ワイン造りの未来の為に、世界中のワイナリーがサステナブルな取り組みを実施しています。
一体どんなことが行われているか、一緒にみていきましょう。
目次
ルイ・ロデレール(フランス・シャンパーニュ)
イギリスの専門誌『ドリンクス・インターナショナル』の「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2021」において、名だたるメゾンを抑え第1位に選ばれたルイ・ロデレール。名実ともに世界No.1のシャンパーニュメゾンとして、不動の地位を築いています。
ビオディナミ栽培の実施
ルイ・ロデレールはシャンパーニュ地方最大級のビオディナミ生産者として知られ、現在は広大な自社畑の約半分をビオディナミで栽培。 もともと冷涼な気候で病害も多いシャンパーニュ地方で無農薬栽培を行うこと自体、非常に大きなリスクを伴いますが、ルイ・ロデレールが持つテロワールをより良く表現すべく実施しているのです。
ルイ・ロデレールのワイン
シャトー・テューレイ(フランス・ボルドー)
姉妹が経営する、アントル・ドゥ・メール地区を代表するワインメーカー。
化学肥料の使用を避け、畑での亜硫酸塩を減らす取り組みと共に、資材はほぼすべてフランス産のものを使用。「オーガニック」ではなく「サステナブル」にこだわり、地球のためを第一に考えたワイン造りを行っています。
なぜサスティナブルの選択を…?
私たちの仕事は四季、天候、そして自然災害に大きく左右されます。天候によってブドウの質は変わるので、適応していかなくてはいけません。 災害で収量が大幅に減ることは以前より頻繁になりましたが、変化に適応していくことがこの仕事の好きなところでもあるのです。 温暖化が進んでいることは否定することはできず、コントロールするために私たちも協力しなければいけません。未来のために、サステナブルなアプローチが全ての礎だと思うのです。(マリーさんとシルヴィーさん姉妹)
シャトー・テューレイのワイン
トーレス(スペイン・ペネセス)
150年以上もの歴史をもつ名門ワイナリー。「トーレス&アース」というプロジェクトを立ち上げ、環境保全に取り組んでいます。
気候変動を視野に入れた古来品種の栽培、バイオマスや太陽・風力発電など代替エネルギーを活用したり、発酵時に発生するCO2を再利用する研究など様々な取り組みを行っています。
軽量化ボトルを採用
重厚なボトルは何となく高級な印象を受けますが、その分製造の際のエネルギーはもちろん、運搬に大きなエネルギーが必要。輸送には膨大なCO2が排出されるため、ワイン業界では長く問題視されてきました。 トーレスでは、サングレ・デ・トロ・シリーズのボトルを540gから410gに減量。近年は、紙やペットボトルのワインも発売されていますが、ボトル自体の減量で大きくエネルギーを節約することができるのです。
なぜサステナブルの選択を…?
ブドウ畑は自然環境に大きく依存しています。気候変動がブドウ畑に直接的な影響を与えるため、ワイン生産にまで大きな影響を及ぼしています。 この50年間で、本拠地ペネデスが位置するカタルーニャでは平均気温が1.2度上昇しました。異常気象も頻発するようになり、ブドウ栽培に大きなダメージを与えていることを肌で感じます。私たちは選ばれた世代として、未来を変える必要があるのです。(トーレス・ファミリーの皆さん)
トーレスのワイン一覧
アンティノリ(イタリア・トスカーナ)
イタリアのワイン造りを牽引してきた名門アンティノリ。
その歴史は1385年、ジョバンニ=ディ・ピエロ・アンティノリ氏がフィレンツェのワインギルドに加盟したことから始まります。1970年代にはスーパータスカン「ティニャネロ」、「ソライア」を生み出し、その実力を世界に知らしめました。
現在はトスカーナ、ウンブリア、ピエモンテなどイタリア全土に10以上のワイナリーを所有し、「土地とのつながりに感謝する」という理念のもと、テロワールと歴史を反映した多彩なワインを造り出しています。イタリアワインの伝統と歴史を牽引してきた、まさにイタリアのトップワインメーカーです。
キャンティクラシコ地区を象徴するワイナリー
2012年には7年の歳月をかけて新しいワイナリーを建築し、最先端の設備を導入。重力の流れに製造工程を合わせ、セラーを丘に埋め込む設計により、空調を使わず温度調節を行うなど、自然のエネルギーを利用した、サステナブルな設計になっています。
アンティノリのワイン
イル・ボッロ(イタリア・トスカーナ)
フェラガモの美学と確固たる品質至上主義が融合したワイナリー。
「ブドウ栽培を完璧に行って、初めて最高のワインが生まれる」という哲学のもと、化学肥料や殺虫剤に一切頼らず、土壌が本来持っている自然な活力を引き出したブドウ栽培を行っています。
イタリアを代表するファッションブランド「サルヴァトーレ フェラガモ」ファミリーが、トスカーナに所有する高級リゾート地イル・ボッロ。キャンティ・クラシコ地区近くにある中世の佇まいを残す村として知られています。イル・ボッロでは、村内の電力や家畜のエサも全てイル・ボッロ村のものを使用する、循環型の仕組みを導入しています。
イル・ボッロのワイン一覧
ケンダル・ジャクソン(アメリカ・カルフォルニア)
環境保全の課題が世界的に注目され始めるよりも前からサステナブルなワイン造りに取り組み、アメリカNo.1の太陽光発電を所有するワインカンパニーです。
「初めて味わう時にも、それから月日が経った後にも、いつ飲んでも楽しめるようなワイン」を目指し、優れたワインを生み出し続けるカリフォルニアを代表する生産者です。
なぜサスティナブルの選択を…?
私たちは持続可能なワイン造りを40年続けています。 創始者であり父であるジェス・ジャクソンはケンダル・ジャクソンを立ち上げた時から、この考え方を念頭においていました。父は長期的なビジョンを持ち、ワインビジネスをファミリ ーで何世代にも渡って続けてほしいと願っていたからです。 現在、土地保全だけではなく、温室効果ガスの排出量や水の使用量の削減、また職場環境の多様性や公平性といった分野にまで目標を定め、最先端を歩んでいます。(ケイティ・ジャクソンさん)
ケンダル・ジャクソンのワイン
ワイン造り以外にもサスティナブルな取り組みを行う生産者が続々と増えています!
生態系保全のための近隣の河川の清掃
ケンダル・ジャクソン では、ワインメイキング以外にも多くのサステナブルな取り組みを行っています。その一つに、生物多様性の確保があります。ブドウの植樹は所有地の1/2のみ、残りは自然のままにし、野生動物が行き交うような環境を保っています。 また、河川の回復や侵入する害となる動物の除去などを、植物の力を借りて実践。その土地本来の固有性を保つ努力をしています。
フェアトレードで国を超えた支援
スペインの名門トーレスがチリで手がけるワイナリー、ミゲル・トーレス・チリ 。「自然環境」のみならず、「人」へも敬意を払いチリ最大規模のフェアトレードを実践するワイナリーです。 2010年に起きたチリ地震の復興からその取り組みは始まりました。 栽培農家にはマーケットよりも高い買値を保障。労働者への公正な待遇を守るため差別の撤廃、児童労働の撤廃、法令の徹底、公正な給与など、ありとあらゆる取り組みを実践しています。 ワイン造りにとって欠かすことのできない自然環境への配慮や、そこで働く人々への敬意をもって素晴らしいワインを世界中に送り出しているのです。
まとめ
これから先の未来もワイン造りを続けていくために、世界中の造り手が、今、環境問題に取り組んでいます。
ここでは紹介できなかったワイナリーや、もしかするとあなたのお気に入りのワイナリーも、未来のために今、動いているかもしれません。
ワイナリーが行うサステナブルな取り組みに注目してみませんか。
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