シャトー・オー・ブリオン支配人ジャン・フィリップ・デルマス氏来日イベントレポート!

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レポート
公開日 : 2018.5.5
更新日 : 2019.4.24
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オーブリオンのボトルが並んでいる
5大シャトーの中で唯一グラーヴ地区から選ばれたシャトー・オー・ブリオンは数世紀に渡る歴史を持つ由緒正しきシャトー。1855年のメドック格付けに選ばれたシャトーで最古のテロワールを誇ります。
今回はシャトー・オー・ブリオンの支配人ジャン・フィリップ・デルマス氏を迎えて、4月29日にワインショップ・エノテカ広尾本店で開催したテイスティングイベントの内容をお伝えします。
今回のテイスティングワインはこちら

2014 ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン・ブラン      16,500円(税抜)

2014 ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン  12,000円(税抜)

2011 ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン         23,000円(税抜)

2011 シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン      50,000円(税抜)

2012 シャトー・オー・ブリオン              85,000円(税抜)

2006 シャトー・オー・ブリオン              90,000円(税抜)

目次

シャトー・オー・ブリオンの歴史

シャトーオーブリオンの建物
1533年にジャン・ド・ポンタックによって開かれたオー・ブリオンの畑はポンタック家以降、4つのファミリーを中心に幾世紀にも渡って受け継がれ、1935年に現在のオーナー、ディロン家が買収します。
この時デルマス氏の祖父が支配人を務めていましたが、買収後もそのまま残り、以来シャトー・オー・ブリオンとデルマス家は3世代の付き合いとなります。
買収当時ワインビジネスは難しい時代で、特に最初の数年は利益がでない為、もともと銀行家 だったクラレンス・ディロン氏が新たに参入するのは驚くべきことだったそうです。結局、彼らがワインビジネスで利益を得られるようになったのは40年後の1975年だとか。
そうしてようやく利益が出るようになった後の1983年には、オー・ブリオンの兄弟にして同等の評価をうける最大のライバルシャトー、「ラ・ミッション・オー・ブリオン」も買収。
こうしてグラーヴ地区を代表する2つのシャトーが同じディロン家の所有となり、数々の投資によってさらなる品質の向上を重ね、現在に至ります。

まずは白ワインから

オーブリオンの支配人デルマス氏が話している
シャトー・オー・ブリオン支配人ジャン・フィリップ・デルマス氏
この日の天気は快晴。暑い日差しの中、集まった参加者にウェルカムドリンクとして配られたのは2014年ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオンでした。
このワインはボルドー地方最高の白ワインとして名高いオー・ブリオン・ブランとラ・ミッション・オー・ブリオン・ブラン、2つのワインのセカンドラベルにあたります。
2014 ラ・クラルテ・ド・オー・ブリオン・ブランは、グレープフルーツ、レモンキャンディ、メロン、火打ち石、じんわりと感じるバニラやナッツのニュアンス。樽香が綺麗に統合されており、酸化・還元のハンドリングも素晴らしく技術力の高さを感じます。突き抜けるようなフレッシュな酸味のあとに塩味の残る余韻。暑い日のウェルカムドリンクとしては最高の贅沢な1杯でした。
ソーヴィニヨン・ブラン66%、セミヨン34%。新樽40%で樽内発酵、その後9~12か月樽熟成。ブドウの新鮮さを保つために収穫は朝5時から始め、11時までには終えるそうです。
2014年のボルドーは、暑過ぎることがなくフレッシュな酸がキープされた白ワインにとってのグレートヴィンテージだそうです。

セカンドラベルで比較

2本の赤ワイン
ラ・シャペル・ド・ラミッション・オー・ブリオンとル・クラレンス・ド・オー・ブリオンはどちらもステンレスタンクで品種別・区画毎に発酵。発酵後の11月~12月末までに毎日各ロットを試飲して4段階に区分けしながらブレンド比率を決定するそうです。
デルマス氏によると、4段階の区分けは上から順にグランヴァン用、セカンドラベル用、クラレンドルシリーズに混ぜる用、自家消費用だそうです。
自家消費用のワインはラベルも張られずボトルに詰められ、スタッフ1人あたりに年間96本支給されるそうです。これは羨ましい。

2014 ラ・シャペル・ド・ラミッション・オー・ブリオン

ブルーベリー、カシス、グリーンペッパー、炭、タバコのアロマ。14年らしいフレッシュな酸と強めのタンニンの引き締まった味わい。セイバリーで骨格のしっかりとしたクラシカルなスタイル。
メルロ45%、カベルネ・フラン31%、カベルネ・ソーヴィニヨン24%。新樽30%で18ヶ月熟成。

2011 ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン

ラズベリー、チェリー、コーヒー、チョコレート、土などのやや発達したアロマ。ミディアムボディで、シルキーなタンニンと丸みのある酸味、ラ・シャペル・ド・ラミッション・オー・ブリオンと対照的で親しみやすい味わい。
メルロ72%、カベルネ・ソーヴィニヨン23%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド1%。新樽30%で18ヶ月熟成。
どちらもセカンドラベルながら、参加者は両シャトーのスタイルの違いをしっかりと感じ取っていました。

シャトー・オー・ブリオンとラ・ミッション・オー・ブリオン

質問に答えるデルマス氏
歓談の時間にお客様から直に質問を受けるデルマス氏
しばし歓談の時間を挟んだ後、いよいよお待ちかねのグラン・ヴァン3種のテイスティングです。デルマス氏はオー・ブリオンとラ・ミッション・オー・ブリオンの違いを語りました。
そもそも土壌の構成とそれ以外の斜面など様々な要素を考慮すると1つの区画が1つのエステートと言えるため、明確な違いを述べるのは難しいとしながらも、オー・ブリオンの畑は2つの小さな丘の上にあり、北から南向きの斜面。ラ・ミッション・オー・ブリオンの畑はオー・ブリオンよりも平坦で、東から西向きの斜面にあるのが最大の違いだそうです。
これによって、陽の当たり方が異なりオー・ブリオンはエレガントなスタイルに、ラ・ミッション・オー・ブリオンは力強く豊かなスタイルになるのだそうです。
3本の赤ワイン

2011 シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン

ブラックベリー、ブラックプラム、ブラックペッパー、黒鉛、リコリス、モカ。フルボディで、グリップのある力強いタンニンが特徴的。骨太な味わいで2011年とは思えない果実の凝縮感がある非常に男性的なスタイル。

2012 シャトー・オー・ブリオン

スミレ、ブラックチェリー、カシス、香ばしいコーヒー豆、スモーキー。フルボディで凝縮しているが、タンニンは溶け込んでおり緻密。伸びやかな酸がありエレガントで女性的。
デルマス氏によると、この煎ったばかりのコーヒー豆やハバナ産シガーの様なスモーキーなアロマは典型的なオー・ブリオンの特徴で、どのヴィンテージでも感じることが出来るそうです。
ヴィンテージこそ違いますが、一部交錯しているほど近い畑をもつ2つのシャトーがここまで異なる味わいなのには驚かされます。
きっと醸造面で大きく違う点があるのだろうと思いデルマス氏に質問しましたが、醸造面での違いは全くないとのことでした。
「テロワール」というとブルゴーニュのワインが想像されますが、ボルドーでも「テロワール」が感じられることがハッキリとわかる対照的な2本でした。

トリは12年の熟成を経た2006 シャトー・オー・ブリオン

煮詰めた赤&黒果実、ドライフラワー、コーヒーや土、キノコのアロマ。フルボディで柔らかい酸味とキメ細やかなタンニンが心地よい、ややビターな非常に長い余韻。すでに飲み頃に入っていますが、タンニンはまだまだ豊富で飲み頃は長く続くでしょう。
飲み頃に入った5大シャトーの風格を見せつける1本で、参加者も大満足な表情を浮かべていました。
デルマス氏のスピーチが終わると、それぞれ思い思いのワインを購入しデルマス氏直筆サインをもらったり、デルマス氏と記念撮影をするなどイベントは終始盛り上がりをみせました。

まとめ

赤ワインのボトルを持つデルマス氏
しかし、デルマス氏はボルドーが今のような輝かしい地位にあることを当たり前とは全然思っていないと語っていました。なぜなら彼の祖父の時代は、ボルドーワインは見向きもされず、シャトーへの訪問客は年に数名しかいなかったからだそうです。
親子3代に渡りワイン造りをしているデルマス氏は祖父や父の必死な姿や苦労を見てきたので、ワイン造りがラクではないことを知っています。だからこそ産地やシャトーの地位に甘えず、妥協をしないワイン造りが出来るのかも知れません。
ジャン・フィリップ・デルマス氏、本当にありがとうございました!
ワインショップエノテカ広尾本店
住所 〒106-0047 東京都港区南麻布5-14-15
TEL 03-3280-3634 / FAX 03-3280-3635
E-mail Hiroo_shop@enoteca.co.jp
営業時間 11:00~21:00
 
シャトーオーブリオンバックヴィンテージ限定入荷

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