残暑厳しい屋外と、冷房の効いた屋内の温度差で、体調を崩しやすい季節になりました。
夏バテの名残や、冷えによる肩こりや腰痛、免疫力の低下…そんな季節にはカレーを!もともと薬として扱われていたスパイスをたっぷり使うカレーは、暑い季節にピッタリです。
世代を超えて高い人気を誇る「カレー」は、もはや日本の国民食。
香りや辛さのインパクトの強い料理なので、繊細なワインを合わせるのは難しいイメージがありますが、タイプに合わせたワインを選べばペアリングを楽しめます。
ワインとカレーは共通点が多い?
カレーに使うスパイス&ハーブには、実は、ワインを表現する言葉がたくさん!クミン、ブラックペッパー、ジンジャー、シナモン、クローブ、タイム、オレガノ、ローズマリーなどなど。
そして、カレーにさらなる奥深さを出すために加える隠し味として浮かぶものは、リンゴ、バナナ、ハチミツ、ジャム、バター、チョコレート、コーヒー、ココア…こうしてみると、ワインとカレーは共通点が多いことがわかります。
選んだカレーとワインに共通するフレーバーやテイストがあるかどうか?共通項を見つけると、グッとワインとカレーをペアリングしやすくなります。
また、カレーと似た要素のあるワインを合わせるということは、カレーに同じワインを使えば、当然相性の良さもアップします。
自宅でカレーを作るときは、一緒に飲むワインをカレーにちょい入れして煮込むのもおすすめです。目安は水の総量の10~30%ほど。弱火でコトコト煮込んで中和させることで、カレーの味をワインにググッと「歩み寄らせる」ことができます。
さらに、赤ワインにはお肉を柔らかくし味わいに奥行を出す効果、白ワインには臭みを消し風味良く仕上げてくれる効果もあり、まさに一石二鳥です。
ビーフカレーに合うワイン
牛肉ごろごろ、じっくり煮込んで、濃厚な旨味が溶け出したスープの味わいが特徴のビーフカレー。お肉の奥深さとコクがスパイスのインパクトを和らげてくれるので、カレーの中では比較的ワインとの相性をイメージしやすいかもしれません。
お肉を主としたカレーなら、ワインも肉料理にあわせるイメージで、ふくよかな果実味のある赤ワインを合わせてみましょう。
タンニンの渋み、苦みはカレーの辛さを際立ててしまうので、穏やかなタイプをチョイス。ほのかに甘味を感じる果実味がスパイスの刺激のインパクトを包み込み、風味を引き立てお肉のコクと程良くマッチしてくれます。
バターチキンカレーに合うワイン
こちらもお肉が主役のカレー。同じお肉でも、お肉の色とワインを合わせる「色合わせ」のセオリーでは、鶏肉には白ワインが合うと定義付けられます。
このセオリーなら爽やか系の白ワインになりそうですが、バターのコクやナッツの甘みでまろやかに仕上げたバターチキンカレーなら、鶏肉より「バター」の方に合わせ、樽のニュアンスを感じるコク旨白ワインを合わせてみるのはいかがでしょう。
例えば、アタックが優しく、ほっこりした印象の味わいシャルドネ。シャルドネ特有の樽香やバター香が、まろやかで濃厚なカレーにナチュラルに寄り添ってくれます。
グリーンカレーに合うワイン
レモングラスなど爽やかなハーブをたっぷり加え、ひと味違うスパイシーさが際立つグリーンカレー。青唐辛子のストレートな辛味と、それに負けないココナッツミルクの甘みが特徴です。
タイカレーには、スパイシーでエキゾチックなアロマが特徴の甘口白ワイン「ゲヴェルツトラミネール」を合わせるのが人気ですが、好みによっては甘味が過剰に感じてしまうこともあります。
そこで今回は、スパークリングワインをチョイス。キリッとドライすぎるとカレーの辛味が際立ちすぎてしまうので、ほのかな甘みを感じる、そして酸味もしっかり感じられる爽やか系がおすすめです。
グリーンカレーの強いインパクトにぶつかることなく、そして打ち消すこともなく、心地良い後味に導いてくれますよ。
まとめ
料理もワインも、バランスを作る基本五味は、甘味、塩味、旨味、苦み、酸味。味覚ではなく痛みに分類される辛味は、インパクトが強すぎると舌が麻痺してしまい、ワインの持つ複雑な味わいを感じにくくしてしまうこともあります。
カレーは激辛が好き!という方も、ワインと一緒に楽しむときばかりは「ほどほど」がおすすめ。ワイン選びも繊細な味わいのタイプより、ふくよかさや華やかさのあるものを選んでみてください。
まだまだ残暑が続くこの季節には、カレーとワインを!
スパイスたっぷりのカレーと、カレーの美味しさを更に引き立てるワインのペアリングで、猛暑で疲れ切った体を心地良くリセットしましょう!