今日は、仕事終わりに同期のひよりちゃんと家飲み。女同士の家飲みといえば恋バナがテッパンなんだけど、現在進行系の恋がない私たちは恋にまつわる名言を肴に、あーでもこーでもと話しながらワインを飲む。そしてひよりちゃんが素敵そうな言葉をぶっこんできた。
「恋はワインのエチケットのよう」
ん? 恋愛はワインの礼儀作法と似ているってこと? え? エチケットってワインラベルのことなの? そうなんだ。
「ワイン選びはエチケットから始まるの。そのデザインから味わいのイメージを膨らませて、そしてコルクを開けた時の香りから、イメージとのギャップを楽しむの」
そう言ってひよりちゃんは、1本のワインを取り出した。ラベル、じゃなくてエチケットがかわいい! ピンク地に赤の水玉模様の奧に、凛々しい騎士(ナイト)がラフなスケッチ風に描かれている。色合いも画のタッチも絵本の世界みたいでメルヘンだし、ロゼの鮮やかな色合いがさらに映える!確かにこの衝動は恋に近いのかも。
「で、このワインに恋しちゃったんだと思う。その恋が本物かどうか、飲んで確かめよう」
恋はワインのエチケットかあ、とぼんやりとしていると、ひよりちゃんはおもむろにスマホを取り出し、エチケットを写メって3つめの裏アカに写真をアップしている。ほかのアカウントの2倍も「いいね!」がつくらしい。いろんなデザインのエチケットを見るうちに、新しい恋もはじまるのだろうか。
でもそれって結局、男は見た目からってことじゃね? と思ったけれど、相手がワインとはいえ、ひさしぶりの恋が始まったばかりのひよりちゃんには、言わないでおいた。
イラスト:白井瑶さん
SNSとブログでイラストや文章を発信中。Twitterにいることが多いです。 Twitter @shiraiyo_ Instagram @shiraiyo_08