【ソムリエ解説】オレンジワインとは?

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公開日 : 2026.5.11
更新日 : 2026.5.11
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オレンジワインとは?

近年よく耳にするようになった「オレンジワイン」。白ワインとも赤ワインとも異なる独特の風味や美しい色合いが注目を集め、世界中で人気が高まっています。


この記事では、オレンジワインの基本、流行の背景や料理との相性、そしておすすめの1本まで、ソムリエの解説でわかりやすくご紹介します。


オレンジワインの魅力を知り、より深く楽しむためのガイドとしてお役立てください。

解説してくれるのは、田邉公一さん


J.S.A 認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003 年 J.S.A 認定ソムリエ資格取得 2007 年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018 年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023 年 12 月発売 2025年10月に新著 「THE STUDY OF WINE」 を出版 映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演 オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース X(旧 Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

オレンジワイン一覧はこちら

目次

オレンジワインとは

オレンジワイングラス

その名前から、オレンジで造ったフルーツワインを想像しがちですが、オレンジワインはれっきとしたワインの一種です。


オレンジがかった色合いに仕上がるのが特徴のオレンジワインですが、味わいをイメージするのは難しいかもしれません。田邉さんにオレンジワインの特徴を訊きました。

オレンジワインってどんな味わい?

オレンジワインは白ブドウやグリブドウを赤ワインのように果皮と種子ごと発酵させるため、果皮由来の色調やアロマ、味わいには、主に種子由来のタンニンが感じられるのが特徴です。 一般的なスタイルとして、香りはアプリコットやオレンジ、オレンジピール、紅茶、シナモンやナツメグのようなスパイスのニュアンスに加え、スモーキーさも感じられ、味わいはやや厚みがあり、適度な渋みとほのかなスパイスの風味を感じやすい傾向があります。 白ワインや赤ワインと同様に、ブドウ品種や産地の個性が反映されるため、それぞれの特徴を把握していくことも重要となります。

どうして「オレンジワイン」というの?

名前の由来は、白ブドウやグリブドウを果皮ごと発酵させることで生まれるオレンジがかった色合いにあります。 この呼び名は2000年代にイギリスのワイン商によって広められた造語とされ、比較的新しい表現です。 世界最古のワイン産地として知られるジョージアでは、伝統的に「アンバーワイン」とも呼ばれ、非常に古くから行われてきた製法によって生まれる個性的なワインが、世界的に広く知られています。

オレンジワインの醸造法

オレンジワインは、白ブドウもしくはグリブドウを赤ワインのように醸造して造られるワインで、果皮や種とともに発酵させることで、独特の色合いと奥行きのある味わいが生まれます。


ロゼワインと発想が対照的な存在で、ロゼは「黒ブドウで白ワインのように」、オレンジは「白ブドウもしくはグリブドウで赤ワインのように」造られます。まさに対極にあるスタイルと言えるでしょう。

オレンジワインの製法

赤ワイン


黒ブドウを潰し、果汁と果皮を一緒に発酵させて造ります。

果皮に含まれる色素(アントシアニン)が溶け出し、しっかりとした赤色になります。


白ワイン


白ブドウを潰した後、果皮や種を取り除き、果汁だけを発酵させます。

そのため色はつかず、透明感のある白ワインに仕上がります。


ロゼワイン


黒ブドウを使い、軽く圧搾することで果皮の色を少しだけ移します。

ピンク色になった果汁を、白ワインと同じように発酵させるシンプルな方法です。

なお、これはロゼワインの代表的な製法のひとつで、ほかにも製法があります。


オレンジワイン


白ブドウもしくはグリブドウを使いながら、赤ワインと同じように果皮ごと発酵させます。

白ブドウには赤い色素がないため、代わりに黄色系の色が抽出され、オレンジ色になります。


オレンジワインが流行している理由

オレンジワインで乾杯

オレンジワインは古くからジョージアで造られてきた伝統的なワインですが、近年になって一気に注目を集めるようになりました。その背景には、大きく以下の二つの理由があります。


  • ナチュラルワインブーム
  • フードフレンドリーな味わい


一つ目の理由は、ナチュラルワインブームとの親和性の高さ。


通常、白ワインはタンニンをほとんど含まないため、酸化防止の目的で亜硫酸の添加が比較的多く必要とされます。一方で、オレンジワインは果皮とともに発酵させることでタンニンを持つため、添加物を抑えた造りが可能になります。


この点に着目したナチュラルワインの生産者たちが、白ブドウをオレンジワインとして仕込むことで、より“自然な造り”を実現。こうしてナチュラルワインブームとともに広まり、世界的な認知を獲得しました。


現在では、「オレンジワイン=ナチュラルワイン」という括りではなく、ナチュラルワインに限らず多くの生産者が手がける、一般的なカテゴリーとして広く認知されています。


もう一つ目の理由は、料理と合わせやすいフードフレンドリーな味わい。


オレンジワインは、白ワインのような酸や香りに加え、赤ワインのようなタンニンやコクを併せ持つため、幅広い料理に対応できます。


特にスパイスを効かせたインド料理や中国料理のように、白ワインでは繊細すぎ、赤ワインでは渋みが強すぎる料理とも好相性。こうした“中間的な存在”としてのバランスの良さが評価されてきました。


この魅力にいち早く気づいたのが世界のトップソムリエたちで、レストランでの提案を通じて広まり、従来のワイン愛好家にも受け入れられるようになったのです。


オレンジワインの人気は、ナチュラル志向と新しいペアリングの可能性、その両方に支えられて広がったと言えるでしょう。


ソムリエとして20年以上活躍してきた田邉さんに、ご自身の経験を通して感じてきたオレンジワインの流行について伺いました。

田邉さんに訊く、オレンジワインの流行について

私がソムリエとして本格的に活動し始めた2000年代前半は、レストランでもそれ以外の場面でも、ワインと言えばスパークリング、白、赤が中心で、時折ロゼが飲まれるといった状況でした。当時はオレンジワインという言葉自体を聞くこともなく、ソムリエとしての提案にも、ゲストからの要望にも、選択肢には入っていない状況が続いていました。 個人的にきちんと向き合って飲む経験をしたのは2013年頃のことです。イタリアンバルで勧めていただき飲んでみたのですが、とても気に入って、何度かリピートしました。 当時は「酸化熟成した独特な白」という印象で、オレンジワインという言葉で表現する人もほとんどいなかったと記憶しています。 その後、ナチュラルワインのムーブメントの到来やジョージアワインの日本での認知度向上により、その名前が一気に広がり、次第にレストランでも見かけるようになってきました。 ジョージアやイタリアのオレンジワインの普及以外の観点から見ると、日本で広がってきた大きな要因の一つが、日本の固有品種である甲州のオレンジワインのポテンシャルの高さだと考えています。 料理とワインのペアリング文化が定着していく中で、日本の伝統料理と甲州のオレンジワインの相性の良さにも注目が集まりました。 私自身も2013年以降、オレンジワインをおすすめする機会が増えていきましたが、多くのレストランでも見かけるようになり、輸入される銘柄も増え、一過性のブームではなく、一つのジャンルとして完全に定着してきたと感じています。

オレンジワインにピッタリな料理

オレンジワインは“フードフレンドリー”なワインとして知られ、白ワインの爽やかさと赤ワインのような渋みを併せ持つことから、合わせられる料理の幅が非常に広いのが特徴です。ほかのワインでは合わせにくい料理でも、オレンジワインならしっくりと寄り添うことがあります。


また、旨味の強い味わいを持つため、発酵食品や出汁、スパイスを使った料理と好相性。さらに複雑な香りを備えているため、ハーブやスパイス、発酵由来の香りが立つ料理ともバランスよく調和します。


田邉さんにおすすめのペアリングを教えてもらいました。

オレンジワインにおすすめのペアリング

オレンジワインの基本的な味わいの特徴として、白ワインと大きく異なるのがタンニンの存在です。 ワインと料理とのペアリングにおいて、タンニンは脂質やタンパク質との相性が良く、それらを含む料理との組み合わせを考える必要があります。 つまり一般的な考え方として、新鮮な野菜や魚を使った料理よりは、ややしっかりとした肉料理を合わせるのがセオリーとなります。 例えば、甲州の白ワインではなくオレンジワインに料理をペアリングする場合は、お刺身ではなく、焼き鳥のもも肉のタレ焼きなどをおすすめします。 甲州のオレンジワインのドライフルーツやカラメル、スパイスのアロマと、香ばしく焼いた鶏肉とタレの風味が見事に調和し、もも肉の脂質とタンパク質に甲州のオレンジワインがもつタンニンが溶け込み、味わいをより豊かに引き立ててくれます。

おすすめのオレンジワイン

オレンジワインを味わうならこれ!田邉さんにおすすめのワインを聞きました。

ヴィーニャ・エスメラルダ・フロール・ド・ランジュ / トーレス

ヴィーニャ・エスメラルダのワインは、神戸のホテルに勤務していた約20年前にその存在を知り、ゲストにサーヴしてきた経験があり、当時からとても好評でした。 スペインのトーレスは“キング・オブ・スペイン”と呼ばれ、「世界で最も称賛されるワインブランド」にも選ばれたことがあり、日本においても高い知名度を誇っています。 今回おすすめするワインはその名の通り、華やかでフローラルなアロマが魅力のオレンジワインです。

ヴィーニャ・エスメラルダ・フロール・ド・ランジュ
750ml

ヴィーニャ・エスメラルダ・フロール・ド・ランジュ

  • アロマティック&フルーティー

  • 2024

    2,530

    (税込)

山梨 プレステージ・クラス・オランジェ / ルミエール

ルミエールは非常に長いワイン造りの歴史を持ち、大正時代には宮内庁御用達となった由緒あるワイナリーです。 これまでに私も何度も現地ワイナリーを訪問した経験がありますが、オレンジワインもお気に入りの1本で、SNSなどでもご紹介してまいりました。 こちらのワインは美しい色調と深みのある香り、豊かな風味と果実味、ほどよい渋み、それぞれの要素がバランスよく調和した魅力的な1本です。焼き鳥のたれ焼きや豚の角煮とよく合います。

山梨 プレステージ・クラス・オランジェ
750ml

山梨 プレステージ・クラス・オランジェ

  • ライト&ピュア

  • 2023

    3,080

    (税込)

リボッラ・ジャッラ / ロンコ・セヴェロ

ロンコ・セヴェロは、フリウリの伝説的生産者からワイン造りを学んだ経験を持ち、非常にクオリティの高いワインを生み出し続けている自然派の造り手です。 こちらはフリウリを代表するブドウ品種の一つであるリボッラ・ジャッラで造る洗練されたオレンジワイン。 ドライアプリコットやオレンジ、紅茶やシナモンを思わせるアロマ、豊かな果実味と旨味、味わいに深みを与えてくれる緻密なタンニンの調和が見事です。

リボッラ・ジャッラ
750ml

リボッラ・ジャッラ

  • パワフル&ストラクチャー

  • 2020

    6,380

    (税込)

オレンジワインの歴史

オレンジワインの歴史

オレンジワインの起源は、コーカサス地方に位置するジョージアにあります。ジョージアは約8000年ものワイン造りの歴史を持つ“ワイン発祥の地”とされ、伝統的にはクヴェヴリと呼ばれる地中に埋めた甕を使い、白ブドウを果皮や種とともに発酵させる製法が行われてきました。


しかし旧ソ連時代には国外への流通が限られていたため、このスタイルは長らく広く知られることがありませんでした。


その後、この伝統的な製法を現代に蘇らせたのが、イタリア・フリウリの生産者ヨスコ・グラヴナーです。1998年に彼が手がけたオレンジワインが高く評価されたことをきっかけに、ナチュラルワインの生産者を中心に世界へと広がっていきました。


近年ではジョージアワイン自体の流通も増え、現在ではヨーロッパをはじめ新世界の各地でもオレンジワインが造られるようになっています。

オレンジワインに使われる品種

オレンジワインに使われる品種

オレンジワインは、基本的にどんな白ブドウ品種からでも造ることができますが、なかでもよく用いられるのがアロマティック品種です。ヴィオニエやゲヴュルツトラミネールのように香りの強い品種は、果皮に多く含まれる香り成分を引き出しやすく、果皮ごと発酵させる醸し発酵との相性に優れています。


また、酸味の高い品種も適しています。たとえばジョージアのルカツィテリは、茎ごと発酵させることで酸がやや和らぐため、もともと酸のしっかりした品種の方が全体のバランスを保ちやすく、結果として酸味とタンニンを兼ね備えた長期熟成向きのワインに仕上がります。


さらに、酸やコクが控えめでやさしい味わいの白ブドウ品種、例えばピノ・グリなどでも造られます。この場合、果皮由来のタンニンがワインの骨格を補い、より複雑で奥行きのあるスタイルへと導いてくれます。

オレンジワインの選び方、楽しみ方

オレンジワインの選び方と楽しみ方を、田邉さんに聞きました。

オレンジワインの選び方のポイント:色や産地で選ぶ

オレンジワインは白ワインや赤ワインと同様に、幅広いスタイルが存在します。 赤ワインと同様に醸しを行うことから、色調の濃淡から、香りや味わいの強弱もある程度予想することができます。 濃い色調のものは香りにスパイス感を感じるものが多く、タンニンは比較的豊か、淡めの色調のものはドライフルーツの香りが中心で、タンニンは控えめな傾向があります。 生産国では、特にジョージア、イタリア、日本が有名です。ジョージアは伝統的な素焼きの壺であるクヴェヴリで醸造した、スパイス感とタンニンの豊かなタイプが多く、イタリアは果実の風味がより豊かで、タンニンがやや穏やかな傾向があります。 日本の甲州から生まれたオレンジワインは、柿や杏、ほのかに醤油を思わせる香りと適度なタンニンをもつスタイルが特徴的です。ナチュラルワインも比較的多く存在するため、自然派のスタイルが好きな方にはオレンジワインが向いている可能性も高いと考えられます。

オレンジワインの楽しみ方のポイントは?

オレンジワインは白ブドウやグリブドウから造られますが、醸造スタイルは赤ワインにも近く、タンニンもあることから、温度は冷やしすぎないように、やや高めの10〜15℃程度がおすすめです。冷やしすぎると複雑な香りが閉じてしまい、タンニンが粗くなる可能性があります。 グラスに関しては、爽やかな白ワインを飲むタイプよりもやや大きめのものに注ぐことで、果皮由来のアロマをしっかりと感じることができ、タンニンをより心地よい印象へと変化させることができます。 個人的にはブルゴーニュ型の中庸のグラスを使用することが多く、それにより美しいオレンジの色調を際立たせつつ、複雑なアロマを広げ、味わいのバランスを整えて、魅力を引き立てることができると考えています。

まとめ

オレンジワインは、白ブドウから造られながらも赤ワインのような製法を取り入れた、伝統と革新が交差するスタイルのワインです。


独特の色合いと奥行きのある味わい、そして幅広い料理に寄り添う懐の深さが、多くの人を惹きつけています。


一見すると個性的で難しそうに感じるかもしれませんが、その魅力は“自由さ”にあります。先入観にとらわれず、料理やシーンに合わせて気軽に楽しめるのも大きな特徴です。


ぜひ一度、自分なりの楽しみ方でオレンジワインの世界を体験してみてください。

オレンジワイン一覧

文=岡本名央

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