4,200軒を超えるワイナリーがひしめき合っているアメリカ・カリフォルニア州。その北部に位置しているノース・コーストでは、多くの高級ワインが生産されています。
今回は、特に人気の高いナパ・バレーについてまとめました。
ナパの一覧を見る
目次
ナパワインの歴史
1965年、「近代カリフォルニアワインの父」と呼ばれているロバート・モンダヴィがナパのオークヴィルにワイナリーを設立。このことにより、アメリカでも高品質なワインへの理解度が高まり、消費者の意識も変革していくことになります。
1976年には、ワインの歴史の中でも大きな分岐点となる「パリスの審判」と呼ばれる大事件が発生。これはパリで開催された試飲会で、ナパのスタッグス・リープ・ワイン・セラーズとシャトー・モンテレーナが、フランスのトップワイナリーたちを抑えて、赤ワインと白ワインの部門それぞれで1位となりました。それまで大衆向けのテーブルワインという印象が強かったカリフォルニアのワインは、この出来事により世界中に知られるようになります。
1983年には、ナパで新種のフィロキセラが発見されました。これにより、多くの畑でブドウ樹の植え替えが余儀なくされました。しかし、これは緻密なテロワールに適した品種や仕立て法、植密度などが改めて見直されるきっかけとなり、結果的にワインの品質向上に繋がりました。
ナパの気候風土やワインの特徴
ナパ、というよりカリフォルニア全体は典型的な地中海性気候です。年間で雨は冬場に集中し、ブドウの生育期にはほとんど雨が降りません。
ナパ・バレーは、その名の通り東西をマヤカマス山脈とヴァカ山脈、南にはサンパブロ湾に囲まれた谷。そのため東西にある山間部の畑は標高が高く斜面、中央にある平野部の畑は標高は低いがサンパブロ湾の影響が強いなど、様々な微気候が存在しています。
同様に土壌の種類も豊富で、一説には世界に存在する土壌パターンの約半分があると言われるほど。火山性土壌から海洋性土壌まで30種以上の異なる土壌が存在し、隣接する区画でも土壌が異なることは珍しくありません。
このような理由から、ナパでは特にカベルネ・ソーヴィニヨンが世界的に高い評価を得ていますが、他にもシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランからも高品質なワインが造られています。
もちろん産地や品種ごとに味わいは異なりますが、地中海性気候ならではの太陽の日差しを受けるため、一般的にナパのワインは濃厚で力強く、華やかであることが特徴。そのスタイルは多くのワイン愛好家を魅了しています。
ナパの主なワイン産地
ここではナパの代表的なワイン産地をご紹介します。地図と照らし合わせながらご覧ください。
Oakville AVA(オークヴィル)
オークヴィルは、ナパ・バレーの中心に位置し、完璧なバランスのワインを生み出す屈指の銘醸地。オーパス・ワン、スクリーミング・イーグル、ハーラン・エステートなどカリフォルニアを代表するワイナリーが集中しています。
カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランなどが栽培されています。
Stags Leap district AVA(スタッグス・リープ・ディストリクト)
スタッグス・リープ・ディストリクトは、ナパ・バレーの中でもサンパブロ湾に近い西向きの斜面に位置します。この地域で造られるワインのスタイルは、内陸のAVAに比べてエレガント。
前述したパリスの審判で、オー・ブリオンやムートン・ロスチャイルドを抑え1位に輝いたスタッグス・リープ・ワイン・セラーズがあることでも知られています。
Calistoga AVA(カリストガ)
ナパで最も内陸に位置しているため、海からの影響が少なく温暖な地域です。真夏の最高気温は40度近く暑いですが、西のソノマ側から風が吹き込む一帯では昼夜の気温差がとても大きくなります。
熟した果実味のカベルネ・ソーヴィニヨン、ジンファンデル、シラーなどが栽培されています。
ナパを代表する人気ワイン
最高級カリフォルニアワインの代名詞、オーパス・ワン、最も入手困難なカリフォルニアワインと言われる、スクリーミング・イーグル 。ここではナパを代表する二つの高級ワインの特徴をご紹介します。
オーパス・ワン
この商品はこちら
カリフォルニアワインの父と言われるロバート・モンタヴィとシャトー・ムートンのフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵が、新世界と旧世界の産地が誇るワイン製造法のアイデアを組み合わせて生み出したワインです。
名前の由来は音楽用語に由来し、1本のワインを交響曲に例えるとしたら、1杯のワインはメロディーであるというロスチャイルド男爵の思いが込められています。
骨格がしっかりしていながらも繊細な舌触りや風味を持ち、滑らかさの中にある力強さを感じさせるスタイルは年々進化し、近年ではフランスの有名ワインに並ぶ知名度となっています。
スクリーミング・イーグル
この商品はこちら
希少性や評価が高く、高値であるカルトワインの中でもトップクラスに君臨しているスクリーミング・イーグル。
ファーストリリースの1992年ヴィンテージは、ワイン評論家のロバート・パーカーがいきなり99点をつけるという華やかなデビューを飾りました。2015年までに5度の100点を獲得していることや、年間生産数が約6000本という少なさからも、多くのワインラヴァーの憧れの1本となっています。
味わいは非常に濃厚で、上品なフレンチオーク樽の風味と果実味由来の純粋な旨味と甘みが絶妙なバランスを保っています。
まとめ
1976年にカリフォルニアワインがフランスワインに勝利した「パリスの審判」から約40年。
研究に次ぐ研究で土壌や気候と品種や醸造法との相性を科学的な見地から探り、アメリカの生産者は美味しいワイン造りに尽力してきました。
その中でもワイン愛好家たちをうならせるナパのワインは、もしかすると人生を変えるような出会いを与えてくれるかもしれませんね。
参考『2018 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会
ナパの一覧を見る