ロゼワインの先入観をくつがえす、あのひとの楽しみ方。様々なフィールドで活躍するロゼラヴァーが語る、ロゼの自由な魅力を聞きました。
“ロゼなんて”が、“ロゼがいい”に変わるとき
アピシウス エグゼクティブソムリエ・情野 博之さん
国際ソムリエ協会認定インターナショナル・ソムリエとして長年ソムリエ業を営む。 『ゴ・エ・ミヨ東京2019』において「ソムリエ オブ ザ イヤー」受賞。日本栄養大学講師も務める。
ロゼワインは今、世界的には辛口が主流で消費量も右肩上がりで伸びています 。一方で日本は、世界と比べるとまだこれから。ロゼがもっと選ばれる場面が増えてほしいな、と思っています。
正直に言うと私自身、昔は「ロゼなんて」と軽く見ていたところがありました。でも、ロゼワインをレストランに導入することになり、改めて飲んでみると、素直に「美味しいな」と感じたんです。
さらに印象が変わったのは、昨年ボルドーへ出張に行った時。工事現場のおじさんたちが仕事終わりでランチに来て、当たり前のようにロゼを楽しんでいる姿を目にしました。殿方は、ロゼは甘くてかわいいワインというイメージを持ってしまいがちかもしれませんが、飲んでみればわかるワインだと思います。
TPOを問わず楽しめて、食事との相性も幅広い。ピザやパスタ、焼き鳥、スパイスの効いた肉料理まで寄り添ってくれるし、家庭料理にもすっと馴染みます。
この夏おすすめしたいのは、鰹とのペアリング。さっぱりした身に、ポン酢とロゼワインの酸味がぴったりと合います。もし色の濃いロゼを合わせるなら、ワインが持つ青みのある香りに寄せて、大葉を少し刻んで添えるのも面白いですよ。
ロゼワインは、1000円台から美味しいものが見つかって、ラベルもかわいく、「ジャケ買い」しても外れにくいのも嬉しいところ。ハードルが高そうに思われがちなワインですが、実は初めての方にも、おすすめしやすいワインなんじゃないかと思っています。
お祝いやパーティーを輝かせる、ロゼで乾杯
美容モデル / 井本 悦代さん
20代から『JJ』『STORY』等の女性誌や広告に出演。現在は美肌を活かしたビューティーモデルをはじめ、インスタグラマーとしてライフスタイルを発信するなど幅広く活動中。Instagram:@bisuhada
私にとってロゼは、その場をパッと華やかにしてくれる「乾杯にぴったりのワイン」です。グラスに注がれた美しいピンク色は、お祝いやパーティーをより一層輝かせてくれます。以前は乾杯といえば泡でしたが、今ではロゼで始めるのが定番。
そのきっかけは、2023年に訪れた南イタリア・プーリア州での体験です。現地の人たちが乾杯に選ぶのはいつもロゼワイン。なかでも、真っ青な海の上、クルーザーで海風を受けながら飲んだ「プリミティーヴォ100%」のロゼは忘れられない一杯です。
エレガントな果実味とミネラル感、そして開放感あふれる美しさに一瞬で心を奪われ、それ以来、自宅のワインセラーに欠かさずストックするようになりました。
キリッと冷やしてすっきりと楽しんだり、温度が上がるにつれて華やかに、花や果実の香りが開いていく過程をじっくり堪能したり。そんな変化を味わうのも、私の好きなロゼの楽しみ方です。
最近は、プーリアのロゼとはまた異なる、骨格のしっかりした濃い目のロゼ「チェラスオーロ・ダブルッツォ」とパンチの効いたアブルッツォ料理とのペアリングに出会い、ロゼの奥深さをあらためて感じています。
色の美しさに隠れたロゼの奥深い世界
JSA認定ソムリエ・エクセレンス / 紫貴 あき さん
ワイン専門輸入商社にてマーケティングを担当し、世界のワインに触れた経験を持つ。現在はアカデミー・デュ・ヴァンの教壇、および各種メディアでワインの魅力を伝える活動を行う。
ピンク色のイメージから、甘いのではと思われがちですが、初めてロゼワインを学ぶ方には、ロゼは辛口が基本ですよ、と伝えています。興味深いのは、その歴史的背景。ロゼワインは古代ギリシャ・ローマ時代では富裕層が楽しむ高級品でした 。
黒ブドウを軽く圧搾して造るので少しの果汁しか取れず、苦みや渋みがなく高品質で希少なワインだったのです。19世紀以降、プロヴァンスを中心に庶民の夏の定番ワインとなり、近年では著名人や人気ブランドの参入で再びプレミアムワインの地位を確立しつつあります。
普段はロゼワインを食事に合わせて楽しんでいますが、飲み切れない時や味変したい時は、カクテルを作ります。
実はボルドーワイン委員会でも推奨する飲み方で、私はロゼに炭酸水とオレンジピールを入れてハーブを浮かべています。アルコール度数も抑えられ、ワインを飲む機会の少ない方にもおすすめです。
これからロゼを楽しむ方には、世界で唯一とされるロゼ専門研究施設 を擁するプロヴァンスの本格ロゼをぜひ味わってほしいです。この施設では、ブドウ栽培から醸造までロゼワインに特化した研究・開発が行われ、ロゼ造りの知見とノウハウが、日々蓄積されています。
緻密な研究と計算のもとに生まれる多層的な香りと味わいは、ロゼに対するイメージをきっと覆してくれるはずです。
『エノテカタイムス』は全国のワインショップ・エノテカにて配布中です。ぜひお手に取ってご覧ください。 ※一部対象外の店舗がございます。 ※数に限りがございます。期間中でも配布が終了している場合がございます、予めご了承ください。