2018年6月22日、ワインショップ・エノテカGINZA SIX店にて行われた、テイスティングイベント「ブルゴーニュ・ドメーヌ 夢の饗宴」をレポートします。
今回のゲストには、シャブリの名門ダニエル・ダンプより、オーナーのダニエル・ダンプ氏、ブルゴーニュの銘醸地ジュヴレ・シャンベルタンに本拠地を置くジャンテ・パンショよりオーナー・ファミリーのファビアン・ジャンテ氏のブルゴーニュ有名ドメーヌ二生産者が登場。
目次
シャブリを代表する生産者 ダニエル・ダンプ
ダニエル・ダンプは、シャブリの1級畑である、“ヴァイヨン”と“コート・ド・ルシェ”の2つの丘に挟まれた、ミリー村にあるドメーヌ。現当主のダニエル・ダンプ氏が、同村で150年以上の歴史を誇る名門ドゥフェー家の畑を相続したのがドメーヌの始まりで、設立当初から今もなお、家族経営で運営されています。
シャブリ地区に40haほどの自社畑を所有。プティ・シャブリ、シャブリ、シャブリ・ヴィラージュ、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ・グラン・クリュの5つのワインが生産されており、「それぞれのテロワールを表現したワインを造っている」とのこと。
ラインナップされているワインを飲み比べることで、同じシャブリ地区で栽培されているシャルドネでも、その個性の違いを楽しむことができます。
ステンレスタンクにこだわる
ダニエル・ダンプは、熟成をオールステンレスで行うことで知られているドメーヌです。しかしダニエル氏によると「実は、グラン・クリュのみ木樽を使用している。とはいえ、樽の風味が付きすぎるのを避けるために新樽は使用していない。あくまで、ピュアな味わいのワインを造りを目指している」とのこと。
発酵を経たワインは徹底して温度管理され、澱引き、フィルターにかけられ瓶詰めされていきます。
その際、シャブリ・ヴィラージュ、プルミエ・クリュ、グラン・クリュなど、土壌の味わいを表現するために銘柄によって瓶詰め時期などを変化させているそうです。
シャブリ グラン・クリュ ブーグロの複雑性に酔う
イベントで振る舞われたワインは、「シャブリ プルミエ・クリュ ボーロワ 2014」と「シャブリ プルミエ・クリュ コート・ド・ルシェ 2012」、「シャブリ グラン・クリュ ブーグロ 2015」の、計3種類の白ワイン。
「シャブリ プルミエ・クリュ ボーロワ 2014」は、シャブリ地方特有のキンメリジャン土壌に粘土石灰土壌が混じる一級畑。日当たりのよい絶好の立地から生み出されるバランスの良い1本です。一方、「シャブリ プルミエ・クリュ コート・ド・ルシェ 2012」は、急斜面の痩せた土壌で、力強いスタイルの長期熟成向きのシャブリが生まれる畑。
2012年はやや温暖なヴィンテージだった、ということでより厚みのある果実味を感じました。また、長期熟成向きとあって、酸やテクスチャーのしっかりとした複雑性のある味わいに仕上げられており、ボーロワとはまた違った個性を楽しむことができました。
今回、ダニエル・ダンプのワインで特に印象的だったのが、シャブリ グラン・クリュ ブーグロ 2015。前述したように、グラン・クリュは木樽が使用されているため、樽由来のヴァニラやスパイシーさを感じます。
もちろん、ブドウが本来持つピュアさ、酸は一切失われておらず、この樽の風味が全体をより複雑性ある姿へと昇華させている印象を受けました。
スイカズラやレモン、火打石のニュアンスなど、さまざまなアロマが重なるリッチな佇まい。引き締まった酸に仄かな塩味を思わせるミネラル感、そしてボリューム感のある果実味。長期熟成ポテンシャルも兼ね備えた、素晴らしい1本でした。
赤ワインの銘醸地ジュヴレ・シャンべルタンに本拠地を構える名門
続いて提供されたのが、ブルゴーニュ・コート・ドールに位置する赤ワインの銘醸地、ジュヴレ・シャンベルタンに本拠地を構えるドメーヌ、ジャンテ・パンショ。
スピーカーは、同ドメーヌのオーナー・ファミリーのファビアン・ジャンテ氏です。
ジャンテ・パンショは、ファビアン・ジャンテ氏の祖父にあたるエドモン・ジャンテ氏によって1954年に設立されたドメーヌ。
マルサネ、ジュヴレ・シャンべルタン、シャンべルタン、クロ・ド・ヴージョなど、総面積30haほどの自社畑を所有。「畑はなるべく農薬を使用しない減農薬農法“リュット・レゾネ”を実践しており、機械は一切使用せず、全て人の手で作業している」と、ファビアン・ジャンテ氏。
その土地の個性を活かしたワイン造りを大切にしたい、という思いが伝わってきました。
伝統的な醸造へのこだわり
ジャンテ・パンショは、とても伝統的な方法で醸造を行っています。
「低温浸漬、天然酵母での発酵、アルコール発酵はソフトなプレス。14ヶ月ほど熟成させるが、新樽比率は30%から50%。熟成後、軽くフィルターをかけて、瓶詰めを行う」とのこと。大切に栽培されたブドウだからこそ、そのポテンシャルを活かす。ジャンテ・パンショがこだわる、丁寧でピュアなワイン造りの哲学が彼の話から理解できました。
可能性を感じさせたシャルム ・シャンベルタン グラン・クリュ
イベントで振る舞われたワインは、ジュヴレ・シャンベルタン レ・エヴォセル 2015とジュヴレ・シャンベルタン アン・シャン 2011、そしてシャルム ・シャンベルタン グラン・クリュ 2015の計3種類の赤ワイン。
ジュヴレ・シャンベルタン レ・エヴォセル 2015は、格付でこそないものの、ジュヴレ・シャンベルタンの中でも最も標高の高い区画に位置する畑。繊細でやわらかな印象の1本です。
一方、ジュヴレ・シャンベルタン アン・シャン 2011は、ジュヴレ・シャンべルタンらしい、伸びのあるストラクチャーがしっかりとしたワインであり、ファビアン・ジャンテ氏は、“あと2、3年熟成させてもいいだろう”とコメントしていました。
今回、どのワインも素晴らしかったのですが、中でもシャルム ・シャンベルタン グラン・クリュ 2015は特に印象的でした。赤のグレートヴィンテージである2015年である故、ファビアン・ジャンテ氏曰く「まだ飲むに早い段階」とのこと。
とはいえ、「そのポテンシャルは感じてもらえる状態だ」とファビアン氏が語る通り、現段階でも素晴らしい可能性を秘めた1本であることが伝わる仕上がりとなっていました。2015年は、ブルゴーニュにとって日照量は大変恵まれた素晴らしいヴィンテージであり、この年に造られたワインは今後クオリティが期待できます。
「シャルム・シャンベルタンは、私たちが持つ区画の中でも最も繊細なキュヴェ」とファビアン・ジャンテ氏が喩えるように、色調は美しく、シルクのようなテクスチャー。丸みのあるブーケにマーマレードを思わせる華やかなアロマ、そして引き締まった酸とタンニン。
ファビアン・ジャンテ氏曰く、「10年以上の熟成に耐えるだろう」とのこと。これから先、どのような味わいに変化していくのか、否応無しに期待が高まってしまう、魅力溢れる1本でした。
テロワールの違いを楽しむ
ダニエル・ダンプ、ジャンテ・パンショ共に、土地やテロワールの個性を大切にしたワイン造りを心掛けており、「テロワールを表現する」というブルゴーニュワインの原点を改めて発見することができた、貴重な1日となりました。
今回イベントが行われた ワインショップ・エノテカ GINZA SIX店
住所 〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下2階
TEL 03-6263-9802 / FAX 03-6263-9803
E-mail ginzasix_shop@enoteca.co.jp
営業時間 10:30-20:30
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