ガヤは近年、新しい挑戦を始めています。
そのテーマは意外にも「ブドウ畑に木を戻す」という、古くからの知恵を現代のワイン造りに生かす発想です。気候変動の影響が広がるなかで、彼らは土地を守り、次の世代へと美しい産地をつなぐための実験を続けています。
水と木の力で、畑を守る
ピエモンテ・ランゲ地方では、降雨パターンが大きく変化しています。昔は穏やかに規則的に降っていた雨も、今ではいきなり激しい豪雨になることが増えました。
このような極端な天候は、土壌や農作物に大きな負担をかけます。特にランゲ地方のような急傾斜の丘では、水は貴重な資源です。そのため、雨水をしっかりと保持する工夫が、農業の生き残りに欠かせません。
そこでガヤは「水を上手に管理すること」と「ブドウ畑に木を植えること」という、昔ながらの2つの原則に立ち返りました。
自然の傾斜を生かしたアルタ・ランガの実験
2017年に進出したアルタ・ランガ地方では、自然な傾斜を活かし、地形を削ったり平らにしたりせずにブドウを植える方法を選びました。畑の周囲や谷間には800本以上の木を植え、雨水の流れをやわらげることで、土壌の流出を防ぎ、霜や酷暑からブドウを守ります。
さらに、雨水を効率よく活用するための小さな水路や池を設けました。これにより、畑の中で水が循環し、木々やブドウが健康に育つ環境が整います。池や木々はトンボや蛙、サラマンダー、鳥といった生き物の棲家にもなり、ブドウ畑全体に豊かな自然のバランスをもたらしています。
ランゲの伝統畑でも同じ哲学を
ランゲ地方の歴史ある畑「スペルス」にも、アルタ・ランガでの哲学を取り入れました。周囲が他の畑に囲まれているため、作業はより慎重かつ複雑です。
まず急斜面での土壌流出を防ぐため、水路や小さな貯水池を設け、石を使って水の流れをコントロールしました。石は、土砂の堆積を防ぐだけでなく、水を通す際に自然のフィルターとして機能します。
さらに、果樹や灌木、ハーブなど、日光を通しブドウと競合しない植物を厳選して植えることで、ブドウの生育を妨げずに水分を保持する環境を整えました。
未来へつなぐビジョン
こうした取り組みはまだ発展途上ですが、ガヤが大切にしているのは、土地への敬意と長期的な視点。時間をかけて育まれる土地の豊かさが、やがてブドウ畑やワインの質に返ってくると信じ、未来の産地づくりを進めています。
この挑戦は、単なる農業や環境対策にとどまらず、産地全体の価値を守り、高めるための長期的なビジョンでもあるのです。