海外研修レポート!イタリア編

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レポート
公開日 : 2018.7.18
更新日 : 2019.7.3
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世界中で広く愛されているイタリア料理。地方色が強いイタリアは、料理においても各地方料理の集合体と言っても過言ではなく、現地では地元で造られたワインとともに、ごく自然に「自分たちの地域の食生活」を営んでいるのも興味深いところです。
今回の研修では、中部イタリアのトスカーナ州と南イタリアのプーリア州、そして、異なるエリアの11ワイナリーを訪問。その中でも、トスカーナとプーリアそれぞれの「食」に注目してご紹介いたします。
目次

キーワードは“サスティナブル(再生可能)”

ミラノ・スカラ座にも認められたフランチャコルタの名門、ベラヴィスタ。そのベラヴィスタがトスカーナ州スヴェレートの地で手掛けるワイナリーが「ペトラ」です。
ペトラがこの地を所有し始めて以降、2010年からオーガニック栽培に移行。「将来的に見てサスティナブル(再生可能)な土地にしていくためにオーガニックを徹底することで、全てのサイクルが良い方向に向かう」との信念で、土壌造り、ブドウ栽培に情熱的に取り組んでいるそうです。

地元で人気のレストラン「ENOTECA TOGNONI」

トスカーナ滞在2日目、ペトラの輸出部長ヴィトリアーノ・ティリート氏に連れられてボルゲリの中心街にあるレストラン「ENOTECA TOGNONI(エノテカ・トノーニ)」へ
「エノテカ」という名だけあって、店頭はワインショップ、奥にレストランという造りで、トスカーナ料理とトスカーナワインを提供しています。

“シンプルイズベスト!”Tボーンステーキ

せっかくトスカーナに来たのなら、キアーナ牛のTボーンステーキは食しておきたいと、「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」をリクエスト。
ゆうに1キロは超えているであろうビステッカ!炭火で豪華に焼き上げられていると見られ、表面は真っ黒ですが、中は血の滴るようなレア。味付けはシンプルに塩のみ。コショウとレモンは必要ならセルフでどうぞ、という王道スタイルです。
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナに合わせるワインと言えば、キャンティ・クラシコに代表されるように地元のサンジョヴェーゼが最高のマリアージュ。シンプルな肉料理にはシンプルなワインがベスト。そして地元の料理には地元のワイン、そんなセオリーを地でいくコンビなのです。
この日の肉料理に合わせてチョイスしたワインは、ペトラの中でもサンジョヴェーゼ100%の「アルト」2014年ヴィンテージ。ぺトラはトスカーナの中でも温暖なボルゲリに位置するため、サンジョヴェーゼも酸より果実味主体。そして、ボルドーにも通ずると言われる鉄分とミネラルが豊富な海辺の土壌から生まれる複雑なミネラル感が、赤身肉の鉄っぽさを含んだ風味に合う!というのも納得です。

滋味深い旨さ!チンギアーレ

そして、ヴィタリアーノ氏曰く、この店でのイチ押しの料理は「パッパルデッレ・アル・チンギアーレ(猪肉のラグーパスタ)」。猪と言うとトスカーナでも秋のイメージですが、イチ押しとあらば食べない手はないと、迷わず注文しました。
猪もトスカーナ地方でよく食される肉ですが、ルーツを同じくして家畜化された豚と比較すると、肉質に濃厚な旨味と甘みがあるのが特徴。じっくりと煮込まれたラグーは、猪と野菜の旨味のみが残る、究極的にそぎ落とされた滋味深い味わいです。
このパッパルデッレという麺は、平打ちパスタの一種で幅3センチとパスタの中でも最も幅広なタイプです。もともと薄くて柔らかい食材を重ねて食べる習慣があるイタリアですが、このパッパルデッレもフォークで畳んで折り重ね、ガブリとかじりつくのが正解。噛むごとにしなやかでコシのある食感と小麦の旨味が、口いっぱいに広がります。いかにも、食を楽しむイタリア人らしい発想ですよね!

稀少豚、チンタセネーゼに遭遇!

ボルゲリで訪問したワイナリーのひとつ、アンティノリが所有するグアド・アル・タッソワイナリーでは、シエナ原産の稀少な地豚「チンタセネーゼ」に遭遇しました。
グアド・アル・タッソで飼育しているのだそうですが、カメラを向けるとさすがは好奇心旺盛と言われる豚だけに、どんどん寄ってきてくれます。
しかしこの時は、よもやこの豚を食すことになるとは想像だにせず。そのまま畑巡りを終え、テイスティングの時間を迎えました。すると、おもむろにテーブルに置かれたのが・・・!
アテンドしてくれたルイーザ・フォスケッティ女史によると、「チンタセネーゼの濃厚な旨味が、グアド・アル・タッソと最高なのよ!」とのこと。
「先ほどのあの豚…ですか?」と質問すると「もちろんよ!」との回答です。
そもそもなぜチンタセネーゼが稀少豚と言われるのかと言うと、普通の豚に比べて、どんぐりや栗、きのこが食べられる森の中など、広い場所で放牧して飼育する必要があること。(そうしないと格段に肉質が劣ってしまう。)
普通の豚は6ヶ月で成長するのに対して1年以上かかることなどから、畜産農家から一時期敬遠され、絶滅しかけたという歴史があるのです。復活を遂げた今でも稀少性は変わらずですが、グアド・アル・タッソでは広大な土地を利用して飼育、生ハム、サラミなどに加工しているそうです。
そして、肝心のグアド・アル・タッソとは、『自分たちが造るワインに合わせた味に仕上げている?』と思うほどの好相性!特に、熟成の過程で旨味が凝縮され、塩味やスパイスがしっかりと効いたサラミが、フルボディでパワフルな、それでいて海辺で造られるどこか開放的なキャラクターをもつグアド・アル・タッソと、最高のマリアージュなのでした。

プーリアの最新トレンドは「マッセリア(農園)」

さて、トスカーナから一路プーリア州に。プーリアと言えば、今リゾート地として特に注目されているエリアで、トスカーナでも「これからプーリアに向かう」と言うと「羨ましい!」と言われるほど。その理由は一体どこにあるのでしょうか。
プーリアをアテンドしてくれるのは、生まれも育ちも生粋のプーリア人という、トルマレスカワイナリーのブランドアンバサダー、ヴィト・パルンボ氏。
とにかく「I LOVE PUGLIA!」と、滞在中何度この言葉を聞いたかわからない程プーリア愛いっぱいのヴィト氏。色々なプーリアを知って欲しいとのことで、まずは今プーリアが注目されるきっかけとなった「マッセリア(農園)」について説明してくれました。
マッセリアとは、日本語で農園・農家の意味。プーリアの地においてこのマッセリアの歴史は非常に古く、今でも16世紀から17世紀に発展した広大な敷地をもつ農家や農園が数多く点在しています。近年、これらのマッセリアがアグリツーリズモのような宿泊施設やレストランに改装され、プーリアでバカンスを過ごそうというイタリア国内や欧米の観光客に人気だそうです。

恵まれた気候が生むナチュラルオーガニック

トルマレスカが所有する二つのエステートの一つ、ボッカ・ディ・ルポはこのマッセリアを模しており、地元の石材を使用し、本来の姿を忠実に再現した建物なのだそう。
ボッカ・ディ・ルポにおいてブドウは全てオーガニック栽培ですが、「オーガニックワイン」をあえて作るのではなく①乾燥した気候②涼しい海風③ブドウ栽培に適した土壌、この3つの要素に恵まれたこの土地だからこそ、自然にオーガニック栽培が可能であった、とのこと。確かに、気温が高いながらもカラッとした湿度の低さと海と山から吹き込む風による空気の流れの良さが、それほど手を掛けずとも健康なブドウが育つということなのでしょう。

プーリア伝統の野菜料理

そして、ヴィト氏に案内されて訪れたボッカ・ディ・ルポにほど近いレストラン「Masseria Barbera(マッセリア・バルベラ)」。
こちらは非常に歴史の古いマッセリアをレストランとして改築した建物だそう。
料理は、敷地内で栽培された野菜をふんだんに使った、伝統的なプーリア料理が提供されます。この日の前菜は、こだわりのシェフが作る全てオーガニックという野菜メインの小皿料理の数々が約10種類。そしてパスタは、プーリアの有名な郷土料理のひとつ「チーマ・ディ・ラーパのオレキエッテ」でした。
チーマ・ディ・ラーパとは、プーリア州特産の青菜の一種で、茎ブロッコリーや菜の花に似た野菜。それを、同じくプーリア地方伝統の「小さな耳」という名のショートパスタ、オレキエッテと合わせたパスタ料理です。クタクタに似たチーマ・ディ・ラーパ特有の濃い甘味とほのかな苦味。そして、オレキエッテのモチモチとした歯ざわりと小麦の力強い風味は、いつまでも口に留めていたくなるような、プーリアの自然の恵みが詰まった一皿です。
食事の後は広大なレストランの敷地内を散策。のんびりと穏やかな時間が流れるプーリアの農園風景と、そこで過ごす贅沢な時間に、リゾート地として注目される理由の一端を見た気がしました。

豊富な魚介類が水揚げされる海辺エリア

プーリア滞在2日目は、南の海側に移動。プーリアは、アドリア海に面していて豊富な種類の魚介類が水揚げされるため、漁港近くでは漁師がその日獲れた新鮮な魚を販売する光景も見られます。
そして、イタリアの中でも珍しく魚を生食する食文化が根付いている地域でもあり、最終日のランチでは、そんなプーリアの海の恵みを堪能出来るレストランに向かいました。

プーリアの食とワインを楽しむ「Bistrot Tormaresca(ビストロ・トルマレスカ)」

海沿いから少し奥まった、聖堂やローマ遺跡などが残る美しい古都レッチェに、トルマレスカが経営するビストロ、「Bistrot Tormaresca(ビストロ・トルマレスカ)」があります。
地元の石を用いて明るい色合いに彩られた店内は、プーリアの家庭のキッチンを彷彿とさせる雰囲気。ヴィト氏曰く、トルマレスカのワインとプーリアの料理を広めるためにオープンしたとあって、食材も地元の生産者とともに最高のものを選りすぐられているそうです。
見るからに新鮮な生のエビをそのままかぶりついて頂く料理など、とにかく魚介類の鮮度には驚き!魚の生食という意味では共通の食文化をもつプーリアと日本。新鮮な魚介料理の数々をトルマレスカのワインと共に楽しむことが出来るこちらのレストランは、プーリアに訪れた際には是非訪れていただきたい1軒です。

最後に…

今回ご紹介したのは、イタリアの中でもトスカーナとプーリアという限られた地域ではありましたが、一言では括れない個性溢れるイタリアの食と、今のイタリアの空気を少しでも感じて頂けたとしたら幸いです。
『Viva Italia!』

「ペトラ」の特集ページこちら 

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「トルマレスカ」の特集ページは

こちら >

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エノテカ株式会社はアサヒグループです。