ワインの品質の高さと、毎年ラベルデザインを変えることで知られる、ボルドーのメドック格付け第1級、シャトー・ムートン・ロスチャイルド。

ラベルはこれまでシャガール、ピカソ、ゲルハルト・リヒターなど、時代を代表するアーティストが手がけており、毎年どんなアーティストになるのか世界的に注目されます。

一昨年に発表された2021年ラベルでは、30年ぶりに日本人アーティストが採用され、大きな話題となりました。

そしてついに、最新ヴィンテージとなる2023年のラベルが発表されました。

2023年のアートラベル作品のタイトルは、ポルトガル語で楽園を意味する「Paraíso（パライソ）」。

作品の中央にはブドウの房が描かれ、その周りには土、水、太陽の光、夜の涼しさといった、グランヴァンの誕生に欠かせない要素が配置されています。

さらに尖った三角形は、自然界に巧みに介入する人の手を象徴。さまざまなフォルムやカラーのモチーフは、ジグソーパズルのように互いを補完し合い、シャトー・ムートン・ロスチャイルドのテロワールを表現しています。

ブドウが存分に輝く「楽園」とは、まさに土と太陽、水がブドウを育むシャトー・ムートン・ロスチャイルドのテロワールそのものなのです。

2023年のアートラベルを手掛けたのは、ポルトガル出身の現代美術家ジョアナ・ヴァスコンセロス氏です。

彼女は30年以上にわたり、壮大なスケールの彫刻作品や没入型インスタレーションで知られ、日常のオブジェを用いて私的空間と公共空間、大衆文化とハイカルチャーの対話を生み出してきました。

近年はグラフィックアートの領域にも活動を広げており、2023年のアートラベル作品は、色彩と幸福感に満ちた彼女独自の画風で制作されています。とてもポップな色使いが印象的ですが、ジョアナ・ヴァスコンセロス氏は次のように語ります。

「作品を制作する上でのインスピレーションは、ブドウの房、畑、シャトー・ムートン・ロスチャイルドに存在するあらゆる自然界の要素から得ています。『Paraíso （パライソ）』は、パーフェクトであること、ラグジュアリーであること、そして人間と自然とのハーモニーに強く感銘を受けた作品です。」

新ヴィンテージのラベルを制作するアーティストの選定を担当したのは、オーナーファミリーのジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルド氏。シャトーの芸術文化活動の責任者です。

彼は随分前からジョアナ・ヴァスコンセロス氏の活動に注目していたそうです。

2012年のヴェルサイユ宮殿での大規模個展やリリア宮殿での展示などを通して、歴史的美術品との対話に強く刺激を受けたとのこと。壮大なスケール感、多様な素材の組み合わせによる作品制作の技法は、グランヴァン造りとの共通点も感じられ、「深く魅了された」と語っていました。

エノテカはバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が選定する本ラベル発表のための世界のパートナー4社のうち、アジアを拠点とする企業として唯一選出されました。

発表当日（2025年12月1日）は、世界への公式アナウンスと同時にアートラベルのお披露目イベントをワインショップ・エノテカ GINZA SIX店にて実施。

シャトー・ムートン・ロスチャイルドファンのお客さまが、新しいラベルアートを鑑賞しながらこのイベントのために特別に空輸したシャトー・ムートン・ロスチャイルド2023年ヴィンテージを堪能しました。日本で初めて2023年ヴィンテージを飲める瞬間でもありました。

2023年は暖かい気候に加え、適度な雨に恵まれたことで、ブドウは熟度を高めながらも糖度が上がりすぎず、果皮の品質も非常に優れるという理想的なヴィンテージとなりました。その結果、複雑さとバランス、深みを兼ね備えた見事なワインに仕上がっています。

会場は美しいアートラベルと、ワインの素晴らしい香りと味わいに大いに盛り上がりました。