世界中で愛される天使のワイン「モンテス」は、高品質なチリワインを造るワイナリーとして有名です。
そんなモンテスは、世界で通用するチリワインを目指し続け、昨年創業30年を迎えました。
今回は、モンテスが創業以来挑戦してきたエピソードや、モンテスの偉大さを堪能できるおすすめワインをご紹介します。
目次
創業30年を超えるワイナリー、モンテス
天使のワインでおなじみのモンテスですが、ここでは、モンテスがどんなワイナリーなのか改めてご紹介します。
モンテスは、1988年11月にチリで誕生したワイナリー。4人の専門家によって「チリ発、チリ人だけのチリワインカンパニー」として設立しました。
奇しくもエノテカも同じ年に生まれ、両社は創業当時から取引を続ける間柄です。
今やチリワインは、日本への輸入量No.1になるなど、名実ともに有名ですが、当時のイメージといえば「安さ」。品質よりも低価格を追求するワインというイメージが先行していました。
そんな中、モンテスは常にフランス・ボルドーを彷彿とするワインを造り続けてきたのです。
創業以来、革新的で高品質なワインを次々とリリースしたモンテスは、今やチリにおけるプレミアムワインの代名詞となりました。
なぜモンテスのシンボルは天使なのか?
モンテスのワインには、必ず天使が描かれていますが、これには理由があります。
天使をモンテスのシンボルとしたのは創業者の1人であるダグラス・ムライ氏。
彼は、過去に生死をさまよう事故を三度も経験したにも関わらず、奇跡的に助かったことから天使の存在を確信しました。それ以来、ワイナリーを永遠に見守ってくれる存在として、モンテスのシンボルを「天使」としたのです。
モンテスが行った革新
創業30周年を迎えたモンテスは、これまでにいくつもの挑戦をしてきました。ここでは二つのエピソードをご紹介します。
チリワインのイメージを塗り替える!
最初の革新は、プレミアム・チリワインの創出により、これまでのチリワインのイメージを覆したことです。
設立とほぼ同時にリリースしたモンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンは、当時のチリワインのイメージを払拭する、高品質なワインで世界中を驚かせました。
これによりチリのワイン史を大きく塗り替え、モンテスはチリワインを代表するワイナリーという位置付けとなりました。
今や、モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンはモンテスのフラッグシップワインとなり、モンテスはチリのプレミアム・ワインの先駆者と呼ばれるようになりました。
馬鹿げているシラーの栽培
次の革新的な出来事は、1991年のアパルタの開墾です。
当時、創業者の一人であるアウレリオ・モンテス氏は新たな土地を求めていました。アウレリオ氏は自身の操縦する飛行機から土地を探していた際に、アパルタの土地を発見。山のふもとにあり、近くに川が流れているため水にも困らないこの土地に惚れ込み、購入を決めました。
土地を手に入れる際、山も含めて購入することが条件だったため、アウレリオ氏は斜面部にもブドウを植えることを考えます。
アウレリオ氏はフランス・ローヌ地方のシラーがとても好きだったため、急な斜面と焼けつくような強い日差しのあるアパルタの地に、ローヌとの共通点を見つけ、ここでのブドウ栽培を決意しました。
しかし、当時チリでは平面でブドウを育てるのが一般的でモンテス社内でも批判を受けます。そんな反対を押し切ってまで、急斜面でのブドウ栽培を開始。
フランスから持ち込んだシラーの苗を傾斜45度もある、断崖絶壁のような畑に植えました。これは誰も考え付かなかったことで、他の生産者たちは「馬鹿げている」と呆れていたそうです。
そうした中で2000年に生まれたのが、チリ初のシラーを用いたワイン、モンテス・フォーリー・シラー。周りから散々揶揄されたことから、フォーリー(馬鹿げている)・シラーと名付けました。
アウレリオ氏のとんでもない挑戦は、見事にずば抜けた品質のワインに仕上がり、世界的評価誌で高得点を連発しました。
この成功に続くように、今ではアパルタのあるコルチャグア・ヴァレーでは多くの生産者が急斜面でブドウを栽培しています。
さらなる挑戦
地球温暖化が続く現在、チリのブドウ作りにも影響が出ています。
そんな中モンテスでは、年々上がり続ける気温と水不足に対応するため、対策をしています。
その代表として「ドライファーミング」という方法があります。これは灌漑を使わずに行うブドウの栽培方法のことです。モンテスはドライファーミングの研究のため、水を潤沢に与えた樹と、極限まで水を与えない樹との成長差の観察を行っています。
また、あえてビニールハウスを使い、実際よりも高い気温の中でブドウがどう育つかを観察。かなりの暑さのため、そこで育つブドウの実は非常に小さく、葉も枯れてしまうそうです。
このような、ブドウにとっては酷とも言える研究や実験をする理由は、地球温暖化の影響でさらに暑くなったときでも、対応できる生命力をブドウに学ばせるためとのこと。このように、モンテスは、変化し続ける地球と共存するためブドウの育て方を模索し、未来を見据えた研究を惜しみません。
最近では、より涼しい地域を求め、これまである畑よりも南の地に畑を購入。チリワインの代表格として確立している今でも新たな畑を開拓し、挑戦を続けています。
モンテスの偉大さを感じるワイン5選
一度は試していただきたい、モンテス渾身のワインをご紹介します。
アルファシリーズ カベルネ・ソーヴィニヨン
まずご紹介するのは、モンテスの看板ワイン、モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンです。前述したように、モンテス創立とほぼ同時にリリースし、そのクオリティーの高さで世界中を驚かせました。
2,000円台という価格ながら、過去にパーカーポイント90点を獲得したこともあります。
上質なカベルネ・ソーヴィニヨンを用いて造られており、滑らかなタンニンと豊かな果実味が口いっぱいに広がります。
もちろん今飲んでも十分楽しめますが、10年間は熟成のポテンシャルをもつ1本です。
スペシャル・キュヴェシリーズ ピノ・ノワール
年間生産本数たった6,000本!わずか5haの自社畑からとれる選びに選び抜かれたブドウを使い、良年にのみリリースされる稀少ワインです。
1本4,000円台にも関わらず、この生産量は、あのロマネ・コンティにも匹敵するほどの少なさなのです。
味わいは、繊細なタンニンと程よい酸味が心地よく、雑味がありません。これはまさにアウレリオ・モンテス氏が目指してきたブルゴーニュスタイルです。
モンテス・フォーリー・シラー
一度飲んだら忘れられない、圧倒的な凝縮感を備えた赤ワイン。前述したように馬鹿げていると言われ続ける中、誕生した革新的なワインです。
今回ご紹介した馬鹿げているシラー栽培の話を思い出しながら飲んでみてください。
パープルエンジェル
こちらのワインは、2011年3月にチリを訪問した当時のアメリカ大統領オバマ氏とセリア夫人に振る舞われました。
チリを代表するブドウ品種、カルメネール主体のワインの中でも最高峰の存在で、アメリカ大統領に振る舞われるほど、その品質の高さが称えられています。
口当たりは驚くほど滑らかで、リッチな果実味が魅力。ぜひ、大き目のグラスで芳醇な香りと味わいをゆっくりと堪能ください。
モンテス・アルファ・エム
最後に紹介するのが、モンテス渾身のプレミアムワイン「モンテス・アルファ・エム」です。
こちらのワインは、あのオーパス・ワンを超えたワインとして有名です。2013年、モンテスの創業25周年を記念して名立たるトップワインと自社のワインを競わせるブラインドテイスティングを開催しました。
その結果、ボルドースタイル部門において「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド2004年」に次いで、なんと「モンテス・アルファ・エム2004年」が2位に!
5位のオーパス・ワンを上回る高評価を獲得しました。1本1万円台ながら、その何倍もする世界のトップワインに匹敵する質の高さが証明されたのです。
まとめ
常に新たなことにチャレンジし、革新的なことを追求し続けているモンテス。創業30年を迎えた今でも飽くなき挑戦を続けています。
毎日の晩酌ワインにも、スペシャルな日にもモンテスのワインはピッタリ。今回ご紹介したエピソードを思い出しながら、堪能してみてください。