ワイン産地を知ろう!ポルトガルワインの特徴

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公開日 : 2025.9.25
更新日 : 2025.9.25
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ポルトガル

近年、世界中で評価が高まりつつある「ポルトガルワイン」。


ポルトガルといえばポートワインのイメージが強いかもしれませんが、実は個性豊かな土着品種と多様な気候を活かし、赤・白・スパークリングまで幅広いスタイルのワインが造られています。


しかも、フランスやイタリアに比べて価格が手頃なので「隠れたコスパワインの宝庫」とも言えるでしょう。


今回は、そんなポルトガルワインの魅力をソムリエの解説とともに、詳しくご紹介します。

ポルトガルのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 第6回 キュヴェ・ルイーズ・ポメリー ソムリエコンテスト優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

ワイン産地としてのポルトガルってどんなところ?

ワイン産地としてのポルトガル

イベリア半島の西端に位置するポルトガルは、多様な気候と土壌を持ちます。国土の東と北はスペインと国境を接し、西と南は大西洋に面しています。


北西部の大西洋沿岸の平野や丘陵地帯では海風が常に吹き、湿度が高く、降水量も比較的多く、年間を通して穏やかな海洋性気候となっています。


対して北部を中心とした山岳地帯は、大西洋からの風が遮られるため、年間平均気温は約10度と涼しく、夏は温暖、冬は冷え込む山岳性気候となります。


内陸部には広大な平野が広がり、緩やかな起伏のある丘陵地帯が続きます。夏は非常に暑く乾燥し、降水量が少ない典型的な地中海性気候です。


このように多様な気候を持つポルトガルのワイン造りの歴史は非常に古く、紀元前600~500年頃にフェニキア人によって始まり、ローマ時代に発展しました。


中世には一時衰退しましたが、大航海時代になると主要な輸出品の一つとなり、ポートワインが隆盛を迎えます。1756年にはドウロ地方で、世界最古とされる近代的な原産地呼称制度(DOC)が制定されました。


近年は多様な土着品種を活かしたワインが国際的に高い評価を得ています。

ソムリエ解説!ポルトガルのワイン造りの特徴とは?

ポルトガルは南北約560km、東西約160kmと小さな国でありながら、大西洋に面し、北から南まで多様な気候と土壌を有するワイン生産国です。 北西部は海の影響を強く受け、風と豊富な雨に恵まれた比較的涼しい気候帯で、ここでは「ヴィーニョ・ヴェルデ」の白ワインが特に有名です。 爽やかなスタイルが主流ですが、ロゼワインも人気があり、近年では樽熟成による複雑味のあるタイプも徐々に注目されています。 ドウロ渓谷では、急斜面のブドウ畑から、世界三大酒精強化ワインの一つである「ポート」が造られています。凝縮感のある甘口の酒精強化ワインは、ルビー、ホワイト、ロゼ、トウニー、さらには長期熟成したヴィンテージタイプまで幅広く生産されています。 そのほか、大陸性気候に属する中部エリアでは、ダンやバイラーダの赤ワイン、タヴォラ・ヴァローザのスパークリングワインが高い評価を得ています。 南部は大陸性気候と地中海性気候の両方の影響を受け、アレンテージョでは伝統的にアンフォラによる醸造が行われています。 さらに、リスボンから南西へ約1,000kmの大西洋上に浮かぶマデイラ島では、ポルトと並ぶ世界三大酒精強化ワインの一つ「マデイラ」が造られ、世界的な知名度を誇っています。

また、ポルトガルには世界でも類を見ないほど多くの土着品種が存在します。


その数は250種類以上と言われており、これがポルトガルワインの多様性と個性を生み出す最大の理由の一つです。

ソムリエ解説!土着品種が多いのはなぜ?

ポルトガルには約250種類もの土着品種が存在し、1ha当たりの土着品種数では世界最多を誇ります。 その背景には、1932年から1968年まで続いたサラザール独裁政権下における鎖国的状況があったと言われています。 また、伝統を重んじる文化のもと、小規模農家が自家消費用として多様な品種を育て続けてきたことも大きな要因です。 さらに、大西洋沿岸から内陸の山岳地帯、南部の乾燥地帯に至るまで多彩な気候と土壌が存在しており、生産者たちはそれぞれの土地に最適な品種を理解し、代々守り伝えてきました。 ソムリエ解説!世界的に注目されているってほんと? 近年、ポルトガルワインは世界的に注目度を高めています。多彩な土着品種が生み出す独自性と、品質向上へのたゆまぬ努力、そしてそれらを世界に向けて発信する積極的なプロモーション活動の成果が、その背景にあります。 ポートやマデイラの高い知名度に加え、近年ではヴィーニョ・ヴェルデの白やロゼワイン、さらにドウロやバイラーダの果実味豊かな赤ワイン、タヴォラ・ヴァローザの瓶内二次発酵によるスパークリングワインなど、多彩なスタイルが存在し、その独自性とクオリティの高さが高く評価されています。 国際コンクールでも数多くの受賞歴を重ねており、今後のさらなる発展に期待が寄せられています。

栽培されている主なブドウ品種

ポルトガルで栽培されている主なブドウ品種を紹介します。

ロウレイロ

ポルトガル北部のヴィーニョ・ヴェルデ地方で栽培される白ブドウ品種。ポルトガル語で「月桂樹」を意味し、その名の通り、月桂樹の葉や花のような爽やかな香りが特徴です。


伝統的にはブレンドされて使われることが多い品種ですが、近年は単一品種で造られることも増えています。


微発泡性のヴィーニョ・ヴェルデやスティルワイン、スパークリングワインなど、多様なスタイルのワインに用いられ、アロマティックかつフレッシュでバランスの取れた酸味がある、軽快な味わいのワインが造られています。

アリント

アリント

ポルトガル全土で広く栽培されている主要な白ブドウ品種。


アリントの最大の特徴は、温暖な気候でもその高い酸度を維持できることで、この特性のおかげで、温暖な地域で栽培されてもワインにフレッシュさと骨格をもたらします。


また、酸が不足しがちな他の品種とブレンドされることで、ワイン全体のバランスを整える役割も果たします。


アリントから造られるワインは、若いうちからその爽やかさを楽しめますが、数年間の熟成にも耐えうるポテンシャルも持ち合わせています。

アルバリーニョ

アルバリーニョ

ポルトガル北部からスペイン北西部にかけてのイベリア半島沿岸部を原産とする、アロマティックな白ブドウ品種です。


温暖な気候でも高い酸度を保つ特性を持ち、ワインに生き生きとしたフレッシュさを与え、長期熟成のポテンシャルも高めます。

トゥリガ・ナショナル

トゥリガ・ナショナル

ポルトガルを代表する黒ブドウ品種で、主にドウロ地方とダン地方で栽培されています。ポートワインの主要なブレンド品種として、ワインの骨格と香りを形成する上で不可欠な存在です。


造られるワインは単一品種の辛口赤ワインとしても近年高い評価を得ており、力強くもエレガントなスタイルが世界的に注目されています。

トゥリガ・フランカ

トゥリガ・ナショナルと並んでポルトガルを代表する黒ブドウ品種の一つ。特にドウロ地方で多く栽培されており、ポートワインや辛口赤ワインのブレンドに不可欠な存在です。


トゥリガ・ナショナルよりも柔らかなタンニンと華やかで繊細なアロマに、複雑さとエレガンスを持つワインが造られます。


単一品種でワインが造られることは比較的少なく、主にトゥリガ・ナショナルやティンタ・ロリスといった他の品種とブレンドされ、ワインに繊細なアロマと滑らかな口当たりを与える役割を果たします。

ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)

ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)

スペイン北部原産の黒ブドウ品種でテンプラニーリョの別名です。ポルトガルでは特にドウロ地方とダン地方で広く栽培されています。


トゥリガ・ナショナルやトゥリガ・フランカといった他の品種とブレンドされ、ワインにフルーティーさと滑らかな口当たりを与えます。このブレンドは、ポートワインや高品質な辛口赤ワインのスタイルを形成する上で重要な役割を果たしています。


また、単一品種でもワインが造られることがあり、その場合は品種の特徴がストレートに表現された、果実味豊かなワインになります。

知っておきたい有名産地

多様な気候と土壌を持つポルトガルの産地の特徴を解説します。

ヴィーニョ・ヴェルデ

ヴィーニョ・ヴェルデ

ヴィーニョ・ヴェルデとは、ポルトガル北部のスペインとの国境地帯に位置する、ワイン産地ミーニョ地方の産地名です。「緑の地」と言われるほど自然が豊かな地域で、別荘地としても有名です。


1年を通して穏やかで、湿潤、そして涼しい海洋性気候をしており、この気候が、この地方のワインに特有のフレッシュで高い酸と軽快な味わいをもたらします。


造られるワインは、微発泡ワインよりも更に弱い泡を感じることがあり、比較的アルコール度数は低め。果実をそのまま口に含んだ様な瑞々しい爽やかな味わいのものから、樽熟成の深みある味わいのものまで様々なスタイルのワインが生産されています。


ポルトガルのワイン法では、厳しい条件をクリアした場合に「D.O.P.ヴィーニョ・ヴェルデ」と表記することができ、その一部の若々しく低アルコールで微かな発泡を感じるフレッシュなワインがヴィーニョ・ヴェルデと呼ばれているものになります。

田邉さんおすすめワイン ソアリェイロ / ソアリェイロ

初めてテイスティングした時からその品質の高さに驚かされたワイナリーです。 私がワインディレクターを務めるレストランでも長年オンリストしており、ゲストからも大変好評をいただいています。また、SNSなどでも個人的に広くおすすめしてきました。2022年には現地のワイナリーを訪問する機会にも恵まれました。 まさに、ヴィーニョ・ヴェルデにおけるアルバリーニョの真骨頂を体感できる1本です。

ソアリェイロ・アルバリーニョ
750ml

ソアリェイロ・アルバリーニョ

  • エレガント&ミネラリー

  • 2023

    3,190

    (税込)

ドウロ

ドウロ

ポルトガル北部を流れるドウロ川沿いに広がる、世界で最も歴史あるワイン産地の一つです。ポートワインの産地として有名ですが、近年は高品質な辛口のスティルワインの生産地としても世界的に高い評価を得ています。


ドウロ地方の最も顕著な特徴は、その険しい地形です。ドウロ川の両岸には急峻な斜面が続き、ブドウ畑は石垣で築かれた段々畑(テラス)で栽培されています。この独特の景観は、2001年に世界遺産に登録されました。 


気候は、大西洋からの影響が山脈によって遮られるため、夏は非常に暑く乾燥し、冬は寒くなるという大陸性気候です。昼夜の大きな寒暖差が、ブドウの糖度と酸のバランスを保ち、風味を凝縮させます。

田邉さんおすすめワイン デュアス・キンタス・ティント / ラモス・ピント

ポートワインの伝統的生産者として名高いラモス・ピントによる、ポルトガルの土着品種を用いた果実味豊かな赤ワインです。 ポートワインだけにとどまらず、この地域の赤ワインが持つ高いポテンシャルを実感できる1本。豚の角煮や焼き鳥のタレ焼きとも相性抜群です。

デュアス・キンタス・ティント
750ml

デュアス・キンタス・ティント

  • リッチ&グラマー

  • 2021

    3,520

    (税込)

  • WE 90

ダン

ダン

ポルトガル中部、ドウロ地方の南に位置する歴史あるワイン産地です。


ダン川の渓谷に広がる標高の高い地域で、花崗岩質の山々に囲まれているため、大西洋からの影響が遮られ、夏は暑く乾燥し、冬は寒く雨が多いという大陸性気候となります。


昼夜の寒暖差が大きいことも特徴で、これによりブドウは健全な酸を保ちながらゆっくりと成熟します。


隣接するドウロ地方の力強く凝縮感のあるワインとは対照的に、エレガントでバランスの取れたスタイルで知られています。

バイラーダ

バイラーダ

ポルトガル中部の大西洋沿岸に位置するワイン産地です。大西洋に近いため、年間を通して温暖で度が高く、降水量も比較的多い海洋性気候を有します。


この気候が、この地方の代表的なブドウ品種であるバガの栽培に非常に適しています。バイラーダのバガ種から造られるワインは、若い時には扱いにくいとされることもありますが、熟成させることで真価を発揮する、個性豊かで奥深いワインとして知られています。

アレンテージョ

アレンテージョ

ポルトガル南部を占める広大な地域で、国内最大のワイン産地です。その広大な平野と緩やかな丘陵地帯、そしてコルク樫の木が作る風景が特徴的です。


暑く乾燥した典型的な地中海性気候で、果実味豊かな赤ワインやコクのある白ワインが造られています。


アレンテージョのワインは、一般的に若いうちから楽しめる高品質なワインが多いことで知られており、優れたコストパフォーマンスから世界的に注目を集めています。

ポルト

ポルト

ポルトガル北部に位置する、首都リスボンに次いで二番目に大きい都市です。ドウロ川の河口に広がり、その歴史と文化、そして活気あふれる街並みで知られています。


ドウロ川の河口に位置する港町であり、世界三大酒精強化ワインの一つであるポートワインの出荷拠点であったことから、ワインの名前の由来となりました。

田邉さんおすすめワイン ファイン ルビー・ポート / テイラーズ

日本のワイン業界でも高い知名度を誇り、長年にわたりその存在感は揺るぎません。 以前ポルトを訪れた際、出荷地を目の当たりにし、ここから日本へと長い年月にわたり運ばれてきたことを思うと、感慨深いものがありました。 豊かな果実のアロマと、芳醇で奥行きのある味わいを楽しめる、ルビー・ポートの魅力が詰まった1本です。

ファイン ルビー・ポート
750ml

ファイン ルビー・ポート

  • 赤ワイン
  • 2,805

    (税込)

マデイラ

マデイラ

ポルトガル本土から南西に約1,000km離れた大西洋上に浮かぶマデイラ諸島は、火山性の起伏に富んだ島々から成ります。


気候は1年を通して湿度が高く温暖な亜熱帯気候で、世界三大酒精強化ワインの一つ、マデイラワインが造られています。


マデイラのワイン造りにおける最大の特徴は加熱熟成させること。熟成する過程においてワインの大敵である熱を加えることで、意図的にワインを酸化させ、独特の風味が生まれます。


最低熟成期間は3年間で、ワインのアルコール度数は17~22度。開栓後もそれ以上酸化が進まないため長く風味を楽しめるのも魅力です。

セトゥーバル

セトゥーバル

セトゥーバルは、ポートとマデイラと並び、ポルトガル三大酒精強化ワインの一つに数えられるモスカテル・デ・セトゥーバルを生み出す産地。


首都リスボンの南、テージョ川を挟んで対岸にある半島に位置しています。温暖で乾燥した地中海性気候ですが、大西洋から吹く冷たい海風の影響で、夏の厳しい暑さが和らぐため、ワインはただ甘いだけでなく、フレッシュでバランスの取れた味わいになります。

ポルトガルワイン豆知識

ポルトガルワインの豆知識を田邉さんに聞いてみました!

ソムリエ解説!世界三大酒精強化ワインとは?

酒精強化ワインとは、発酵の途中または後にグレープ・スピリッツを添加して造られるワインのことで、保存性が高く、豊かな風味を備えているため、古くから航海や貿易の歴史と深く結びついてきました。 その代表格が「世界三大酒精強化ワイン」と呼ばれるポルトガルのポート、マデイラ、そしてスペインのシェリーです。 酒精強化ワインの産地はヨーロッパ南部に集中しており、その理由は温暖な気候ゆえにワインが劣化しやすく、保存性を高めるためにアルコールを加える技術が発達した点にあります。 大航海時代には大陸間の往来や貿易が盛んになり、品質が安定して長い船旅にも耐えられる酒精強化ワインの需要が急速に高まりました。 こうして現在のスタイルが確立されていったのです。さらに、世界三大酒精強化ワインの産地はいずれも海に面した貿易拠点であり、特にイギリス人に愛されたことが、これらの地域の発展を後押しする大きな要因となりました。

ソムリエ解説!ポルトガルはコルクの一大産地

ワイン生産国として知られるポルトガルですが、実はコルクも主要な輸出製品の一つです。 世界のコルク生産量の約半分を占め、15,000人以上がこの産業に従事していると言われています。ワイン栓の主要供給源として欠かせない存在です。 その中心的役割を担うのが、1870年に創業した老舗のアモリン社。現在では世界最大のコルク製品メーカーであり、ワイン用コルク栓の分野で圧倒的なシェアを誇ります。 革新的な技術により徹底した品質管理を行い、ワインの熟成に最適なコルクを提供し続けてきました。 近年は持続可能性にも注力し、コルクを余すところなく活用する循環型生産を推進。さらに、インテリアやファッションなど新たな分野へも展開しています。 加えて、コルク臭の原因となるTCAのリスクを取り除いた製品を開発するなど、技術面でも世界をリードする存在です。 ワイン文化とともに歩んできたコルク産業、そしてアモリン社の存在は、ポルトガルが世界に誇るもう一つの顔と言えるでしょう。

ソムリエ解説!織田信長が飲んだのはポルトガルワイン?

戦国武将・織田信長が好んで飲んだと伝わる「珍陀酒(ちんたしゅ)」は、実はポルトガルからもたらされた赤ワインであると考えられています。 ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見は、ポルトガルに莫大な富をもたらし、さらに東方へ進出し、やがて日本に到達。 これを機に南蛮貿易が始まり、織田信長をはじめとする大名の庇護のもと、南蛮文化が栄えていきました。 16世紀、南蛮貿易によって初めて西洋文化が日本にもたらされた時代、信長は宣教師や商人を通じてワインに出会ったとされます。 特に「珍陀酒」と呼ばれるポルトガルの赤ワインを愛飲したと伝わっています。この「珍陀酒」という呼び名は、ポルトガル語で赤ワインを意味する “Vinho Tinto(ヴィーニョ・ティント)” に由来し、「ティント」が「珍陀」へと変化して伝わったものと考えられています。

ソムリエ解説!世界で初めての原産地呼称管理法が制定

ポルトガルは、ワイン法の歴史において世界の先駆者的な存在といえます。 ドウロ地方はワイン生産地として1754年に制定され、ポルトにおいては1756年に世界で初めての原産地呼称管理法が成立しました。 当時の王室は、品質の低下や偽装を防ぐため、ブドウの栽培地域や醸造方法を厳格に定めたといわれています。 ポルトガルワイン全体のワイン法は、1986年のEU加盟に伴い整備されました。原産地呼称ワイン D.O.C.、産地限定上質ワイン I.P.R.、地理的生産地表示 Vinho Regional の4階層が制定され、体系化されました。 さらに、2008年のEUワイン法改訂により、現在の制度は以下の3カテゴリーに整理されています。 D.O.P.( D.O.C. としてラベル表記も可能) I.G.P.( Vinho Regional としてラベル表記も可能) Vinho(ブドウ品種名や収穫年の有無にかかわらず、複数地域のブドウをブレンドして造ることが可能) これにより、ポルトガルワインは品質と地域特性を明確に示しつつ、多様なスタイルのワインを提供できる体制が整えられました。

ポルトガルワインにピッタリの料理

ポルトガルワインにピッタリの料理

ポルトガルのワインにピッタリな、田邉さんおすすめの料理をご紹介します。

ソムリエ解説!白ワインに合う料理は?

ポルトガルの白ワインは、新鮮な果実や花の香り、爽やかな酸味を特徴とするフルーティーなスタイルが主流です。 特に北部のヴィーニョ・ヴェルデは白ワインの産地として有名で、爽やかでミネラリーな味わいから、ウェルカムドリンクや乾杯用にも最適です。 フレッシュトマトとツナを盛り付けたグリーンサラダ、ナスやズッキーニなどの野菜の天ぷら、生ハムとオリーブの盛り合わせといった軽やかな料理とのペアリングがおすすめです。 一方、ブドウ品種エンクルザードなどから造られるオーク樽由来のニュアンスを持つ白ワインには、鶏肉や豚肉のグリルに、クリームソースやマッシュルームのソテーを添えた料理がよく合います。

ソムリエ解説!赤ワインに合う料理は?

ポルトガルの赤ワインは、ブドウ品種ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)、トウリガ・ナショナル、バガなどから造られる、熟したベリーフルーツやスパイスのアロマを感じる、果実味豊かでしっかりとした味わいのものが主流です。 これらのワインには、スパイスを効かせた牛肉やラム肉のグリルに黒オリーブを添えた料理や、炭火焼肉とのペアリングがおすすめです。 一方、ブドウ品種ジャエン(スペインではメンシアと呼ばれる)から造られる、瑞々しさを感じる、タンニンの穏やかな赤ワインには、ソーセージやサラミの盛り合わせ、そしてポルトガルで多く生産される羊乳チーズがよく合います。

ソムリエ解説!ポートワインのような甘口ワインに合う料理は?

ポートワインは、豊かな香りと甘味、果実の豊潤な風味をもち、蒸留酒由来の独特のブランデーを思わせるフレーバーが魅力です。 一般的には食後酒として楽しまれることが多いですが、デザートはもちろん、チーズとの相性も抜群です。 特にチョコレートとの組み合わせが優れており、ルビーポートにはダークチョコレートのタルト、ホワイトポートにはホワイトチョコレートのムースケーキ、ロゼポートにはイチゴのタルトなど、色調に合わせたペアリングがおすすめです。 また、ブルーチーズとの相性も素晴らしく、ブルーチーズの豊かな旨味と塩味に、ポートワインの豊潤な果実味と甘味、酸味が加わることで、補完のマリアージュが完成します。 驚くほど豊かな味わいが口いっぱいに広がりますのでぜひお試しください。

まとめ

ポルトガルは、豊かな自然と長い歴史に育まれたワインの宝庫です。


ポートやマデイラといった酒精強化ワインから、爽やかな白や力強い赤まで多彩なスタイルが揃い、しかも価格は手頃。魚介や肉料理、デザートとも合わせやすく、日常にも特別な日にも取り入れやすい存在です。


次にワインを選ぶときは、ぜひポルトガルワインに注目してみてください。新しいお気に入りが見つかるはずです。

ポルトガルのワイン一覧

文=岡本名央

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