ブドウ品種を知ろう!リースリング

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公開日 : 2024.2.14
更新日 : 2024.3.18
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リースリング

極甘口から辛口まで多彩な味わいのワインを生み出す、リースリング。高貴な白ブドウ品種の一つとして知られています。


今回は、透明感溢れる優美な味わいでワインラヴァーを魅了するリースリングについて、ソムリエの解説付きで詳しくご紹介致します。

リースリングのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

特徴

リースリングはドイツやフランス・アルザス地方で多く栽培されている白ブドウ品種で、中でもドイツのモーゼルとラインガウが二大産地として知られています。


極甘口から辛口、発泡性があるものまで、そのスタイルは白ワインの中でも群を抜いて多彩です。

特徴

ブドウの実は小粒で、果皮は黄緑色をしています。


繊細でエレガントな味わいからボリュームのある味わいまで、どのタイプでもリースリングらしい爽やかな酸味と凝縮した果実味のバランスを保ったワインが出来上がります。


辛口ワインの他、貴腐ワインにも用いられることがあり、アイスワインをはじめ、ヴァンダンジュ・タルディブ(遅摘み)など様々なタイプが世界で人気を博しています。


香り豊かなアロマティック品種の一つで、樽での香り付けは基本的に行われません。それゆえブドウの品質と産地のテロワールがワインに素直に映し出されるため、栽培が難しく生産量が限られています。


造られるワインからは、「ペトロール香(石油香)」が感じられやすいことが特徴の一つです。

ソムリエ解説!「ぺトロール香(石油香)」って?

ペトロール香の正体は、トリメチルジヒドロナフタレン(TDN)という物質で、ブドウの果皮に生成されたカロテノイドの分解により生じると言われています。 カロテノイドは、ブドウが直射日光や高温から自らを守るために果皮に蓄積することから、日照が強いエリアや年は、よりTDNが生成されやすいと考えることができます。 リースリングは他の品種と比較してカロテノイドの濃度が高く、ゲヴュルツトラミネール等に比べると香りが控えめなため、TDNが目立ちやすいと考えられます。 TDNはコルクに吸着されやすい傾向があることから、スクリューキャップを主に使用するオーストラリアのワインの方がペトロール香を感じやすい傾向があり、コルクの使用が比較的多いアルザスのワインは穏やかになる傾向にあります。 他にも原因はありますが、まずは上記を理解していくと良いでしょう。

ソムリエ解説!長期熟成させるとどうなるの?

リースリングから造られる白ワインは、一般的にフレッシュな柑橘フルーツやリンゴ、洋梨、スイカズラや菩提樹を想わせる白い花の香り、爽やかな酸味と生き生きとした果実感が主な特徴で、若々しい状態の時に楽しむのが主流であり、一般的にリリース後に早く楽しめるスタイルが多く、長期熟成させてから飲むタイプは少ないと言えます。 その一方で、フランスのアルザスやドイツ、オーストラリアの一部の生産者の、より厳選された畑のブドウから造られたワインは長期熟成に耐えうるポテンシャルがあり、熟成を経ることでより香りや味わいの複雑性が増し、蜜のような甘い風味が発展し、味わいにも奥行きと広がりが感じられるようになります。

代表的な産地

代表的な産地

リースリングは冷涼な気候を好むことから、多くがドイツで栽培されていますが、より温和な気候の地域など世界中で様々なスタイルのワインが造られています。


中でも代表的な産地についてご紹介します。

ドイツ・モーゼル / ラインガウ

ドイツ・モーゼル / ラインガウ

世界のリースリングの栽培面積の6割を誇る、リースリング大国・ドイツ。ラインガウとモーゼルはその中でも二大産地とされる代表的な銘醸地です。


ドイツ最古のワイン産地でもあるモーゼルは標高の高さに由来する冷涼な気候で、エレガントな酸味と余韻の長い気品に満ちたリースリングを生み出しています。モーゼル特有の酸味は甘口ワインとも見事に調和し、世界でもここでしかできない特別なワインとして人気を博しています。


ラインガウはドイツ五大畑のうち四つを擁する銘醸地です。ライン川の豊富な水量によって年間を通じて温暖な気候のため、より熟して重厚な、力強さと繊細さを兼ね備えたリースリングが多数造られています。

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フランス・アルザス

フランス・アルザス

フランス北東部に位置するアルザスは古くから辛口リースリングを生産する銘醸地の一つです。国境に位置する土地柄と歴史的背景から、各地にはドイツの影響が色濃く残っており、食文化などもドイツ由来のものが多く伝えられています。


リースリングのワインの製造については、100年以上使用された大樽やステンレスタンクの近代的なセラーでの熟成、マロラクティック発酵など、伝統的な文化が根強いフランスの中では珍しく多様なスタイルが用いられていることが特徴です。


ドイツと比べると、アルザスのリースリングは花の風味が穏やかでミディアムからフルボディの濃厚でエレガントなワインに仕上がります。

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オーストラリア

オーストラリア

温暖なオーストラリアの中で、高い標高によって冷涼な気候をしたクレア・ヴァレーやイーデン・ヴァレーがリースリングの産地として知られています。


ドイツやアルザスなどに比べて穏やかな酸味と力強い味わいが特徴で、特にその香り高さにおいては、他の産地と一線を画した人気を集めています。

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アメリカ

アメリカ

アメリカのリースリングといえば、ワシントン州とニューヨーク州が有名です。


特に大西洋沿岸北部に位置するニューヨーク州で造られたリースリングは近年高い評価を受け、人気を博しています。


アルザスよりも温暖で、オーストラリアよりも冷涼な気候から生まれるワインは、豊かな果実味としなやかな酸味のフードフレンドリーな味わいが魅力の一つとなっています。

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ソムリエ解説!産地による味わいの違いは?

リースリングは、冷涼から温和な気候帯の限定されたエリアで育ち、多くのワインラヴァーからの人気を集める品質の高い白ワインを生産しています。 全体として、華やかな香りと爽やかで生き生きとした酸味をもつスタイルは共通していますが、それぞれの産地の明確な個性はやはり存在しています。 代表的な産地の一つであるドイツでは、爽やかなリンゴや白桃、白い花の香りを感じる、比較的低アルコールでほのかな甘みをもつスタイルが多く生産されているのに対し、フランスのアルザス地方では、ミディアムボディの辛口タイプが主流となっています。 ニューワールドにおけるリースリングの代表産地であるオーストラリアでは、ライムのような柑橘フレーヴァーが特徴的で、爽やかでよりドライな印象をもつタイプが生産されています。 ニューワールドの中でもアメリカのワシントン州のリースリングは、ドイツに似たスタイルが主に造られています。

相性の良い料理

相性の良い料理

幅広い味わいを持つリースリングは、スタイルに合わせて色々な料理を合わせて楽しむことができます。


洋食、和食、中華それぞれどんな料理が合うのか、田邉さんに聞いてみました。

相性の良い料理

ソムリエ解説!洋食ならどんな料理が合う?

典型的なスタイルの爽やかな辛口スタイルのリースリングの白ワインは、フランスの郷土料理としても有名なパテ・ド・カンパーニュやソーセージの盛り合わせにピクルス添えたオードブル、シュークルート(ザウアークラウト)、キッシュロレーヌ等とよく合います。 ドイツやアルザスは内陸地のワイン産地であることから、肉や野菜の保存食が文化的に定着し、肉の脂質と旨味をワインの豊かな酸味と塩味が引き出し、ピクルスの風味と酸味にリースリングの酸とミネラル感が同調します。 オーストラリアのリースリングの柑橘フルーツのフレーヴァーとほのかな海のニュアンスは、ホタテのカルパッチョ等のシーフードのオードブルとよく合います。

ソムリエ解説!和食ならどんな料理が合う?

リースリングの白ワインの特徴であるリンゴや柑橘フルーツのフレーヴァー、伸びやかな酸味と奥行きのあるミネラル感は、日本の地鶏や野菜料理にもとてもよく合います。 その中でも特に、内陸地に位置する伝統国のワインは、焼き鳥の塩焼き、もしくはお酢が効いた野菜料理とも相性が良く、例えば地鶏焼きの横に酢の物を添えて一緒にいただくのもおすすめです。 一方で、オーストラリアのリースリングは海の幸と相性が良く、握り寿司のホタテ、ヒラメ昆布締め、イカ等によく合い、酢飯の味わいにも同調します。

ソムリエ解説!中華ならどんな料理が合う?

リースリングの白ワインと中華料理を合わせて楽しみたい時におすすめしたいのは、ささみときゅうりの中華風酢の物とのペアリング。 リースリング特有の酸味と塩味がささみの旨味を引き出し、ごま油の風味、お酢の酸味とも同調し、味わいの一体感が感じられます。こちらの組み合わせは、料理とワインの風味と酸味の同調のみでなく、強弱の調和という意味でもよく合っています。 他にもシンプルなペアリングとして、チャーシューの盛り合わせとアルザスのリースリングのやや熟成したタイプの組み合わせもおすすめ。肉の深みのある旨味にワインの豊かな酸味とミネラルが調和し、風味が豊かに広がります。

おすすめワイン

最後に、田邉さんおすすめのリースリングを使ったワインを3本ご紹介します

イーデン・ヴァレー・リースリング / ロルフ・ビンダー

国内外で高い評価を獲得する、1955年創業のワイナリー。こちらは個人的にも以前からSNS等でおすすめさせていただいているワイン。 オーストラリアにおけるリースリングのトップクラスの銘醸地で造られています。ライムやレモン、白い花のフレーヴァーが華やかに広がり、果実のジューシー感と生き生きとした酸味、心地良い余韻が続きます。

イーデン・ヴァレー・リースリング
750ml

イーデン・ヴァレー・リースリング

  • エレガント&ミネラリー

  • 2022

    3,300

    (税込)

    NEW

カンフ-・ガ-ル・リ-スリング / チャールズ・スミス・ワインズ

アメリカのワシントン州において、高品質なリースリングを生み出す生産者として高い評価を得ているワイナリー。 私が関っているレストランでも常にオンリストしており、多くのゲストからご満足のお声をいただいています。華やかな香りの広がり、豊かな酸味に調和するまろやかな甘みとのバランスが魅力。

カンフ-・ガ-ル・リ-スリング
750ml

カンフ-・ガ-ル・リ-スリング

  • 白ワイン
  • 2021

    2,860

    (税込)

クレフ・シュテッフェンスベルク・リースリング・シュペトレーゼ / シュタッフェルター・ホフ

ドイツならではのリースリングのスタイルとして確立されている遅摘みのブドウから造られる秀逸な甘口ワイン。 リンゴや白桃、白い花の華やかな香りがグラスいっぱいに広がり、熟した果実の豊潤な甘みと美しく伸びる酸味とのバランスが秀逸。フランスやオーストラリアとはまた違うリースリングの魅力を存分に堪能できる1本です。

クレフ・シュテッフェンスベルク・リースリング・シュペトレーゼ
750ml

クレフ・シュテッフェンスベルク・リースリング・シュペトレーゼ

  • アロマティック&ピュア

  • 2021

    3,520

    (税込)

まとめ

リースリングの魅力は、何と言ってもバラエティの豊かさ。極甘口から辛口、そして発泡性まで様々なスタイルがあり、その幅広い味わいは料理とも相性抜群で日本食ともマッチします。


ぜひいろいろなリースリングを試して、お気に入りを見つけてみてくださいね。

リースリングのワイン一覧
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