イッセイ・ミヤケを着こなす醸造家が語る、キャンティ・クラシコへの熱い想い

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レポート
公開日 : 2019.6.3
更新日 : 2019.6.4
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生産者
イッセイ・ミヤケやヨウジ・ヤマモトが大好きというマルコ・パランティ氏。この日もイッセイ・ミヤケのジャケットを着こなしていました。
イタリア、キャンティ・クラシコの名門ワイナリー、カステッロ・ディ・アマよりオーナー兼ワインメーカーのマルコ・パランティ氏が来日。
最新ヴィンテージや、ワイナリーがあるキャンティ・クラシコという土地への熱い想いを語っていただきました。
目次

18世紀から賞賛されていた土地

ワイン畑
広大な面積を誇るカステッロ・ディ・アマ
実は「カステッロ・ディ・アマ」の起源は、17世紀初頭にキャンティ・クラシコ復興運動の中心的存在となっていた村を発端としており、標高およそ500mの丘の上に位置する小さな中世村落でした。
18世紀には、トスカーナ大公のレオポルド2世が「カステッロ・ディ・アマ周辺はとても手入れの行き届いた土地であり、キャンティ・クラシコの中では最も優れたブドウが育つ場所である」と、賞賛するほど古くから優れたワインが生み出される土地として知られていたそうです。
その後現在のオーナーである、マルコ・パランティ氏の妻、ロレンツァ・セバスティ女史の一族が土地を買い取り、現在のワイナリーの形になりました。
マルコ・パランティ氏は、フィレンツェの醸造学校を卒業して1982年にカステッロ・ディ・アマのワインメーカーに就任。その間にボルドー大学で最先端のワイン造りを学びつつ、ワイナリーでは大規模な畑の植え替えを含む改革を次々と実行に移しました。
特に、当時トスカーナではおそらく初となるメルロ100%で造ったワイン「ラッパリータ」がペトリュスなどの名だたるメルロを押さえ、ブラインドテイスティングで世界1位に輝いて以降、アマのワインはますます世界中の注目を集めるようになりました。

設立に奔走した新格付け「グラン・セレツィオーネ」

ワインボトル
マルコ・パランティ氏は6年間にわたりキャンティ・クラシコ協会の会長を務めたことでも知られていますが、その時にマルコ氏が特に尽力したのが、新しい格付けの創設。
キャンティ・クラシコD.O.C.G.に加えてキャンティ・クラシコ地区最上級の格付け、キャンティ・クラシコ・グランセレツィオーネD.O.C.G.ができたのは2013年のことですが、マルコ氏はこの格付けの新設に奔走したそうです。
ワインボトル
「600名以上の会員がいるキャンティ・クラシコ協会をまとめるのは大変でしたが、キャンティ・クラシコ全体の品質を高めたいという想いで周囲を説得しました。現在は2段階の格付けしかありませんが、最終的に目指すのは、格付けがしっかりと整備されている銘醸地、ボルドーやブルゴーニュです。
グラン・セレツィオーネを造る生産者は、当初40にも満たなかったのですが、今や200を超えるまでになりました。また、我々がグラン・セレツイオーネとしてリリースしたサン・ロレンツォ キャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ2010年は、2014年のワインスペクテーター誌「世界ワイントップ100」10位に選ばれました。この土地で造られるワインが世界でもトップクオリティのワインであることが証明され、新しい格付けも徐々に認められつつあります。」

マルコ氏の夢

インタビューの様子
こうしてキャンティ・クラシコという伝統的な産地において大きな改革の一歩を実行に移したマルコ氏。実はまだ果たせていない大きな夢があるそうです。
「私の夢は、著名なスーパータスカン(ティニャネロ、ペルゴレ・トルテなど)が、キャンティ・クラシコのカテゴリに戻ってくることです。キャンティ・クラシコはサンジョヴェーゼ、メルロ、シャルドネなど素晴らしいワインを生み出す産地であるのに、とても低く評価されています。彼らが戻ってピラミッド状の格付けが整備されれば、キャンティ・クラシコの素晴らしさがより多くの人に認知されるはずです。
キャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネの品質を上げて人気が高くなれば、彼らもきっとまたキャンティ・クラシコD.O.C.G.を名乗る日が来ると思うのです。」
※1970年代、サンジョヴェーゼに白ワイン用のブドウをブレンドしなければならないなど当時のキャンティの規定にとらわれたくない生産者達が、テーブルワインのカテゴリI.G.T.としてティニャネロ、ペルゴレ・トルテなどをリリースするようになった。

一切の妥協なし!マルコ氏渾身のロゼ

ワインボトル
今回の来日時には、最新ヴィンテージ2015年のお披露目もありましたが、特に興味深かったのがこちらの新作ロゼワイン「パープル・ロゼ」。世界で流行中の直接圧搾法で造られる淡い色合いのロゼと異なり、あえてマルコ氏が好きだというセニエ法にこだわって作られたロゼワインで、その強い色合いを表すために「パープル」という言葉を名前に使っているそうです。
グラスに注ぐと、深みのあるチェリーレッド、クランベリーやラズベリーなど鮮やかな赤系フルーツ、スイートハーブのアロマが香り、口に含むと豊かな果実味がいっぱいに広がり、後味には心地よい酸味とタンニンが口中をリフレッシュしてくれます。
アペリティフにはもちろん、トマトを使った料理、さらには鴨肉などしっかりとした風味の肉料理にも合わせられる万能な1本。マルコ氏によると、なんとグラン・セレツィオーネ向けの単一畑サン・ロレンツォ以上の上級畑のブドウを使っており、10年は熟成可能という、一切の妥協なし、渾身のロゼワインです。

日本人のメンタリティに惹かれる

インタビューの様子
日本のファッションや建築に関心があり、親日家としても知られるマルコ氏。日本の風土や文化とカステッロ・ディ・アマのワインとの共通点について聞いてみました。
「私は日本人の合理的で真面目なメンタリティと“Less is more”の思想が好きです。日本とイタリアをしょっちゅう行き来していますが、両者は完璧に違います。日本人はディティールにこだわりますが、カステッロ・ディ・アマのワインも同じくディティールにこだわっています。シンプルだけど美しいということを目指しており、日本の思想と近いものを感じます。」
家族写真
マルコ・パランティ氏、妻のロレンツァさんと3人の子供達
実はマルコ氏の長男は今年ワインの醸造学校を卒業する予定だとか。(成績優秀で飛び級したそうです)
彼もきっと、父であるマルコ氏の夢を受け継いで、カステッロ・ディ・アマだけでなくキャンティ・クラシコの未来を考え、素晴らしいワインを造る醸造家になってくれることでしょう。
これからもファミリーの活躍が楽しみです!

カステッロ・ディ・アマの商品一

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