2024年はワインを知って楽しむそんな1年になりますように!と思いを込めて、タイプや産地、テクノロジー、サステナブル、ペアリングなどワインにまつわる情報をまとめました。
今年もワインをもっと楽しみたい、そんなあなたにエノテカタイムス編集部が注目するワイントピックスをお届けします。中編です。
気候変動に対するワイン造りの今
地球温暖化による気候変動は、農産物であるブドウを使用するワイン業界においても深刻な問題の一つです。そのため、気候変動への取り組みを知ることは、ワイン業界の「現在」や「未来」を考える上で大きなヒントとなってくれるでしょう。
今回は積極的に気候変動への取り組みを行う代表的な産地と生産者をご紹介します。
PICK UP!産地:ボルドー地方
ボルドーでは、2021年より新たに温暖化に適性のあるブドウ6品種(※1)を補助品種として認可し、業界内で注目を集めました。伝統的な産地のボルドーで新しい品種が認可されることは珍しく、今後のワイン造りやボルドーワインのスタイルにも影響を与える可能性があるでしょう。
※1 赤ワイン用4品種:アリナルノア、カステ、マルスラン、トゥーリガ・ナシオナル 白ワイン用2品種:アルバリーニョ、リリオリラ
PICK UP!生産者:ボルドーの名門、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド
メドック格付け第一級シャトーを所有する彼らが手がけるカジュアルライン、ムートン・カデのワイナリーは、2021年にソーラーパネルを設置し、再生可能なエネルギーを用いてCO2排出量の削減に努めています。
また、近年ではパートナーである栽培農家の協力を得て、同社初のオーガニック認証ワインを発売。ボルドーの歴史あるシャトーのこれからの動きに注目です。
ムートン・カデ・ルージュ・オーガニック
赤
パワフル&ストラクチャー
シャトー・ムートンの血統を受け継ぐカジュアルワイン、ムートン・カデ。オーガニックの畑から生まれ、ワイン造りの「今」が詰まった、新たなる時代を築く1本。 詳細を見る
4.0
(29件)2022年
2,200 円
(税込)
オーガニック認証を受けた畑のブドウを使用し、環境にやさしいリサイクル可能な軽量ボトルやラベルが採用された1本。メルロ主体のピュアで柔らかな果実味と滑らかなタンニンが魅力です。
PICK UP!産地:シャンパーニュ地方
シャンパーニュ地方は、2003年に世界のワイン産地で初めて温室効果ガスの排出量を示す「カーボン・フットプリント」の測定を始め、気候変動に対していち早く取り組んできました。
また、冷涼で湿気の多いシャンパーニュでは難しいとされている有機栽培、ビオディナミ栽培が近年着実に広がっています。このように産地全体でブドウ栽培のあり方が変わることで、ワインのスタイルにも少なからず変化が訪れるかもしれません。
参考:WINE REPORT「シャンパーニュ委員会、気候変動対応に1000万ユーロを投入」2023年3月7日、「気候変動でシャンパーニュはベト病が5 倍に増加…… 有機シャンパーニュ協会報告」2023年10月30日の記事より
PICK UP!生産者:スペインの名門、トーレス
気候変動への対応を早くから始め、世界的に評価(※2)されているスペインの名門、トーレス。彼らは太陽・風力発電のエネルギーの活用、電気自動車の導入、発生したCO2を再利用する研究など、非常に多岐にわたる取り組みを行っています。
また、古来品種復興プロジェクトとして、既に失われた品種の復活に力を注いでいますが、実はこれらのブドウが高温や干ばつに強い性質を持つため、現在その可能性に注目が集まっています。
※2 イギリスの著名なアルコール飲料サイト、The Drinks Businessが設ける「グリーン・アワーズ2021」にて「グリーン・カンパニー・オブ・ザ・イヤー」を獲得。
古来品種復興プロジェクトを体現するワインとして、テンプラニーリョとガルナッチャに、高温や干ばつに耐性のある古来品種モネウをブレンド。華やかな香りと凝縮した果実味が感じられます。
注目のポスト・ブルゴーニュ
生産量が限られるブルゴーニュ地方のピノ・ノワールは、需要の拡大とともに価格が年々上昇しています。
しかし、近年ではブルゴーニュに引けを取らないピノ・ノワールやエレガントな赤ワインが造られており、それらはポスト・ブルゴーニュとして注目されています。今回はその中から特におすすめの産地とワインをご紹介します。ブルゴーニュ好きの方はもちろん、ワインのトレンドを押さえたい方もぜひお試しください。
PICK UP!イタリア シチリア州
シチリア州エトナ地区では、ネレッロ・マスカレーゼという黒ブドウが栽培されています。このブドウからピエモンテ州のネッビオーロやブルゴーニュのピノ・ノワールと同様に、色合いが明るく、華やかな香りを持つエレガントな赤ワインを造ることができると、近年注目を集めています。
参考:Decanter「 Sicily report 2022: spotlight on Europe’s hottest region plus 65 wines tasted」2022年8月29日、「Sicily report 2023: Latest releases tasted from this extraordinary island」2023年10月31日の記事より
近年世界中から注目を集めるシチリア・エトナ地区のワイナリー。こちらは若樹のネレッロ・マスカレーゼを用いて造る赤ワイン。ラズベリーなど赤系果実の繊細な風味が感じられるチャーミングな1本です。
PICK UP!ニュージーランド マーティンボロ
ニュージーランドといえば、白ブドウのソーヴィニヨン・ブランが有名ですが、近年はピノ・ノワールの銘醸地としても知られています。
中でも押さえておきたい代表的な産地の一つがマーティンボロです。マーティンボロの気候は世界でも珍しく、ブルゴーニュの気候に似ています(※3)。そのため、ポスト・ブルゴーニュ産地の一つとして注目を集めるとともに、今では世界的なワインコンクールでも高評価を受ける上質なピノ・ノワールを生み出し続けています。
※3 1978年ミルネ博士の調査レポートによる
実業家がオーナーを務め、近年頭角を現す造り手。こちらはオーガニック農法で栽培されたブドウを使用し、芳醇な香りとフレッシュな酸味、赤系果実の風味が感じられます。
人気拡大中!イタリアの銘酒ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
イタリア中部のトスカーナ州で造られる、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。バローロ、バルバレスコと並びイタリアを代表する銘醸ワインの一つです。近年ではブルゴーニュのように単一畑でワインを造る生産者が増加したり、ブドウ畑の標高制限(※4)が撤廃され、標高の高い畑のブドウを用いたエレガントなタイプが増加するなどそのスタイルは多様化しています。
このように魅力が増しているブルネッロは国内外で需要と販売数も拡大中です。
エノテカでもバイヤーが厳選した新たな生産者の取り扱いを増やしており、今回はその中でも特におすすめの生産者「タッシ」のワインをご紹介します。
※4 「標高250~600mのブドウ畑で栽培すること」という規定があったが、温暖化の影響で2015年に標高制限が撤廃された。 参考:NEWS CONSORTIUM OF VINO BRUNELLO MONTALCINO 2022 年11月7日の記事より
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
赤
エレガント&クラシック
モンタルチーノのテロワールを追求するワイナリーのスタンダード・キュヴェ。ワイナリーの名を冠する畑から生まれる、バランスの整った美しい1本。 詳細を見る
4.5
(4件)2019年
11,000 円
(税込)
WA 94
ブルネッロの生みの親、ビオンディ・サンティ家にブドウを供給していた歴史あるファミリーによるワイナリー。単一畑のブドウを使用し、熟した果実味にしなやかな酸味、洗練されたタンニンが感じられます。
ロッソ・ディ・モンタルチーノ
赤
エレガント&クラシック
モンタルチーノのテロワールを追求するワイナリーのお手頃キュヴェ。癖のないエレガントなスタイルで、飲みやすい味わい。 詳細を見る
3.0
(1件)2020年
5,500 円
(税込)
V 91
2019年
5,500 円
(税込)
ブルネッロと比較すると熟成期間が短い分、軽やかなスタイル。タッシの入門にぴったりな1本です。ピュアな果実味に、フレッシュな酸味、滑らかなタンニンが感じられます。