3コ上の会社の先輩は、ワイン好きでよく南仏の話をしてくれる。ただ南仏に行ったことはないらしい。
「南仏はワインをつくるのに最適な気候と土がある」とか、「1年中穏やかな気候のおかげで怒りっぽい南仏人は皆無だ」とか、「南仏のことをプロヴァンスっていうけど、これはエリアの名前であって、都市でいうならエクサンプロヴァンスという街のことなんだ」とか。繰り返すけど、先輩は南仏に行ったことはない。
そして今日は、そんな先輩が私の配属1周年の記念にプレゼントしてくれたワイン(ラッピングはしてなかったけど)を開けることにした。ただ、そのワインはチリ産だった。南仏じゃないんだ。チリか。行ったことない。もちろん先輩も行ったことないであろう。
今回は、先輩のように産地に想いをめぐらせながらワインを飲んでみることにしよう。いつものリーデルのグラスにワインをそそぎ、チリのブドウ畑と山々に想いを馳せてみる。
ネットでチリを検索。ふむふむ。高地の街。アンデス山脈に砂漠に氷河。暑いんだか寒いんだか。パタゴニア。ああ、あのパタゴニア。バルパライソのカラフルな家。かわいい。キングペンギンにマゼランペンギン。かわいい。イースター島。あ! モアイか! モアイ!
へー、チリっていい国じゃん。
フルーティなチリ産の白ワインを飲みながら、チリを旅する気分に浸る夜。結構楽しい!頑張った私に「ありがとう、おつかれ!」とエールを送りつつ、たぶん今晩見る夢は、ペンギンとモアイ像が元気そうに跳ね回る、砂漠の中のブドウ畑になるだろう。間違いない。
イラスト:白井瑶さん
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