涼な北部ローヌにありながら、日照に恵まれた急斜面とローヌ川の反射光によって、ヴィオニエはしっかりと熟します。そのため、コンドリューのワインは香り豊かでコクがありながら、だらしなくならない美しいバランスを備えています。

田邉さんおすすめワイン コンドリュー・クロ・ブシェ / ドゥラス

このドゥラスも、私がレストランのチーフソムリエ時代に頻繁にオンリストしていた経験のある、ローヌの生産者の一つで、この土地を代表する白ブドウ品種であるヴィオニエの白ワインに定評がある造り手です。 こちらのワインは、フランス五大白ワインの一つにも数えられるシャトー・グリエに隣接した区画で栽培されたヴィオニエから造られた秀逸な1本。選ばれたヴィンテージに最大7,000本のみ生産されます。

コンドリュー・クロ・ブシェ
750ml

コンドリュー・クロ・ブシェ

  • リッチ&コンプレックス

本数限定
  • 2022

    16,500

    (税込)

  • JS 95

南部ローヌ / シャトーヌフ・デュ・パプ

南部ローヌ / シャトーヌフ・デュ・パプ

シャトーヌフ・デュ・パプはフランスの南部ローヌを代表する産地で、ブドウ畑はオランジュ市とアヴィニヨン市を結ぶローヌ川左岸に広がっています。


この地域のワイン造りは14世紀に法王庁がアヴィニヨンに移転されたのを機に発展。シャトーヌフ・デュ・パプというA.O.C.名は「教皇の新しい城」という意味で、教皇ヨハネス22世が築いた夏の居城の廃墟が残る村の名前にちなんで付けられました。


シャトーヌフ・デュ・パプでは最大13品種(色まで分けると18品種)のブドウの使用が認められており、グルナッシュを中心にシラーやムールヴェードルなどをブレンドするのが一般的です。


「ギャレ」と呼ばれる赤い粘土の上に拳ほどの大きさの石がゴロゴロと転がった土壌が特徴で、通気性と水捌けに優れたこの土壌は、日中の太陽の熱を蓄えて夜間も保温されるため、しっかりと完熟され凝縮感のあるブドウが実ります。


「ギャレ」だけではなく白亜紀の石灰質層を覆う砂質、赤い粘土などシャトーヌフ・デュ・パプは非常に多様性に富んだ土壌を持っています


また、白ワインの生産は少量でほとんどが赤ワイン。温暖で乾燥した気候により健全に完熟したブドウから凝縮した果実味とアルコールに由来するボリューム感を特徴とするワインが生まれます。

田邉さんおすすめワイン シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ / シャトー・ド・ボーカステル

ローヌ渓谷地方を代表する生産者の一つとして、長年高い評価を受け続けているシャトー・ド・ボーカステル。 私自身もこれまでに、さまざまなレストランでオンリストしてきました。こちらはボーカステルの中でもフラッグシップ的なワインとして人気を博しています。シャトーヌフ・デュ・パプ地方で唯一、13品種全てをブレンドして造られるワインとして知られており、壮大なスケール感を感じます。

シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ
750ml

シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュ

  • リッチ&グラマー

本数限定
  • 2021

    31,900

    (税込)

  • D 96

南部ローヌ / ジゴンダス

南部ローヌ / ジゴンダス

ジゴンダスは、シャトーヌフ・デュ・パプの北東に広がる産地。


この地の畑は、モンミライユ山系の麓に広がり、標高が高く、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。そのため、南部ローヌらしい果実の豊かさを持ちながらも、引き締まった酸とスパイス感を備えたワインが生まれます。


主要品種はグルナッシュを中心に、シラーやムールヴェードル。ワインは凝縮感があり、黒系果実やハーブ、胡椒のニュアンスが感じられ、力強さの中にどこか野性味を帯びた表情を見せます。

田邉さんおすすめワイン ジゴンダス / シャトー・ド・サン・コム

500年以上の歴史を持つジゴンダスの名門ワイナリー。かつて、ワイン・スペクテーター誌で「ジゴンダスの天才」と評されたほどの実力をもち、エントリーラインからハイレンジまで、白・赤共に常に高いクオリティのワインをリリースしています。 ローヌ地方ででいち早くオーガニック農法を取り入れるなど、話題を欠くことのない生産者であり、こちらは、見事な凝縮感を伴った果実味が魅力の、まさにジゴンダスの見本とも言える1本です。

ジゴンダス
750ml

ジゴンダス

  • エレガント&クラシック

  • 2023

    7,700

    (税込)

  • JS 94

栽培されている主なブドウ品種

ローヌで栽培されている主なブドウ品種を紹介します。ローヌ地方は、「北は単一品種、南はブレンド」が基本。品種の違いが、味わいの違いにつながることがわかります。


主に北部ローヌで栽培されるシラー、ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌと南部ローヌで栽培されるグルナッシュ、ムールヴェードル、クレレットについてご説明します。

シラー

シラー

シラーはフランス、ローヌ地方原産の黒ブドウ品種。強い個性を持ちながら産地の特色を色濃く反映したワインに仕上がることから、世界中で様々なワインが造られ人気を博しています。


穏やかな大陸性気候の北部ローヌはローヌ川に沿って広がる花崗岩土壌の急斜面に、南部ローヌよりはなだらかな平地や丘陵地にシラーの畑が広がっています。


北部ローヌにおいては、赤ワインはシラー主体で造られますが、ワインに気品を与えるための補助品種としてヴィオニエやマルサンヌ、ルーサンヌといった白ブドウ品種を加えて醸造することが認められています。エルミタージュやコート・ロティは高品質なシラーのワインとして世界的に有名です。


一方、地中海性気候の影響の強い南部ローヌでは、シラーはグルナッシュを主体とした赤ワインのブレンドに主に用いられ、北のシラー主体で造られるワインよりも落ち着いたタンニンと複雑味に富んだスタイルのワインに仕上がります。


ジゴンダスやシャトーヌフ・デュ・パプがシラーをブレンドに用いたワインとして有名です。

ヴィオニエ

ヴィオニエ

ヴィオニエは、北部ローヌを原産とする白ブドウ品種で、アロマティックな香りが特徴的です。完熟させるために十分な日照量を必要とし、温暖なエリアを好むため、豊かな果実味が感じられるワインに仕上がります。


北部ローヌにおいて、ヴィオニエ100%で造られる白ワインのアペラシオンは、コンドリューとシャトー・グリエの二つのみ。どちらもヴィオニエの個性を最大限に引き出した高品質なワインが生産されています。


また、赤ワインへのブレンドに使用されるのも北部ローヌの特徴のひとつ。コート・ロティの赤ワインは、伝統的に黒ブドウ品種であるシラーに白ブドウ品種のヴィオニエを一緒に発酵させて造られます。


南部ローヌでは、マルサンヌやルーサンヌ、グルナッシュ・ブランといったローヌの土着品種とブレンドされる補助品種として使用されています。

マルサンヌ

マルサンヌ

マルサンヌは、ローヌ地方を代表する白ブドウ品種の一つで、特に北部ローヌで重要な役割を担っています。エルミタージュやクローズ・エルミタージュなどの銘醸地で、主にルーサンヌとともに使われることが多い品種です。


この品種から造られるワインは、穏やかな香りとしっかりとしたコクが特徴。洋梨や白桃、アーモンド、ハーブを思わせる風味があり、華やかというよりは落ち着いた印象を与えます。酸はやや控えめで、口当たりはなめらかです。


単一品種で造られることもありますが、ルーサンヌとブレンドされることで、マルサンヌの骨格とコクに、ルーサンヌの香りや酸が加わり、よりバランスの取れたワインになります。

ルーサンヌ

ルーサンヌは、ローヌ地方を代表する白ブドウ品種の一つで、主に北部ローヌで栽培されています。エルミタージュやクローズ・エルミタージュなどでは、マルサンヌとブレンドされることが多く、ワインに香りや表情を与える役割を担っています。


栽培はやや難しく、収量が不安定になりやすい品種でもあります。北部ローヌでは伝統的にマルサンヌとブレンドされることが多く、組み合わされることで、味わいのバランスが整えられてきました。


この品種の最大の特徴は、華やかで繊細な香り。白い花や洋梨、アプリコット、ハーブのニュアンスが感じられ、マルサンヌに比べて明るくアロマティックな印象です。酸も比較的しっかりとしており、ワインに軽やかさと輪郭をもたらします。

グルナッシュ

スペイン北東部アラゴン州を原産地とする黒ブドウ品種。グルナッシュには白ブドウのグルナッシュ・ブランやピンク色のグルナッシュ・グリもありますが、グルナッシュと言えば通常、黒ブドウのグルナッシュ(グルナッシュ・ノワール)を指します。


南部ローヌにおいては赤ワインの主要品種として用いられ、ロゼワインの製造にも欠かせない存在です。


この地方の気候の特徴はローヌ渓谷から地中海に吹き抜ける「ミストラル」という強風で、この風が、雨が降った後に畑の乾燥を助け、カビなどの湿気由来の病気を防ぐ役割を果たします。


加えて南部ローヌは地中海性気候をしており、ブドウの生育期の夏は乾燥していて平均最高気温は30℃に上るため、グルナッシュの栽培に非常に適しており、濃厚な果実味とアルコール由来のふくよかな甘やかさを感じさせるワインが造られます。

ムールヴェードル

主に南部ローヌで重要な役割を果たす黒ブドウ品種で、シャトーヌフ・デュ・パプやバンドールなどで欠かせない存在です。温暖で日照に恵まれた環境を好む晩熟の品種で、しっかりと熟すことでその個性を発揮します。


この品種から造られるワインは、色が濃く、力強い骨格を持つのが特徴。黒系果実やスパイスに加え、野性味のある香り、時には皮革や土のニュアンスも感じられます。タンニンが豊富で、若いうちはやや硬さがありますが、熟成によって深みと複雑さが増していきます。


南部ローヌでは、グルナッシュやシラーとブレンドされることが多く、ムールヴェードルはワインに構造と奥行き、熟成力を与える役割を担います。

クレレット

主に南部ローヌで栽培されている白ブドウ品種。ローヌの白ワインに軽やかさと穏やかな清涼感を与える存在です。


この品種の特徴は、穏やかな香りとスッキリとした味わい。青リンゴや柑橘、白い花を思わせるニュアンスがあり、アルコールは他の南部ローヌ品種に比べて比較的控えめで、口当たりはやわらか。派手さはありませんが、飲み疲れしにくいバランスの良さが魅力です。


南部ローヌでは単一品種で造られることは少なく、グルナッシュ・ブランやルーサンヌ、マルサンヌなどとブレンドされることが一般的です。

ローヌワイン豆知識

ローヌワインの豆知識を田邉さんに聞いてみました!

ソムリエ解説!ローヌワインは、なぜラベルにブドウ品種が書いていないの?

フランスの多くのワイン産地でも同様のことが言えますが、ローヌ渓谷のワインにおいても、ラベルにブドウ品種が記載されていないものが主流となっています。 その理由として、フランスのAOC(原産地呼称)制度が関わっています。AOCに認定されているワインは、それぞれの産地ごとに使用できるブドウ品種やその比率が厳しく定められているため、産地が分かれば、使われている品種やスタイルをある程度推測できるようになっています。 つまり、ラベルには品種ではなく、産地を明記することに重きを置くことで、土地とブドウ品種が密接に結びついていることを表現しているのです。 またローヌでは、特に南部を中心に複数の品種をブレンドする伝統と文化が根付いており、必然的に一つの品種の個性よりも、産地としての個性がワインに現れます。 そのため、品種の個性をイメージしてワインを選ぶ方にとっては、ラベルから味わいを想像しにくく、少し難しく感じられる産地なのかもしれません。 その点において、ローヌのワインを理解するためには、産地名とその特徴を知ることが重要となります。

ソムリエ解説!ローヌワインは熟成させたほうがいいの?

ローヌ渓谷地方のワインは、エントリーラインからプレミアムレンジまで非常に幅広いワインが存在しており、それぞれの価格帯においてクオリティが高く、中には世界的に有名なワインも存在しています。 その中でも南部ローヌでは、グルナッシュ主体の熟した果実とスパイスのアロマ、まろやかで豊かな果実味をもつワインが主流で、リリースされてから早めに楽しむのに適しているタイプのワインも多く存在します。 一方で、北部ローヌのシラーを主体とした厳選されたエリアのブドウから生まれるワインや、南部でも特に優れたエリアのブドウから、有力な生産者が手がけたワインは、非常に凝縮した風味を持ち、高い熟成ポテンシャルを備えているものも存在します。 これらのワインは時間の経過とともに、ドライフルーツやキノコ、枯葉のような複雑なアロマが発展していき、味わいが溶け込んだ印象へと変化していきます。

ソムリエ解説!ローヌワインは重たいイメージだけど、軽めもある?

ローヌ渓谷のワインは、フランスの中でも日照量の多い南のエリアに位置し、スパイスのニュアンスやしっかりとしたボディを感じるワインも多く存在し、このようなスタイルをもつワインが世界的にも有名になっていることから、しっかりとした力強いワインという印象を持たれがちですが、実際には軽やかでエレガントなスタイルのものも数多く存在しています。 北部ローヌのシラー主体の赤ワインは、香りにスパイスや動物的なニュアンスを感じやすく、香りの段階で重い思われることもありますが、ミディアムなボディをもち、タンニンは緻密でしなやかな酸味とのバランスがとれたエレガントなスタイルが特徴です。 南部ローヌにおいても、グルナッシュ主体の赤い果実の風味が中心の、優しいタンニンと酸味が特徴のワインも多く生み出されています。 このようにローヌは、力強さだけでなく、軽やかさやエレガントさを備えたワインも造られている多彩な産地なのです。

ローヌワインにピッタリの料理

ローヌワインにピッタリの料理

ローヌのワインにピッタリな、田邉さんおすすめの料理をご紹介します。

ソムリエ解説!白ワインに合う料理は?

北部ローヌで造られる白ワインは、熟した果実や花のアロマに加えて、ほのかに感じる乳製品やスパイスの香りが特徴的で、果実の豊かな味わいとなめらかな酸味、そしてクリーミーさが感じられるため、白身魚のムニエル等、乳製品を使用したまろやかと旨味が感じられるお料理とよく合います。 さらには、パテ・ド・カンパーニュや鶏のクリーム煮、鶏や鴨肉の炭火焼きに山ワサビを添えたお料理など、まろやかさと豊かな旨味、適度な脂質をもつお料理とも好相性です。 南部ローヌの白ワインは、品種をブレンドし、比較的香りが控えめでありながらも豊かな果実味と適度な爽やかさを感じるスタイルが主流で、トマトやナス、ズッキーニなどの彩り豊かな南仏野菜をオリーブオイルで仕上げたサラダ仕立てのお料理と、風味と産地が同調してとてもよく合います。

ソムリエ解説!赤ワインに合う料理は?

北部ローヌのシラーを主体とするワインは、香りに感じられるスパイシーさと鉄分的なニュアンス、緻密なタンニンとしなやかな酸味が特徴で、ジビエの料理がよく合います。 鹿肉や小鳩のロースト、イノシシの煮込みの野生的なニュアンスと鉄分的要素、適度な脂質と深みのある味わいにしっかりと同調し、食材の風味をより引き出してくれます。 和食を合わせる場合は、焼き鳥のレバーのタレ焼きがおすすめです。レバーの持つ野生味と鉄分的な要素は、まさにシラーの赤ワインの風味と類似しており、風味が同調しつつ、双方の良さが引き立ちます。 南部ローヌのグルナッシュを主体とした赤ワインには、香りに感じられるほのかなスパイス感とトマトのニュアンス、味わいに感じられる厚みと緻密なタンニン、なめらかな酸味に対して、ローヌ南部で有名な仔羊と地中海野菜を使用したお料理がよく合います。 「仔羊のナヴァラン」という仔羊をトマトやカブと一緒に煮込んだ郷土料理がありますが、ワインのほのかなスパイス感が仔羊の風味と相乗し、野菜の風味とワインのフレーヴァーが同調します。こちらをよりシンプルに考える場合、仔羊のトマト煮を合わせるのがおすすめです。 より軽やかなタイプのグルナッシュの赤には、ラタトゥイユのようなお野菜の料理もよく合います。

まとめ

ローヌワイン最大の魅力は、一つの産地でありながら、北と南で驚くほど異なる表情を見せてくれる、その懐の深さにあります。


冷涼な北部ローヌの緊張感ある味わいから、陽光をたっぷり浴びた南部ローヌの豊かでおおらかなスタイルまで、その多様性は飲み手を飽きさせません。


日常の食卓にそっと寄り添う1本としても、特別な時間を彩る1本としても活躍してくれるローヌワイン。まずは気になる産地や味わいから、肩肘張らずに手に取ってみてください。


きっと、あなたらしいローヌの楽しみ方が見つかるはずです。

ローヌのワイン一覧

文=岡本名央

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