イタリア料理の代表とも言えるパスタに、相性抜群のワインを合わせて楽しむひととき。
そんな時間をより豊かにするために、イタリア各地の多彩なパスタ文化を知り尽くし、現地で食とワインを深く味わってきた料理人、ファビオシェフに、ワインに寄り添うよう設計されたパスタレシピを教えていただきました。
自宅でも再現しやすい一皿も、ファビオシェフの手にかかればワインとともに楽しむ特別なごちそうに。ワインに合わせるためのちょっとしたコツも、ぜひ参考にしてみてください。
レシピを教えてくれたのは、ファビオシェフ
16歳よりイタリアに渡り、20歳からはイタリアを中心にヨーロッパ各地で約6年間修業。 大衆店から星付きレストランまで幅広く経験し、素材を起点としたイタリア料理の本質を学ぶ。 現在はYouTube、テレビ、料理イベントなどを通じて、イタリア料理の本質を発信している。
今日の一皿:アスパラガスのタリアテッレ
アスパラガス、パルミジャーノ・レッジャーノ、オリーブオイルというシンプルな素材で作るパスタです。 しかし実際には、ひと口ごとに異なる表情が感じられる、奥行きのある一皿に仕上がっています。 アスパラガスをソースにし、さらに薄くスライスしたアスパラガスを仕上げに加え、皮やガクから取ったブロード(出汁)まで活用することで、一つの食材が持つ香りや旨味、食感を何層にも重ねて表現しています。 グリーンアスパラガスは本来、春から初夏にかけて旬を迎える食材で、私自身この時期になると毎年使いたくなる野菜のひとつです。 今の時期、この食材を選んだ理由は、その爽やかな青い香りやほのかな苦味が、今回のワイン「ソアヴェ」の持つ柑橘やミネラル感と美しく響き合うからです。 現在は海外産も含めて1年を通して手に入れやすい食材なので、本来は春を感じるための一皿ではありますが、ぜひ季節を問わず試してみてください。
ペアリングワイン:イタリア白ワイン、ソアヴェ
アスパラガスのタリアテッレに合わせたのは、イタリア・ヴェネト州を代表する白ワイン「ソアヴェ」です。 主要品種であるガルガーネガは、アロマティック品種のような華やかさこそありませんが、白い花や柑橘、青リンゴ、アーモンド、そして火山性土壌由来のミネラルが幾重にも重なり、穏やかな印象の中に複雑さを感じさせます。 今回のペアリングは、そんなソアヴェの持つ静かな奥行きに料理側を寄せることからスタートしています。
「アスパラガスのタリアテッレ」のレシピ
【材料 1人前】
タリアテッレ 80g
グリーンアスパラガス 3本
パルミジャーノ・レッジャーノ 24ヶ月熟成 14g
エクストラバージンオリーブオイル 15g
塩 2g
アスパラガスのブロード(出汁)
水 2L
塩 30g
アスパラガスの皮、ガク、切り落とした部分 全量
【作り方】
1.アスパラガスの下処理
アスパラガスは根元の硬い部分を切り落とし、ガクを包丁で削る。根元に近い部分はピーラーで皮をむく。
※皮、ガク、切り落とした部分はブロードに使うため、捨てずに取っておく。
2.アスパラガスをカットする
アスパラガス1本分をピーラーで薄くスライスし、タリアテッレ状にする。少量のエクストラバージンオリーブオイルを回しかけ、落としラップをしておく。
残り2本のアスパラガスは、すべて小口切りにする。
3.アスパラガスのブロードを作る
鍋に水2Lを入れ、アスパラガスの皮、ガク、切り落とした部分を加える。塩30gを加えて火にかけ、沸騰後は弱火で10分加熱する。
ブロードを漉し、ソース用に120ccを取り分け、残りはタリアテッレを茹でるために使う。
4.アスパラガスのソースを作る
ビーカーに小口切りにしたアスパラガス、アスパラガスのブロード120cc、塩2g、エクストラバージンオリーブオイル15gを加える。ハンドブレンダーでなめらかになるまで攪拌する。
5.ソースをフライパンに移す
撹拌したアスパラガスのソースを裏漉しし、フライパンに移しておく。
6.タリアテッレを茹でる
残りのアスパラガスのブロードを火にかけ、タリアテッレを袋の表示時間通りに茹でる。
7.ソースと合わせる
タリアテッレが茹で上がる直前に、5のアスパラガスソースを温め、塩をひとつまみ入れておく。茹で上がったタリアテッレを加え、全体をよく和える。
8.仕上げる
火を止め、パルミジャーノ・レッジャーノを加えて素早く混ぜ合わせる。最後に、ピーラーでスライスしたアスパラガスを加えて軽く和える。
9.盛り付ける
器に盛り付け完成。
ペアリングコメント
ソアヴェも今回のパスタも、どちらも派手な存在ではありません。しかし一見シンプルながら、重なり合う要素によって奥行きを生み出しているという共通点があります。だからこそ、この組み合わせは自然に響き合います。 アスパラガスはワインとの相性が難しい野菜として言われることもありますが、ソアヴェが持つ柑橘やハーブのニュアンス、そしてミネラル感は、その青い香りやほのかな苦味をむしろ魅力へと変えてくれます。さらにパルミジャーノ・レッジャーノを加えることで、アスパラガスだけでは不足する旨味と奥行きを補い、ワインの持つ骨格とのバランスを整えています。
この発想の背景には、私自身が毎年イタリアを訪れ、現地でソアヴェを飲みながら料理と向き合ってきた経験があります。 イタリアのファインダイニングでは、一つの食材の魅力を最大限に引き出すために、異なる形に変えながら何層にも重ねて表現するという考え方が根付いています。 単に素材を増やして複雑さを作るのではなく、一つの素材を立体的に組み立てていく。その思想を、この一皿にも反映しています。