「コスパ最高!絶品ワインを探す旅」こぼれ話 その④

ワイナリーのセラー

ジュゼッペ・マスカレッロのセラー。内部は歴史ある醸造設備が並びます。セメントタンクは1952年前のもので現在も使用。

NHK「世界はほしいモノにあふれてる」に同行取材いただいた今年1月のピエモンテ出張。今回は、出張のこぼれ話の最終回です。

それぞれのワイナリーがまとうそれぞれのスタイル

今回のピエモンテ出張で訪問したバローロ、バルバレスコの生産者は合計17にものぼります。

各ワイナリーを訪問し、生産者の方々にその哲学やワイン造りについてお話を聞き、テイスティングをさせてもらうのですが、生産者の言葉やワインと同様に、私たちに多くを語りかけてくるのが、ワイナリーそのものです。

17も巡ると、当然ではありますが、いかにそれぞれのワイナリーがそれぞれの顔、異なる表情を持っているかがわかります。

もちろんそこにある設備は、発酵槽であったり(樽やステンレスタンクの違いはありますが)、熟成用の樽が並んでいたりと、同じワインを造っているだけにその設備はある程度似通ってはいます。

けれども、長年ワインを造り続けてきた歴史や雰囲気、ときにはワイン自体が持つスタイルをもまとっているようにも感じられます。

人間味あふれるジュゼッペ・マスカレッロのワイナリー

大樽

バローロ最大級!130hlもある年季が入った大樽(左奥)

ワイナリーとして印象に残るところと言えば、おそらく誰もが筆頭にジュゼッペ・マスカレッロを挙げるのではないでしょうか。

ワイナリーがあるのはバローロの生産エリアから少し外れたモンキエーロ村。バローロの規定エリア外にありながら、イタリアのワイン法で特別にバローロの生産が認められた例外的生産者の一つです。

一歩ワイナリーに足を踏み入れると、薄暗いワイナリーの中は古く、少々雑然としていて、ずっと昔に使っていたであろう、ワイン博物館に展示されてもよさそうな古い作業器具がそこらに転がっています。

並んでいる樽も40~60年は使用しているものばかりで、これぞピエモンテ最大級と言えるような、130hlもある大樽があったり、戦後すぐから使用しているスラヴォニア産の大樽もあります。

どこを見ても古くて近代的というにはほど遠く、人間味あふれまくりの非常に味のあるワイナリーがジュゼッペ・マスカレッロなのです。

非近代的な小さなワイナリーから、あれほどエレガントで繊細な美しい味わいが生み出されるとは…!その不思議には驚かされるばかりです。

生産者

家族でワイン造りに取り組むすてきなファミリー、ジュゼッペ・マスカレッロ。カメラを向けると満面の笑顔で応えてくれました。

ジャコモ・コンテルノの完璧なまでのシンプルさ

ワイナリー

塵一つなく、装飾一つない、ミニマリズムに徹したジャコモ・コンテルノのワイナリー。

このワイナリーと対極とも言えるのが、バローロ最高の造り手として名高いジャコモ・コンテルノ。

こぼれ話①の弊社石田バイヤーのコメントにも出てきましたが)ワイナリーはどこもかしこもピカピカに磨き上げられ、シンプルで美しいの一言。余分なものは一切なく、広いセラー内にはステンレスタンクや樽、ただそれだけしか並んでいません。

潔癖とも言えるほどの完璧なまでの清潔感&シンプルさは、緻密で細部にまでこだわりを見せるオーナーのロベルト・コンテルノ氏の性格やワイン造りの姿勢を表しているかのようです。

生産者

標高450mのモンフォルティーノの畑を説明するロベルト・コンテルノ氏。

フクロウがいっぱい!リナルディのテイスティングルーム

テイスティングルーム

ジュゼッペ・リナルディのテイスティングルーム。ここかしこにフクロウが潜んでいます。

これらからわかること。ワイナリーの設備の新しさや充実度合いとその味わいは無関係であるという、至極当然のことでした。

ちなみに、今回訪問したワイナリーの中で、どのワイナリーが一番印象的でしたか?という質問を、取材いただいたNHKのカメラマンさんにしたところ、石田バイヤーが今回念願の初訪問となった「ジュゼッペ・リナルディ」でした。あの佇まいに「背筋がゾクゾクとした」とのこと。

リナルディもジュゼッペ・マスカレッロ同様、家族経営で古い味のあるワイナリーが特徴で、ワインを試飲させていただいたこれまた歴史を感じさせるテイスティングルームには、小さなフクロウの人形や置物が数えきれないくらいビッシリ!

現在醸造を担当している娘のカルロッタさんに尋ねると、昨年亡くなられた父、ジュゼッペさんはフクロウが大好きだったことからこれほど集まったのだそう。

所狭しと並ぶフクロウたちに囲まれながらのテイスティング。お父さんの亡き姿を強く感じさせる部屋で、その驚くほどピュアで美しい味わいに一同圧倒されたのでした。

記念写真

ジュゼッペ・リナルディのカルロッタさんと記念のショット。左が弊社の石田バイヤー、右は廣瀬会長。

ワインの味わい同様、ワイナリーにもそれぞれに個性があって「これが正しい」ということはないですし、ワイナリーが古いから新しいから、こうなる、という法則も一切ありません。

ただそれぞれの世界でそれぞれの宇宙(ワイン)を造っている、そう感じさせるワイナリー訪問となりました。