産地によって出来上がるワインは一変!個性派ブドウ品種シラー

シラーブドウ

シラーは、カベルネ・ソーヴィニヨンと同様にパワフルで長熟なワインを生みます。ブドウ自身にしっかりとした個性があり、その個性がワインにも反映されるため、飲み手にとって比較的わかりやすいブドウ品種と言えます。

一方で、産地によってガラリと風味が一変するのもシラーで造られるワインの特徴です。今回は、そんな個性派ブドウ品種シラーについて詳しく解説したいと思います。

シラーとは

赤ワイン

シラーは赤ワインの原料となる黒ブドウの一種で、世界中で生産されている国際品種です。小粒で果皮は厚く、青みがかった濃い紫色をしています。

よって、シラーから造られるワインは一般的に色が濃く、ボディがしっかりとしていて豊富なタンニンを持ちます。また、その豊富なタンニンゆえに長熟なワインを生みます。

ブドウの生育に関しては、発芽が遅く、花振るいが起こりやすいですが、病害に強く温暖な気候のもとでよく育ちます。

ただ、収量を上げてしまうとシラーの濃密な個性が減少し、樹に房を長く放置すると急速に香りと酸を失う傾向があります。

シラーの主な産地

フランスとオーストラリアが主要な産地です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ローヌ地方(フランス)

畑

スイス・アルプスから地中海へ流れるフランスのローヌ川の渓谷に、南北約200kmに渡って広がるローヌ地方で主に栽培されており、ローヌ地方はシラーの原産地でもあります。

ローヌ地方北部では、ローヌ川に沿って広がる花崗岩土壌の急斜面にシラーの畑が広がっています。この地では赤ワインはシラーのみで造られますが、シラーのパワフルさを和らげ、ワインに気品を与えるための補助品種としてヴィオニエやマルサンヌ、ルーサンヌといった白ブドウを加えて(全体量の10〜15%まで)醸造することが認められています。「エルミタージュ」や「コート・ロティ」は長熟で高品質なシラーのワインとして世界的に有名です。

一方、ローヌ地方南部ではシラーは複数のブドウ品種と混醸されます。主にグルナッシュやムールヴェードルとブレンドされるため、北部のほぼシラー100%で造られるワインよりタンニンは落ち着き、複雑味に富んだスタイルに仕上がります。また、ローヌ地方南部は北部とは異なり、広い丘陵地帯にブドウ畑が広がっています。「ジゴンダス」や「シャトーヌフ・デュ・パプ」がシラーを用いた混醸ワインとして有名です。

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南フランス

ブドウ畑

プロヴァンス地方、ラングドック・ルーション地方の広い範囲で栽培されています。南に地中海を望む典型的な地中海性気候で夏は暑く乾燥し、雨はほとんど降らない、もしくは降っても冬に集中するので、ブドウの生育期にカビ病も少なく、全体的に健康なブドウが育ちやすい環境にあります。

ローヌ地方南部同様、シラーはグルナッシュ、サンソー、ムールヴェードル等と混醸され、主にカジュアルなテーブルワインが造られています。

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オーストラリア

オーストラリアの畑

 オーストラリアではシラー(SYRAH)はシラーズ(SHIRAZ)と呼ばれており、同国で最大の生産量を誇るブドウ品種です。

タスマニアを除くオーストラリアのほぼ全てのワイン産地でシラーズは栽培されおり、濃厚で長期熟成可能な高級ワインからデイリーワインまで、あらゆる価格帯のワインが造られています。

南オーストラリア州の銘醸地バロッサバレーは、日照時間が長くて昼夜の寒暖差も激しく乾燥した気候でシラーズの栽培に非常に適しているため、オーストラリアワインを代表する高品質なシラーズのワインが造られています。

また、オーストラリアではシラーズはカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることも多く、通常どちらの品種が多く含まれているかによって多い順に「カベルネ・シラーズ」もしくは「シラーズ・カベルネ」とエチケットに表示されています。

シラーのワインの特長

赤ワイングラス

一般的にシラーから造られるワインの色合いは、シラーの果皮同様青みがかった濃い紫色で、香りはフルーティーかつスパイシー、ブラックチェリーやプラム、ユーカリ、甘草、黒コショウなど、多くの要素を含み独創性に富みます。

ただ、フランスとオーストラリアとではでき上がるワインの風味に大きな違いがあります。

ほぼシラーを主体にして造られるフランス・ローヌ地方北部のワインは、タンニンが豊かで非常に長熟なワインとなります。若いうちはパワフルと表現される強烈な凝縮感がありますが、時を経るにつれて気品のある果実味が現れ、滑らかな口当たりで余韻も長く、ボルドーの卓越したワインにも匹敵する素晴らしいワインとなります。

南フランスのシラーをブレンドしたワインは、主にこの地の赤ワインの主要品種であるグルナッシュを補完する目的でブレンドされています。シラーはワインのボディを安定させ、寿命を伸ばす役割を果たしているのです。

一方、オーストラリアのシラーズのワインは、プラムのような果実味が圧倒的で、濃密でアルコールの高さに由来するボリューム感があります。そして、ローヌ北部のシラーのワインと決定的に異なる点は、比較的若いうちから楽しめるソフトなタンニンと、チョコレートやコーヒーのようなニュアンスが感じられることです。

ただ、最近はオーストラリアをはじめアメリカ、南アフリカといったニューワールドの比較的冷涼な地域でもシラーが栽培されており、ローヌ・スタイルのワインを造る生産者も増えてきています。

シラーのワインと料理の相性

お肉とワイン

シラーのワインの特徴はなんと言ってもスパイシーさと豊富なタンニンにあります。そのため、しっかりと味付けした肉料理と合わせると良いでしょう。

レストランでは子羊やジビエなどのメインディッシュと、家庭では黒コショウやハーブでしっかりマリネした豚肉のローストやミートローフがおすすめです。また、オーストラリアのシラーズのワインには、甘めのタレにつけこんだ焼肉やバーベキューとピッタリです。

また、少しクセのあるチーズとも相性が良いので試してみて下さい。熟成の進んだカマンベールやブリーが手軽でオススメです。

おすすめのシラーのワイン

最後に、ぜひ一度お試しいただきたいシラーのワインをご紹介します。

フランス・ローヌ地方のおすすめワイン

クローズ・エルミタージュの新星ドメーヌが造る1本。

肉厚で凝縮感がありながら、洗練されたエレガンスなシラーです。

コショウのニュアンスもあるので、ブラックペッパーを効かせたお肉などと合わせるとより美味しくいただけます。

シラーズのおすすめワイン

こちらはオーストラリアのシラーズで造られた赤ワイン。

成熟した果実味と甘く丸みのあるタンニンが特徴的で、シラーより更に重みを増したスタイルとなっています。

じっくり煮込んだお肉料理やチーズとの相性がピッタリな赤ワインです。

まとめ

黒いベリー系の果実味、スパイシーさや豊富なタンニンといったブドウ本来が持つ個性はしっかりと残しつつ、産地の特性も表現するシラーのワイン。

皆さんはフランス、オーストラリアどちらのタイプがお好みでしょうか?是非、飲み比べてみて、シラーのワインの奥深さを堪能して下さい。

参考文献:日本ソムリエ協会 教本 2018

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