フランス、ロワール川左岸に位置するサンセール。フランスの中でもソーヴィニヨン・ブランの有名産地として知られ、爽やかな柑橘系のアロマと、「火打石」と表現される豊富なミネラル感を備えた白ワインが生み出されています。そのサンセールにて家族4代にわたりブドウ栽培そしてワイン造りを続ける老舗ドメーヌがドメーヌ・ヴァシュロン。ヴァシュロンは、全てのワインがビオディナミ認証を受けている自然派の造り手です。ワイン＆スピリッツでは2018年TOP100生産者に選出された実績を持つ、サンセールの名門ドメーヌのひとつとして知られています。

ドメーヌ・ヴァシュロンは、プイィ・フュメのディディエ・ダグノーと並んで、ロワールを代表するサンセールの造り手のひとつ。1900年代初頭にモーリス・ヴァシュロン氏がわずか1haのブドウ畑から創業して以来、4代にわたって家族経営を続けています。

創業した当時のサンセールではワイン産業が盛んではなく、様々な農作物栽培と牧畜も行っていましたが、2代目のジャン・ヴァシュロン氏の時に、本格的にワイン造りを開始。彼はサンセール原産地呼称のワイン生産者協会の会長も務め、さらに後に単一畑のキュヴェとしてリリースすることとなる、ブドウ畑の区画整理を実施しました。

3代目のジャン・ルイ・ヴァシュロン氏とドニ・ヴァシュロン氏兄弟は、サンセールにおける最良のテロワールを求めて、さらに畑を拡大。生産量も次第に増え、ドメーヌも大きく成長した結果、サンセールを代表する造り手のひとつとして一目置かれるようになったのです。

ドメーヌ・ヴァシュロンはワイン・アドヴォケイト2014年10月31日でシュテファン・ラインハルト氏により「サンセール最良の生産者のひとつ」と高く評価され、ワイン＆スピリッツでは2018年のTOP100生産者に選出。また、イギリスの著名なワイン評論家、ジャンシス・ロビンソン氏のワイン評価誌にて、マスター・オブ・ワインであるリチャード・ヘミング氏による「ロワールの星」という記事では、二コラ・ジョリーやディディエ・ダグノーと並んでヴァシュロンが紹介され、高評価を獲得しています。

彼らが手掛けるワインは、これまでワイン・アドヴォケイトやワイン・エンスージアスト、ヴィノスなどのワイン評価誌にて多くの銘柄が90点以上の高評価を得ています。まさに、名実ともにサンセールを代表する生産者のひとつなのです。

所有する約50haの畑は標高300～350mの場所に位置。その内、約8割近くはソーヴィニヨン・ブランを、その他はピノ・ノワールを植樹しています。畑は「火打石」を意味するシレックスという土壌や、粘土石灰質土壌を中心に構成。土壌由来の豊富なミネラル感がワインに与えられます。

ドメーヌの栽培の特徴はビオディナミ農法によるワイン造り。1997年より一部のブドウ畑でビオディナミ農法を導入し、2002年より全ての畑で実践しています。現在は、国際的なオーガニック認証機関である、エコサート認証を取得。さらに2004年よりビオディナミ生産者組合ビオディヴァンにも加盟しています。

栽培には化学的な合成肥料は使用されておらず、用いられるのはたい肥や有機肥料のみ。収量は低く抑えられ、土壌の成分が詰まったブドウが実ります。収穫は手摘みで実施し、上質なブドウを厳選。醸造においては、野生酵母による発酵を行い、さらにフィルターを通さずに瓶詰めすることで、ブドウ本来の旨味がワインから感じられます。

こうして丁寧に造られるヴァシュロンのワインは、テロワールが最大限に表現されたスタイル。ブルゴーニュのように単一畑から造られるワインは、サンセールの到達できる複雑さを世界に知らしめています。口に含むと広がる豊かなミネラル感とシャープな酸味、複雑なニュアンスが魅力。長期熟成に耐えうるポテンシャルも備わっており、愛好家の皆様にはぜひお試しいただきたいワインです。