世界三大貴腐ワインの一つ「トカイワイン」を徹底解説!

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公開日 : 2023.1.11
更新日 : 2023.2.22
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ワインをかざしているところ

フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼと並んで世界三大貴腐ワインの一つとして有名なハンガリーのトカイワイン。


フランス国王ルイ14世が「王のワインにしてワインの王」と称したという逸話があるほど、トカイワインは長い歴史を持ち、ヨーロッパの国々で称賛されてきました。古くから世界的評価の高いトカイワインですが、近年、より技術革新が進んで品質が向上しています。


また、2013年にはハンガリーのワイン法も改定され、トカイワインについては等級やラベルの表示方法が見直されました。


今回はそんなトカイワインについて解説したいと思います。

トカイワイン一覧はこちら
目次

トカイワインとは

ハンガリー 風景

トカイワインは、ハンガリーの首都ブタペストの北東230kmに位置するトカイ地方で造られるワインのことを指します(※1)。


原料となるブドウはフルミントが主体で、ワインは甘口から辛口、スパークリングワインまで様々なタイプがありますが、中でも貴腐ワイン「Esszencia(エッセンシア)」や「Tokaji Aszu(トカイ・アスー)」は、歴史的にも高い評価を得ています。

ハンガリー マップ

トカイ地方はハンガリー北端のスロヴァキア国境と接するゼンプレーン山脈の裾野に広がるワイン産地で、ボドログ川とティサ川という二つの川が合流する地点にトカイ山があり、27の町と村で構成されています。


気候は朝晩の気温差の大きい大陸性気候、土壌は火山岩系土壌と黄土が中心となっています。


二つの川が合流するトカイ地方は秋の昼夜の寒暖差によって濃い霧が発生し、その湿気によってブドウに貴腐菌がつきます。このようなトカイ地方の特別な地形と気候が、世界三大貴腐ワインの一つであるトカイワインを生むのです。


なお2002年、この地方のブドウ畑の文化的景観がユネスコの世界遺産に登録されました。

※1 1920年のトリアノン条約によりトカイ地方の一部がチェコスロヴァキア(現在のスロヴァキア)に割譲されたため、スロヴァキアでもトカイと名乗れる畑があります。

主要品種

貴腐ブドウ

トカイワインの原料ブドウはフルミントをはじめとして6種類の白ブドウが認定されていますが、以下の3品種が主に使用されています。


  • フルミント
  • ハーシュレヴェリュー
  • サルガ・ムシュコタイ

フルミント

果皮の薄い白ブドウで、晩生品種のため成長期の早い時期に芽が出ることから春に霜の影響を受けやすく、貴腐菌に感染しすい品種です。


トカイワインの主原料として単一で使用されたり、70〜80%の割合でブレンドされたりするのが一般的です。原産地は不明ですが、主な産地はハンガリーとその隣のスロヴェニア、そしてオーストリアのブルゲンラント州でも少し栽培されています。


フルミントから造られるワインは酸が非常に高いため長期の熟成に適しており、同時に糖度も非常に高いのでリッチなフレーヴァーを有する独特な味わいとなります。発芽は早いのですが果実はゆっくりと熟成するので、貴腐菌がつくブドウの収穫は年によっては11月の後半近くになることもあるのです。


また、フルミントからは甘口ワインだけでなく、早飲み用の辛口白ワインも造られています。ブドウの糖度が高いため、アルコール度数の高い辛口ワインを容易に造ることができます。

トカイ・フルミント ドライ・ホワイト
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ハーシュレヴェリュー

ハーシュレヴェリューは「ライムの葉」を意味しており、フルミント主体のトカイワインに、華やかな香りを添加します。


ハンガリー国内ではトカイ地方以外でも栽培されており、一般的にこのブドウから生まれるワインは非常に粘性を持ち、スパイシーで香りが強く、力強い香味を持ちます。


ハーシュレヴェリューはフルミントより房は大きいですが実は小さく、緑がかった深い黄金色で、フルミントと同様に晩熟で貴腐菌の影響を受けやすい品種です。

サルガ・ムシュコタイ

サルガ・ムシュコタイはマスカットの一種であるミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランのハンガリーでの呼び名です。


原産地はギリシャと言われており、オレンジやスパイスを思わせる華やかな香りが特徴の品種です。


実は小粒で発芽は早いですが晩熟型のブドウで、フランスではヴァン・ドゥ・ナチュレル(※2)の原料としても使用されています。トカイワインにおいては、フルミントとハーシュルヴェリューを華やかな香りを加える目的で栽培されています。

※2 ワインの醸造過程でアルコールを添加しアルコール度数を高めたフォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)の一種。天然の糖分がワインの中に多く残留することになり甘口となります。

おいしい飲み方

フォアグラのパテ

食中に甘いお酒を飲む習慣のない私たち日本人にとって、甘口のトカイワインと料理のペアリングはちょっと考えにくいかもしれません。無理に食事に合わせるのではなく、食前酒や食後酒として楽しむのが良いでしょう。


まず、トカイワインを飲む時はしっかりと冷やしましょう。トカイワインはとても甘いお酒ですが、酸もしっかりとあります。よく冷やすことで甘さが締まり、酸が引き立って驚くほどスムーズに喉を通ります。


食前や食後にトカイワインと合わせるならブルーチーズがおすすめです。青カビのピリッとした辛味と塩味、ミルクの濃厚な脂肪分とトカイワインの甘さが絶妙にマッチします。牛乳製の「フルムダンベール」や「ブルーデコース」は比較的風味の穏やかなブルーチーズなので、食べ慣れない方にはおすすめです。


また、トカイワインに合わせるデザートは甘みと酸味があるものがおすすめ。例えば、アップルパイやフルーツのタルトは果物の酸味とワインの酸味が口の中を引き締めるので甘ったるくなりません。


そして、甘口ワインと王道の組み合わせであるフォアグラは、一度は試していただきたい組み合わせです。フォワグラのテリーヌやパテならデパートなどのお惣菜売り場で手に入ります。油分と甘みの濃厚なペアリングは貴腐ワインの醍醐味を味わえます。


甘口のトカイワインなら抜栓後冷蔵庫でしっかりと保管すれば1〜2週間は楽しめますよ。

トカイワインの等級

2013年に改定されたハンガリーのワイン法では、トカイワインの等級分けも変更となりました。詳しく見ていきましょう。

ワイン品質区分タイプ名最低残糖分熟成期間
アスートカイ・アスー120g/以上
樽熟成18ヶ月
エッセンシア450g/以上
サモロドニサラーズ9g/L以下最低2年(樽熟成1年)
エーデシュ45g/L以上
その他マースラーシュ9g/L以下(辛口)
45g/L以上(甘口)
最低2年(樽熟成1年)
フォルディターシュ

エッセンシア

手摘みした貴腐ブドウを重力によって自然にプレスしたフリーランスジュースのみを使用し、ゆっくりと熟成させて造られる極甘口のワイン。


残糖度は450g/L、アルコール度数1.2〜8%

トカイ・アスー

貴腐ブドウを手摘みし、マスト(※3)、発酵中のマスト、または同じヴィンテージに造られた若いワインの中で発酵させ、オーク樽で18ヶ月以上熟成させて造られる甘口ワイン。


市場にリリースできるのは収穫年から3年後の1月1日以降で、樽熟成と瓶熟成を合わせて3年の熟成期間が必要です。


以前は3〜6段階のプットニョシュという単位で残糖度を表記していましたが今回の法改正で廃止され、残糖度120度以上のものがトカイ・アスーとなりました。


現在も裏ラベルに正確な残糖度を記載することは可能ですが、6プットニョシュとラベルに記載する場合には残糖度が150g以上なくてはなりません。


最低基準の残糖度は120g/L、アルコール度数9%。

※3 発酵する直前の醸造原料。ワインとなるブドウジュースのこと。

トカイ アスー 3 プットニョシュ
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サモロドニ

サモロドニとは「自然のままに」という意味のスラブ語で、エッセンシアやアスー用のブドウの収穫が1粒ずつ摘み取るのに対し、他国の貴腐ワイン産地同様、房ごとに収穫したブドウを醸造して造られます。


ブドウの状態(貴腐の割合)によって甘口になったり辛口になったりするため、辛口は「サラーズ」と言い残糖度が9g/L。


以下、甘口は「エーデシュ」と言い、残糖度45g/L以上となります。

まとめ

ハンガリーは戦後、社会主義体制となりワイン造りにおいて苦難な時代も経験しましたが、長い歴史と伝統に育まれたトカイワインは、昔と変わらず高い名声を誇り続けてきました。


そういう意味でも、トカイワインは特別な日に飲んだり、大切な人へプレゼントするのにピッタリなワインなのです。


近年は甘口の貴腐ワインだけでなく上質な辛口のトカイワインも日本に輸入されていますので是非チェックしてみてください。

トカイワイン一覧はこちら

参考: 日本ソムリエ協会 教本 2020

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