シャンパーニュ地方の歴史とワインを簡単解説!

シャンパングラス

グラスに閉じ込められた美しい泡や芳醇な香り、そしてその豪華絢爛な存在感が世界中で絶大な人気を誇るシャンパン。生産地であるシャンパーニュ地方では、実はシャンパンの他に泡立たない赤ワインやロゼワインなども造られています。

今回は魅惑のシャンパーニュ地方のワインについて、ご紹介したいと思います。

シャンパーニュ地方の歴史

シャンパーニュ地図

シャンパーニュ地方はフランスの中でも最北のワイン生産地で、パリから北東約140kmの位置にあります。その位置や平坦地であることから、戦場になることが多い土地でもありました。

しかし一方で、9世紀頃からシャンパーニュ地方のワインの人気が高まり、特にランスのワインは王の戴冠式用のワインとして威厳を持っていました。1680年頃に修道士であるドン・ペリニヨンが泡を瓶に閉じ込める製法を確立させ、複数年のリザーヴワインをアッサンブラージュする醸造法も生み出します。1728年に瓶詰めワインの輸送許可が出てからは、世界中で愛される存在となりました。

カーヴの例

カーヴの例

第一次世界大戦ではシャンパンを熟成させるために地下に掘られた石灰岩のカーヴが人々を守り、その名声を守るため、A.O.C.法が制定されました。その後すぐさまA.O.C.認定したという社会的な背景が評価され、2015年に「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」としてユネスコの世界遺産に登録されています。

参考:シャンパーニュ誕生の歴史を紐解く!銘酒の誕生には様々な苦労があった!

日本人に愛されるシャンパン

シャンパンをグラスに注ぐ様子

日本はシャンパン輸入国として本数では世界第4位、輸入金額では世界第3位(2015年)です。繊細でクリーミーな泡と風味や、日本食とのペアリングに失敗が少ないことが日本でも愛される理由として挙げられます。そして、お祝いごとを華やかに彩る特別なお酒としての存在感もまた、イベントごとを大事にする日本人の感覚にフィットしました。

歴史的に見ても、時をさかのぼりまだ鎖国中だった1853年、サスクエハンナ号で浦賀沖に現れたペリル提督が江戸幕府の役人たちに振る舞い、大好評だったという史実が残っています。この時代の日本人もまた、シャンパンにひどく魅せられたようでした。

シャンパーニュ地方の気候と風土

シャンパーニュの風景

シャンパーニュ地方は北部のランスとその南に位置しているエペルネを中心に、マルヌ県のヴァレ・ド・ラ・マルヌ、モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・ブランの三つの地区を中心に、南部のコート・セザンヌとコート・デ・バール地区で構成されています。

大陸性気候の影響を受けていますが大西洋の影響も受けているために、冬と夏の気温差は激しくはなく、平均気温は11度ほど。日照時間は2100時間に及ぶこともあるほど多く、降雨量は平均より少なめとなっています。

土壌は、モンターニュ・ド・ランスとコート・デ・ブランが白亜質でヴァレ・ド・ラ・マルヌが石灰質、粘土質、砂質と多様です。南部のコート・デ・バールは泥灰質となっています。

シャンパンで使用可能なブドウ品種は?

ブドウ

シャンパンには7種類の品種が使用可能となっています。主要品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの三つで、特にシャルドネのみで造られたシャンパンをブラン・ド・ブラン、黒ブドウであるピノ・ノワールやムニエで造られたシャンパンをブラン・ド・ノワールと呼びます。

この3品種の栽培が全体の99.7%を占めており、残りの約0.3%にピノ・グリ、ピノ・ブラン、アルバンヌ、プティ・メリエが植えられています。珍しいシャンパンに使用されているフロモントーやアンフュメはピノ・グリの古代名となります。

一般的にシャルドネがシャープな酸味を生み、ピノ・ノワールがふくよかなボディを体現し、そしてムニエが軽快な飲み心地や他の品種をしっかりと支える役割を担っていると言われています。

1種類だけの品種で造られたシャンパンは味にごまかしが利かないと言われており、各メゾンが厳しく選果したブドウを使用し丁寧に造られているために一目置かれる存在となっています。

シャンパーニュ地方のA.O.C.

シャンパーニュの風景

Champagne(シャンパン:発泡白、発泡ロゼ)

日本でシャンパンと呼ばれるワインを生み出すA.O.C.。

グラン・クリュの村が17、プルミエ・クリュの村が42あり、それぞれの畑で造られたブドウを使用する場合は「Grand Cru」「1er Cru(Premier Cru)」と付記することができます。

モンターニュ・ド・ランスではピノ・ノワールが主に造られていますが、東ではシャルドネも多く造られています。ヴァレ・ド・ラ・マルヌではやはりピノ・ノワールがメインで、コート・デ・ブランはその名前の通り、ほとんどがシャルドネの栽培地となっています。

Coteaux Champenois(コトー・シャンプノワ:非発泡赤、非発泡白、非発泡ロゼ)

17世紀にシャンパンが社交界で脚光を浴びるまでシャンパーニュ地方ではピノ・ノワールから造られた赤ワインがメインに生産されていました。戴冠式でも赤ワインが使われるほどでしたが、現在ではごく少量しか生産されていません。

コトー・シャンプノワは南部のコート・デ・バールで造られている、現在では希少なシャンパーニュ地方のスティルワインです。上品な香りや繊細なスタイルはシャンパンと変わらず、泡がないため、よりテロワールが明確に感じられると言われています。

Rosé des Riceys(ロゼ・デ・リセー:非発泡ロゼ)

ピノ・ノワールのみでつくられる非発泡のワインです。出来の良かった年しか造られることはなく、色は濃い目で輪郭ははっきり、凝縮された味わいが特徴的です。これもまたシャンパンと違い希少性が高く、日本ではあまり見かけません。コトー・シャンプノワと同様、コート・デ・バールで生産されています。

まとめ

シャンパンで乾杯する様子

数あるスパークリングワインの中でも頂点に君臨しているシャンパン。世界中の人々に愛されており、日本への輸入量はさらに増えつつあります。名前のイメージで高額なイメージを持たれがちですが、実は2,000円台から販売されており、お手軽な価格のものでも、白亜のシャンパーニュ地方独特のテロワールを感じることができます。

非発泡ワインのクオリティーも非常に高く、この地独特のエレガントな酸味を感じることができます。

シャンパーニュ地方のワインを飲みながら、深い歴史や壮大な土地に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

・参考 山本博『シャンパンのすべて』河出書房新社     『2018 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会

 

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