【ブドウ品種を知ろう】ヴェルメンティーノとは?

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公開日 : 2025.11.25
更新日 : 2025.11.25
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ヴェルメンティーノ

地中海沿岸で栽培される白ワイン用品種、ヴェルメンティーノ。柑橘やハーブの香りと爽やかな酸味が特徴で、魚介や軽めの料理と相性抜群です。


この記事では、そんなヴェルメンティーノの魅力に迫り、その特徴や産地、料理との相性をソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

ヴェルメンティーノのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


J.S.A 認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003 年 J.S.A 認定ソムリエ資格取得 2007 年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018 年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023 年 12 月発売 2025年10月に新著 「THE STUDY OF WINE」 を出版 映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演 オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース X(旧 Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

ヴェルメンティーノ

ヴェルメンティーノはイタリアやフランスなどの地中海沿岸部を中心に栽培される白ワイン用品種です。


乾燥した温暖な気候を好み、海沿いの斜面などで栽培されることが多く、海風の影響を受けて育ちます。主に辛口の白ワインに用いられますが、一部ではスパークリングや遅摘みの甘口タイプも造られています。

特徴

ヴェルメンティーノのワインは、爽やかな酸味と華やかな香りが魅力。産地や醸造方法によって軽やかでフレッシュなものから、厚みのあるリッチなスタイルまで幅広く造られます。


共通する特徴は、グレープフルーツを思わせるような、後味に感じるかすかなほろ苦さです。

ソムリエ解説!ヴェルメンティーノの別名は?

ヴェルメンティーノは、主にイタリアや南フランスの地中海性気候のエリアで栽培される白ワイン用ブドウ品種で、南フランスでは「ロール(Rolle)」という別の名前で呼ばれています。 このように同じブドウが地域や国によって異なる名称で呼ばれることを、ワイン用語では「シノニム(synonym)」と言います。 シノニムとは「同義語」を意味し、同じものを指す別の名前のことで、ブドウ品種やワインの世界ではさまざまなブドウ品種に対して広く使用されています。 ヴェルメンティーノは、プロヴァンス地方のロール以外にも、コルシカ島ではマルヴォワジー・ド・コルスとも呼ばれ、これらは呼び名が違いますが同じ品種に当たります。 シノニムが存在するのは、ブドウ栽培の歴史の長さと文化的な多様性が関係しています。シノニムを知ることは、ワインのラベルや専門書で品種を正確に理解する上で重要な知識となります。

ソムリエ解説!ヴェルメンティーノの魅力は?

清涼感を感じるアロマとフルーティでありながらも奥深さを感じる味わい、そして限られた場所でしか栽培されておらず、その土地ならではの個性と希少性を兼ね備えていることです。

代表的な産地

代表的な産地

ヴェルメンティーノの主な産地について詳しく紹介します。

イタリア・トスカーナ州

イタリア・トスカーナ州

イタリア中部に位置し、銘醸地と名高いトスカーナ州は山と海に囲まれ、全土の約66%が丘陵地帯となっています。


北と東に広がるアペニン山脈と、西に広がるティレニア海の間にいくつもの谷が広がっており、内陸部は大陸性気候、海岸部は地中海性気候というように地域によって気候が大きく異なります。そのため、内陸部と海岸部では違う個性のワインが生産されています。


トスカーナではティレニア海沿岸部にあるボルゲリでヴェルメンティーノが広く栽培されています。ボルゲリはサッシカイアなどのスーパー・タスカンと呼ばれる赤ワインで一躍有名になった銘醸地ですが、ヴェルメンティーノからも良質な白ワインが多く造られています。

イタリア・リグーリア州

イタリア・リグーリア州

イタリア北西部に位置するリグーリア州はティレニア海に面した州で、西はフランスと国境を接し、北はピエモンテ州とエミリア・ロマーニャ州、東はトスカーナ州に接しています。


海岸沿いは温暖な地中海性気候で、内陸部は冬の寒さや夏の暑さが厳しい亜大陸性気候となっています。州の65%が山岳地帯、35%が丘陵地帯で、平野はなく山と海に挟まれ弓形に細長く伸びた地形が特徴です。


ワイン用のブドウ栽培はわずかな耕作可能な土地を利用して行われており、海に面した急な斜面の段々畑でブドウが栽培されています。


リグーリア州で造られるヴェルメンティーノからは、心地良いミネラル感のあるみずみずしい味わいの高品質なワインが多く造られています。

イタリア・サルデーニャ島

イタリア・サルデーニャ島

サルデーニャ島はイタリア半島の西側、ティレニア海に浮ぶ島で、フランスのコルシカ島のすぐ南に位置しています。


典型的な地中海性気候で、夏は暑く乾燥しており冬は温暖なため、この地のヴェルメンティーノのワインは、フレッシュながらも厚みのあるワインとなります。


島の北東部にあるガッルーラ地方の丘陵地帯で造られるサルデーニャ島唯一のD.O.C.G.ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラは、しっかりとしたアルコールを持ち、深みのある味わいで、かすかに感じる塩っぽさが特徴のワインです。

フランス・コルシカ島

フランス・コルシカ島

地中海西部、サルデーニャ島の北に位置する島。「地中海に浮かぶ山」と呼ばれ、その地理的特徴から、ワイン造りにおいて非常に多様で特徴的な気候の恩恵を受けています。


温暖で乾燥した典型的な地中海性気候を有していますが、島の中央を貫く山脈の影響で、沿岸部と内陸部の標高差と寒暖差があります。


そのような気候が地中海の温かさだけでは得られない十分な酸をブドウにもたらし、バランスの取れたワイン造りを可能にしています。


コルシカ島を代表する高品質な白ワインはヴェルメンティーノ100%もしくは主体で造られており、豊かな果実味とミネラル感が調和した味わいが特徴です。

フランス・ラングドック・ルーション

フランス・ラングドック・ルーション

フランスの南部に位置し、カジュアルでお手軽なワインの産地として知られているラングドック・ルーション地方。


隣のプロヴァンス地方と同様、その多くが典型的な地中海性気候ですが西部では海洋性気候の影響も見られます。夏は雨がほとんど降らずに乾燥しており、冬は穏やかな気候です。「トラモンタン」と呼ばれる乾いた冷風がブドウ畑を乾燥させ、病害から守ります。


この地方ではヴェルメンティーノはロールと呼ばれており、セミヨンなどとブレンドして華やかな香りのフレッシュな白ワインが造られています。

ソムリエ解説!イタリア、フランス以外で造られているの?

ヴェルメンティーノは主にイタリア(特にサルデーニャ島)、フランスのプロヴァンス地方やコルシカ島で栽培されていますが、イタリアとフランス以外でも少量ながら栽培・醸造されています。 例えば、アメリカのカリフォルニアやオーストラリアなど、新世界のワイン産地でも栽培されており、小規模ながら土地の個性を反映した高品質なワインが造られています。 イタリアや南フランスと同様に地中海性気候で、よく似た気候条件のもと、ヴェルメンティーノの持つ柑橘フルーツやハーブのフレッシュな香り、爽やかな酸味、ドライで奥行きのある味わいもしっかりと表現されています。 ただし、現在のところそれらの産地での生産量は限られているため、あくまでもイタリアや南フランスがメインのエリアとなっています。ヴェルメンティーノの国際的な認知度は徐々に広がりつつあるものの、まだまだ今後の広がりが期待されます。

ソムリエ解説!海沿いで造られるとワインにどんな影響があるの?

海沿いのエリアで栽培されるブドウは海からの風の影響を受けやすく、ワインの香りや味わいにその影響を感じます。 海風の影響により潮風がブドウの果皮に付着した場合、果汁のみを発酵させる白ワインだとしても、果皮のニュアンスが果汁に付与することがあり、香りや風味にもまさに「海のニュアンス」が感じられることがあります。 そして、海流の温度はブドウの栽培に大きく影響します。冷たい海流の側の産地であれば、仮にそのエリアが日照量豊富で非常に温暖だとしても、海からの冷たい風や霧がブドウ畑に冷却効果を与え、ワインに酸味や風味をもたらしてくれます。 逆に地中海やメキシコ湾流のように暖流の影響を受けるエリアの場合、温かい空気をもたらし、ブドウの熟度を高めてくれます。こうした環境要因が、海沿いの影響を受ける畑のブドウから造られるワインの個性に大きく影響を与えています。

相性の良い料理

相性の良い料理

ヴェルメンティーノに合う料理について田邉さんに聞いてみました。

相性の良い料理

ソムリエ解説!ヴェルメンティーノにはどんな料理が合う?

イタリアのヴェルメンティーノから造られる白ワインは柑橘フルーツやほのかなハーブの香り、フレッシュでドライ、心地よい塩味やミネラル感が感じられるのが特徴です。主な産地は地中海性気候の影響を受けるエリアであり、海の幸を使ったお料理と特に好相性です。 おすすめしたいお料理の一つが、新鮮なエビやホタテのカルパッチョ。ワインの柑橘フルーツを思わせる風味と酸味、ミネラル感が、エビやホタテの風味に調和し、味わいを引き立て、オリーブオイルとレモンにも見事に調和します。フレッシュハーブを添えることで相性がさらに高まります。 そして個人的に特におすすめしたいのが、カラスミのパスタとのペアリング。ヴェルメンティーノのメインエリアの一つであるサルデーニャ島は、ボッタルガ(カラスミ)でも非常に有名です。 ヴェルメンティーノから造られた白ワインの独特の海のニュアンス、味わいに感じる旨味とミネラル感がカラスミの風味にぴったりと重なり、料理とワインの味わいが豊かに広がります。 もう一品、お肉料理でおすすめしたいのが、豚肉のハーブソテーです。サルデーニャの名物料理として、仔豚の丸焼きがありますが、そちらをイメージして、豚肉をタイムのハーブでマリネしてから焼き上げ、最後にレモンを絞ってローズマリーを添えたお料理にもとてもよく合います。 ハーブで風味付けした豚肉に、ヴェルメンティーノの白ワインの酸味と旨味と心地よい苦味が調和し、レモンの風味にもワインのフレーバーと酸味がよく合います。

おすすめワイン

最後に、田邉さんおすすめのヴェルメンティーノを使ったワインを3本ご紹介します。

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ モンテオーロ / セッラ・モスカ

サルデーニャ州で唯一のD.O.C.G.であるヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラは、まさにこの品種の個性が見事に表現された白ワイン。 セッラ・モスカはサルデーニャで1世紀以上の歴史を持ち、土着品種の可能性に挑戦し続ける生産者で、ヴェルメンティーノから造られる白ワインの真骨頂を体感いただけます。

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ モンテオーロ
750ml

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ モンテオーロ

  • エレガント&ミネラリー

  • 2023

    3,313

    (税込)

クララ・ブラン / クラレンス・ディロン

ボルドー・メドック格付けの一級シャトーであるオー・ブリオンを擁するクラレンス・ディロンが、南フランスで手がける秀逸な白ワイン。 クララ・ブランは、ロール(ヴェルメンティーノ)を主体にソーヴィニヨン・ブランの魅力も加わり、さらにはマルサンヌ、ヴィオニエ、ルーサンヌを絶妙にブレンド。 ロールの個性を活かしつつ、それぞれの品種の個性が調和し、独自のスタイルを表現しています。

クララ・ブラン
750ml

クララ・ブラン

  • アロマティック&ピュア

  • 2024

    2,970

    (税込)

ヴィスタマーレ / カ・マルカンダ

ピエモンテ州のワイン生産者として、世界的に高い評価を受け続けているガヤ。そのガヤが切望した地、トスカーナ州のボルゲリで、未来を見据えてアンジェロ・ガヤ氏が手に入れたワイナリーが、カ・マルカンダです。 そしてその中でも唯一の白ワインがこちらのヴィスタマーレ。海沿いに位置するボルゲリのテロワールを見事に表現した1本です。

ヴィスタマーレ
750ml

ヴィスタマーレ

  • アロマティック&ピュア

  • 2024

    9,350

    (税込)

まとめ

ヴェルメンティーノは、柑橘やハーブの香りと爽やかな酸味が特徴の白ワインです。


魚介や軽めの料理と相性が良く、初心者でも楽しめます。産地やスタイルによって味わいが異なるので、ぜひ自分好みの1本を探してみてください。

ヴェルメンティーノのワイン一覧

文=岡本名央

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