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"イタリアワインの帝王"と讃えられ、 世界中から尊敬を集めるカリスマ的な存在。 |
イタリアワインの生産者として、間違いなくトップクラスの地位を不動ものとしているガヤ。ガヤの歴史は17世紀半ば、ガヤ・ファミリーの初代、ジョヴァンニ・ガヤ氏がスペインのカタルーニャ地方からピエモンテに移住してきたことから始まりました。ジョヴァンニ氏は1859年にワイナリーを創設、2代目の時代には現当主であるアンジェロ氏の祖母、クロチルド・レイ女史もワイン造りに参加し、徹底して品質にこだわるガヤスタイルのワイン造りの基礎を造り上げました。そして3代目、アンジェロ氏の父にあたるジョヴァンニ氏の代に、現在もガヤのフラッグシップであるキュヴェ、バルバレスコが高い評価を受けたことによってイタリアワイン界のトップとしての地位を確立。同時に「ソリ・サン・ロレンツォ」や「コスタ・ルッシ」などの畑を購入し、ワイナリーを拡大しました。そして4代目、現当主のアンジェロ氏の時代。1961年からワイナリーに携わっていたアンジェロ氏は、バリック樽の導入や、単一畑のワインの生産など、様々な改革を実施。ピエモンテの伝統的なワイン造りを守りながら、革新的な設備や技術を取り入れ、世界中から認められる存在となりました。現在は、5代目を担う3人の子供たちとともにワイン造りを行っています。
また1990年代には本拠地のピエモンテだけではなく、トスカーナ州にも二つのワイナリーを購入。現在、ピエモンテには250エーカー、トスカーナには67エーカーの畑を持ち、両方の産地から世界的高評価受けるワインを数多く造り出しています。
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イタリアワイン界に大きな影響を与えた、 現当主アンジェロ・ガヤ氏の功績。 |
ガヤがイタリアワインの帝王と呼ばれる所以は、初代から続く徹底した品質主義のワイン造りはもちろん、それに加え、現当主であるアンジェロ氏の行った様々な革新的な改革によってイタリアワイン界に大きな影響を与え、現在もイタリアワイン界を牽引する存在であり続けていることによります。アンジェロ氏は「最高のワインにしか興味がない」と断言し、一切の妥協を許さない独自の哲学を持って臨み、イタリアワインの地位の向上に最も貢献した人物の一人とされているのです。
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バリックの使用
かつて、バローロとバルバレスコで造られるネッビオーロ種のワインは、強固なタンニンと強い酸があり、長期熟成を必要とした堅牢なワインでした。ガヤはこのネッビオーロに、バリック(小樽)による熟成によってタンニンを柔らかくする方法を採用。発酵温度を管理し余分なタンニンの抽出を抑えることで、早くからでも愉しめ、バランスの取れた味わいのワインを造ることに成功。昔からのやり方を守り続ける伝統派とバリック派の対立もありましたが、それを乗り越え、バルバレスコやバローロの新しいスタイルは受け入れられ、ガヤはイタリア最高峰と賞賛を浴びることとなりました。 |
単一畑の概念
アンジェロ氏は、バルバレスコにある最高の区画からブルゴーニュのグラン・クリュ、プルミエ・クリュのワインように、単一畑のワインを造り始めました。1967年に初めて、バルバレスコ最高の区画から単一畑のソリ・サン・ロレンツォをリリース。続いてソリ・ティルディン、コスタ・ルッシと3種類の単一畑を造り始めました。その後、バローロでも同様、コンテイザとスペルスという2種類の単一畑キュヴェをリリース。ブルゴーニュのようなガヤの単一畑のワインは世界中で大人気となり、大変高い評判を得ました。 |
国際品種の栽培
「ブドウが何であれ、土壌が良ければ質の高いブドウが育つ。世間の目をバルバレスコに向かせるためには、まず、よく知られているカベルネ・ソーヴィニヨンで注目させねばならない。」との考えの下、アンジェロ氏はネッビオーロが植えられていたピエモンテの優良な畑でカベルネ・ソーヴィニヨンをはじめとする国際品種のブドウを育て始めます。その目論見は見事成功し、「ダルマジ」が高い評価を受けたことで、ガヤの世界的名声を高めることとなりました。 |
女性的なニュアンスと男性的な味わいが融合した、 ガヤの入門編とも言える1本。 |
こちらのシト・モレスコは、ピエモンテの土着品種ネッビオーロとバルベラに、国際品種のメルロをブレンドした、イタリアワインの革新的な存在の一つ。「モレスコさんの場所」という意味の「シト・モレスコ」は、1979年にアンジエロ・ガア氏が買い取った畑の一つの、以前のオーナーファミリーの名前に由来しており、約25年前に造られるようになりました。バルバレスコ地区のトレイゾ、スペルスが造られているバローロ地区のセッラルンガの畑で栽培されたブドウを使用しています。トレイゾで造られるワインは酸が豊富で、繊細かつエレガントなニュアンスを持ち、熟成させると甘みが増すのが特徴。一方のセッラルンガは、引き締ったボディと酸、トレイゾと比較すると骨格のある味わいのワインが多く造られています。女性的なトレイゾの気品溢れる風味と、男性的なセッラルンガの力強い味わいが見事に融合した仕上がりです。また、コスタ・ルッシなどの単一畑シリーズが、これまで10%ほどブレンドしていたバルベラを廃止しネッビオーロ100%になったのに伴い、2015年ヴィンテージからは、そのバルベラを全てこちらのシト・モレスコに使用するようになり、格段に品質が向上しています。
ブドウは収穫後、それぞれ品種毎に温度管理されたステンレスタンクで約3週間発酵を行い、マロラクティック発酵を実施した後に品種をブレンド。その後2年目と3年目のバリックで12ヵ月間熟成し、瓶詰めした後、最低6ヵ月間の熟成を経てリリースされます。こうして造られるワインは、ネッビオーロの上品さに、バルベラの華やかさとメルロの柔らかさが見事に調和した味わい。またオークの古樽を使用することで、果実のピュアな旨味を引き出し、そこにほのかなスパイスの風味が溶け込みます。
外観は深みのあるルビー色。グラスに注ぐと、熟したラズベリーやプラムなどの果実のアロマと、バラやラベンダーの華やかな香りがエレガンスを演出。口に含むと、ブドウの旨味とネッビオーロ由来のしっかりとしたタンニンが広がります。綺麗な酸とバニラやナツメグなどのほのかなスパイスの風味を伴う、上品な余韻が長く続きます。優美さと複雑さを兼ね備えた、熟成ポテンシャルを持つ洗練されたスタイル。イタリアの土着品種と国際品種が見事に調和した、ガヤが手掛ける上質な赤ワインです。若いうちから楽しめる、イタリアワインの帝王ガヤの入門編。まだガヤのワインを飲んだ事の無い方や贈り物にもぴったりな1本です。 |