【ブドウ品種を知ろう】バルベラとは?

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公開日 : 2025.10.16
更新日 : 2025.10.16
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バルベラ

イタリア北部のピエモンテ州を代表する赤ワイン用ブドウ品種、バルベラ。


造られるワインはチェリーやラズベリーなどのフルーティーな香りと、しっかりした酸味が特徴で、軽やかに楽しめるタイプから樽熟成で深みを増したタイプまでその種類はさまざま。


そのため普段の食卓にも、ちょっと特別な日の一杯にもピッタリのワインとして多くのワイン愛好家に愛されています。


この記事では、そんなバルベラの魅力に迫り、その特徴や産地、料理との相性をソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

バルベラのワイン一覧はこちら

解説してくれるのは、田邉公一さん


J.S.A 認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A 認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 2025年10月に新著 「THE STUDY OF WINE」 を出版 映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演 オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース X(旧 Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

バルベラの特徴

バルベラはイタリア北部のピエモンテ州やロンバルディア州で主に栽培されている黒ブドウ品種です。


温暖で日照の安定したイタリア北部の気候はバルベラの栽培に適しており、国内で栽培される黒ブドウの中で、サンジョヴェーゼ、モンテプルチャーノ、メルロに次いで多く生産されています。


暑さや寒さに対する適応力が高く、高い収量を確保しやすいブドウで、完熟しても高い酸度を保つことができる特徴を持ちます。


また病害にも比較的強いため、19世紀末にはフィロキセラ禍で大きな被害を受けたネッビオーロに代わって重宝されました。


イタリア語のブドウ品種名はほとんどが男性名詞ですが、バルベラは敬愛を込めて女性名詞の「ラ・バルベーラ」と呼ばれ、親しまれています。

バルベラの特徴

造られるワインはチェリーやラズベリーなどの赤系果実の香りに、果実味たっぷりで渋みが穏やかな味わいに仕上がります。


酸味がしっかりしているため、軽やかでフレッシュなタイプから樽熟成による深みをもったタイプまで幅広いスタイルのワインが造られています。

ソムリエ解説!バルベラとバローロやバルバレスコはどう違うの?

イタリア ピエモンテ州のワインに関する名前で混同されやすいのが「バルベラ」と「バローロ、バルバレスコ」です。 私もワインを学び始めた時に、品種名と産地名のどちらのことを言っているのかがよくわからなかった経験がありますので、これらを混同してしまう気持ちもよく理解できます。 バルベラはワインの名前の一部としても使われていますが、実際には品種の名前です。一方でバローロとバルバレスコは、ネッビオーロという品種から造られるワインの呼称であり、産地の名前でもあります。 ネッビオーロは、複雑性のある香りと力強いタンニンをもつ、長期熟成に耐えるポテンシャルをもったワインを生み出します。 これに対し、バルベラから造られた赤ワインは、華やかな印象の香りをもち、酸味が豊かで、タンニンは穏やかな、親しみやすいスタイルが主流です。 長期熟成が可能で比較的高価なワインが多いネッビオーロのワインは、現地では特別な日の一杯として楽しまれるのに対し、バルベラは日々の食卓に馴染んだデイリーワインとして親しまれています。 同じ地域に根付いた品種ですが、そのスタイルや楽しみ方は大きく異なります。

ソムリエ解説!美味しく飲む温度は?

バルベラから造られる赤ワインは、果実と花の華やかなアロマ、樽のニュアンスは比較的控えめなタイプが多く、酸味が豊かで、緻密で穏やかなタンニンを感じるスタイルが主流です。 この個性を活かすためには、濃縮感のあるタンニンの豊かな赤ワインのように高めの温度帯にするのではなく、少し冷やしめにすることで、持ち味をより活かすことができます。 しっかりとしたタイプの赤ワインよりはやや低めの15~17℃程度が適温で、冷やし気味にすることで果実の香りが生き生きと感じられ、フローラルなアロマも引き立ちます。 味わいに関しては、タンニンが控えめなため、温度を下げても苦味が強くなることがなく、酸味はよりしなやかで生き生きとした印象も感じられます。特に夏場など、暑い日には冷やしめにするのがおすすめです。

ソムリエ解説!バルベラの魅力は?

バルベラのワインの魅力は、華やかで芳醇な香り、豊かな果実味としなやかな酸味と緻密なタンニンとの調和が素晴らしく、日々の食卓を彩るフードフレンドリーなワインとして楽しめる、身近な存在であるところです。

代表的な産地

代表的な産地

バルベラの主な産地であるピエモンテ州について詳しく紹介します。

イタリア・ピエモンテ州

イタリア・ピエモンテ州

ピエモンテはイタリア語で「山の麓」を意味する言葉で、北側・西側にアルプス山脈、南側にリグーリア・アペニン山脈と三方が山に囲まれた地形が特徴の州です。


温帯・亜寒帯の大陸性気候で、アルプスから多くの雪解け水が流れてきているのに加え、人工水路も整備されており、イタリアでは珍しく水に恵まれている地域です。


山岳部・丘陵部・平野部という三つのゾーンにほぼ均等に分かれており、土壌も気候も地域によってさまざま。そのため数多くのブドウ品種が栽培されており、バラエティに富んだ個性あふれるワインが多数造られています。


バルベラから造られるワインは、果実味は控えめで長期熟成型のDOCGバルベラ・ダスティと早くから楽しめる安定した高いクオリティのDOCバルベラ・ダルバが有名です。

ソムリエ解説!イタリア以外で造られているの?

バルベラはイタリアのピエモンテ州を代表する固有品種として広く知られている品種のため、この土地のみで栽培されていると考える方も多いと思いますが、実はイタリア以外でも少量ながら栽培され、良質なワインが造られています。 特にイタリアからの移民の影響を受けた新世界の代表的な生産国であるアメリカのカリフォルニアやアルゼンチンでは、20世紀初頭からピエモンテ出身者によって植えられ、今も一部のワイナリーでバルベラのワインが造られています。 またオーストラリアや南アフリカなどでもバルベラのワインが造られており、温暖な気候下で豊かな果実味が表現されたスタイルに仕上がっています。 イタリア国外で造られるバルベラのワインは、ピエモンテの伝統的なスタイルを反映させながらも、その土地ごとのテロワールの影響を受けた独特の個性をもっているのが特徴であり、本家とはまた別の魅力が感じられます。

相性の良い料理

相性の良い料理

バルベラに合う料理について田邉さんに聞いてみました。

相性の良い料理

ソムリエ解説!バルベラにはどんな料理が合う?

バルベラの赤ワインは華やかな果実香とフローラルなアロマ、豊かな果実味としなやかな酸味、緻密なタンニンをもち、多くの場合、イタリアの赤ワインの中でも比較的軽やかなスタイルに仕上がるのが特徴です。 こちらに相性の良い料理としておすすめしたいのが、牛肉のカルパッチョです。牛肉の赤身の鉄分的な要素にワインの風味が同調しつつ、適度な脂質に緻密なタンニンが調和し、オリーブオイルの風味やレモン汁の酸味にも同調して、料理とワイン双方の風味がより豊かになります。 定番的とも言えるかもしれませんが、ベーコン入りのトマトソースのパスタにもよく合います。 バルベラの赤ワインのもつ赤い果実やほのかに感じるトマトのフレーバーに同調し、トマトの酸味とワインの酸味が綺麗に重なり、ベーコンの旨味を緻密なタンニンが引き出してくれます。 バルベラの中でも、ややしっかりとしたスタイルの赤ワインに合わせるのであれば、焼き鳥のもも肉のタレ焼きがおすすめです。 炭火で焼いた焼き鳥のスモーキーさと豊かな鶏肉の旨味と適度な脂質、タレの味わいに、ワインの芳醇なアロマと心地よいスパイス感、豊かな果実味と酸味が重なり、食材の風味をより豊かにしてくれます。

おすすめのワイン

最後に、田邉さんおすすめのバルベラを使ったワインを3本ご紹介します。

バルベラ・ダルバ / プルノット

プルノットは、これまでにレストランで何度もオンリストしてきた生産者で、ペアリングのグラスワインとしても大活躍してきました。 赤ワインだけでなく白ワインまで、非常にクオリティの高いワインを生み出し続けています。 こちらはバルベラらしい芳醇な果実と花の香り、緻密なタンニンと綺麗な酸味のバランスを楽しめる1本です。

バルベラ・ダルバ
750ml

バルベラ・ダルバ

  • エレガント&クラシック

  • 2023

    3,410

    (税込)

シト・モレスコ / ガヤ

ピエモンテの中でも高い知名度を誇る生産者の一人で、多くのワインラバーの垂涎の的となっているガヤ。 さまざまなスタイルのワインを生み出していますが、全てのラインナップにおいて妥協のない品質を追求し、無二の存在として愛され続けています。 こちらのキュヴェはイタリアの土着品種であるネッビオーロとバルベラをブレンドした非常に珍しいスタイルの赤ワイン。両品種の個性が見事に表現されています。

シト・モレスコ
750ml

シト・モレスコ

  • エレガント&クラシック

  • 2023

    8,800

    (税込)

  • 2022

    8,800

    (税込)

バルベラ・ダルバ ヴィーニャ・フランチャ / ジャコモ・コンテルノ

バローロ最高峰の生産者の一人として広く知られる家族経営のワイナリー。 こちらはバローロの5大産地の1つであるセッラルンガ・ダルバの最良の区画の、高樹齢のブドウから造られている希少な赤ワイン。 一般的には軽やかさを感じるバルベラのワインですが、こちらは厳選したブドウを木樽で発酵した後、大樽で2年間の長期熟成を経てリリースされ、凝縮感と複雑性、豊かな風味と長い余韻が感じられます。

バルベラ・ダルバ ヴィーニャ・フランチャ
750ml

バルベラ・ダルバ ヴィーニャ・フランチャ

  • エレガント&クラシック

本数限定
  • 2022

    15,400

    (税込)

  • WA 93
  • 2021

    13,200

    (税込)

  • V 95

まとめ

バルベラは、イタリア北部ピエモンテ州を中心に栽培される赤ワイン用ブドウで、フルーティーな香りとしっかりした酸味が魅力です。


軽やかで飲みやすいタイプから、樽熟成で深みを増したタイプまで幅広く、料理との相性も抜群。


トマトソースのパスタや肉料理、チーズなど、日常の食卓から特別な日の一杯まで、さまざまなシーンで楽しめる万能なワインです。ぜひバルベラを試してみてください。

バルベラのワイン一覧はこちら

文=岡本名央

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