【ブドウ品種を知ろう】ジンファンデルとは?

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公開日 : 2025.4.11
更新日 : 2025.4.13
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ジンファンデル

ジンファンデルは、主に赤ワインに使用される黒ブドウ品種です。カリフォルニアを代表する品種で、イタリアではプリミティーヴォの名で知られています。


産地によって様々なスタイルのワインが造られるジンファンデルについて、ソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

ジンファンデルのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

ジンファンデル/プリミティーヴォ

ジンファンデルは、赤ワイン用ブドウ品種として主にアメリカ西海岸のカリフォルニア州で栽培されています。


19世紀前半にヨーロッパからアメリカへ渡ったジンファンデルは、その後カリフォルニアで広く栽培され、長らくはアメリカ固有のブドウとして親しまれてきました。しかし1990年代にイタリアのプーリア地方で栽培されているプリミティーヴォと同じDNAを持つことが確認されました。


一房の中で、果粒ごとの成熟度にばらつきが出やすい特徴を持つため、房単位で成熟度合いを見極めるのが難しい品種とされています。

特徴

一般的にはアルコール度数が高く、甘いレーズンや甘草などの凝縮味のある力強い味わいのワインが出来上がりますが、栽培される土地の気候によってそのスタイルはさまざまに変わります。


冷涼な地域で栽培されたジンファンデルから造られるワインは、チェリーやラズベリーのような果実味が豊かで程良い酸味のあるワインとなります。


一方、温暖な地域で栽培されたジンファンデルから造られるワインは、ブラックベリーや、コショウ、クローブといったスパイスのニュアンスを持ちます。

ソムリエ解説!ジンファンデルとプリミティーヴォの違いとは?

ジンファンデルとプリミティーヴォは、呼び名は違いますが同一品種であると考えられています。 一般的にジンファンデルはアメリカ、プリミティーヴォはイタリアでの呼び方で、そのルーツはクロアチアの地中海沿岸部 ダルマチア地方の土着品種であるトリビドラグであるということが、1990年代の後半に行われたDNA解析の結果分かりました。 いずれも温暖な気候を必要とする黒ブドウ品種で、房の中のいくつかのブドウが、他のものが成熟する前にレーズン化するという特徴があり、高い糖度とプルーンやレーズンのような風味がもたらされます。 しかし同じ品種とはいえ、やはり栽培環境等が違うため、ワインの個性にも違いがあり、イタリアではアメリカと比較して甘みがやや控えめで、より酸味が強くなる傾向がありますが、アメリカでは酸味は穏やかで、より豊かな甘みを感じるのが特徴です。

ソムリエ解説!「ホワイト・ジンファンデル」とは?

カリフォルニア州では「ホワイト・ジンファンデル」と呼ばれるワインがありますが、これは白ワインではなく、ジンファンデルから造られる半甘口のロゼワインのことです。 短時間の醸し発酵を行い、発酵が終了する前に酵母を除去することで、アルコール度数8〜10%程度の低いアルコール度数の半甘口のワインが出来上がります。 ピンクの色調が美しく、イチゴやラズベリー、ピンクのバラのような華やかな香りと豊潤な果実味を持つのが魅力。1970年代にナパ・ヴァレーのワイナリーが淡く色づいた甘いロゼワインを「ホワイト・ジンファンデル」と名付けて売り出して大ヒットしました。 そこからさまざまな生産者が「ホワイト・ジンファンデル」を売り出し始めてそのスタイルが定着し、現在でもその人気は続いています。

代表的な産地

代表的な産地

代表的な産地は、アメリカのカリフォルニア州とイタリアのプーリア州です。それぞれ詳しく紹介します。

アメリカ・カリフォルニア州

カリフォルニア

アメリカ国内最大のワイン産地で、ジンファンデルはカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールに次ぐ3位の栽培面積となっています。


南北に長い地形をしており、地域によって気候や土壌が大きく異なるカリフォルニアにおいて、ジンファンデルは主にセントラル・コーストやセントラル・ヴァレーなどの温暖な地域の他、ソノマ・コーストなどの冷涼な地域でも栽培されています。


温暖な地域ではブラックベリーやカシスなどのしっかりと熟した果実味のワインが、冷涼な地域ではチェリーやラズベリーのようなフレッシュな赤い果実の風味が際立つワインが造られています。

イタリア・プーリア州

プーリア

イタリアにおいてジンファンデルはプリミティーヴォという名で呼ばれており、中でも南東部のプーリア州において広く栽培されています。


プーリア州は、広い平野と温暖な気候に恵まれた大農産地で、ブドウやオリーブなどの農産物や、ワイン生産量が非常に多い地域です。


プリミティーヴォはその中でも南部のマンドゥリアで多く栽培されており、太陽の恵みをたっぷり受けて育ったブドウから、アルコール度数の高い濃厚なワインが造られます。


また、干しブドウ状にしたプリミティーヴォから造られるアルコール度数の高い甘口の赤ワイン「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア・ドルチェ・ナトゥラーレ」が2011年にD.O.C.G.(イタリア最上級格付けワイン)に認定されました。

ソムリエ解説!産地による味わいの違いは?

ジンファンデルは成熟するにつれて、その風味は赤系果実(イチゴ、ラズベリー)から黒系果実(ブラックベリー、ブラックチェリー)に変化し、房の中のいくつかのブドウが、他の粒が成熟する前にレーズン化するという特徴もあり、ドライフルーツやジャムのようなアロマと、高い糖度によって甘みとボディのしっかりとしたワインが生まれます。 イタリアのプリミティーヴォは、上記のような特徴がありながらも、比較的酸味がしっかりとしたスタイルになる傾向があります。 一方で、アメリカのジンファンデルの赤ワインは、よりはっきりとしたベリーフルーツのジャムやコンポートのようなアロマが感じられ、より豊かな甘みを感じる傾向があります。

相性の良い料理

相性のいい料理

ジンファンデルに合う料理について洋食、和食、中華それぞれ田邉さんに聞いてみました。

相性の良い料理

ソムリエ解説!洋食ならどんな料理が合う?

ジンファンデル特有の豊かな果実味と甘み、溶けたタンニンとなめらかな酸味、樽由来のスパイスやロースト香、この個性に対しては、ミンチにしたお肉から作られた料理がよく合います。 その中でも特におすすめしたいのがデミグラスハンバーグです。ハンバーグの香ばしさとやわらかさ、そしてお肉の旨味と甘みと酸味のあるソースの味わいに、ワインの風味とタンニン、酸味がしっかりと溶け込んで、味わいをより豊かにしてくれます。 一方で、ワインのもつカカオやコーヒーを想わせるアロマとスパイス感、果実由来の豊かな甘みに対して、チョコレートのタルトのようなデザートもよく合います。

ソムリエ解説!和食ならどんな料理が合う?

ジンファンデルの個性に対して、和食をペアリングするのであれば、肉豆腐がおすすめです。 やわらかく煮込んだ牛肉の旨味をワインが持つ溶け込んだタンニンとなめらかな酸味がさらに引き出し、やわらかいお肉と豆腐とワインのテクスチャーもきれいに調和します。 キノコと出汁の風味にワインの樽熟成由来のアロマと果実風味が自然に溶け合い、双方の味わいをより豊かにしてくれます。

ソムリエ解説!中華ならどんな料理が合う?

中華料理を合わせるとした場合、中華風の豚の角煮がおすすめです。 じっくりと煮込んだ豚肉の風味とまろやかさに、ワインの熟した果実味とまろやかな甘みがピッタリと寄り添いながら味わいに深みをもたらし、お肉の脂質とワインの溶け込んだタンニンが結びつき、豚肉の旨味をさらに引き出してくれます。 料理に感じられる八角と生姜の風味にワインから感じる甘苦いスパイスのフレーヴァーが重なり、料理との相性をさらに高めてくれます。

おすすめワイン

最後に、田邉さんおすすめのジンファンデルを使ったワインを3本ご紹介します。

ヴィントナーズ・リザーヴ ジンファンデル / ケンダル・ジャクソン

日本でも早くから有名になり、その人気が絶えることがないカリフォルニアのワイナリー「ケンダル・ジャクソン」。 私も以前勤務していたレストランでオンリストしていましたが、ゲストからの高い人気を誇っていました。 ヴィントナーズ・リザーヴは、ワイナリーの原点でもある人気シリーズ。カリフォルニアのジンファンデルの個性とその魅力が見事に表現されています。

ヴィントナーズ・リザーヴ ジンファンデル
750ml

ヴィントナーズ・リザーヴ ジンファンデル

  • リッチ&グラマー

  • 2022

    4,290

    (税込)

オールド・ヴァイン・ジンファンデル / ベッドロック・ワインズ

カリフォルニアのジンファンデルの真骨頂と言える古樹から生まれた赤ワイン。 このワインを手掛けるモーガン・ピーターソン氏は、「ジンファンデルの父」と呼ばれる高名な生産者 レーヴェンスウッドのジョエル・ピーターソン氏を父に持ち、マスター・オブ・ワインの資格をカリフォルニアのワインメーカーとして初めて取得。 こちらのワインはエントリーレンジでありながらも常に高い評価を獲得している1本です。

オールド・ヴァイン・ジンファンデル
750ml

オールド・ヴァイン・ジンファンデル

  • リッチ&グラマー

  • 2022

    5,720

    (税込)

    NEW

ガイザーヴィル / リッジ・ヴィンヤーズ

リッジ・ヴィンヤーズは歴史を変えたパリテイスティングにおいて世界的に有名となり、「醸造家が選ぶ最も尊敬する醸造家」トップ5にも選ばれた経歴のあるカリフォルニアの生産者。 私も現地ワイナリーを訪問させていただいた経験があり、このガイザーヴィルはレストランやスクールのゲストにも大好評いただいています。 樹齢130年以上のブドウ樹をはじめとする古樹が植えられている畑のブドウを使用した、深みとエレガントさを兼ね備えた逸品。

ガイザーヴィル
750ml

ガイザーヴィル

  • リッチ&グラマー

  • 2019

    10,780

    (税込)

  • JS 94

まとめ

ジンファンデルからは、フルーティーで飲みやすいものから、スパイシーで力強いものまで、さまざまな味わいのワインが造られています。


土地や気候によって変わるスタイルや味わいのジンファンデルを、ぜひ試してみてください。

ジンファンデルのワイン一覧

文=岡本名央

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