ワインの定番とも言えるブドウ品種、ピノ・ノワール

カベルネ・ソーヴィニヨンとならんで、赤ワインの定番品種ともいえるピノ・ノワール。

高品質なワインを生み出す品種であり、世界で最も高値で取引されると言われるブルゴーニュの赤ワイン「ロマネ・コンティ」もピノ・ノワールから作られます。ワイン愛好家だけでなく、ワイン生産者までも虜にすると言われるピノ・ノワールの魅力とはいったい何でしょうか?

今回は、ピノ・ノワールというブドウついて改めて探ってみたいと思います。

ピノ・ノワールとは?

主に赤ワインの原料となる果皮の黒いぶどうの一種。シャンパーニュ等、発泡性ワインの原料としても使用されます。

今では世界中で栽培されている国際品種となりましたが、そもそもはヨーロッパ系の品種で、原産地はフランス東部のブルゴーニュ地方です。

非常に古くから存在しており、ブルゴーニュ地方でのピノ・ノワールの栽培は600年を超え、その長い歴史の中でピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ムニエといった多くのクローンを発生させています。果皮が薄く、早熟なブドウで、病気にも弱いことから、他の品種に比べて栽培するのも醸造するのも非常に難しい品種です。

ピノ・ノワールが作られている主な産地

比較的冷涼で水はけの良い土地で栽培されています。なぜなら、暑い気候では早く熟しすぎて、薄い果皮に隠れている魅力的な風味成分を引き出すことができないからです。主な産地は以下の通りです。

フランス

コート・ドール(黄金の丘)と呼ばれる、ブルゴーニュの中心地ディジョンの街からつづくコート・ド・ニュイとその南のコート・ド・ボーヌを合わせて南北方向に約60kmに広がる丘陵地帯が、偉大なピノ・ノワールのワインが生まれる産地です。

世界中のピノ・ノワール生産者の手本であり、憧れの地でもあります。ブルゴーニュの赤ワインのグラン・クリュはこの地に集中しています。

また、シャンパーニュの原料として使用されるピノ・ノワールは、シャンパーニュ地方の中心に広がるモンターニュ・ド・ランスと、中心地から南東に少し離れたコート・デ・バール地区で主に栽培されています。

その他にはドイツ国境に近いアルザス地方や、ジュラ地方でも栽培されています。

ドイツ

ドイツ国内で栽培されている赤ワイン用ブドウ品種の中でピノ・ノワールは最大の栽培面積となっており、国内の総栽培面積の11%を占めています。

生産も消費も白ワインが中心だったドイツですが、1995年以降世界的な赤ワインブームを背景にピノ・ノワールの栽培面積が急増し、辛口で高品質な赤ワインが作られるようになりました。ドイツ西部における最北のブドウ栽培地のアールや、ドイツ南部のバーデンで多く栽培されています。

イタリア

北イタリアのロンバルディア州で、フランチャコルタやオルトレポ・パヴェーゼ等、瓶内二次発酵で作られる高品質なスパークリングワインの原料として栽培されています。また、同じく北イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州ではピノ・ノワールから優美な赤ワインが生まれています。

アメリカ

太平洋沿いの海岸山脈とカスケード山脈の間にあるオレゴン州のウィラメット・ヴァレーは、冷涼な気候から生まれる高品質なピノ・ノワールの産地として世界的な注目を集めており、現在では栽培面積の約6割を占めています。

また、カリフォルニア州のソノマにあるカーネロスも冷たい海の影響で気候が冷涼なため、高品質なピノ・ノワールが栽培されています。ピノ・ノワールやシャルドネから作られるスパークリングがこの地の名声を築きました。

ニュージーランド

ニュージーランドは、気候的栽培適性の観点から赤ワインについては早い段階でピノ・ノワールの生産に焦点を定めたことが功を奏し、新世界におけるピノ・ノワールの産地として高い評価を得ています。比較的安価な栽培適地、ワイン産業のインフラ、教育環境が揃っていたことから、1990年代以降に世界中からピノ・ノワールでワインを作りたい個人生産者が集まりました。

ブルゴーニュの気候と似ていると言われる北島のマーティンボローや、南緯45度に位置する世界最南端のワイン産地のひとつ、南島のセントラル・オタゴで多く栽培されています。

ピノ・ノワールを使用したワインの特長

ピノ・ノワールと比較されることの多いカベルネ・ソーヴィニヨンから作られる赤ワインが、パワフルで渋みのはっきりした重厚なワインであるのに対して、ピノ・ノワールから作られるワインは色合いも薄く、タンニンは控えめで繊細です。そして何より熟成具合によって異なる香りは非常に官能的です。

また、ピノ・ノワールはスパークリングワインの原料となる場合を除いて、いずれの産地でも他の品種とブレンドされずに単一品種でワインが作られることが多いのも特長です。

それは、ピノ・ノワールが他のブドウ品種に比べてテロワールに極めて敏感な品種であることから、多くの生産者がブドウ本来の個性だけでなく、土地の個性をもワインに表現しようとするからでしょう。

ピノ・ノワールを使用したワインの味わい・香り

旧世界のいわゆるブルゴーニュの伝統的な赤ワインの場合、熟成が若いうちは、色合いは明るいルビー色でチェリーやフランボワーズ、スミレのような香りがするのが一般的です。味わいはフレッシュでチャーミングという言葉がぴったりのここちよい酸味と果実味があり、比較的ライトな飲み口になります。

熟成が進むと、枯れ葉やなめし皮のような香り、さらには狩猟肉を想わせるようになります。味わいは酸味がおちつき、複雑で奥深い味わいを楽しめます。

カリフォルニアやニュージーランドなど新世界のピノ・ノワールから作られるワインは、旧世界のものに比べて色合いは濃く、香りや味わいは力強くなります。それでも、以前に比べて最近は、よりテロワールを意識した作りに変わってきており、第一印象に感じられるインパクトの強い果実味は抑えられ、飲み心地のよいワインが増えました。

尚、シャンパーニュでは通常、シャルドネやピノ・ムニエとブレンドされますが、ピノ・ノワールの果汁だけで作られるブランド・ノワールは、香り高く、ボディのしっかりした力強い味わいになります。

ピノ・ノワールのシノニム

国際品種であるピノ・ノワールは生産地によって呼び名が異なります。通常、ワインのエチケットはそのワインが作られた国や産地の言葉で記載されていますので、覚えておくと便利です。

フランスのジュラ地方:Gros Noirien グロ・ノワリアン

イタリア  :Pinot Nero ピノ・ネロ

ドイツ   :Spätburgunder シュペートブルグンダー

スイス   :Blauburgunder ブラウブルグンダー、Spätburgunder シュペートブルグンダー、Clevnerクレヴナー

オーストリア:Blauer Burgunder ブラウアー・ブルグンダー

おすすめのピノ・ノワールのワイン

最後に、ぜひ一度お試しいただきたいピノ・ノワールのワインをご紹介します。

フランス・ブルゴーニュのピノ・ノワール

フランス、ブルゴーニュの銘醸地で厳選したピノ・ノワールから造られる一本。

フレッシュでチャーミングな果実味は、ピノ・ノワールの特徴を綺麗に表しています。

普段飲み用の一本として重宝する赤ワインです。

ブルゴーニュ・ピノ・ノワール / アンリ

ニュージーランドのピノ・ノワール

こちらはニュージーランドのピノ・ノワールで造られる一本。

冷涼な地域で造られているため、香りが華やかで綺麗な酸味が特徴的です。

暑い時期には冷やして飲むと、よりスッキリ飲めるのでオススメ!

エステート・セレクション・ザ・プラトー・ピノ・ノワール / シレーニ・エステート

まとめ

ピノ・ノワールの最大の魅力は、他のいかなる品種よりもテロワールの複雑な個性を伝えることができることではないでしょうか。

しかしそれは、クローンの選別、畑の気候や土壌などの環境、ブドウの育成、醸造方法が適切であった場合にかなうことです。だからこそ、世界中の野心的な生産者は自らこのブドウを手がけようとし、多くのワイン愛好家はテロワールを反映したピノ・ノワールのワインを飲んでみたいと思うのでしょう。

 

参考文献 ・日本ソムリエ協会 教本 2018

     ・地図でみる 世界のワイン / ヒュー・ジョンソン、ジャンンシス・ロビンソン (産調出版)

 

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