スペイン産のスパークリングワイン「カヴァ」とは?

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公開日 : 2019.2.8
更新日 : 2023.1.13
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スペイン産のスパークリングワイン「カヴァ」とは?

スペイン産のスパークリングワイン「カヴァ」を飲んだことはありませんか?


今回は、今さら聞けないカヴァってなに?シャンパンと何が違うの?どんなブドウ品種が使われているの?という疑問に答えます。

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目次

カヴァとは?

洞窟

カヴァはシャンパン(シャンパーニュ)と同じ伝統的製法で造られる、スペイン産のスパークリングワイン。


スパークリングワインの中でもプロセッコ、シャンパンに次ぐ販売本数を誇り、年間約2億4,000万本が販売されている世界3大スパークリングワインの一つです。


カヴァ(Cava)という印象的な名前は、カタルーニャ語で「セラー」を意味し、ワインを熟成させる洞窟(Cave)に由来しています。


カヴァの生産地は、もともとカヴァの規則が地理的産地ではなく製法を定めたものだったため、カタルーニャをはじめとしてリオハ、アラゴン、ナヴァーラ、ヴァレンシア、バスクなど、気候や風土の違う多様な地域に3万ha以上の畑が拡がっています。


しかし、その生産量のおよそ95%は、フレシネとコドーニュという2大生産者が本拠を構えているサン・サドゥルニ・ダノイアという村があるカタルーニャで生産されています。

カヴァとシャンパンの違い

前述したとおり、カヴァとシャンパンはどちらも同じ製法で造られるスパークリングワインですが、フランス・シャンパーニュ地方のものをシャンパン、スペイン・カタルーニャを中心としたエリアで造られるものをカヴァと呼びます(どちらも様々な規定をクリアしたワインだけが名乗ることを許される)。


細かい規定などは違いますが、二つのスパークリングワインの最大の違いは使われるブドウ品種の種類と言えるでしょう。


カヴァはカタルーニャ固有のブドウ品種を使用することによって、以下のような特徴を持っています。


  • 酸味が穏やかで飲みやすい
  • 個性的なアロマ
  • 辛口が多い

酸味が穏やかで飲みやすい

カヴァにはシャンパンに使用されるシャルドネピノ・ノワールを使うこともできますが、それ以外に使われているカタルーニャ固有のブドウ品種は、比較的酸味の穏やかな品種が多いため、シャンパンと比べると酸味が穏やかで飲みやすいと言えます。

個性的なアロマ

固有品種に由来する、焼けたゴムや土のようなアロマもカヴァの特徴です。


しかし、これらの香りは好き嫌いがわかれますので、苦手な方はシャルドネやピノ・ノワールの多く使われているカヴァを選びましょう。

辛口が多い

シャンパンが造られるフランスのシャンパーニュ地方と比較すると、温暖な気候のため果実の成熟度が高く、近年では糖分を添加しない極辛口のブリュット・ナチューレが多いことも特徴の一つと言えるでしょう。

歴史

風景

初めて製品としてのカヴァが造られたのは1872年。フランスのシャンパーニュ地方でスパークリングワインの造り方を学んできた、コドーニュ一族のホセ・ラベントス氏が、シャンパンと同じ伝統的製法でカヴァを造りました。


その後1880年代にフィロキセラ禍によって、カタルーニャにもともと植えられていた赤ワイン用の黒ブドウが壊滅します。


これをきっかけに、カヴァ用の白ブドウに植え替えられたことで、カヴァ産業は大きく発展をとげました。


時は流れ1959年になると、初めて法律により「カヴァ」と名乗るための規則が定められます。


しかし、当時の規則には製法についての制限はなく、伝統的製法以外のあらゆる製法が認められていました。


カヴァの製法が現在のものに定められたのは、それからさらに11年後の1970年。ようやく、シャンパンと同じ伝統的製法だけに制限されました。


ホセ・ラベントス氏が初めてカヴァを造ってから約100年後のことです。シャンパンが1927年~30年代にかけて、現在のような規則を定めたのと比べると、遅かったと言えるでしょう。


そして1986年にスペインがEUに加盟すると、それまで制限がなかった原料ブドウの地理的な制限を求められたことで、現在のような産地が定められました。

使われるブドウ品種

ブドウ

カヴァの品種は以下の白ブドウ5種、黒ブドウ4種の全部で九つの品種が認められています。


白ブドウ

  • チャレッロ
  • マカベオ
  • パレリャーダ
  • シャルドネ
  • スビラ・パレン

黒ブドウ

  • ガルナッチャ
  • モナストレル
  • トレパ
  • ピノ・ノワール


その中でも、主要な品種がチャレッロ、マカベオ、パレリャーダの3種です。

チャレッロ

カヴァに使われる固有品種の中で、最も高品質と考えられている白ブドウです。


チャレッロから造られるワインは力強くフルボディ。多くの有名生産者がチャレッロ100%のキュヴェを造っています。


また、過熟すると土の香りをもち、それがカヴァ特有のアロマの原因の一つだと考えられています。


近年の研究で抗酸化物質レスベラトロール(注1)を、非常に多く含有していることが判明し、注目を集めています。

(注1)ポリフェノールの一種

マカベオ

リオハのヴィウラ、フランス・ラングドックのマカブーと同一品種。


萌芽が遅く霜害を受けにくいため、カタルーニャでは標高の低い畑に植えられることが多いブドウです。


伝統的なリオハの白ワインのように熟成にオークを使わなければ、ややアロマティックな品種です。

パレリャーダ

アロマティックでデリケートな比較的低アルコールのワインを造る白ブドウ。その特徴から、スパークリングワイン以外に甘口ワインにも使用されています。


萌芽が早く霜害に合いやすいため、カタルーニャでは標高の高いところで栽培されますが、ブドウの成熟はとても遅く収穫は最後にされます。

種類

スパークリングワイン

カヴァには以下の種類があり、それぞれのタイプに熟成期間や甘辛度、製法などが定められています。

ノン・ヴィンテージ

最もスタンダードなカヴァ。最低9ヶ月の瓶内熟成が必要です。

ヴィンテージ

単一年のブドウで造られたカヴァ。シャンパンと違い、ノン・ヴィンテージと同じ最低9ヶ月の瓶内熟成が認められています。

リゼルヴァ

ワンランク上のカヴァ。最低15ヶ月の瓶内熟成が必要です。

グラン・リゼルヴァ

2017年までカヴァの最上ランクでした。最低30ヶ月の瓶内熟成が必要で、ブリュット(※下表)以下の残糖分の辛口しか名乗ることが出来ません。

カヴァ・デ・パラヘ・カリフィカード

2017年に新たに発表された、グラン・クリュに相当するカヴァの単一畑。


厳しい規定をクリアした、わずか12の畑がパラヘ・カリフィカードを名乗ることを認められています。


グラン・リゼルヴァと同様にブリュット以下の辛口しか許されていません。36ヶ月以上瓶内熟成。

ロゼ

上述の全てのカヴァに、ロゼが認められています。


ロゼはシャンパーニュと違い、白ワインに赤ワインをブレンドする製法が禁止されており、赤ワインのようにブドウ果皮を漬け込んで色を抽出するセニエ法のみが認められています。

甘辛度の表記

ラベル表記の甘辛度は、下記表の残糖分の規定があります。

残糖分量によるカヴァのラベル表記

名称読み方残糖備考
Brut Nature
ブリュット・ナチューレ
~3g/l未満
糖分無添加
Extra Brut
エクストラ・ブリュット~6g/l未満

Brut
ブリュット~12g/l未満

Extra Seco
エクストラ・セコ
12~17g/l未満

Seco
セコ
17~32g/l未満

Semi Seco
セミ・セコ
32~50g/l未満

Dolce
ドゥルセ
50g/l以上


知っておくべきカヴァの生産者

一大生産地であるカヴァには、たくさんの生産者がいます。今回はその中でも、カヴァを語るうえで欠かせない3生産者をご紹介します。

フレシネ

スタイリッシュな黒いラベルでおなじみのフレシネは、カヴァの全生産量の大部分を占めるワインを造り、世界中に輸出している巨大企業です。


一方で、安易にシャルドネやピノ・ノワールといったフランス品種を使用することに反対し、カタルーニャ独自のブドウ品種だけで高品質なスパークリングワイン造りを目指して尽力した生産者でもあります。名実ともに近代カヴァの技術発展に大きく貢献した、リーディングカンパニーと言えるでしょう。


カヴァ・デ・パラヘ・カリフィカードを一つ所有しています。


レカレド

レカレドはフレシネと対照的でブルゴーニュのドメーヌ的な生産者です。


カヴァは買いブドウで造られるのが一般的ですが、レカレドは全て自社畑のブドウで生産しています。


さらに、有機栽培のビオディナミ農法をカヴァ生産者の中で最も早く導入。辛口にこだわり全てのカヴァを糖分無添加のブリュット・ナチューレで仕上げるなど、並々ならぬこだわりで品質を追及しています。


しかし日本では流通が限られており、あまり市場で見かけることのない生産者です。


畑の所有面積は少ないですが、カヴァ・デ・パラヘ・カリフィカードを2つ所有しています。

クロ・モンブラン

スペインの実力派ワイナリー、クロ・モンブランは「誰でも手を伸ばせて、しかもとびきり美味しいワインを」という信念のもとにワインを造っています。


食の都カタルーニャでも、数々の星付きレストランにオンリストされている品質にも関わらず、手頃な値段でコストパフォーマンス抜群。


エノテカでもクロ・モンブランが造るクワトロ・カヴァは、人気のデイリースパークリングワインとして不動の地位を築いています。

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楽しみ方

スパークリングワイン

総じて、カヴァはシャンパンに比べてリーズナブルで手の届きやすい価格。日頃楽しむデイリーワインとして楽しめます。


ここでは、そんなカヴァの用途別おすすめの楽しみ方をご紹介します。

ホームパーティーで楽しむ

カヴァは酸味が低いので、ホームパーティなどでワインをあまり飲みなれていない人と楽しむのにおすすめ。


特にロゼはセニエ法で造ることが義務付けられているので、華やかなベリー系のアロマを持つフルーティなタイプが多くなっています。


濃いピンク色の鮮やかな見た目は、パーティーにピッタリです!


料理と楽しむ

ほのかに香る焼けたゴムや土のようなアロマ。「カヴァらしさ」をより楽しむには、料理と合わせるのがおすすめです。


同じ香りをもつ根菜やオイルを使った料理、甘辛いタレやソースで味付けをした料理などと相性抜群。特におすすめのマリアージュは、同郷のアヒージョやゴボウのフリットです。


シャンパンの代替品として楽しむ

伝統的方式で造られているスパークリングワインとしてはお手頃な価格は、普段手の届かないシャンパンの代わりにも楽しめます。


シャンパン代わりとしてカヴァをお探しの方には、シャルドネのブレンド比率が高いものの方が、酸味や香りも近いのでおすすめです。

カヴァの今後

カヴァは今、最も動きの激しい注目の産地です。安価な大量生産ワインとそれに反発する高品質なワイン生産者の間で、あつれきが生まれているからです。


実際に、2012年にはカヴァの生みの親ホセ・ラヴェントスの子孫が運営するワイナリーであるラヴェントス・イ・ブランが、カヴァのイメージ低迷を理由に脱退。


その後、2017年にパラヘ・カリフィカードの制度が導入され、一旦は落ち着きをみせたかと思われました。


しかしつい先日、カヴァの規制をより厳しくし高品質化を求めていた生産者たちも脱退。今後は「Corpinnat」という表示でスパークリングワインを販売するそうです。彼らはパラヘ・カリフィカードのうち半分を所有していました。


今後のカヴァがどうなっていくのか、目が離せません。

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