イタリアで最も高貴なブドウ品種ネッビオーロを解説!

ブドウ

「王のワインにして、ワインの王」と称されるバローロ。そのバローロにも使用されており、イタリアの中で最も高貴なブドウ品種の一つと言われているのがネッビオーロです。

ネッビオーロは栽培が難しい繊細な品種かつ、テロワールの個性を反映しやすいという特徴から、ピノ・ノワールと比較されることもしばしばあります。

今回は世界中のワイン愛好家を魅了してやまないネッビオーロについて、詳しく紹介します。

ネッビオーロとは?

ブドウ樹

ネッビオーロは、ピエモンテ州を代表するワイン、バローロやバルバレスコにも使用されている黒ブドウ品種。ピエモンテだけでなくイタリアの中で最も高貴なブドウ品種の一つと言われています。

ネッビオーロという名前の由来はイタリア語の「Nebbia=霧」。晩熟型で収穫時期が遅く、10月から11月の霧の多い時期に収穫されることや、ブドウに付着する白い酵母の量が多く、それが霧に見えることからこのような名前が付けられたそうです。その歴史は古く、品種の言及はないものの1世紀にはネッビオーロらしき品種についての記述が残されています。そして13世紀に品種名が最初に文献に登場し、14世紀にはすでに有名な品種として紹介されていました。

発芽時期が早いにも関わらず収穫時期が遅い晩熟型の品種で、日照が不足する北向きの斜面では優れたブドウが生まれず、病害のリスクも高いといった気難しい性格が特徴。また、果皮が厚く、種に含まれるタンニンも多いため、醸造次第でタンニンの荒々しさが出てしまう非常に繊細な品種です。

そして、土壌によって全く異なる性質のワインができるのも特徴で、土壌や気候といったテロワールを表現しやすい品種であることから、ブルゴーニュを代表とするピノ・ノワールと同じく、ブレンドされずに単一品種でワインが作られることが多いのも特徴です。

ネッビオーロの主な産地

ネッビオーロの主な産地はピエモンテ州やロンバルディア州、ヴァッレ・ダオスタ州などのイタリア北部。栽培条件が極めて難しく、原産地のピエモンテ州でさえ栽培は僅かな地域に限定されています。また、地域ごとにクローンも存在し、多くのシノニム(別名)があるのも特徴です。

ピエモンテ州

ピエモンテの風景

ネッビオーロの代表的な産地としてまず挙げられるのがイタリア北西部に位置するピエモンテ州。中でも有名なのが、ピエモンテ州南部のランゲ地区で、バローロやバルバレスコを擁しています。

このランゲ地区のネッビオーロには「ランピア」「ミケ」「ボッラ」の3種のクローンが存在すると言われています。「ランピア」は生産量・栽培量ともに最も多く、「ミケ」は僅かな生産量ながら品質が高いので有名。「ボッラ」は現在ほとんど栽培されていません。

また以前は、エレガントな酒質が特徴の「ロゼ」もネッビオーロのクローンの一つであると考えられていましたが、近年の研究によって別の品種であることが明らかになりました。しかしイタリアのブドウ品種管理機関は、ロゼを独立した品種としてはまだ登録しておらず、限られた生産者はバローロやバルバレスコにロゼを使用することが認められています。

また、ガッティナーラやゲンメを代表とするピエモンテ州北部でも、ランゲ地方と並ぶ高品質のネッビオーロが生み出されています。この地方ではネッビオーロは「スパンナ」と呼ばれ、19世紀には栽培面積も大きく、バローロ、バルバレスコ以上の名声を築いていましたが、近年は生産量が減少傾向にありました。しかし地元生産者の努力と、より女性的でエレガントな味わいが再度注目を浴び、現在は再び隆盛を迎えつつあります。

ロンバルディア州とヴァッレ・ダオスタ州

ピエモンテ州の他にネッビオーロが多く栽培されているのが、ロンバルディア州とヴァッレ・ダオスタ州です。

フランチャコルタで有名なロンバルディア州では、ネッビオーロは「キアヴェンナスカ」と呼ばれており、代表的なワイン、ヴァルテッリーナは「山のワイン」として親しまれています。

またスイス・フランスと国境を接するヴァッレ・ダオスタ州では「ピコテンドロ」や「ピクトゥネール」と呼ばれ、代表産地であるドンナスのワインが広く知られています。

イタリア以外の国

イタリア以外のヨーロッパでは、オーストリアでも僅かながら栽培されており、他にはオーストラリアやメキシコ、アメリカ、チリ、アルゼンチンなどでも栽培が試みられています。

しかしながら土壌や日照条件が少しでも合わないと適切な形で生育することができないので、主産地であるイタリア以外での栽培成功例は少ないのが現状です。

ネッビオーロの味わい

グラスに入った赤ワイン

ネッビオーロで造られるワインの外観は、色が明るめで、若いうちでもオレンジがかったガーネット色を帯びるのが一般的。バラやチェリーの芳香があり、熟成によってキノコやタバコ、トリュフ、プルーンといった複雑性に富んだ香りへと変化していくのが魅力です。

そして最大の特徴は、しっかりとした酸と豊富なタンニン。純度が高く充分な熟成に耐え得るネッビオーロのワインは、まさに「高貴」という言葉がぴったりです。

また、土壌や気候などのテロワールによっても味わいは異なり、例えば、バローロやバルバレスコのような石灰質泥灰土の土壌では複雑で長期熟成向きの個性に、ロエロ地区のような砂地やガッティナーラなどの火山性土壌では繊細で芳香に富んだ個性を発揮します。

料理との相性

お肉料理

タンニンがしっかりとしたネッビオーロと相性が良いのは、ミートローフやローストビーフ、骨付き仔羊の香草ローストなどのお肉料理。現地では、牛肉をバローロで煮込んでいるというなんとも贅沢な「ブラザート・アル・バローロ」が、ネッビオーロとのマリアージュで鉄板と言われています。日本の料理に合わせるならちょっと良いお肉を使ったすき焼きがぴったりです。

また、熟成を経て複雑な香りを放つネッビオーロには、ピエモンテ州特産のトリュフを使ったお料理や、マッシュルーム、椎茸といったキノコ料理と合わせるのもオススメです。

まとめ

ピノ・ノワール好きやブルゴーニュ愛好家、そして多くのワインジャーナリストや評論家からも注目を集めるネッビオーロ。

イタリア随一の高級ワインであるバローロやバルバレスコ以外にも、ランゲ・ネッビオーロなどの比較的手に取りやすい価格帯のワインも日本で多く流通しています。是非この機会に、ネッビオーロの魅力を堪能してみてはいかがでしょうか。

参考文献:・The Oxford Companion to Wine (Oxford Companions) / Jancis Robinson     ・土着品種で知るイアリアワイン 主要100品種ガイド / 中川原まゆみ (産調出版)

 

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