レストランマナーと聞けば、テーブルマナーをはじめ、食事をする時のマナーと思ってしまいがちですが、実はワインを注文する時やワインを飲む時にもマナーがあるのをご存知ですか?
自宅でワインを飲む場合は、それほど気になりませんが、フォーマルなレストランでワインを飲む機会があるのであれば、基本的なマナーは知っておいた方が良いでしょう。
ワインを飲む時、スマートな振る舞いでお食事と楽しむことで、より素敵な1日になります。
今回はそんな時に困らない基本のワインマナーをご紹介いたします。
食前酒は必ず頼まなくても良い
レストランでソムリエに「食前酒はいかがされますか?」と聞かれたことはありませんか?
慣れた方であれば、スパークリングワインやドライマティーニ、カンパリソーダなど、すっきりとした味わいのお酒をオーダーされると思いますが、この食前酒の習慣について、いまひとつ理解できないという方もいると思います。
食前酒は、血流を促し、食欲を掻き立てることが目的です。
シャンパーニュやフランチャコルタなど発泡性ワインは、ワイン中に存在する天然ガスが血管を刺激し、味覚に活力を与えるため、食欲が増進します。そのため、発泡性は食前酒の定番となっています。
食前酒は、必ずオーダーしなければいけないというルールはなく、自分の好みの銘柄を指定しても構いませんし、そのお店のオリジナルカクテルをソムリエに伺いながら決めても構いません。
ワイングラスを回すことで個性を開花させる
ワインを飲む際、グラスをくるくると回す所作を見かけたことはありませんか?
ワイングラスをなぜ回しているのかというと、良質なワインは、抜栓したばかりだと風味が引きこもり気味です。そこでワインと空気を触れさせることで、グラスの中で酸化を促進させて、本来の個性を開花させます。特に樽を用いたワインなどは、樽由来のやや渋いタンニンと熟成がもたらす複雑なフレバーを引き出すという狙いもあります。
レストランでワインを供す場合は、既に十分に香味が開花したものを店側はサーブするので、グラスを回す必要はさほどございません。
また、グラスを回す場合は、時計周りに回すと遠心力で相手に振りかかるケースもあり、時計と逆回りに行うのが重要なマナーになりますので、覚えておきましょう!
乾杯時にグラスはぶつけない
ご友人同士でのカジュアルな店で楽しむ場合、厚手のプラスチックグラスなら割れる事もなく危険性も低いのでさほど問題にはなりません。しかし、格式のあるレストランでは、控えたい所作になります。
高級なレストランでは、ワイングラスにリーデルのソムリエシリーズやロブマイヤー、ザルトなど、ハンドメイドで造られた非常に繊細で割れやすいグラスを利用しているため、勢いよくグラスを合わせた際に割れてしまう場合もあります。
このような場合は、相手の目線を見ながら、グラスを顔の高さに掲げ、会釈すればスマートです。
すなわち、レストラン内では利用する側と店の相互が不安や不愉快な気持ちにならないようにするのが、店内でのマナーです。
オンリストされているボトルが予想以上に高い場合
著名なガイドブックなどに掲載されている有名なお店では、フランスワインやイタリアワイン、カリフォルニアを中心に一万円以上のボトルがオンリストされている場合があります。
このような場合は、ソムリエにオンリストしていないワインで、何かオススメはありませんか?と相談してみてください。オンリストできないものが少数でセラーに在庫されているパターンがあるので、思わず個性的なワインを見つけることができるかもしれません。
また、予算は明確に伝えた方が良いでしょう。
なぜなら、ソムリエはゲストの細かな要望をヒアリングする内に予想価格よりも結果として、価格高なワインをオススメすることが時にはあります。
このようなケースを回避するため、ソムリエには必ず大まかな予算を伝えましょう。またソムリエに予算を伝える場合には、ワインリストの価格を指しながら、「このあたりで…」という伝え方もスマートで良いと思います。
まとめ
今回は、かつて私が感じたことを書かせていただきました。
レストランのマナーと言っても決して堅苦しいものではありません。基本さえ押さえていれば、誰でも身につけることができます。
ワインビギナーの方には、賢いオーダー術や基本の所作を覚えていただき、ご自身なりのワインの愉しみ方を少しでも広げていただければと思います。