スペインでいち早く成功を収めたリオハワイン

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公開日 : 2019.6.4
更新日 : 2022.5.23
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リオハ風景

リオハは、スペイン北部のエブロ川上流のログローニョという街を中心に広がるワイン産地です。原産地呼称制度の上位であるDOCに認定されたのは、同国で最も早く1991年のことでした。

何故いち早くブレイクすることができたのでしょうか。

目次

ブレイクのターニングポイント

ワイングラス

リオハワインの歴史は長く、ローマ帝国による征服以前に遡ることが出来ますが、ターニングポイントになったのは19世紀後半のことでした。

この頃、フランスではフィロキセラという害虫に悩まされていたのです。アブラムシのような小さな虫ですが一度被害に遭うと、ブドウ樹は死を待つだけ。差し当たって打てる対策は植え替えでした。

この時、フランス中のきこりが失業するほどブドウ樹が枯死したとも言われています。特に困ったのはボルドーの生産者や商人たちです。その対策を発見するのになんと12年間もかかっただけでなく、植替えすれば7年間は商用のブドウ実が収穫できなかったのです。

そこで注目されたのがリオハでした。

この頃リオハはフィロキセラ禍にあっておらず、ボルドーのワイン商たちは、はるばるピレネー山脈を越えてリオハまで出掛けていったのです。このワイン商たちこそがリオハに最新の技術を伝え、頭角を現すのに一躍買うこととなりました。

キング・オブ・スペイン、テンプラニーリョ

ブドウ

リオハで主に栽培されているブドウ品種はテンプラニーリョです。

このブドウ品種はスペインの王様的存在で、黒ブドウ品種の栽培面積では同国第1位を誇ります。

果皮が厚く、程よい酸味を持ちます。

温暖な場所が適地となりますが、暑すぎると酸がだれてしまってワインのバランスが崩れやすいのが難点です。そのため偉大なテンプラニーリョを生むためには、単に暖かければ良いというわけではなく、海洋の影響を受け暑さが和らげられるような場所や標高が高く日較差(注1)のある場所が理想的なのです。

(注1)1日の最高気温と最低気温の差

詳しくはこちら

熟成の長さが分かるラベル用語

ワインボトルとグラス

テンプラニーリョは長い熟成に耐えうるとも考えられており、熟成の長さに応じて下記のように分けています。

クリアンサ:合計24ヶ月の熟成(うち6ヶ月以上は樽熟成)

レセルバ:合計36ヶ月の熟成(うち12ヶ月以上は樽熟成)

グラン・レセルバ:合計60ヶ月の熟成(うち18ヶ月以上は樽熟成)

特にリオハではこれを上回る長い熟成規定が2018年に承認されました。たいてい規定以上の年月熟成されていることが多く、グラン・レセルバになると超良作年しか産出されません。

長期熟成したリオハのレセルバはイチゴやタバコの葉に、アメリカンオークの甘い香りが優しく寄り添うゆったりしたワインになります。

リオハの三つのエリア

リオハ風景

エブロ川流域に拡がる全長120㎞のリオハのテロワールは一般化することが難しく、三つのエリアに分けて語られます。

下流はリオハ・オリエンタル、上流はリオハ・アルタ、リオハ・アラベサです。

リオハ・オリエンタルは三つのエリアで最も標高が低く高温で、地中海の影響を受ける乾いた大陸性気候です。テンプラニーリョには高温すぎるため、晩熟なグルナッシュが主体の産地になっています。

一方リオハ・アルタとリオハ・アラベサは標高が500~800mあることから、リオハ・オリエンタルと比べると日較差がはっきりしています。

加えてこの二つは、カンタブリア山脈とデマンダ山脈に挟まれる場所に位置し、カンタブリア山脈は大西洋からの湿った雨雲を、デマンダ山脈は内陸からの乾いた熱風を遮る効果があるために非常に恵まれた気候となります。特にアラベサの土壌は石灰を多く含み、近年評価が上がっている産地です。

ボルドーの影響を垣間見るワイン造り

リオハのワイン造りは随所にボルドーの影響を垣間見ることが出来ます。

一つは、かなり早いうちから小樽熟成が行われてきたこと(ただしフランスがフレンチオークなのに対してリオハは伝統的にはアメリカンオークです)。

二つ目にブレンドが行われてきたことです。テンプラニーリョを主体に、一般的にはグルナッシュ、マズエロ、グラシアーノなどをブレンドします。またブレンドは品種だけでなく、複数の畑に対しても行われてきました。

ブレンドを行う理由は複雑性を表現するためだけでなく、前述の通りリオハのテロワールは一般化することが難しいため、それを補い一貫性を保つためです。

新しいリオハ

19世紀後半に飛躍したリオハにも新しいスタイルが登場しています。

近年では、ボジョレー・ヌーヴォーと同じように半炭酸ガス浸漬法を用いて造られたフレッシュで早飲みのスタイルも見かけます。これらのスタイルは「ホーベン」として売られます。

また単一畑・単一品種で仕込みテロワールの個性を表現する生産者や、フレンチオークを使用する生産者も増えています。

リオハはボルドー同様、イギリス人に古くから愛されてきたワイン産地で、英国人評論家ティム・アトキンは、リオハの独自な格付けを発表しています。その上位にはこういった新しいスタイルで造る生産者も格付けされているのです。

まとめ

伝統と革新といった幅広いスタイルを持つリオハ。

ブラインドテイスティングで正解するのは難しそうですが、探求心をくすぐるワインの宝庫でもあります。今度飲むときはラベルやPOPを少しだけ意識して飲んでみてください。

リオハワインの一覧はこちら

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