イタリアなのにドイツ的?トレンティーノ・アルト・アディジェ州で造られるワイン

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公開日 : 2020.1.25
更新日 : 2022.5.23
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トレンティーノ・アルト・アディジェ州 風景

イタリア北部のトレンティーノ・アルト・アディジェ州は、かつてはチロルと呼ばれた地域の一部で、第一次世界大戦前までオーストリア=ハンガリー帝国の領土でした。そのため、ドイツ語を母語とするドイツ系の住民が多く、造られているワインにもドイツの影響が見られます。

今回はイタリアを代表する白ワインの産地でもある、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のワインについて紹介致します。

目次

トレンティーノ・アルト・アディジェ州ってどんなところ?

トレンティーノ・アルト・アディジェ州はオーストリア、スイスと国境を接するイタリア最北端の州で、北部のアルト・アディジェ地方と、南部のトレンティーノ地方に分けられ、アルト・アディジェ地方ではドイツ語イタリア語とともに公用語とされているのです。

州のほとんどが山岳地帯で耕作可能地は少なく、森林が土地の70%を占めています。そして、州の真ん中を北から南にアディジェ川が流れ、その両側には風光明媚な世界遺産ドロミーティ山塊が連なっています。

気候は州の南北で異なり、トレンティーノ地方は温暖な地中海性気候、アディジェ川中部の渓谷は雨が少ない大陸性気候、そしてアルト・アディジェ地方はアルプス性気候に変わります。しかし、北部でも渓谷を通り抜けるフォーンと呼ばれる温暖な南風によって寒さは和らげられ、ブドウ栽培を可能にしています。

トレンティーノ・アルト・アディジェ州 風景

トレンティーノ・アルト・アディジェ州はイタリアに五つある特別自治州の一つで、北部のボルツァーノ自治県(アルト・アディジェ地方)も南部のトレント自治県(トレンティーノ地方)も幅広い権限を持っています。そのため、アルト・アディジェでは道路標識やワインのエチケット等すべてドイツ語とイタリア語併記となっています。

これらは、チロル公国からハプスグルグへと引き継がれたアルト・アディジェがトレンティーノとともにイタリア王国領となった後でも、「ドイツ人以上にドイツ的」と言われる住民達が、自分達の文化を守り生活していることに由来しています。

ワインの生産量は白ワインが72%と多く、名実ともにイタリアを代表する白ワインの産地です。特にドイツ系のアロマティックなブドウ品種から造られる白ワインは国内外で高い評価を得ています。

代表的な産地とワイン

トレンティーノ・アルト・アディジェ州 地図

それでは、北部のアルト・アディジェ地方と南部のトレンティーノ地方の産地とワインについて具体的に見ていきましょう。

アルト・アディジェ地方

白ブドウ

アルプスに近いため冷涼な気候ですが、昼間は気温が上がります。また、石灰土壌と火山性土壌が混ざったテロワールはブドウの栽培に最適です。

北部の中心地ボルツァーノ周辺では、昔からイタリアの土着品種スキアーヴァ種やラグレイン種から赤ワインが造られてきましたが、全体的には白ワインの生産が多く、気候、土壌、標高に応じて多数の品種が栽培されています。

国際品種であるシャルドネやソーヴィニヨン・ブランのワインはもちろん、シルヴァーナーやリースリング、ゲヴェルツトラミネールなどドイツ系アロマティック品種から香り豊かで清涼感のある素晴らしいワインが造られています。

アロマティックなブドウと言えばゲヴュルツトラミネールが有名ですが、アルト・アディジェではゲヴュルツトラミネールのことをトラミネール・アロマティコと呼んでいます。カルダーロ湖の南にあるテルメーノ村はゲヴュルツトラミネールの産地で、テルメーノ村のドイツ語読みが「トラミン」であることから、この地がゲヴュルツトラミネールの原産地ではという説もあります。

トレンティーノ地方

ワイングラス

南部のトレンティーノ地方も優れた白ワインの産地です。規模の大きい協同組合が多く、質の高いワインを生産しています。

気候はドロミーティ山塊の影響で朝晩は冷涼ですが、昼間は気温が上がり十分な日照量があります。また、イタリア最大の湖ガルダ湖の影響を受けることでぶどうにとって最適な環境となるのです。

特筆すべきは、近年急成長している瓶内二次発酵のスパークリングワイン、トレントです。シャルドネを中心に造られますが、ほとんどの場合、標高350m以上の畑で収穫されたブドウから造られているので、フレッシュ感と爽やかなアロマ、ミネラル分に富んだ味わいです。

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また、赤ワインは土着品種テロルデゴから造られるテロルデゴ・ロタリアーノを忘れてはなりません。テロルデゴは標高2000m級の山に囲まれた狭い平地、ロタリアーノ平野に400ヘクタールのみ栽培されている品種です。シラーと遺伝子上の関係があるため、テロルデゴから造られるワインはスミレや熟した果実などに混じって、コショウを感じさせるようなシラーに類似したアロマがあります。

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まとめ

トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、生産者協同組合が強い力を持っていたり、土着品種を守りその可能性を追求する生産者が多いことを鑑みると、この地方に住む人々が造るワインには、陽気なイタリア人気質というよりも、伝統を重視し勤勉で几帳面なドイツ人的な気質を感じます。

イタリアアルプスの多様な自然環境の中で育まれてきたワインは、赤ワインも白ワインも想像以上にデリケートで洗練された味わい。やさしい味付けの和食にもよく合いますので、ぜひ一度お試し下さい。

参考文献 ・日本ソムリエ協会 教本 2018

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