ドイツのスパークリングワイン、ゼクトを知る!

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公開日 : 2019.4.11
更新日 : 2022.5.23
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スパークリングワイン

ドイツのスパークリングワインは“シャウムヴァイン”(Schaumwein)と言いますが、その中でも高品質なカテゴリに分類されるのが“ゼクト”(Sekt)です。

今回は、日本でもじわじわと人気が上昇中のゼクトについて、ご紹介したいと思います。

目次

ゼクトとはどんなスパークリングワイン?

スパークリングワイン

ゼクトは、生産国や生産年など異なるワインをブレンドしたベースワインを用いることができる発泡性ワインです。これは20℃で3.5気圧以上、アルコール度数10%以上で、泡は一次発酵または二次発酵によって得られるものと規定されています。

ゼクトの中には、さらに規定が厳しい“ドイチャー・ゼクト”(Deutscher Sekt)、“ゼクト b.A.”(Sekt b.A.)などの細かな種類があります。

ちなみに、気圧やアルコール度数が低いものは“ペールヴァイン”(Perlwein)と呼ばれます。これはフランスのペティヤン、イタリアで言うフリツァンテと同義語です。

ゼクトの製法

ゼクトには以下の四つの製法が認められています。

トラディショナル方式

シャンパンや高級スパークリングワインに採用されている製造法。スティルワインに酵母と糖分を混ぜた液体を加えて瓶詰めし、密閉した瓶内での二次発酵にて泡を発生させる方式です。

ゼクトでは、後述するゼクト b.A.など高品質なスパークリングに多く使用されています。

トランスファー方式

トラディショナル方式と同じく瓶内二次発酵によって泡が発生しますが、冷却と濾過を加圧下のタンクで行うという、一部簡略化された方式です。

シャルマ方式

大きなタンクで二次発酵を発生させる方式。上記二つの方式よりもコストがかからず、短期間で製品化できます。ブドウのアロマを強く残したいものを造る場合にも有効です。

ゼクトにはアロマティックな品種であるリースリングを原料とするものが多いため有用で、ドイチャーゼクトクラスまではこの方式で造られることが多くなっています。

田舎方式

発酵途中のワインを瓶に詰めて、残りの発酵を瓶内で継続させる方式。古くからスパークリングワインに採用されてきた製法で、ドイツの場合はガス圧の低いペールヴァインで多く採用されています。

ゼクトの種類

ゼクトには規定によって様々な種類があります。

ドイチャー・ゼクト(Deutscher Sekt)

ドイツ国内産のベースワインから生産されるゼクト。フランスのIGP(地理的表示保護)に相当する“ラントヴァイン”(Landwin:地理的表示保護ワイン)の規定をクリアしたものに限られ、ラントヴァイン指定市域で栽培収穫されたブドウを85%以上使用する必要があります。

ゼクト b.A.(Sekt b.A.)

13の特定生産地域で生産された“クヴァリテーツ・ヴァイン”から生産されるゼクト。その中でも、さらに“ヴィンツァーゼクト”(Winzersekt)と“クレマン”(Crémant)の分類があります。

ヴィンツァーゼクトは、自家栽培&自家醸造のベースワインから造られ、伝統的瓶内二次発酵を採用、製造期間は一次発酵を含めて9ヶ月以上などの規定がされています。

“クレマン”(Crémant)は、収穫が手作業で、圧搾する際は除梗せずに丸ごと房を圧搾すること、150kgの収穫から得られる果汁は100リットル以下など、最も厳しい規定がされています。

古くから栽培される土着品種、エルプリング

ブドウ

ドイツでは、リースリングやシャンパーニュに使用されるピノ・ノワールやシャルドネなどがスパークリングワインに多く使用されていますが、中世から19世紀ごろまで広範囲で栽培されていた土着品種であるエルプリングが再注目されています。

税法の変化によりリースリングやシルヴァーナーなどへの植え替えが進んだことから、現在では栽培面積がリースリングの2%ほどの503ha(2017年)まで縮小したエルプリング。モーゼルの一部地域でゼクトの原材料などに使用されています。

他の品種よりも糖度が低い状態で完熟し、果皮が薄くてカビがつきやすいというデリケートさがあります。酸味がかなり強くフルーティーでフレッシュな飲み心地があり、スパークリングワインにはピッタリの品種なので再注目されています。

ドイツはスパークリングワイン消費大国

スパークリングワイン

ドイツはスパークリングワインの消費が世界一。ドイツ人が飲むワインの5本に1本がスパークリングワインと言われているほどです。国内の大手企業が安価なゼクトを大量生産し、そのほとんどが国内で消費されています。

これほど、ゼクトをはじめとするスパークリングワインが人気な理由としては、数百円程度で買えるものから高価なものまで幅広い価格の製品がリリースされていることや、そのシャープな味わいが多くのファンの心を掴んでいるからと言えるでしょう。

一方、日本など海外に輸出されているものは、高品質で個性豊かなものが多く、普段とは違ったスパークリングワインを飲みたいという人が買い求めている傾向にあります。

おすすめのゼクト

最後に、ぜひ一度お試しいただきたいゼクトのワインをご紹介します。

こちらは、ドイツの名門ワイナリーが手掛けるこだわりのリースリングを用いたスパークリングワイン。

トラディショナル方式によって造られたこのスパークリングワインは、きめ細やかな風味を伴った見事なバランスが魅力的です。

いつものスパークリングワインとは一味違う、キリッとした味わいが楽しめます。

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まとめ

プロセッコカヴァに続き、スパークリングワイン人気で徐々に注目されつつあるゼクトは、ドイツの冷涼な気候ならではのすっきりとした酸味と品種由来の華やかな香りが感じられる個性的な味わい。

他国のスパークリングワインとは一味違うので、ぜひ一度味わってみてくださいね。

<参考>『2019 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会

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