単一ワインとブレンドワインの違いとは?

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公開日 : 2018.12.25
更新日 : 2023.7.12
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赤ワイン

ワインには、一つのブドウ品種しか使われていない「単一ワイン」と、様々なブドウ品種を組み合わせて造られた「ブレンドワイン」があります。

単一ワインは、ブルゴーニュ地方で造られるワインが有名ですが、カリフォルニアやチリ、オーストラリアなど“新世界”と呼ばれる生産国のワインにも多い傾向にあります。ブレンドワインは、フランス、ボルドー地方のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルド、カベルネ・フランなどをブレンドして造られる赤ワインが特に有名です。

今回はそんな「単一ワイン」と「ブレンドワイン」について解説していきます。

目次

単一ワインについて

ブドウ畑

単一ワインのメリットは、使用する品種の味わいをダイレクトにワインに反映させることができるところです。テロワールやその年のヴィンテージを表現しやすく、さらに生産者の醸造法や熟成期間などの哲学が飲み手に伝えやすいというメリットがあります。

また、消費者にとってもどの品種がワインに使用されているのかわかりやすいため、購入しやすいという点もあるでしょう。

一方、デメリットとしては、厳しいヴィンテージでも味わいを調節しにくいこと、畑のブドウが病気に侵された時に全滅してしまうリスクが高いことなどが挙げられます。また、ドメーヌが生産する単一ワインは生産者によって味わいの差が大きくなるほか、醸造技術によっては味わいが単調になってしまう恐れもあるようです。

とはいえ、生産国や地域、生産者などと使用される単一品種とのイメージが結びつきやすく、消費者にとっては選びやすいイメージのワインと言えるのではないでしょうか。

ブレンドワインについて

ブドウ畑

ブレンドワインのメリットは、複雑な味わいのワインを生み出すことができるところにあります。

例を挙げると「まろやかな口当たりながらボディはしっかりとした香りの華やかな赤ワイン」を造りたいとしましょう。そんな時、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体にするとして、メルロを何%ブレンドするのか、カベルネ・フランを何%ブレンドするのかなど、生産者の目指すスタイルのワインをブレンドという形で仕上げることができるわけです。

また、ヴィンテージによってもブレンド比率を変化させることができるため、厳しいヴィンテージの時でもワインの味わいを調整することが可能です。

主体としたブドウ品種に骨格が足りなければ、それを補う別品種をブレンドしたり、香りの華やかさを加えたい時にはその個性を持つ品種でバランスを整えるなど、自然環境に左右されやすいワインであっても「いつもの味」を造り上げることも可能です。さらに、熟成に向けて、飲み頃の調整もできるなどのメリットもあるようです。

一方、デメリットとしては、どれも似たような味わいになってしまう可能性もあるところです。ボルドーブレンドというスタイルのワインを世界のどこでも造れてしまうことになり、ボルドーに似たような味わいのワインが増えてしまいます。

また、ブレンドワインが多い旧世界のワインの場合、ラベルに使用品種が記載されないため(一部例外あり)、テクニカルシートを見ないと、どの品種が何%使用されているかわかりにくいという側面もあります。ブレンドワインを楽しむのであれば、多少ワインの知識を仕入れておくと良いでしょう。

新世界と旧世界のワインの違い

一般的に「旧世界はブレンドワインが主流」で「新世界は単一ワインが主流」と言われています。そのため、新世界の単一ワインで味わいを覚えてから旧世界のワインに挑戦してみてはどうか、という案内をよく目にするかもしれません。

では、なぜ新世界と旧世界でワインのスタイルが違うのでしょうか。

フランスにブレンドワインが多いのはなぜか?

ワインを注いでるところ

フランスは、旧世界の中でも特にブレンドワインが多い生産国です。ボルドーやシャンパーニュ、南フランス、コート・デュ・ローヌなど、数多くの産地でブレンドが行われています。はっきりとした理由は諸説あるため断言できませんが、いくつか考えられる起源を追ってみましょう。

まず、ボルドー地方。もともとこの地方では、カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フラン、メルロなどの各品種が各畑の中でバラバラに植えられていたことから(一部例外を除く)、それらを分けずに収穫して、混醸していたことが理由だと言われています。

次にシャンパーニュ地方もブレンドワインで有名ですが、同地方は中世の頃にブドウ栽培農家が税の支払いのために持ち込んだブドウを修道院が醸造していたという歴史があります。当時、醸造用に使用されるブドウは様々な栽培区画からの異なる品種だったことから、これらブドウを混合したワイン醸造が習慣化。結果、これが今日のアッサンブラージュの原型であり、起源となっていると言われています。

ちなみに、ブルゴーニュ地方などは、ピノ・ノワールやシャルドネのみを使用した単一ワインだけだと思われていますが、「A.O.Cブルゴーニュ・パス・トゥ・グラン」などは、ピノ・ノワールにガメイをブレンドできるワインですし、「A.O.C.クレマン・ド・ブルゴーニュ」はシャルドネやピノ・ブラン、ピノ・ノワール、ガメイが使用可能です。

そのほか、アルザスやコート・デュ・ローヌなどのブレンドワインにも古い歴史があります。厳しいヴィンテージを乗り切るためのブレンドという技術の発展や、その土地の個性をブレンドで表現するという歴史があるなど、旧世界のワイン造りには欠かせない技術だったのかもしれません。

また、フランスや旧世界の多くはその土地に適したブドウ品種の栽培がワイン法で定められており、さらにそれらをブレンドしなければ名乗れないA.O.Cがあることも、ブレンドが主流の理由の一つでしょう。諸説ある話ですので、確実に「これが答えである」とは言い切れないものの、このような歴史も多少関連しているのではないでしょうか。

新世界ワインに単一ワインが多いのはなぜか?

赤ワインで乾杯

まず、旧世界のワインに比べるとまだワイン造りの歴史が浅く、どの産地でどの品種がベストマッチするのか模索中、という状況がそうさせている可能性もあるようです。

近年では、ソーヴィニヨン・ブランはニュージーランドのマールボロ地区、ピノ・ノワールはアメリカのオレゴン州やニュージーランドのセントラル・オタゴ、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデルなど、産地と品種が結びつき始めていますが、未だ研究は続いています。単一品種で成功させることがひとまず、産地をアピールするためには重要なポイントになっているのかもしれません。

また、ブドウの栽培環境や醸造設備の発展も関係しているでしょう。ブドウに適した温暖な気候、水分調節が可能な灌漑設備、リスクを軽減できる最新の醸造設備と技術など、単一ワインが持つ「品質の安定と維持」という難しい問題をクリアしやすい環境にあるのが新世界の特徴です。

マーケティング的には、カリフォルニアワインに「ヴァラエタルワイン」というスタイルがありますが、ブドウ品種名がラベルに掲載されているため、そのわかりやすさから人気を博したと言われています。

その効果からか、ほかの新世界ワインもラベルに品種名が記載されているワインが増加しました。新世界におけるワイン法も旧世界同様に、ワインに使用されているブドウ品種が大体75%以上(国によって違います)でないとラベルに品種名を記載できないため、結果的に単一品種で造られるワインが多くなった、ということが考えられるかもしれません。

もちろん、新世界ワインにブレンドスタイルも近年増えていますし、一概に「単一ワイン=新世界」と括るのも難しい状況です。とはいえ、前述したようにまだまだ単一ワインは新世界に多い傾向があるので、ブドウ品種の個性を単一ワインで確かめるのであれば、新世界の単一ワインから始めてみても良いでしょう。

ワイン選びのコツ

ワインが並んでいるところ

単一ワインを購入したい場合、ラベルに品種名が記載されていることがほとんどなので、それを目印に購入すると良いでしょう。

ただし、ブドウ品種が記載されているからといって、単一品種のみで造られているとは限りません。前述したように、各国のワイン法にもよりますが、一例として同一品種が75%以上使用されていた時、ラベルにブドウ品種が記載されます。

いくつかブレンドされていた場合、多い順にいくつかのブドウ品種が記載されていたり記載されていない品種があったりと、ワインのカテゴリによって違いがあります。単一品種で造られているのか確認するのであれば、しっかりとラベルをチェックする必要があります。

中には、単一ワインと思い気や、ほんの数%だけ別品種がブレンドされている場合もあるので、迷った時は店鋪のソムリエや販売店に問い合わせてみると良いでしょう。

一方、ブレンドワインですが、単一ワインに比べると選ぶのが難しいかもしれません。前述したように、フランスを含めたEUのワイン法によって、ブドウ品種が記載されないワインが多くあり、産地で栽培されている品種やワインのスタイルから導き出す必要があるからです。

また、旧世界ワインの場合は単一品種であってもラベル記載の無い銘柄も多いため、わからない方はスタッフに相談しながら、またはネットショップなら情報を読みながら決めていく方が良いでしょう。もちろん、ワインは楽しんで飲むお酒ですので、難しいことを考えずにブレンドワインも単一ワインも隔てなく飲んでいただければ、と思います。

ただ、より深いところでワインの楽しみに触れたいという方は、ワインの勉強も併用しつつ、新世界の単一ワインで品種の個性をある程度把握した後に旧世界のブレンドワインと改めて対峙してみると良いのではないでしょう。今まで気がつかなかった、新しいワインの楽しみに触れられるかもしれません。

まとめ

ここでは、単一ワインとブレンドワインについて解説してきました。ブレンドワインは、その組み合わせの技術から導きだされる複雑性が楽しいと言われていますが、単一ワインに複雑性が無く単純というわけではありません。複雑性のある単一ワインも多くありますし、平坦な味わいのブレンドワインもあります。

ぜひ、二つのワインの飲み比べてしながら双方の個性を知り、ご自身のお好みの味わいを見つけてみましょう。

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