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【ソムリエ解説】グラッパってどんなお酒?

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公開日 : 2026.6.29
更新日 : 2026.6.29
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グラッパとは?

イタリアで古くから親しまれている「グラッパ」。現地では食後に欠かせない存在として定番です。


日本ではまだあまり馴染みがなく、ワインショップやイタリア料理店で見かけても「どんなお酒なのだろう?」と感じる方も多いかもしれません。


ここでは、グラッパの基本からその魅力、楽しみ方までをソムリエの解説とともにわかりやすくご紹介します。

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A 認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003 年 J.S.A 認定ソムリエ資格取得 2007 年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018 年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL 資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023 年 12 月発売 2025年10月に新著 「THE STUDY OF WINE」 を出版 映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演 オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース X(旧 Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

グラッパの商品一覧はこちら

目次

グラッパとは

グラッパ

グラッパとは、イタリアで造られる蒸留酒の一種で、ワインを造る際に生じるブドウの絞りかすから造られるのが特徴です。


アルコール度数は40~50度前後と高めで、イタリアでは食後酒として、ゆったりと楽しむのが一般的です。


なお、フランスには「マール(Marc)」という蒸留酒があり、グラッパと同様にブドウの搾りかすを原料として造られます。「Marc」という言葉は「潰す・砕く」に由来しています。

グラッパとワインとの関係性は?

グラッパはワイン造りと深く結びついた蒸留酒です。ワイン製造後に残るブドウの搾りかす(果皮や種子、果梗など)を利用して造られるため、ブドウのもつ成分を余すことなく最後まで活かすことができます。つまり、ワイン造りの延長線上に存在するお酒と言えます。 特にイタリアでは古くから親しまれており、ワイン造りの際に生じるブドウの搾りかすをワイナリーから買い取り、グラッパを造るケースが一般的ですが、ワイナリー自身がグラッパを生産することもあります。 同じ畑のブドウからワインとグラッパが造られることで、その土地の個性や生産者の哲学を異なるスタイルで楽しめる点も、双方の強いつながりを感じます。

グラッパの魅力は?

私が考えるグラッパの魅力は、ブドウそのものの個性やワインの風味を凝縮したような香りと味わいの豊かさを楽しめることです。 そして、ワインを造った後のブドウの搾りかすから造られるという、果汁だけでなく、原料であるブドウのすべてのエネルギーを最後まで無駄にすることなく引き出して製品にし、それを味わうというプロセス自体も、大きな魅力だと考えています。 ワインと同様に、品種や生産者それぞれの個性を体感することができるのも大きな魅力で、同じ生産者のワインを楽しんだ後に、同一生産者のグラッパを食後にゆっくり味わうことで、テロワールと生産者の一貫した個性を体感でき、奥深い世界を堪能できます。

アルコール度数はどれくらい?強いの?

グラッパのアルコール度数は一般的に40~50度前後が主流で、ワインの3~4倍ほどになります。そのため、初めて飲む方やアルコールにあまり強くない方にとっては、ストレートだとかなり強く感じられるでしょう。 アルコール度数が高い理由は、ワインを造った後の搾りかすを原料にして蒸留することで、アルコールが水より低い温度で蒸発するため、アルコール分が濃縮され、度数が上がるからです。 伝統的に高めの度数で瓶詰めされる理由は、香り成分をしっかり保持するため、長期保存しやすくするため、力強い味わいを維持するためなどの理由があり、蒸留によって香りや風味も凝縮され、少量でも豊かな味わいを楽しむことができます。

グラッパとブランデーの違い

グラッパは、広い意味ではブランデーの一種です。ブランデーとは、果実酒を蒸留したお酒の総称で、ブドウ以外の果実から造られるものも含まれます。


グラッパとブランデーは、どちらもブドウ由来ですが、原料の状態と製法に大きな違いがあります。


ブランデーは、ブドウ果汁から造られたワインを原料とし、発酵・蒸留を経て、木樽で長期熟成されます。一方グラッパは、ブドウの搾りかすを原料とするため、果汁だけでなく皮や種も含まれているのが特徴です。


また、ブランデーには、コニャックのように蒸留方法や熟成に厳格な規定を持つものがありますが、グラッパは造り手ごとに蒸留方法が異なります。そのため、アルコール度数も40~50度と幅があります。


こうした自由度の高さゆえに、造り手の個性がダイレクトに表れる点も、グラッパならではの魅力と言えるでしょう。

グラッパとブランデーの違い

ブランデーとは?

ブランデーは果実酒を原料とした蒸留酒の総称であり、その語源は、ノルウェー語の brandeviin(「焼いたワイン」の意)と呼ばれていたものが、オランダ語の brandewijn(ブランダウェイン)となり、これが英語で brandy-wine になり、やがて wine が取れて brandy(ブランディ)となって広まったとされています。 さまざまなフルーツを使用したブランデーが存在しますが、そのルーツから考えると、ブランデーとは元来「ワインを蒸留して造ったお酒」を指し、ブドウを原料としたものが、本来のブランデーと言うことができます。

味わいはどう違う?

グラッパとブランデーはどちらもブドウを原料とした蒸留酒ですが、香りや味わいの個性は大きく異なります。 グラッパは、ブドウの果皮や種子などを主な原料とするため、それらに由来する香りや味わいを持ち、独特の風味が感じられます。ブランデーと比較してブドウ品種由来のアロマが感じられるものも多く、味わいがよりシャープな印象になるのが特徴です。 一方、ブランデーはワインそのものを蒸留し、その後に樽熟成されることが多いため、芳醇な果実香と共に樽熟成由来のバニラやスパイス、カラメルを思わせる香りが特徴的で、まろやかな味わいと複雑で豊かな風味を楽しむことができます。

グラッパの歴史

グラッパが誕生した正確な時期は明らかではありませんが、中世ヨーロッパで蒸留技術が広まった頃に、その原型が生まれたと考えられています。


当時のヨーロッパでは、ブドウを原料とするワインは上流階級が楽しむ贅沢品であり、庶民にとっては手の届きにくい存在でした。そこで、ワイン造りの際に残るブドウの搾りかすを無駄なく活用し、蒸留して造られたのがグラッパの始まりとされています。


こうして庶民のお酒として親しまれてきたグラッパですが、現在では品質も大きく向上し、世界中で楽しまれる蒸留酒のひとつとなっています。

グラッパの種類と選び方

グラッパは、原料となるブドウの品種や熟成期間によって味わいが大きく変化します。好みに応じて選ぶことで、自分に合った味わいを楽しめるのも魅力のひとつです。

グラッパの種類と選び方

長期熟成されたグラッパや樽熟成タイプのグラッパは、ブランデーのように琥珀色を帯び、味わいもぐっとまろやかになります。コクのある味わいを楽しみたい方には、こうした熟成タイプがおすすめです。


中には10〜20年と長期間熟成されたものもあり、これらは「グラッパ・リゼルヴァ」や「ストラヴェッキア」と呼ばれ、ラベルにも明記されています。

初心者はどんなタイプを選ぶと良い?

グラッパを飲み慣れていない方には、原料ブドウにモスカートなどを使用した、華やかなアロマとフルーティーな味わいを感じるタイプをおすすめします。 ブドウ品種由来のアロマティックで華やかな香りと豊かな風味を持ち、しっかりとしたアルコール感がありながらも果実感のある親しみやすい個性を備えているため、初めての方にも楽しんでいただきやすいのではないかと思います。 もしこちらを気に入っていただけたなら、飲み慣れてきたところで、樽熟成を経たタイプや、著名ワイナリーが造るグラッパなど、生産者に関する情報も理解しながら、いろいろとお試しいただくことで、さらにグラッパの魅力を深く知ることができ、食後の楽しみの幅を広げていくことができます。

また、グラッパは一般的にワイン造りで生じるブドウの搾りかすをワイナリーから買い取って造られますが、ワイナリー自身が蒸留まで行うケースもあります。


バローロやバルバレスコの生産者として知られる「ガヤ」や、元祖スーパータスカンを生み出した「サッシカイア」など、有名銘柄のブドウを使用したグラッパも存在します。憧れのワインのニュアンスを、グラッパというかたちで楽しめるのも魅力のひとつです。

グラッパ ガヤ・エ・レイ
500ml

グラッパ ガヤ・エ・レイ

  • 11,000

    (税込)

グラッパの楽しみ方

グラッパは飲み方によって、香りや味わいの印象が大きく変化する蒸留酒です。シンプルに味わうだけでなく、さまざまな楽しみ方があるのも魅力のひとつです。

ストレートで楽しむ

グラッパ本来の香りや味わいを楽しむには、ストレートで飲むのがおすすめです。小ぶりのグラスに注ぎ、ゆっくりと香りを感じながら少しずつ味わいましょう。特に単一品種のグラッパは、ブドウの個性をダイレクトに感じることができます。

温度による違いを楽しむ

グラッパは温度によって香りの広がり方や味わいの印象が変わります。軽やかなタイプはやや冷やしてすっきりと、熟成タイプは常温に近い温度で香りを引き出すのがおすすめです。温度を変えながら、自分好みの飲み方を見つけてみてください。

食後酒として楽しむ

イタリアでは、グラッパは食後酒として親しまれています。食後にゆっくりと楽しむことで、口の中を引き締め、食後の余韻をより豊かにしてくれます。

カフェ・コレット(エスプレッソ割り)

エスプレッソに少量のグラッパを加える「カフェ・コレット」もイタリアで定番のスタイル。コーヒーの苦味にグラッパの華やかな香りが重なり、食後のリラックスタイムにぴったりです。


また、少しユニークな楽しみ方が「レゼンティン」。エスプレッソに砂糖を多めに入れ、溶けきる前に飲み干した後、カップに残った砂糖にグラッパを注いで楽しむスタイルです。コーヒーの余韻と甘みが重なり、奥行きのある味わいが楽しめます。

初心者におすすめの飲み方は?

グラッパは本来、ストレートで楽しむのが主流ですが、初心者の方でアルコールの強さが気になる方は、まずはロックでお試しいただくのもおすすめです。 しっかりと冷やすことで爽やかな印象となり、氷が少しずつ溶けることによってアルコール度数が下がるため、飲み口を和らげることができます。 それでも強く感じる方は、ソーダで割ってカクテルとして楽しむのもおすすめです。ライムなどを絞ることで、グラッパの風味に爽やかなアロマと酸味が加わり、より親しみやすいお酒として楽しんでいただけます。 グラッパ本来の風味を楽しんでいただくためにも、もし割るのであれば、ジュース等ではなく、ソーダをおすすめします。

まとめ

ブドウの搾りかすから造られることから、実はワインと深い関わりを持つグラッパ。


食後酒として気軽に楽しめるお酒でもあり、デザートのような感覚で取り入れてみるのもおすすめです。


美味しいイタリアンを味わった後は、グラッパで余韻をゆっくりと楽しむひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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文=岡本名央

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