アドリア海に面する港町!イタリア・マルケ州で造られるワインの特徴

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公開日 : 2020.7.17
更新日 : 2022.5.23
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しばしばブーツに例えられるイタリアのふくらはぎ辺りに位置するマルケ州。

日本人にはあまり馴染みがありませんが、かつては芸術文化が栄えた州で観光名所も多く、海と山の幸に恵まれた素晴らしい場所で生まれた食文化は世界中のグルメに大変人気です。

そしてもちろん、マルケ州の食文化にワインが深く関係してきたことは言うまでもありません。今回はそんなマルケ州のワインについて解説します。

目次

マルケ州ってどんなところ?

イタリア半島中部に位置するマルケ州は、北はエミリア・ロマーニャ州、南はアブルッツォ州とラツィオ州、西はトスカーナ州とウンブリア州に接し、東にはアドリア海が広がっています。州の西側にはイタリア半島を南北に走るアペニン山脈があり、州の31%が山岳地帯で、残りの69%が丘陵地帯となっています。

マルケ州は風光明媚な景観だけでなく、古代から栄え続けた港町の州都アンコーナや、ルネサンス三大巨匠の一人ラファエロの生誕地で世界遺産にも登録されている芸術の街ウルビーノ、古代ローマ以前からこの地に暮らしていたピチェーノ人の都で城壁に囲まれた街アスコリ・ピチェーノなど、観光資源が豊富な州です。

アドリア海に面して南北に173kmにもおよぶ海岸線では漁業が盛んで、イタリア国内ではシチリア州、プーリア州に次いで3位。内陸部では精肉や酪農も盛んです。また、山岳では貴重な白トリュフも採れます。

マルケ州のブドウ畑は丘陵地帯に広がっており、土壌は主に粘土質と石灰質です。州都のアンコーナより南は温暖な地中海性気候、北は亜大陸性気候と地中海性気候が混ざった気候で、夏の暑さは山から吹く風と海からの風によって和らげられています。

マルケ州のワイン造りの歴史は長く、古代ローマ時代まで遡ることができます。特にアドリア海の沿岸部は当時からワインの銘醸地として知られていたほどで、紀元前3世紀中頃から紀元前2世紀の前半には既にコーネロの赤ワインが親しまれていたと言われています。

マルケ州で造られるワイン

現在、マルケ州のワインの生産量は赤・白ワインともにほぼ同程度となっていますが、欧米諸国への輸出が多い白ワインの方が世界的に知名度は高く、反対に赤ワインは知名度は低いもののクオリティの高いワインが多いです。

ここではマルケ州を代表するワインを紹介します。

ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージ

州都アンコーナ周辺のエジノ川両岸に広がる標高200〜500mの丘陵地帯で造られる白ワインです。1950年代にアンフォラ型のボトルで世界的に大流行しましたが、1980年代以降は通常のボトルが主流となりました。

一般的にフレッシュ&フルーティな味わいで、程良いミネラル感とアフターの苦味がシーフードと抜群の相性をみせます。近年は、ボリューム感があり熟成も可能なスタイルのワインも造られるようになりました。

原料ブドウのヴェルディッキオはマルケ州で広く栽培されている土着の白ブドウです。ヴェルディッキオという名称は、緑を意味するイタリア語の「ヴェルデ」からきており、このブドウから造られるワインの色合いが黄緑がかっていることに由来します。

ヴェルディッキオは日当たりの良い傾斜地を好むブドウで、収穫量は少なめ。キレのある酸味を持ち、時に長期熟成も可能なワインを生みます。

ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージが一般的にフレッシュな早飲みタイプのワインであるのに対して、アンコーナから内陸に入ったマテリカで造られるヴェルディッキオ・ディ・マテリカは、昼夜の寒暖差が大きいアペニン山脈の影響を受け、より酸が強く長期熟成可能なワインとなります。

2010年には18ヶ月間の法定熟成期間を経て造られるカステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・リゼルバがD.O.C.G.に昇格しました。

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コーネロ

アンコーナの南の丘陵地帯で生産される力強い赤ワインです。モンテプルチアーノ85%以上にサンジョヴェーゼをブレンドして造られます。

原料ブドウのモンテプルチアーノはアブルッツォ州やマルケ州、ウンブリア州、プーリア州で栽培されている中部イタリアで最も重要な黒ブドウの一つで、アルコール度数の高い濃厚なワインを生みます。サンジョヴェーゼはご存知の通りイタリアで最も生産量の多い黒ブドウで、酸とタンニンのしっかりしたワインを生みます。

コーネロは、D.O.C.ロッソ・コーネロのリゼルバのみ独立して昇格したD.O.C.G.で、最低アルコール度数12.5%、最低熟成期間は24ヶ月を要します。

古代ローマ時代より「アドリア海沿岸で最も優れた赤ワイン」としてその名が知られ、今日まで親しまれてきました。

マルケ州のワインのトピックス

マルケ州はイタリア20州の中でも知名度が低い州と言わざるを得ませんが、農業に関しては革新的な州で、早くから有機栽培に力を入れた取り組みを行ってきました。ワイン生産においても、有機栽培でブドウを育てる生産者達のイベント「テロワール・マルケ」が小規模ながらも2015年から毎年開催されています。

近年はマルケ州とアブルッツォ州で栽培されている土着品種のペコリーノやパッセリーナから、それぞれ単一品種100%の白ワインが造られるようになり、人気となっています。

まとめ

マルケ州の豊かな食文化は、バラエティに富んだ地形によって生まれたと言ってもよいでしょう。港町近くで造られるヴェルディッキオのワインと海の幸、力強いコーネロの赤ワインと山の幸との相性は素晴らしく、改めてイタリア人の地産地消の意識の高さに納得します。

ピエモンテやトスカーナの人気のワインも良いですが、マルケ州のような隠れた銘醸地のワインも是非トライしてみてくださいね。

参考文献 ・日本ソムリエ協会 教本 2020     ・Fondazione Italiana Sommelier編 イタリア式ワインのABC

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