ワイン産地を知ろう!アルザス

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公開日 : 2024.1.31
更新日 : 2024.2.1
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フランス・アルザス

フランス北東部、ドイツとの国境近くに位置するアルザス地方。多様な土壌に恵まれ、その複雑な地形とブドウ品種の掛け合わせによって多くの個性的なワインを生み出す銘醸地です。


今回は多彩な魅力に溢れるアルザスについて、ソムリエの解説付きで詳しくご説明します。

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解説してくれるのは、田邉公一さん


J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

気候と風土

気候と風土

アルザスはフランス北東部、オー・ラン県とバ・ラン県からなる地方です。


ドイツとの国境に位置する土地柄、かつてはしばしば領有権が争われました。そんな歴史的背景から、各地にはドイツの影響が色濃く残っており、食文化もドイツ由来のものが多く伝えられています。


北のヴィッセンブールから南のラインバックまでの170kmに及ぶアルザス地方は、ヴォージュ山脈とライン川に挟まれています。


山頂近くでは雪が多く降りますが山麓は乾燥しており、フランスの中でも特に降雨量が少なく、夏は暑く冬は寒いという温度差の激しい大陸性気候となっています。


「モザイク」と表現されるほど、非常に多くの土壌が入り乱れているのがアルザス地方の最大の特徴です。


花崗岩土壌から石灰質土壌、粘土(泥灰土)、結晶片岩、砂岩土壌など、アルザスワイン委員会(CIVA)はアルザスの土壌を13種類に分類しており、それぞれが入り組んでいて、一つの村の中には4、5種類の異なる土壌タイプが存在します。


そんな多様な土壌が多くのブドウ品種を育て、ワインにも独自性や複雑性が生まれるのです。

ソムリエ解説!アルザスのワイン造りの特徴って?

アルザス地方はフランスのワイン産地の中でも北側に位置することから、冷涼な気候帯で、生き生きとした酸味と豊かな風味が感じられる白ワインを中心に生産しています。 フランスの他の地域と違い、基本的にラベルにはブドウ品種が明確に記載されており、それぞれのブドウ品種の個性がしっかりと表現されたワインが造られています。 また、ワイン産地の西側にヴォージュ山脈が連なっていることによって、フランスのワイン産地の中でも特に降雨量が少なく、有機栽培による自然な造りをする生産者が多いのも特徴です。

ソムリエ解説!アルザスワインのボトルはどうして細長いの?

アルザス地方は、かつて戦争の影響で二度ドイツ領となり、第二次世界大戦の終結によって正式にフランス領に戻ってきた歴史的背景があります。 そのため地方内では、フランス語のみではなく、ドイツ語やアルザス語が存在し、ドイツのザウアークラウトと同じスタイルの料理である「シュークルート」をはじめとして、ドイツの食文化に影響を受けた地方料理も多く存在しています。 それはワインに対しても同様なことが言え、ドイツの「ライン型」や「モーゼル型」と呼ばれる細長いボトルが採用されています。

栽培されている主なブドウ品種

多様な土壌を有するアルザス地方は、AOCに認可されたブドウ品種の数が多いことで知られています。また、造られるワインの90%以上は白ワインで、多くの場合単一品種で造られます。


代表的な品種それぞれの特徴と、田邉さんおすすめのワインを紹介します。

リースリング

リースリング

リースリングは、アルザスの代表的な白ブドウ品種の一つです。


冷涼な地域を好み、伸びやかな酸とミネラル感が特徴の上品な風味をもつことから「最も高貴なブドウ品種」と形容されることもあります。


リースリングからは柑橘類や青リンゴ、白い花の豊かな香り、石や鋼鉄のようなミネラルのニュアンスを伴った辛口のワインが造られます。同じくリースリング栽培が盛んなドイツと比べて、アルザスのリースリングは花の風味が穏やかでミディアムからフルボディの濃厚でエレガントなワインに仕上がります。


遅摘みブドウを使用した甘口ワインであるヴァンダンジュ・タルティヴに用いられる品種の一つでもあります。

田邉さんおすすめワイン リースリング / トリンバック

トリンバックは1626年に創業し、非常に長い歴史をもつアルザスを代表する生産者の一つです。 こちらのワインは、トリンバックの代名詞的な存在であるリースリングから造られたエレガントな白ワイン。リンゴや洋梨、スイカズラの香りが華やかに広がり、奥行きのあるミネラル感と伸びやで美しい酸味が特徴。キッシュロレーヌとの相性も抜群です。

リースリング
750ml

リースリング

  • エレガント&ミネラリー

  • 2021

    3,080

    (税込)

  • JS 92

ゲヴュルツトラミネール

ゲヴュルツトラミネール

華やかな香りが特徴のアロマティック品種の代表格である白ブドウ品種です。ライチやバラなどエキゾチックで独特の風味を持ち、辛口から甘口まで幅広い味わいのワインを生み出します。


元々はイタリア北部のトラミナーという品種が起源で、長い歴史があります。アルザス地方には中世の終わりに伝わったとされており、その後クローン選別が行われ、以来「スパイシーなトラミナー」という意味の「ゲヴュルツトラミネール」と呼ばれるようになりました。


土壌の好き嫌いが激しい品種で、水はけが良くミネラルが凝縮した土壌を好み、中でも特に炭酸カルシウムを適度に含んだ土壌で栽培されると、絶妙な風味を生み出すと言われています。

田邉さんおすすめワイン ゲヴュルツトラミネール レ・ジャルダン / ドメーヌ・オステルタグ

現代アルザスワインの旗手と呼ばれるアンドレ・オステルタグ氏が生み出す果実味豊かで芳醇な白ワイン。 ライチやマスカット、白いバラの華やかな香りが広がり、まろやかでコクと旨味を感じる味わい、ほのかなスパイスのニュアンスも感じられる。鴨肉やフォワグラを使ったテリーヌ、マンステールチーズとの相性は抜群です。

ゲヴュルツトラミネール  レ・ジャルダン
750ml

ゲヴュルツトラミネール レ・ジャルダン

  • アロマティック&ピュア

  • 2018

    5,060

    (税込)

ピノ・グリ

ピノ・グリ

薄いピンク色の果皮を持ったグリ(灰色)ブドウ品種ですが、リースリングやゲヴュルツトラミネールと並んで、白ワイン用高貴品種の一つとされています。イタリアではピノ・グリージョと呼ばれています。


アルザスで造られるピノ・グリはアルコール濃度が高くエレガントなボリュームあるワインに仕上がるため、その甘みのある風味がアルザスの郷土料理と相性良いとされています。

田邉さんおすすめワイン ピノ・グリ レゼルヴ / アルベール・ボクスレ

アルベール・ボクスレは、フランスを代表するワインガイド「レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス」にて3ツ星を獲得しているアルザス代表するワイナリーの一つ。 黄桃やアプリコット、キンモクセイ、アカシアを想わせる香り、まろやかで豊かな果実味が魅力。チキンのクリーム煮やパテ・ド・カンパーニュとの相性も抜群です。

ミュスカ

ミュスカ

ミュスカは、日本ではマスカットとして知られる白ブドウ品種です。似たような名前でミュスカデ、ミュスカデルという品種がありますが、いずれもまったく別の品種です。


アルザスでは果実味が前面に出た軽やかな味わいで、食前酒としても楽しむことができるワインが多く造られます。

田邉さんおすすめワイン スプリング / マルセル・ダイス

現代アルザスワイン界のトップクラスの生産者として世界にその名を知られる生産者マルセル・ダイス。 当主のミッシェル氏が「官能の宝石箱」と表現するこちらのワインは、マスカットや白いバラを想わせるアロマティックな香りと豊かな風味、爽やかさと凝縮した果実味、ミネラル感のバランスが素晴らしい。有機野菜とフルーツを盛り合わせたオードブルと合わせたい。

スプリング
750ml

スプリング

  • アロマティック&ピュア

  • 2018

    4,620

    (税込)

シルヴァネール

シルヴァネール

オーストリア原産の白ブドウ品種で、アルザスでも古くから栽培されている品種です。


現在、アルザスで栽培される白ブドウの生産量の約1割を占めており、自然なブドウの軽やかな果実の香りのある、フレッシュで繊細な味わいのワインが造られています。


アルザス・グラン・クリュの多くはリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカを原料にすることが決められているため、グラン・クリュの畑で造られたシルヴァネールでも「グラン・クリュ」を名乗ることはできません。

田邉さんおすすめワイン シルヴァネール・ヴァインバウム / トリンバック

アルザスワイン界を牽引する生産者の一人であるトリンバック氏が絶賛する、特級区間に隣接する優良畑のブドウから丁寧に造られた白ワイン。 リンゴや洋梨、スイカズラや菩提樹の香り、フルーティで爽やか、ミネラル感豊かな味わい。シュークルートやボイルソーセージの盛り合わせとの相性も抜群です。

シルヴァネール・ヴァインバウム
750ml

シルヴァネール・ヴァインバウム

  • アロマティック&ピュア

  • 2021

    4,400

    (税込)

  • 2020

    4,400

    (税込)

ピノ・ノワール

ピノ・ノワール

アルザスAOCで許可されている唯一の黒ブドウ品種です。繊細で気難しく栽培のハードルが高い反面、土地の特徴や造り手のスタイルが反映されやすいことが特徴です。


アルザスのピノ・ノワールは、軽やかで繊細な味わいのものが多く、柔らかなタンニンを持つ飲みやすいスタイルのワインが主流ですが、近年は新樽の風味をつけたり凝縮したワインに仕立てる生産者も台頭してきており、様々なスタイルのワインが広く造られています。

田邉さんおすすめワイン ピノ・ノワール・レゼルヴ / トリンバック

トリンバックは1626年に創業し、非常に長い歴史をもつアルザスを代表する生産者の一つです。こちらはアルザスで今後さらなる品質の向上が期待されているピノ・ノワールから造られた赤ワイン。 ラズベリーやブルベリー、紅茶やシナモンの香り、緻密なタンニンと伸びやかな酸味のバランスが素晴らしい。鴨肉や鶏肉のレバームースとの相性も抜群。

格付け

格付け

アルザスの格付けは「アルザス・グラン・クリュ」と「地方名AOC」の二階層で分けられています。


いずれもワインは品種をブレンドすることなく単一品種で造られることがほとんどで、使用した品種をラベルに表記するのが一般的です。

アルザスのラベル表示

最高格付けである「アルザス・グラン・クリュ」は、51の指定小地区(リュー・ディ)で造られた果汁濃度や収穫量などの一定基準を満たしたワインが名乗ることができます。一部例外を除き、白ワインかつ「リースリング」「ピノ・グリ」「ミュスカ」「ゲヴュルツトラミネール」の4品種を使用することが原則とされています。

アルザス・グラン・クリュ

「地方名AOC」でも一定基準を満たした場合、小地区(リュー・ディ)が表記されます。さらに、複数の品種をアッサンブラージュしたワインには「Edelzwicker(エデルツヴィッケール)」または「Gentil(ジャンティ)」、一定の条件を満たした甘口ワインには「VendangeTardive(ヴァンダンジュ・タルティヴ)」または「Selection de Grains Nobles(セレクション・ド・グラン・ノーブル)」と表記されます。

糖分表示

また、同じブドウ品種から造られたワインを区別しやすくするために、2021年以降アルザスおよびヴァン・ダルザスを名乗る白ワインには下記のように糖分表示が義務付けられています。

アルザスワイン豆知識

アルザスワイン豆知識

アルザスワインをさらに楽しむための豆知識をご紹介いたします。

ソムリエ解説!アルザスワインの「当たり年」って?

アルザスのワインは、そのほとんどが単一品種で造ることが義務付けられていることから、品種のブレンド比率を変えて個性をつくることができないため、その年の気候の違いがよりリアルにワインの味わいに反映されやすく、収穫のタイミング等にも神経を使うことが必要となります。 近年のアルザス地方において、当たり年と言われているのは2019年。 晴天によるブドウの成熟と適度な雨量、しっかりとした寒暖差による風味の発展、酸の生成、秋の収穫期の気候に恵まれ、広い範囲でより良いブドウが収穫できた年と考えられています。

ソムリエ解説!どんな飲み方がおすすめ?

リースリング等のブドウ品種から造られた爽やかなタイプのワインは基本的に、やや小ぶりの細身の万能型グラスで、よく冷やして(8~10度程度)飲むことで、より美味しく楽しむことができます。 一方で、ゲヴュルツトラミネールのようにアロマティックでスパイシーさとボディのあるタイプには、やや大きめのふくらみのあるグラスをおすすめします。こちらは冷やしすぎないように11~14度程度にすることで、本来の香りを充分に楽しむことができます。 ピノ・ノワールから造られる赤ワインは、ブルゴーニュ型のグラスがおすすめ。渋みが穏やかで酸味が豊かなスタイルが多いため、飲用温度は赤としては低めの14~16度程度が理想的。 アルザスワインは全般的に比較的早く飲めるタイプが主流であり、デカンタージュは基本的に必要ありませんが、「グラン・クリュ」と表記された特級区間のブドウで造られたワインは、白ワインであってもデカンタージュによってさらに香りを開かせることができます。

ソムリエ解説!熟成させるときに注意することは?

アルザスの白ワインは、新鮮な果実の風味と豊かな酸味を特徴としたタイプが多く、赤ワインは渋みが穏やかで樽のニュアンスをあまりつけないものが主流。 多くの場合、フレッシュなスタイルを楽しむものが多いですが、「アルザス グラン・クリュ」と表記された特別なエリアのブドウから造られた白ワインに関しては、風味がより凝縮しており、長期熟成により複雑性が増していくため、その変化を楽しむことができます。 その場合、コルクの乾燥を防ぎ、温度を一定化するために、冷蔵庫に保管するのではなく、12~15度程度で管理されたワインセラーで保管しておくことが重要となります。

アルザスワインにぴったりの料理

アルザスワインにぴったりの料理

造られる土地や用いられる品種ごとに多彩な味わいを持つアルザスワイン。赤ワイン、白ワインそれぞれに合う料理や食材、ペアリングのコツを田邉さんにお聞きしました。

ソムリエ解説!赤ワインにあう料理は?

アルザスの赤ワインは、ピノ・ノワールから造られた赤い果実と花の香りが感じられる、フルーティさと共に適度な渋みとなめらかな酸味を持つのが特徴と言えます。 世界の赤ワイン全体の中で考えても、比較的軽やかなスタイルであり、このような個性をもつ赤ワインには、鴨肉や鶏肉のレバームース、ソーセージの盛り合わせにマスタードを添えたお料理等、お肉を使用したオードブルとの組み合わせがおすすめです。 肉の旨味を緻密な渋みと豊かな酸味が引き出してくれます。ドイツの食文化の影響を受けたアルザスのワインに対して、郷土的なマリアージュという観点でもぴったりと相乗します。

ソムリエ解説!白ワインにあう料理は?

リースリングやシルヴァーナ等、アルザスを代表するブドウ品種から造られる酸味豊かで爽やかな辛口スタイルの白ワインと、シュークルート(ザウアークラウト)は相性抜群。 野菜やお肉の旨味をワインの豊かな酸味とミネラルが引き出してくれます。ゲヴュルツトラミネールやピノ・グリには、フランスの伝統料理であるパテ・ド・カンパーニュやフォワグラのテリーヌに、アプリコットやリンゴのコンポートを添えたオードブルがよく合います。 ワインの豊かな果実風味と甘味、コクのある味わいがお肉とフルーツの味わいと風味にしっかりと調和します。

まとめ

同じアルザスのワインでも、場所によって味わいが全く別物になるほど土壌の種類が豊富なアルザス地方。ぜひ土地ごとに飲み比べてみてくださいね。

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