もう安物ワインではない!スクリューキャップワインの利点とは?

コルクにそっとスクリューを差し込んで回し、ソムリエナイフのフック部分をかけて優雅に引き抜くという動作。素晴らしいワインに口をつける前の、ある種儀式のようなその開栓行為を含めてワインを飲む雰囲気を存分に楽しみたいですよね。

しかし近年、わざわざオープナーが必要ないスクリューキャップのワインも増えてきています。

「いやいや、あれは安物ワイン特有のものだから」と思う人も多いと思いますが、最近では案外そんなこともないってご存知でしたか?

ニュージーランドでは90%以上のシェア

スクリューキャップは1970年からワインに使用されるようになりました。

天然コルクに比べてコストが低いことと、お手軽に開栓できることから、そして生産者がコストを抑えたい安価なワインに多く採用されてきた歴史から安いイメージがついてしまっています。

近年はニュージーランドで90%以上のシェアを獲得し、近くのオーストラリアでも多く使用されるようになったため、当然ながら高級ワインにも採用されることで少しずつイメージの払拭がはかられつつあります。

では、コルクとの大きな違いはどんな点にあるのでしょうか?

スクリューキャップと天然コルクの違い

スクリューキャップを使うメリットは多岐にわたります。

TCA(トリクロロアニソール)の発生をほぼ防ぐことができる

何と言っても最大の利点はブショネワインの発生を、極少数まで下げることができるという点です。

ワインをブショネ状態にさせるTCAは、コルクの中にあるカビと塩素消毒が化学反応を起こして発生します。

ワイナリー自体が汚染されていたり、ワインを入れたダンボールが汚染されている場合はスクリューキャップのワインにも発生が認められたという事例がありますが、天然コルクを利用した場合の3%から5%という発生率に比べると、発生は極々わずかとなります。

熟成の速度が遅い

多くの専門家が今もなお議論を続けていますが、天然コルクは極微量に酸素を通しているという意見があります。

一方でスクリューキャップはほぼ空気を通さないため、瓶内での熟成がより緩やかに進行し長期熟成に向いていると言われています。

ただし、20年以上の保管については栓自体の耐久性について疑問を示す意見もあります。

栓の乾燥に気を使う必要がない

天然コルクのワインは、コルク部分の乾燥を防ぐためにボトルを寝かせて保管する必要があります。

コルクの乾燥によって液漏れなどのトラブルを防ぐためです。スクリューキャップは乾燥しないので、例えボトルを縦にして保管していても問題ありません。

開栓の際のトラブルを防ぐことができる

天然コルクは開栓する際に、ボロっと崩れた欠片がワインに落ちてしまい風味に悪影響を与えてしまうことがあります。

そのためにプロのソムリエはワインごとのコルクの長さを把握し、スクリュー部分が突き抜けないよう気を配っていますが、開栓に慣れていない人はなかなかそうもいきません。

スクリューには、その心配がありません。また、コルクの場合は手元にオープナー自体がないと開けられないなんていうことも。スクリューは開栓が手軽であることも魅力のひとつです。

スクリューキャップでほぼ防げるTCAがワインに与える影響

天然コルクの使用と比べた際、一番大きな利点はやはりブショネをほぼ防ぐことができるという点です。

わずかなブショネなら感じ取れる人が少ないといわれており、中にはプロでもブショネワインにあたったことがないなんていう人も。

とは言え、ブショネの原因であるTCAはニオイとして感じられないほど僅かでも発生するとワインに悪影響を及ぼすことがわかっています。

大阪大学大学院が2013年、TCAは不快な香りを感じさせるだけでなくヒトの嗅覚を減弱・遮断させると発表。

ブショネワインは腐ったお酢や雑菌が繁殖した雑巾のニオイに例えられますが、そのニオイがしない場合でもTCAに汚染されていると、本来香るはずの豊かな風味が遮断され“つまらない”“薄っぺらい”“ポテンシャルの低い”と表現されるようなワインに変貌してしまうというのです。

それゆえ、TCAの発生を極わずかに抑えることができるスクリューキャップは、ワインを楽しみたい消費者の強い味方だと言えるでしょう。

ブルゴーニュでは天才醸造家が採用

このような利点があっても、開ける際の“パキパキッ”という音や、ソムリエナイフを使用しない動作などが味気ないと感じる消費者は多いようです。

しかし安価なイメージを差し引いても、その利点はワイン生産者にとっても魅力的なもの。

ブルゴーニュでは2000年に設立された新しいドメーヌであるパトリス・リオンがブルゴーニュ・シャルドネに採用しています。天才醸造家と名高いパトリスは最新の栽培技術や醸造技術、熟成技術を絶えず研究している、ネゴシアンとドメーヌという両方の顔を持つ生産者。

自社畑では有機栽培を行っており、スクリューキャップの利点を評価して早くから導入しました。

パトリス・リオンに限らずブルゴーニュでも少しずつスクリューキャップの導入が増えつつありますが、一方でグラン・クリュに採用していた老舗ドメーヌが採用を取りやめた事実も。スクリューキャップを使用したワインには還元臭が目立ったからだとされています。

まとめ

近年では二酸化炭素を使用し、特殊な方法で処理してTCAの発生をほぼゼロにしているDIAM(ディアム)コルクも登場し、その活躍に期待されています。

しかし手軽さでは群を抜き、TCAの発生も極力抑えることができるスクリューキャップは、特にこれからワインを楽しみたいと考える消費者に寄り添ったワイン栓だと言えるのではないでしょうか。

開栓する際も、片方でキャップシール部分を握り、もう片方のボトル底部を掴んだ手を回すという方法ならスタイリッシュに見せることも。

もしレストランでスクリューキャップが出てきても「安ワインか……」なんて残念に思わずに「機能性が高い!」と好意的に見てあげてくださいね。

参考:大阪大学公式サイト「ワインのブショネ(コルク汚染)の生命機構解明──ワインのみではなかった、飲食品のおいしさ破壊の原因は「匂いを感じさせなくなる物質・TCA」──」