杉山明日香先生のピエモンテワイン授業 イベントレポート!

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レポート
公開日 : 2018.7.18
更新日 : 2019.7.31
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『ワインの授業 イタリア編』(リトルモア)刊行に併せ、著者・杉山明日香先生によるピエモンテワイン講座が先日、ワインショップ・エノテカ 広尾本店にて開催されました。
ワインスクールを主宰され、受講者の合格率はなんと90%(!)というスゴ腕のカリスマワイン講師、杉山明日香先生。ピエモンテワインについても、とても明快にわかりやすく教えていただきました。お客様と共に盛り上がったセミナー&テイスティングイベントの内容をレポートします!
杉山明日香先生
目次

まずはイタリアワインの特徴から

講座スタイルで開催されたこのイベント。まずは明日香先生が執筆されたソムリエ試験対策講座の教本をもとに、イタリアワインについての概要から教えていただきました。
とくに印象的だったのは、イタリアワインの最大の特徴として、イタリアは全20州すべての州でワインを生産していること。フランスにはボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュ、ロワールなど10大産地がありますが、フランスは基本的にこれらの産地以外ではワインが生産されていません。それだけ、イタリアは全土でワインが造られている、まさにワイン大国なんです…!

イタリア髄一の高級ワイン産地、ピエモンテ

ピエモンテの風景
そして、『ワインの授業 イタリア編』でも巻頭で紹介されているのが、ピエモンテ州。D.O.C.G.とD.O.C.を併せたD.O.P.の銘柄数は、ピエモンテが全20州第1位。ピエモンテはワイン大国イタリアの中でも、とくに品質に優れたワインが多く造られる土地なのです。
明日香先生によると、ピエモンテはフランスの産地で例えると、ブルゴーニュに似ているとよく言われるとのこと。
「ピエモンテはブルゴーニュ的、トスカーナはボルドー的と言われます。ピエモンテとブルゴーニュの主要品種は、それぞれネッビオーロ、ピノ・ノワールと異なりますが、どちらも基本的に単一品種からワインを造っており、“単一畑文化”も根付いているんです」と明日香先生。
ちなみにバローロが有名になったのは、そんなに昔の話ではないそうです。ブルゴーニュは銘醸地として3~4世紀頃から広く知られていましたが、1980年代以前、バローロはそこまでの名声はありませんでした。1980年代にアメリカでバローロが認知されたことから、世界的に知られるようになったのだそうです。

ピエモンテ=バローロ、バルバレスコだけではない多様性

テイスティング用ワイングラス
こうしたイタリア&ピエモンテの基礎を学んだところで、いよいよテイスティングです。
ネッビオーロ種から造られるバローロ、バルバレスコが有名ですが、ピエモンテはD.O.P.ワインの銘柄数がイタリア中で第1位。さまざまなブドウで、いろんなタイプのワインが造られています。それを再現すべく、この日並んだのが、モスカート・ダスティロエーロ・アルネイスバルべーラ・ダルバランゲ・ネッビオーロバローロバルバレスコという多彩な6種類。それぞれのワインの造り手や特徴、味わいなどを詳しく解説いただきながら、順番にテイスティングしました。
ワインボトル

ガヤのブドウ樹の背が高い理由とは?

セミナー中、ところどころで明日香先生ご自身が現地を訪れたことで知り得たプチ情報をいろいろと差し挟まれるのですが、これがなんとも楽しく興味深いお話ばかり。
例えば、この講座の2週間ほど前(6月中旬)、バルバレスコの造り手であるガヤを訪問されたばかりだった明日香先生。その際、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ピエモンテと3つのワイン産地を一気に廻ったそうなのですが、ブドウの樹がいちばん高く伸びていたのがガヤの畑だったのだとか。
「この写真を見ていただくとわかりますが、私の背を超えるほど、ガヤのブドウの樹は大きかったんです。
ガヤでは4代目当主のアンジェロ・ガヤさんの世代からグリーンハーベスト(未熟な緑色の果実を摘房し、栄養を集中させ、より質の高い果実に育てること)をやっています。ブドウ樹も剪定するのが一般的な考え方ですが、ガヤではブドウ樹にも土壌との生存競争をさせなければいけない、との理由から剪定しないことでブドウ樹が高く伸び、雑草もそのまま生えています。
高く伸びれば根も地中に深く伸び、雑草や麦が生えていればそれらが深く根を張るので、ブドウも負けずに根を張り、それだけ養分やミネラルが摂れる、という考えです。バルバレスコはこうした畑が主流になっていまして、個人的にはガヤの影響でこうした畑が広がったのではないかと思っています」
杉山明日香先生とガヤのブドウの樹
※杉山明日香先生提供
なるほど、ブドウ樹ひとつ、畑の畝ひとつ見ても、ガヤの自然に対する哲学、ワイン造りのこだわりが見てとれることがわかります。

ピエモンテ名物のパスタ、タヤリンの由来

タヤリン
個人的にさらに、おおっ!と思ったことをもうひとつ。
ボルドーの郷土菓子として有名な焼き菓子、カヌレ。その由来をご存知でしょうか。
ワインの熟成中に余計な不純物などを取りのぞく清澄(せいちょう)という作業。伝統的には卵白を使用し、樽の中でワインと混ぜると不純物と一緒に沈殿するので、それを取り除きます。卵白を多量に使用するため、余った卵黄で作られたのが、お菓子のカヌレというわけです。
それと同様に、ピエモンテでも清澄で余った卵黄を使ったのが、細切りの卵麺、タヤリン。タヤリンは卵黄を大量に使用した黄色っぽい色をした麺ですが、明日香先生によると、伝統的なレシピではタヤリンを作るのに小麦粉1キロに対して卵黄を40個以上も使うのだそうです。
「先日訪れたレストランでは、うちのタヤリンは卵黄を28個しか使ってないからヘルシーよ、と言っていました(笑)」と楽しいエピソードを披露されました。

ピエモンテワイン×おすすめ郷土料理

ちなみに、明日香先生のピエモンテワイン×おすすめ郷土料理ですが、下記のようおっしゃっていました。ご参考までに。

ロエーロ・アルネイス(ロエーロ地区で造られるアルネイス種を使った白ワイン。グレープフルーツや花梨、アーモンドの香りが特徴)

×

ヴィテッロ・トンナート(仔牛の肉を茹でて薄切りにし、ツナ入りのマヨネーズソースをかけたもの)

 

バルべーラ・ダルバ(ピエモンテ原産のバルベラ種で造られる赤ワイン。ピエモンテの人たちに気軽に楽しめるデイリーワインとして人気がある)

×

アニョロッティ(肉やチーズを詰めたパスタで、ラビオリの一種)

 

バローロ(ネッビオーロはピノ・ノワールとの類似性が言われ、酸や香りには共通している部分が見られるが、圧倒的に違うのはタンニンの量。バローロの方が強いタンニンが感じられる)

×

ファッソーネ(ピエモンテ名産の牛)のバローロ煮込み

さいごに

杉山明日香先生の講座をちょっと垣間見てみましたが、いかがでしたでしょうか?
初心者からワイン通まで楽しめるお話と、6種類のワインテイスティングと、ギュッと濃密で盛りだくさんな1時間半でした。
今回はピエモンテだけに特化した講座内容となりましたが、新刊の『ワインの授業 イタリア編』はイタリア全20州を大きく4つに分けて紹介。今回の講座のように楽しみながら、イタリアワインの基本を読み物として楽しむことができます。自ら“食いしんぼう”と言われていた明日香先生だけに、現地で実際に試したワインと郷土料理の組み合わせ(たまにレシピも)についてもたくさん紹介されています。
この本があると、イタリアワインをより一層楽しめること間違いなし、の1冊です!
イタリアワインのお供にいかがでしょうか。
杉山明日香先生
ワインの授業の書籍
『ワインの授業 イタリア編』(リトルモア)
本体2,000円+税
『ワインの授業 イタリア編』の詳しい紹介はこちら >
 
美食と銘醸ワインの宝庫「ピエモンテ」特集はこちら >  イタリアを代表する銘醸地「バローロ」&「バルバレスコ」徹底解説!特集はこちら >
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