【バイヤーが語る】バローロのイメージを塗り替える、エルヴィオ・コーニョの魅力!

「王のワインにして、ワインの王」として知られるバローロ。その生産エリアはピエモンテ州・ランゲ地方にある11の村々で構成されており、一言にバローロといっても各村によって知名度や個性は様々です。

今回はノヴェッロというバローロの中でもマイナーな村にありながら、現在、イタリアのシンデレラワインとして注目を集めているエルヴィオ・コーニョ(以下コーニョ)について石田バイヤーに語ってもらいました。

バローロのイメージを塗り替えた生産者

【プロフィール】石田敦子

2002年エノテカ新卒入社。一度退社し、2度の仏ワイン留学。1度目はシャトー・ラトゥールで勤務、2度目はボルドー大学で醸造を学び帰国後エノテカに復職。現在はフランス、イタリア中心のバイヤー担当。DUAD(ボルドー大学醸造学部公認ワインテイスター)

―まずは今回ご紹介するコーニョについて簡単に教えてください。

コーニョはイタリア・ピエモンテ州のバローロの生産者です。1991年創立という新しいワイナリーですが、ノヴェッロ村にあるラヴェーラという畑のポテンシャルを世界に知らしめた立役者として、近年注目を集めています。

ここ数年、エノテカはピエモンテに力を入れていますが(※1)、コーニョの取り扱いが始まったのはそれ以前の2014年からです。

実は、当時まだ無名だったこの造り手が、ピエモンテワインがエレガントであるということ、かつて抱いていた力強いイメージとは違ったバローロがあるということをエノテカに気づかせてくれました。

コーニョがなかったら今はないとまでは言いませんが、この産地に注目する一つのターニングポイントになったと思う生産者です。

(※1)エノテカでは2018年2月より「ピエモンテプロジェクト」を立ち上げ、ピエモンテのワインの魅力を伝えている。

―どのようにターニングポイントとなったのですか?

エノテカがピエモンテに行きついた理由は二つあって、その一つがコーニョとの出会いです。

もう一つの大きな理由はブルゴーニュ。とても魅力的な産地ですけど、日本だけでなく世界的に需要が高まって、価格も高騰。なおかつ2~3年に1回、霜や雹などもありで生産量が安定しなくなっていて、どんどん買い辛くなっています。

私たちはワイン商であり消費者でもあるので、高い品質のものだったら価格がいくら高くても良いという感覚ではありません。だから長い間“ポストブルゴーニュ”を探していました。

そんな中で2014年にコーニョと出会って、改めてピエモンテという産地に注目しました。昔のピエモンテではなく、今のピエモンテはどうなっているのか?と興味を持ったんです。

多様性に富み、ネッビオーロをはじめとする土着品種のワインや生産者や村が変わると異なる個性。「語れる産地」として、その魅力にどんどん惹かれ、今エノテカでは19生産者の取り扱いをするまでになりました。

世界に先駆けた発見

―エノテカの大きな影響を与えた生産者なんですね。コーニョとの出会いは?

2013年にVinitaly(※2)のブースで廣瀬会長が発見したのが出会いです。その場で試飲して一目惚れ。コーニョのことも、ラヴェーラのことも、詳しく知らずに、です。

(※2)毎年4月にイタリア・ヴェローナで開催されるイタリアワインの見本市

知名度や評価、価格などに縛られずワインを飲むということは、この仕事をすればするほど難しくなりますが、そのフラットな目線を大切にすることを廣瀬会長から日々教えてもらっています。

バローロだったらバローロ村でしょ、ラモッラ村(※3)でしょ、ではなく。日々、世界のワイン産地は進化しているので、今がマイナーだとしても見逃すべきではないんです。そこから「あたり!」が見つかる確率は限られているのですが、コーニョはその輝いた「あたり!」だったのです。

(※3)バローロ生産エリアの中で特に知名度が高い村

有名なものをきちんと伝えるのも楽しいけれど、掘り出しものを見つけるのもワイン商の醍醐味の一つなので、コーニョはそういったエノテカのワイン商としての意地を見せた生産者だと思っています。

―最近は色々な雑誌で名前を見かけますがどう思いますか?

ずっとマイナーでいてくれたら美味しくて価格も上がらないので、有名にならないでほしいという気持ちもありますけど(笑)やっぱり素直に嬉しいですし、すぐおめでとうの連絡をします。

コーニョは今もの凄く評価が高く、ハイスコアをバンバン叩き出しています。私たち自身は高得点が出たからたくさん買いますとか、低い点数だから買いませんということはしませんけれど、自分たちが惚れ込んだように他のワインのプロの方が高い評価をしているのを見ると嬉しいですよね。

コーニョを見つけてから、もうそろそろ8年。世界より一歩先を歩いている気がします (笑)

コーニョの本拠地ラヴェーラの魅力

単一畑ラヴェーラの位置を指差す石田バイヤー

―本拠地でありフラッグシップのノヴェッロ村の単一畑ラヴェーラの魅力は?

畑としての魅力は、エレガンスとフィネスだと思います。

バローロの生産地区は、西側と東側の大きく二つのエリアに分けられることが多いのですが、西側のエリアは香り高くて柔らかい女性的なワインができると言われています。ラヴェーラはこの西側と同じ土壌で、標高も高くて冷涼な畑です。

コーニョが創業した1990年代には、今ほど温暖化は進んでいなかったので、この畑に目を付けた先見の明は凄いと思います。温暖化の進んだ現在では、その冷涼さがアドヴァンテージとなってひと際エレガントなワインを造っています。

伝統にとらわれることもなく、醸造技術もしっかりしていながら、畑ファースト。果実も綺麗に表現されているし、タンニンの出し方がとても上手でシルキーで心地良い。

「最近のバローロってどうなっているのかな?」、「エレガントっていうけど本当?」という方にすごくおすすめしたいです。エレガンス、フィネス、クリーン、ピュアそういった要素がギュッと詰まっているのがラヴェーラです。

取り扱い始めてすぐの時は、バローロは熟成してなければ良さが伝わらないという思い込みもあって、イベントでも古いヴィンテージを提供して熟成ポテンシャルを理解してもらおうとかしていたんですけど、ラヴェーラって進化しているんですよね。

古かろう、良かろうじゃなくて、直近のワインがどんどん良くなっている。そんなワインの進化を追えるのも面白いところかも知れません。

―思い出のコーニョのワインはありますか?

思い出があるのは、コーニョの当主ヴァルテールさんご夫妻と飲んだバローロ ヴィーニャ・エレナ・リゼルヴァ・ラヴェーラです。リゼルヴァなので生産量も少ないし、入ってくる量も限られているんですけど、無限の可能性を秘めている気がします。

当主ヴァルテールさんファミリー

エレナはヴァルテールさんの娘さんの名前であり、畑の名前。このワインはエレナ畑で収穫されたブドウから造られます。創業された1991年にブドウ樹を植え、エレナさんが誕生して、畑も娘さんも丹精に育てないわけがないキュヴェです。

エレナというワインのことを語るヴァルテールさんは、ワインのことを語りながら、娘さんのことを語っているのかな?と思わせる表情を見せるのが印象的で……。ワイン自体、表情がとても豊かで、女性的。やさしさ、しなやかさだけでなく、強さを秘めている。

リゼルヴァなのだから、もっと風格のあるラベルにした方が良い!と思いつつ、私も子供がいるので、3歳の娘さんが描いたヒヨコちゃんの絵をラベルにする気持ちはわかります。

ワイナリーとしても家族としても「すべてのはじまり」でもあるキュヴェ、ご家族の原点が詰まっていて、まさにワインへの愛、家族への愛の塊です!

 

エルヴィオ・コーニョはとにかくエレガント!という石田バイヤー。ピエモンテワインの入り口として、特にブルゴーニュ愛好家にこそ飲んでみてほしいと熱く語ってくれました。

石田バイヤー、ありがとうございました!