シャープな酸の白ワインが造られる産地とブドウ品種

白ワイングラス

リッチで風味豊かな白ワインもいいですが、シャープな酸が豊富な飲み心地爽やかな白ワインも魅力的。引き締まった酸が特徴のドライな白ワインは食事にも合わせやすく、軽やかなので飲み飽きしません。

ここでは、そんなシャープな酸が特徴の白ワインが造られている、代表的な産地を紹介します。ぜひ、ドライな白ワイン選びの参考にしてみてください。

フランス ロワール地方

ロワール

フランス北部にあるワイン産地、ロワール。全長1,000kmを超える同国最長のロワール川はじめ、古城が多く建ち並ぶ、風光明媚な場所です。

フランスのAOCワイン産地の中では第3位という規模を誇る産地であり、赤、白、ロゼ、スパークリングワインなどさまざまなスタイルのワインが生産されています。そんなロワールでシャープな酸の白ワインを主に生産している産地を、3つ紹介しましょう。

ミュスカデ

ニュスカデ

ペイ・ナンテ地区のナント市を中心に、フレッシュな酸を持つ白ワインを生産する一大産地が「ミュスカデ」です。

片麻岩、雲母方麻岩、花崗岩が主体の土壌で、海風からの影響を強く受けることからミネラル豊富な白ワインが生まれます。

同産地では、「シュール ・リー」と呼ばれる、アルコール発酵後に滓と共にワインを寝かす技法が採用されており、いきいきとした酸のある、フレッシュな味わいに仕上がります。「ミュスカデ」というブドウ品種が用いられており、これもまた酸の多いワインを生み出すポイントになっています。

サン・セール

サンセール

サントル・ニヴェルネ地区にあるサン・セールは、ロワール川を挟んで左岸に広がる有名ワイン産地。

石灰質とケイ酸質の土壌が特徴的で、ソーヴィニョン・ブランを使用したフレッシュで酸の豊富なフルーティーなワインが造られます。冷涼な地域であり、酸の多くブドウが収穫できることで知られている産地です。

トゥーレーヌ

赤や白、ロゼ、スパークリングにいたるまで、さまざまなスタイルのワインが造られている、トゥーレーヌ。

粘土石灰質やケイ酸質混じりの粘土質の土壌を持ち、海洋性気候と大陸性気候の影響を受けています。甘口ワインでも有名な産地ですが、ロワール原産のシュナン・ブラン(ピノー・ド・ラ・ロワール)からは、シャープな酸を持つフレッシュな辛口白ワインも造られています。

シュナン・ブランらしいリンゴの香り、軽やかですっきりとした飲み心地。冷涼な地域で造られるシュナン・ブランは酸が豊富であり、ミネラル感があるため繊細な料理にも合わせやすいのが特徴です。トゥーレーヌでは、シュナン・ブランからスパークリングワインも造られています。

フランス ブルゴーニュ

ブルゴーニュ

フランスワインの銘醸地ブルゴーニュは、樽を使ったリッチなシャルドネ種の白ワインで有名ですが、シャープな酸の白ワインを主に造る地域もいくつかあります。ここでは、その代表的の産地を2つ紹介します。

シャブリ

白ブドウ

シャブリは、ジュラ期後期のキンメリジャン期の石灰岩や泥灰岩で構成されており、小さな牡蠣殻の化石を多く含んでいることから、ミネラル豊かな白ワインになると信じられています。

シャブリ・グラン・クリュなど、主要AOCが4階層に分かれていますが、全体的にいきいきした酸を大切にする、シャープでフレッシュな白ワインが多く見受けられます。

ブーズロン

ブーズロン

ブルゴーニュは広く、シャープな酸の白ワインも多く造られていますが、突出してそれを造るのが、ブーズロンです。

酸が豊富に蓄えられるアリゴテ種の単一のワインとして唯一認められたAOCであり、ブーズロン村の丘陵の斜面の上方にある泥灰岩混じりの石灰岩の土壌で造られています。

アリゴテは、あの有名カクテル「キール」に使われているワインとして知られており、あまりの酸の強さから安価ワインとして扱われていました。近年、酸もほど良く、果実味豊富な品質の高いアリゴテ種の白ワインが造られるようになってきています。

ポルトガル

ポルトガル
スペインと国境を接する、イベリア半島西端に位置するワイン産地がポルトガルです。

同国で造られているポートとマディラは、スペインのシェリーと共に世界三大酒精強化ワインと称されるなど、酒精強化ワインのイメージが強い方もいるでしょう。

ポルトガルの北部では、洗練された飲み心地の良いフレッシュなワインが多く造られており、シャープな酸を持つ白ワインも多いのが特徴です。そんな酸の豊富な白ワインをポルトガルで探すのであれば、間違いなくミーニョは外せません。

ミーニョ

ポルトガルの北西部に位置するミーニョは、ポルトガルのブドウ栽培面積の約14%を占める大産地ですが、特に有名なのが「ヴィーニョ・ヴェルデ」です。

9つのサブリージョンがあり、それぞれに個性のあるワインが造られていますが、傾向としては、アルコール度数がやや低めのフレッシュで酸のいきいきした白ワインが造られます。

ミーニョで造られるヴィーニョベルデは、微発泡タイプが多く見られ、爽やかなのみ心地と弾ける酸が特徴。アルコール度数の高い熟成タイプのヴィーニョ・ヴェルデも増加していますが、“豊富な酸”というキーワードは守られています。

ドイツ

ドイツ

ドイツは、数ある世界のブドウ栽培地の中でも、北緯47~52度の範囲にある北限に位置するワイン産地です。

甘口ワインが有名な国ですが、近年品質の高い辛口の白ワイン、赤ワインの生産も増加しており、世界的に改めて注目され始めています。そんなドイツのワイン産地の中でも、シャープな酸を大切にした辛口白ワインを生産する地域が、モーゼルです。

ラインガウ

ヘッセン州にあるラインガウは、ドイツではもちろん、世界的にも有名なワイン産地です。

最高品質のリースニング生産地であり、最高級の甘口ワインをはじめ、複雑性のある魅惑的な辛口ワインを造ることでも知られています。

ラインガウは、年間平均気温が10度前後と、ドイツ国内の中では比較的温暖な気候ではありますが、土壌に特徴があります。砂、粘土、黄土、クォーツなど複雑性に富んだ土壌組成ですが、特にスレートと呼ばれている粘版岩が個性的です。

酸が豊富なリースニングの特徴をいかしたシャープな味わいに仕上げらており、豊富なミネラル、スパイシーな香りなどが酸をより際立てます。ラインガウのドライなリースニングの白ワインを選べば、いきいきした酸を感じられることでしょう。

シャープな酸の白ワインを造るそのほかの産地

カリフォルニア

今、冷涼な地域を求め、多くの生産者がドライな白ワインを造るような傾向にあります。

主立った産地を紹介してきましたが、ほかにはボルドーの、「アントル・ドゥ・メール」、スペインの「リアスバイシャス」、アメリカ・カリフォルニアの「ソノマ」、ニュージーランドの「マールボロ」など、世界各地にはシャープな酸を持つ白ワインを生産する産地が多くあります。

どの産地でどんな白ワインが造られているのか、調べてみるのもワインの楽しみのひとつでしょう。

シャープな酸の白ワインを造るブドウ品種

白ブドウとグラス

シャープな酸の白ワインを造るには、地域特性も重要ですが、使用するブドウ品種も大きく影響を与えます。簡単ではありますが、酸が豊富なワインを造るブドウ品種を簡単に紹介しましょう。

シャルドネ

世界で最も有名であろう、白ブドウ品種シャルドネ。フランス ブルゴーニュが有名ですが、世界中で栽培されています。

マロラクティック発酵、長期の新樽熟成などを経ていない場合、微発泡も有するシャープな酸を持つワインに仕上がります。土壌によっては、塩味やミネラリティも豊富に感じる、万能タイプのワインを造ります。

ソーヴィニヨン・ブラン

ボルドー原産の白ブドウ品種、ソーヴィニヨン・ブラン。3MHと呼ばれるチオール化合物が、柑橘系の香りを呈する人気の白ワインを造ります。

樽を使う地域もありますが、多くの生産者がステンレスタンクで、フレッシュ&フルーティーさを重視した仕上がりを狙います。シャープな酸が心地よい、口当たりの良い夏らしい味わいが魅力です。

リースニング

ドイツ原産の白ブドウ品種、リースニング。極甘口から辛口まで、幅広いタイプのワインを造る変幻自在な品種として知られていますが、酸の強さが実は特徴です。

冷涼な地域を好む品種であり、酸がしっかりと残っているものが優良とされています。ドイツのリースニングはややオイルを思わせる香りも加わることがあり、個性的な味わいに仕上がります。

アルバリーニョ

スペインのリアスバイシャス、ポルトガルのミーニョで主に栽培されている白ブドウ品種。

柑橘系の爽やかな香り、柔らかな口当たり、そしていきいきしたシャープな酸。微発泡が残るタイプが多く、酸がしっかりとしていることから魚介類との相性も良い白ワインを造ります。

グリューナー・ヴェルトリーナー

オーストリアが主要産地である、白ブドウ品種グリューナー・ヴェルトリーナー。

ライムの香り、白コショウの香りが特徴的な爽やかな香りが特徴的であり、酸が豊富でフレッシュな味わいを生み出します。日本では、まだ認知度が低いですが、これから注目されていくことでしょう。

甲州

甲州は、日本を代表するブドウ品種です。山梨県を中心に栽培されている白ブドウ品種であり、さまざまなスタイルのワインを生み出します。

シャルドネを思わせる、リッチな味わいの甲州もありますが、ステンレスタンクでフレッシュ&フルーティーに仕上げたり、シュール・リー製法を採用したりしたものは、豊富な酸が特徴的です。ソーヴィニョン・ブランを思わせる柑橘系の香り、フレッシュな酸があいまった、心地よい味わいが魅力的です。

まとめ

酸が豊富な白ワインは、フィニッシュも引き締まり、爽やかで軽快な飲み心地を楽しめます。

和食を中心とした、繊細な料理との相性も良く、日本の食卓にも合わせやすいので便利です。今回、ご紹介したワイン産地以外にもシャープな酸を楽しめる白ワインを造る産地は多くあります。ぜひ、いろいろと探してみてはいかがでしょうか。

 

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