ワイン業界が取り組むSDGs

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公開日 : 2023.7.5
更新日 : 2023.7.12
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ワイングラス

近年声高に叫ばれている「SDGs」。気候変動や格差の拡大など人類が抱える大きな課題を解決し、サスティナブル(=持続可能)なより良い世界を次世代に繋いでいくために設けられた17の国際目標です。2015年9月の国連サミットで採択されました。


多くの企業や市民団体等が積極的に取り組んでおり、日々の生活の中でも身近な存在になっていませんか。


ワイン業界も例外でなく、様々な取り組みが行われています。農産物のブドウを原料とするワインは、気候変動による影響が大きいことからもサスティナブルなワイン造りへの関心が高まっているのです。


では実際、ブドウ栽培からワインが消費者の手元に届くまで、どのような取り組みが行われているのでしょうか。その背景と取り組みをお伝えします。

目次

積極的な取り組みが行われる背景

ワイン業界でサスティナブルな取り組みが広まるようになったのは、SDGsが叫ばれる少し前。


大量生産のために化学肥料を使ったことで、かえってブドウが正常に生育しなくなるという悪循環に陥ったことがきっかけです。


フランスでは1960年代から80年代にかけて、化学肥料や農薬を大量に使用することで大量のブドウを簡単に生産できるようになりました。


しかし大量生産されたブドウは個性が乏しく、特徴的なワインを造るためには醸造の際にも人工的な手段が必要となってしまったのです。


また化学肥料を与えたブドウ樹は、地表付近で養分を吸収できるため、地中深くまで根を張らなくなるという変化が。


このような反省点から、有機栽培などの自然や環境に配慮したブドウ栽培が広がっていったのです。

花

そしてちょうど地球温暖化による環境問題への関心や世界的な健康志向の高まりを受け、自然や環境、人にも優しいオーガニック市場の拡大に繋がったと考えられています。


気候変動による影響は、皆さんも感じていませんか?これまでに経験したことのない豪雨や熱波の到来。世界各国も同様で広範囲にわたる山火事や洪水、霜害など深刻な被害に見舞われています。


こうした変化を少しでも防ぎ未来へ繋いでいくために、ブドウ栽培と醸造の課題だけでなく、幅広い視野からワイン生産のすべての過程を見直すことが求められるようになったのです。

具体的な取り組み

では具体的にどういった取り組みが行われているのでしょうか。その一部を紹介します。

耕作馬

耕作馬

まずは畑仕事について。耕作に馬の力を借りる生産者も増えています。


まだトラクターなどがなかった時代へ原点回帰しているようにも感じますが、今改めて馬の使用が見直されているのです。その理由は、大きく分けて二つあります。


一つ目は、土壌内の微生物の活性化に繋がるということ。微生物には、土の中に入ってくる有機物をブドウ樹が吸収できる栄養素にまで分解する働きがあります。


しかしトラクターを使用するとその重さで土壌を踏み固めてしまい、微生物の減少につながる場合があります。そこで馬たちの活躍です。トラクターに比べ土壌を柔らかい状態で保つことができ、微生物の活性化を促してくれるのです。


馬の使用が見直されているもう一つの理由は、トラクターのように気候変動に繋がる二酸化炭素を排出しないためです。

気候変動に対応する品種の栽培

ブドウ

そもそも栽培するブドウ品種を変更する生産者も現れてきました。


これまではよく熟した糖度の高いブドウを収穫するために技術を進化させてきましたが、気候変動によりブドウが熟しすぎる事態となっています。


それによりアルコール度数が高く、酸味が低くなりすぎるなどワインのバランスが崩れてしまったのです。


その対策として行われているのが、現在のテロワールに適したブドウにシフトすること。


ボルドーでは、2021年にINAO(※)が気候変動に対応できる新たな6品種を正式に認可。これまでもワインの品質を保つための対策として、収穫時期を早めたり、夜間での収穫を試みたり、ブレンドの際にカベルネ・フランなどの晩熟な品種の比率を上げるなど模索していましたが、新品種の認可により新たな選択肢が増え柔軟なワイン造りが可能になります。


イタリアワインの帝王ガヤがトスカーナ・ボルゲリで手掛けるカ・マルカンダでは、ワインのセパージュを、早熟なメルロから遅熟でよりフレッシュ感のあるカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンに変更。


またスペインワインの名門トーレスでは、気候変動に対応したワイン生産に向いていると判断した古来品種を復活させ、新たなワインを誕生させています。

※ワインの原産地呼称を保護するためのフランスの公的機関

環境に配慮したパッケージ

ブドウ栽培や醸造といった側面だけでなく、直接お客様の手に届くパッケージにもサスティナブルな取り組みが行われています。


メドック格付け第一級シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドでは、新たにワイナリー初となるオーガニック認証のワイン「ムートン・カデ・ルージュ・オーガニック」をリリース。


輸送時やボトル製造の際に発生する二酸化炭素排出を抑制するリサイクル可能な軽量ボトル、再生紙を使用したラベル、100%リサイクル可能なアルミニウムを使用したキャップといった、環境に配慮したパッケージを採用しています。


「地球環境の保全がこの時代の優先事項の一つである」という、CEOのフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド男爵の想いから生まれた1本です。

フェアトレード

フェアトレード

最後にご紹介するのがフェアトレード。


途上国などの立場の弱い労働者や生産者に適正な賃金が払われ、自立できるように支援する貿易の仕組みのことです。SDGsが掲げる17の目標のほぼすべてに関係しています。


スペインのワインメーカー、トーレスが経営するミゲル・トーレスは、高コスパのワイン産地チリ最大のフェアトレード生産者と言われています。


1960年代に外資企業として最も早くチリに進出したミゲル・トーレスは、当時未熟だったチリのワイン産業にいち早く最新技術を導入し広めた近代化の立役者。


そんな彼らは、2010年にチリ地震で苦しむチリの人々を救済するためフェアトレードを始め、認証を取得しました。


ミゲル・トーレスの取得しているフェアトレード認証「FAIR FOR LIFE」は、以下の三つを基本原理とした包括的なフェアトレード認証です。

①人権とフェアな労働条件の尊重

②環境と生物多様性・持続可能な農業の尊重

③地域への貢献の尊重

ワイン業界のSDGsへの取り組みは他にも、水質資源の保全のため樽洗浄の水のリサイクルや点滴灌漑、雨水の利用など効率的な水の利用などが挙げられます。


また、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギーの使用や、輸送に使用する自動車の電気自動車への切り替えなど、ワイン生産のあらゆる角度から、サスティナブルな取り組みが行われているのです。

まとめ

次世代にできる限り明るい未来を託せるよう、ワイン業界でもSDGsに関する様々な取り組みが行われています。


ワインを選ぶ際そういったワインを手に取ることで、個人としてのSDGsへの取り組みに繋がるのではないでしょうか。

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